●またしても(FC東京×サガン鳥栖)
FC東京 0−0 サガン鳥栖 (J1第34節 味の素スタジアム)
前節の柏戦勝利により再び3位に浮上した我らが東京、いよいよレギュラーシーズン最終戦である。勝てば文句無しでチャンピオンシップとACLの出場権を獲得、引き分けor負けならガンバの結果次第。これまでタナボタ得意を標榜してきたチームにとっては正念場の一戦だったのだが……。
試合前。なんか変な芸人みたいなのが出てきたな、と思ったら、東京のレジェンド(笑)ことアマラオ氏であった。いやーアマも老けたなー。髪の毛真っ白やん(って、現役の頃からずっと「おじいちゃん」あるいは「ジジイ」呼ばわりしているわけだが)。「アイシテル〜」のヘンテコなイントネーションは相変わらずだったけれども。
キックオフ。立ち上がりは鳥栖がロングボールとサイド攻撃で攻勢に出たものの、東京は森重を中心に落ち着いてはね返し、次第にボールを支配していく。9分、ボックス左でパスを受けた東がドリブルでDFをぶち抜いて切れ込み、折り返しを橋本がシュートするがバーの上。23分、速いリスタートから右へ展開し、徳永のクロスを逆サイドで収めた河野がシュートするもDFがブロックしてゴールならず。
速いパスワークで先制点を狙う東京に対し、鳥栖は後ろに厚い陣形でタイトに守り続け、なかなか崩れる隙を見せない。30分、縦パス一発で水沼がCBの間を抜けるピンチとなったが、フォローした早坂のシュートはわずかにバーを越えてくれた。終了間際には東京が逆襲速攻の形を作り、橋本のラストパスから米本がシュートするも、またもDFがブロック。じれったいムードのままハーフタイムへ。
後半になっても東京のボール支配は続き、54分には早くも河野に替えて中島を投入。すると56分、ボックス周辺のパス交換からゴール前で前田が粘り、高橋がシュートするがこれまたDFに当ててしまう。その後も細かくパスをつなぎながら押し上げて機会をうかがうものの、あと一歩というところで合わない場面が多い。62分、ボックス左でFKを獲得し、太田のクロスに森重が頭で合わせるが、当たりが悪く枠外。
と、そこで3位を争っているガンバが先制(おまけに5分間で4点を連取)したという情報が入り、東京は無理をしても勝ちにいかなければならない立場に。さらに鳥栖がエース豊田を投入するなど、苦しい状況に追い込まれてしまった。
何とか得点したい東京だが、引いて守る鳥栖DFにスペースを見つけられず、攻め込んでもノッキングの繰り返し。これを見て東京ベンチも動き、70分に橋本OUTで林IN。4-2-4とも言える極端に前がかりのフォーメーションで勝負をかける。73分、波状攻撃から東が右サイドに飛び出し、クロスがゴール前の前田の足下に入るチャンス。惜しくもシュートはできなかったが、東京は中島を中心にさらにイケイケドンドン。
84分、カウンターから鎌田がゴール前に飛び出す大ピンチとなるが、シュートは左ポストがはじいて命拾い。その直後、東京は波状攻撃の中でボックス内の林がシュートを撃つもまたまたDFがブロックし、さらにCKのこぼれ球を森重がシュートするもGK林の正面を突いてしまう。結局、最後まで攻勢をかけ続けた東京の努力も実らず、スコアレスのまま試合終了。チャンピオンシップ進出は夢と消えてしまった。
またしても、というか。リーグ戦の大事な試合での勝負弱さは相変わらずであった。トーナメントの一発勝負だとけっこう強かったりするんだがなあ。
この試合自体が、「いかにも」という展開ではあった。もともと引いて守る相手に対する攻撃の方法論が確立されているわけでなく、鳥栖のような堅守速攻チームとの相性は良くないのが今の東京。その割に普通に試合に入ってしまったように見えたし、頼みのセットプレーも不発。で、結局悪いパターンにはまって猛攻をかけるも届かず、という。味スタではこれまでにも幾度となく見てきた光景である。
とは言っても、僕個人としては、実はこの試合の戦いぶりについてはあまり不満がないというか、もちろん満足しているわけではないし「もう少しやりようがあったのでは」と思わないけどもないけれど、全体的には「まーしゃーないかな」という感じではあった。特に後半は4リスクを賭しながら1点をもぎ取りに行ったのだし、監督のコメントにもあったように選手たちは最後まであきらめずよく攻め続けたと思う。
まあ、残念ながら、色々と足りなかったということなんだろう。特に「勝負強さ」が。
それにしても、勝負強さとは難しい課題だな、と。どうすれば良いのか、考えれば考えるほど唸ってしまう。勝負どころで決められるエースを育てる(獲る)ことが必要かもしれないし、チームの強化の方法論やピーキングで何かできることがあるのかもしれない。どこかで何かのはずみ(?)で成功体験を得れば、一気に突破できてしまうような気もするし。それがわかったら苦労しないよ、と言われそうだけど。
サンフレッチェ広島やかつての鹿島アントラーズは、どのようにしてあのような強いチームになったのだろうか。誰か教えてよ(笑)。
終了後のセレモニーでは、ファン・サポーターに対して森重主将の涙の挨拶と、フィッカデンティ監督の「お別れの挨拶」が行われた。そうか、マッシモさんとは今年限りになるのか、と。
人によって好き嫌いはあれど、この2年間フィッカデンティ監督が従来にないアプローチでチームを強化し、FC東京の歴史において特筆すべき戦績を残したのは誰もが認めるところだろう。ゾーン守備と速攻を組み合わせたソリッドな戦術とその徹底、コメント等からうかがえるサッカーに対する深い理解と高い分析・修正能力、そして情熱。いい監督だったと思う。僕も大いに楽しませてもらった。
結果的にタイトルに恵まれなかったこともあり、また3年目に上積みできるかどうかは微妙(長期熟成型の監督ではなさそうだし)でもあり、2年間での退任はいい区切りのような気がする一方で、このクラスの監督をまた連れてくるのは容易なことではないように思える。次の監督はどんな人がいいのかな……当然のことながら「何を目指すのか」によって変わってくるとは思うのだけれど。
いずれにせよ、マッシモさんには「GOOD LUCK!」の言葉を贈りたい。願わくば、天皇杯優勝でこの2年間の有終の美を飾らんことを。がんばろう。
試合後は、東京ファンの仲間たちと荻窪の中華料理屋で反省会。前にここで飲み食いしてからもう1年もたつのか……早いもんだねえ。やっぱり「負け試合」の後ということで紹興酒がやや苦く感じられた(そのくせガバガバ飲んで酔っ払ってしまった)んだけど、いつかはシーズン最終戦の後で「やったー!!」と大はしゃぎしながら打ち上げをしたいもんである。できれば再来年くらいには、ね。
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