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2010年04月15日

●もしもしあたしリカちゃん(笑) ('10ナビスコ杯 vs大宮アルディージャ)


昨晩はNACK5スタジアムでナビスコカップ第2節。大宮アルディージャ 0−1 FC東京。前節名古屋戦では、劣勢に追い込まれながら重松の劇的な同点弾で勝点1を得た東京。今節は得意の大宮相手だけにきっちり勝ちたいところであった。試合は、控えメンバー中心の東京に対して大宮が優勢に進めるも、東京が「不思議ちゃん」の一撃で先制する展開。後半も数的優位に立つなど好機を得た大宮がそれを生かせず、またしてもナスクタで東京が勝利を収めた。
 
 
この日の東京はリカルジーニョ・田邉・塩田が今季初先発。平山・徳永・長友・羽生をベンチに置き、体調不安の石川・権田は休養という至極正しい「ナビスコ杯ベストメンバー」であった。対する大宮は橋本が控えに回ったものの、比較的リーグ戦に近い構成。序盤は両チームとも中盤をコンパクトに保って主導権を争う。12分、FK後の混戦からゴール前右に飛び出した石原のシュートがポスト左を抜ける。14分、内田のミドルシュートは塩田がキャッチした。

大宮はお得意のテンポ良いショートパス攻撃だが、最後の一押しに欠けるのも相変わらず。一方「1.5軍」の東京はパス攻撃が機能せず、松下が下がってさばこうとしてもコースがない状態。次第に大宮が藤田のポストプレーなどから押し込む形に。27分、石原のパスで藤田がボックスへ突入するも、シュートが遅れて逸機。東京はDFラインこそ揺るぎないものの、自陣でミスパスを連発するなど全体的な調子は上がらない。先が思いやられる雰囲気だったのだが……。

突然流れが変わったのは35分。鈴木が突如ドリブルで左サイドを抜け、深い位置からマイナスの折り返し。リカルジーニョがシュートして江角を抜いたが、ゴール寸前でDFがブロック。チャンスは逃したものの、大宮DFの脆さが見えた。そして39分、今度は右サイドでパスを受けたリカルジーニョがふわりとボールを浮かしてドリブル開始。不思議な挙動に幻惑されたかDFは後手に回り、裏に抜けてGKと一対一になったリカはゴール左隅にゲット!!。1−0。

これで東京は攻勢となり、上機嫌のリカルジーニョがリフティングでDFをおちょくったり強引なドリブルシュートで左ポストを叩いたりと大活躍。ブラジル人助っ人の活躍でなかなかいいムードになったところで前半が終了した。
 
 
後半は立ち上がりから攻め合いに。45分、リカのパスで赤嶺が左サイドを突破、グラウンダーのクロスを走り込む鈴木にピタリと合わせるも、惜しくもオフサイド。その直後金久保が右サイドからえぐったピンチはDFがクリア。大宮は前がかりだが雑な攻めに見え、危険は少ないように思えた。が、しかし。54分、内田の長いスルーパスに反応した石原が椋原に競り勝ってボックスへ突入したところ、椋原が倒してしまいPK&一発退場の判定。まさに暗転である。

ところが、大宮はこの大チャンスを生かせない。PKキッカーのマトは左隅を狙ってポストに当ててしまい、さらに直後のCKからの混戦で大宮アタッカーがゴールに蹴り込むもファウルの判定。結果的にはここが勝敗の分かれ道だった。窮地を脱した東京は北斗・田邉に代えて長友・徳永の代表組を投入し、赤嶺1人を前に張らせる形でDF・MFのライン防御をたて直す。対する大宮はパスを左右に回して機会をうかがう。60分、青木のミドルシュートは右上に外れた。

63分、足を痛めたリカルジーニョOUTで羽生IN。大宮は藤田→市川の交代。大宮は前半にもまして前がかりとなって波状攻撃をかけるが、「ほぼ代表級」のDFラインにMF陣も加えた東京の守備ブロックはバランスを崩さずにはね返し、赤嶺と鈴木がカウンターで押し戻す。74分、大宮は左→右→中の大きな展開から内田がオーバーヘッドで狙うが、枠をとらえられず。75分にはボックス内の石原の胸にスッポリボールが収まるも、シュートは今野が防いだ。

危なかったのは81分で、ボックス外で切り返した青木の弾丸シュートがゴール左に飛んだ場面、塩田が横っ跳びでビッグセーブ!!その後は大宮がシュートに持ち込めなくなり、幾度か上がったクロスも塩田ががっちりとキャッチ。終了間際には大宮がマトを前線に上げてパワープレーを狙うも、ついに東京DFは崩れず、そのまま東京が1点差で逃げ切りに成功した。
 
 
サッカーにおける「流れ」というのはしばしば気ままな顔を見せるものだ。だから、こちらを向いた時には決して逃してはならない、と。そういう試合だったように思う。

前半の大半は大宮ペースだった。控え中心の東京は個々の能力だけでなく連携面でもいつもより低調で、ほとんどチャンスを作ることができなかった。だが大宮はその流れを生かせず、リカの個人技で数少ない好機をものにした東京が先制。そして、後半になると大宮は今度は早い時間帯にPKと数的優位のチャンスを得るものの、またもそれらを得点に結びつけることができなかった。東京にしてみれば効率的な勝ち方であり、大宮にしてみれば自滅した気分だろう。

言い換えれば、東京にとって結果は満足だが、内容的には反省点が多い試合だったとも言えるのだろうか。もっとも、ただでさえ梶山&米本を欠く上に代表組や怪我人を休ませるために控え組の幾人かが先発したことを考えれば、ある程度は仕方がないのかな。塩田やリカが使える目処が立ったことも、昨年来培ってきたブロック守備で数的不利の状況を乗り切ったことも、収穫には違いないのだから。つーか、東京はホント「集中せざるを得ない」状況だと強い。

MVPには塩田を挙げたい。ずっと控えの状況でコンディションを整えるのも難しいだろうに、安定感抜群のゴールキーピングで権田不在の不安を全く感じさせなかった。スタメンの頃よりも頼もしかった、というと言い過ぎ(笑)?次の殊勲者はリカルジーニョか。なんか不思議な、というか変な選手なんだよね。長所はよくわからないんだけど、妙にリズムが違うので相手も戸惑っちゃう、みたいな。久しぶりに(いい意味で?)笑える選手が現れたのかもしれない。

しかし、後半代表級の選手が次々に投入されて、数的不利でありながら守備の局面では相手を圧倒するような場面が多かったを見ると、今さらながら東京、特に守備の選手たちの能力は飛躍的に底上げされたんだなあ、と感心した。長友・今野・森重・徳永なんてまんま代表のDFラインになってもさほど違和感はない(いや、やっぱりちょっとあるな)もんね。守備については連携の方もあまり問題ないし、やはり心配は中盤〜攻撃の流れか。赤嶺、田邉……うーん。

ともあれ、この試合に関しては勝点3もうけたというか、ラッキーというか(笑)。

大宮アルディージャは、ショートパスで攻撃を組み立てる意志は強く感じるし、楔のパスも含めてアタッキングサードへ運ぶまでは悪くないけど……その後がどうにも苦しい感じ。今さら高い外国人選手を連れてくるわけにはいかんのかもしれんが、今のメンツだと今後も厳しい戦いが続いてしまうのではないだろうか。なんか「大砲抜きのショートパス戦法」というと、どうしてもバレーが抜けた後のヴァンフォーレを思い出しちゃうんだよね。リーグも残留争い、かな。
 

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