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2010年04月18日

●我慢の時は続くかね (FC東京×京都サンガ)


昨日の夕方は、味の素スタジアムでJ1第7節。FC東京 1−1 京都サンガF.C.。鹿島戦の激闘に大宮戦の勝利と、上昇の兆しがようやく見えてきたかに思える我らが東京。今回は3年間勝っていないという「苦手」京都との対戦であった。試合は、鹿島戦は何だったんだと言いたくなるような戦いぶりで、早々に京都に先制される苦しい展開。後半重松・赤嶺の投入を機に攻勢に転じてPKで同点に追いついたものの、勝ち越し点は奪えず引き分けに終わった。
 
 
最初の数分間は東京の攻勢となった。京都は全体的に引き気味で、かつ構成力のあるパサーが不在。単調な縦パスを森重・今野がはね返しては押し込んでいく。が、東京も人数をかける京都の守備を崩せない。逆に11分、京都は右スローインを柳沢が頭で流し、追い越す西野がサイドを突破して折り返し。中山が長友と競りながら足に当てたボールは権田の頭上を越え、逆サイドに詰めた角田が角度のないところを押し込んだ。一瞬の隙を突かれた失点。0−1。

反撃したい東京は羽生や森重のフィードから右へ左へパスを回すも、中での仕掛けがほぼ皆無で京都の守備ブロックは綻びない。13分、ボックス左前のFKで松下の速いキックがDFの間を抜けたが、GK水谷がキャッチ。14分、羽生のロングパスで平山が右サイドをえぐるも、マイナスのクロスはDFがカット。攻めあぐんでいるうちに東京の攻撃は全く勢いを失って試合は膠着状態となり、パスが京都の選手に引っかかってはスタンドからため息が漏れる。

26分、機を見て攻め上がった森重がワンツーパスでボックス前まで前進し、松下を経由して石川がシュート!水谷が横っ跳びで弾いて得点はならなかったが、可能性のある攻撃だった。しかしその後はまた一進一退。京都はディエゴが下がってさばくことで無理矢理ポゼッションを上げるものの全体的には単調なサッカーで、対する東京も地上戦で進めず平山へのロングボール頼み。京都DFが高い集中力を保って東京の攻撃をはね返すうちに前半終了となった。
 
 
後半。46分、石川の速く低いFKからゴール前で混戦となるが押し込めず。相変わらず前にボールが収まらない東京は松下と長友の位置を入れ替え、アタッカー単騎の仕掛けで打開を図る。52分、リカの左サイド突破から波状攻撃となり、石川のシュートを水谷が押さえる。55分、ロングボールを石川が競り落とし、平山のパスで石川がDF裏に抜けたか……という場面はオフサイド。58分にはディエゴがフォアチェックから一気にボックス中央へ突進して冷や汗。

何とか攻撃に勢いをつけたい東京は60分にリカ→重松、63分に松下→中村北斗と交代。65分、ロングボールに走り込む重松がDF2人と競りながらボックスへ突入、もつれて倒れたがこれは重松のファウル。この時間帯は前がかりの東京に対して京都がディエゴ・柳沢のカウンターで対抗する構図となったが、どちらも守備陣の集中力が高くチャンスはなかなか生まれない。69分、早くも東京は平山OUT赤嶺IN。結果的にはこの交代が功を奏することになる。

そして71分。右サイドを強引に突破した赤嶺がグラウンダーのクロス。水本のクリアが京都DFの背中に当たってしまい、こぼれ球を拾った重松がすかさず仕掛ける。これを水本が倒してPK獲得。自らボールをセットした重松が水谷の逆を突いてゲットした。重松早くも2得点目!1−1。こうなると目指すは勝点3だ。先ほどまでの停滞はどこへやら、アタッカー陣が突っかけていく。75分、長友のクロスをCBの間に入った赤嶺が頭で叩くが、水谷がキャッチ。

これに対して流れを変えたい京都も宮吉・ダンを投入し、終盤は一進一退の攻防に。82分、ディエゴとのワンツーで中山が右サイドを抜けた場面は権田がセーブ。88分、逆襲からディエゴのヘッダーがわずかにバーの上。90分、ボックス内で北斗のパスを受けた石川がオーバーヘッドで狙うがDFに阻まれる。ロスタイムにはボックス前で仕掛けた赤嶺がミドルシュートを撃つも水谷が横っ跳びで弾く。結局、双方あと一押しが足りず同点のまま試合終了となった。
 
 
弛緩した60分と、それなりに盛り上がった30分。今季これまでの縮図のような試合(笑)。

前半の東京はちぐはぐだった。相手のさほど工夫のない攻撃に難なく対応しているかと思えばスローインから虚を突かれる形で失点し、反撃に出てもパスは回せど仕掛けどころに意図が感じられず、しまいには引き気味の相手に対してロングボールを放り込んでははね返され続ける、という最悪のパターン。「今季最高」だった前節の鹿島戦からいきなり「最低」へ急降下というか、35分あたりはもう「どうしていいかわからなくてウロウロ」という感じだった。

で、後半は長友を前に出したり北斗・重松を入れたりと、とにかくフォアチェックとドリブル仕掛けを強化して、その甲斐あって同点に追いつくことができた、と。ああいうたたみ掛ける状況ではやはりフレッシュな個人能力がものを言うわけで、選手交代のチョイスには納得である。できればホームだけに勝ちたいところだったが、前がかりになった分終盤は相手にもチャンスが生まれるようになっていたので、勝点1でも妥当なところとは言えるかもしれない。

それにしても……梶山のいない試合は単に人のいないサイドへ回す(逃げる)だけのパス回しになってるんだよね。そりゃあ観てて面白くないし、点もとれないだろうな、と思う。城福監督も、梶山が戻るまでは後ろを固めてアタッカーがバラバラに仕掛けるような攻撃でも仕方ないと考えてるのかな。今は我慢我慢、か。松下を前、羽生を後ろで起用しているのも(直感的には逆だけど)より「ハズレのない」布陣ということかもしれない。でも、ホントにそれでええんかい。

いずれにせよ、W杯中断前最後のリーグ戦(5月15日の清水戦)あたりまでにはもう少しマシなサッカーができているといいな、と思ったり。ちょっと悲観的すぎるかな。

個々の選手では、やはりまず重松の活躍を挙げずにはいられない。あの活き活きとしたドリブル!!デビューしたての頃の鈴木規郎(股抜きでレッズの山田をブッチ切った)を思い出す。PKを自分で蹴ったのもよし。つか、無回転蹴れるんだから、直接FKも蹴らせればいいのに。あと、重松の陰に隠れた形になっちゃったけど今回は赤嶺もなかなか良いプレーぶりだった。あとは2本のシュートのどちらか決めていれば……そこら辺がどうも見放されているなあ。

平山と松下はどうもパッとしなかった印象。リカルジーニョはやっぱりわけわからん(笑)。羽生は攻守の要所でいい仕事。徳永は何だか気の毒になってきたぞ。キムはちょっと調子が良くなかったのか?裏をとられる場面が幾度か。長友は終盤だけ効いているような。森重と今野は良かったと思うけど、森重が前半に見せて決定機につながった攻撃参加、2人ともああいうプレーを増やしていければチーム全体の攻撃ももう少しマシになるのではないだろうか。

まあ、幸いというか、今節は上位チームの多くが引き分けなどで勝点を落としてくれた。リーグ戦はまだまだこれからが勝負だ……と思いたい(笑)。
 

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コメント

>梶山
 トーチュウ記事より練習試合に出場。ガンバ戦に現れるとか・・・。やっぱりこの男が復活して初めて2010年版東京が完成するかと思うんですけどねえ。

重松はすごいですね。このままいくと昨年の米本みたいにスタメン定着しそう。同点ゴール決めて、すぐさまボールをかっさらって「次、行くぞ!」っていうあの肉食的な姿勢がたまらん。

>この男が復活して初めて2010年版東京が完成するかと思うんですけどねえ。

まあ、そうなのかもしれないですねえ。ただ、そこで完成した2010年版がスゲーのかショボイのかが問題ですよね……後者だったらどうしよう(笑)。

>あの肉食的な姿勢がたまらん。

確かに。若者はああでないと。

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