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2006年09月10日

●デジャヴュ (FC東京×ヴァンフォーレ甲府)


昨日の夜、味スタでJ1リーグ第22節。FC東京 1-3 ヴァンフォーレ甲府。9日間のインターバル明け初戦、8月の4試合ではろくな準備期間を与えられなかった倉又監督がどのようにチームを仕上げてくるか注目されたが……昨年の夏を想起させる攻撃に守備のユルさが加わったような内容(に見えた)で完敗。まあ、何事もそう簡単にはうまく行かんものである。変に焦らずやっていきましょう。


東京は「伝統の」4-5-1の布陣でスタート。左サイドには戸田を起用し、さらに原点回帰色を一歩強めた印象である。憂太のパス能力を生かす意図と、あと「サイド速攻の撃ち合い」への備えもあったのだろうか?だが、これがどうもイマイチ。石川とルーカスは孤立気味で、中盤は文丈の力不足が目立つ。結果として、中央と左右の流動的な連携が少なく、単調なサイドからの力攻めが目につく。要するに、昨年あたりの攻撃に戻った印象であった。

一方、甲府と言えば本来は前がかりに雪崩を打ってくるイメージなのだが、今日の前半は意外と落ち着いてつないでくるな、という印象。パス能力(特にDFラインのそれ)はさほど高くなさそうで危なっかしい場面もあるのだが、意思統一と惜しみないフォローで補っている様子。チームとして一種の「チャレンジ」なのだろうか?東京側のプレスの弱さもあり、スイスイスイッと東京陣に入ってきてはバレーらのFWを走らせてDFライン裏を突きにかかる。

優勢に試合を進める甲府が、着実に得点を重ねる。23分、CKのこぼれ球を茂原がゴール前に送り、タイミングを外されたGKとDFが反応できずそのままゴールイン。32分にはロングボールを追ってボックスに走り込んだアタッカーを藤山が倒してしまいPK。バレーが2点目をゲット。さらに38分には、スルーパスに反応して左サイド走り込んだバレーが、藤山の当たりにも負けず角度のないところからシュート、逆サイドに突き刺さって3-0。やられ放題である。

東京も、前目でのボールへのアタックがハマった時にはショートカウンター気味にチャンスを作るのだが、その頻度はかなり少ない。決定力もなく、戸田がDFライン裏に飛び出した場面と、左サイドを突破した憂太がドンピシャのクロスをゴール前の戸田に合わせた場面はともに逸機。ただし、甲府の方も開始早々バレーがDFラインを突破して土肥の飛び出しに防がれたシーンなどもあったため、いちがいに決定力の差ばかりとも言えない。3点差で前半終了。


後半開始から、東京は文丈OUT栗澤INと戸田OUT川口INの交代。前者は文丈の出来からいって順当、後者の交代は梶山を中盤の底に入れた攻撃的4-4-2とする意図か。これがさっそく功を奏したのかどうか、2分、ルーカスが縦のボールを追った場面、ルーの前に体を入れたDFと飛び出したGKが交錯し、こぼれ球をひろったルーが無人のゴールに蹴り込む。相手の超凡ミス、全くプレゼントとしか言いようがない得点だった。1-3。

ところが、「すわ反撃か」と一旦場内の雰囲気も高まったものの、東京はなかなかペースを上げていけない。石川はしばしば快足を飛ばして右サイドからクロスを上げるが、DFが待ちかまえた状態では高さのない東京FWは苦しい。石川と徳永の縦の連携も悪い。また、攻撃重視の布陣のため中盤後ろ目の守備が弱く、そこまでボールをつながれると確実にピンチに陥ってしまう。ジャーンがバレーにかわされ、シュートがサイドネットに刺さってヒヤリ。

後半も半ばを過ぎたあたりから、ようやくはっきりと東京の攻勢になった。徳永と伊野波が自慢の身体能力を発揮して両サイドを制圧、中盤は下がったルーカスと梶山のキープで押さえ、さらに憂太と代わった吉朗がどんどん突っかけていく。甲府の方もカウンターに切り替えて何度か良い形を作るも、フォロー不足でフィニッシュがやや淡泊になったのと、バレーはジャーンにピタリと付かれ、こぼれ球を藤山が拾いまくったこともあり、追加点は入らない。

後半30分を過ぎると、もう上がらない甲府を東京が半包囲するような形に。力ずくの攻めから何度か決定機も生まれる。だが、そこでシュートが入らない。ルーカスは絶好のチャンスで2度宇宙開発し、ヘッダーも外し続けた。ジャーンは呪いがかかったように枠へ飛ばせず、頼みの吉朗(キレキレだった…)のシュート2発も際どいところで決まらず。CK・FKは何本もとったが、キックの精度が……思わず「ピンチキッカー宮沢!」って叫んじゃったよ。

結局、2点差は最後まで縮まらず、1-3での敗戦。お客さんの帰りがやけに早かった(スペインほどではないが)のと、バックスタンドからかなりのブーイングが飛んでいたのが印象的であった。帰りの早さは、怒りや無念ではなく、妙にシラケた諦めがあるということなんだろうか。これはこれで、非常に居心地の悪い光景ではある。仕方ないけど……。



結局、東京は変わってない、というより元に戻っちゃったのか、戻しちゃったのか、というのが正直な感想である。倉又監督はここ4試合の攻撃は評価していないのだろうか?それとも、やはり昨年ベースにこだわるのか。ルーと赤嶺をトップにした4-4-2は良かったと思うのだが……。孤立した石川が何度もDF2人にボールをもぎ取られる姿や、精度の低い縦のボールが何度もゴールラインを割るのを見ると、「昨年の反省はどこへ行った」と思ってしまう。

いや、深刻なのは「昨年に戻った」攻撃よりも、「昨年より機能していない」守備の方かもしれない。多分、茂庭がいるいないという問題ではないのだと思う。1点目はセットプレーの状況で集中を欠いてしまったポカであり、2点目は置いておくとしても、3点目もあまりにあっけないやられようであった。アタッカーは前目からよくプレッシャーをかけているのに、どうにも後ろが頼りない。あと、言いたくはないが、ジャーンはちょっと衰えちゃったのかな、と心配だ。

とにかく、そうした局面別の出来云々はさておき、全体の展開を見ても、激しい既視感に襲われる試合であったことは確かだ。ホント、こういう「早めの時間帯にボーッとしてやられて、最後猛反撃するも及ばず」という試合をこの数年間で何度見てきたか(いや、守備の悪化が加わっている分よりダメか)。試行錯誤の末に元どおり、ってのも仕方がないっちゃ仕方がないのかもしれんけど、しかし倉又さん、ちと「巻き戻し」しすぎでないっすか?みたいな。

まあ、もうじき今野が帰ってくれば守備は間違いなくマシになるだろうし、彼のオーバーラップは攻撃にも厚みと迫力を加えてくれるに違いない。ホームでこういう負け方は痛いのだけれど、でもこれはこれで反省材料に生かすしかない。選手たちはよく戦っていると思うし。変に焦らず、次の京都戦にしっかり備えてほしいほしいところである。セットプレーはやたら取れるんだから、そこで決められればだいぶ楽な戦いができると思うんだけどね。


[まとめ]
デジャヴュたっぷりの攻撃に完敗の試合展開、アドバンテージのとれないレフリー、さらには「これが本当にオリンピックを誘致している都市のスタジアムなのかよ!」とツッコミを入れたくなるハゲハゲ模様のピッチ(イエメンかと思ったぜ)もあって、実にしょーもない夜ですた。

[追記]
平山ホントに来るの?ワシントンはどーすんねん。

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コメント

こんばんは。

平山が来ましたねー。タイプはそれぞれ違いますが、FWばかりたくさんいるチームになった気がします。ワシントンはこのまま放置されちゃうんでしょうかね?

甲府戦みていないんですが
原点回帰なら佐藤ユキヒコをとってきてほしい。
腐らせるのはもったいない。
エスパルスで活躍してないし戸田がよかったのはユキヒコのアーリークロスに戸田のオフサイドすりぬけがあってこそ。
石川ナオのライバルにそして夢だった右のナオ左にユキヒコのそろいぶりぜひみたいっす。


あと
平山は近藤健一とったかいありましたね。
徳永も取れるは平山も取れるとは東京国見ラインの完成ですね

>bumbumさん
こんばんは。
本当に来ましたねー、平山。確か、アマがいなくなる時にちょうど平山が台頭し始めた頃だったので、「後継者に、どう?」とか思った頃はありましたけどねー。
ワシントンとタイプがかぶるかどうかは、何しろワシントンをほとんど見てないのでよくわかりませんが(笑)、FWが多すぎるのは事実でしょうね。
とにかく、がんばってほしいものです。

>原点回帰なら佐藤ユキヒコをとってきてほしい。
由紀彦と石川の両立は、確かに2002年頃の東京ファンの夢の一つでしたが……。徳永には、石川より由紀彦の方が合うかもしれないですね。あと、平山にも。
ちなみに、今、由紀彦は柏レイソルで頑張ってます。なかなかスタメン出場はできないみたいですけど。

>東京国見ライン
そうかあ。そう言えば(笑)。国見ラインやら流経大ラインやら、色々できてますね。

平山に対して東京の守護神がこういっております。
http://www.sanspo.com/soccer/top/st200609/st2006091201.html

とにかく頑張ってほしいんだけど、FIFAからペナルティーが出るとかでないとかってのがわからんなあ。

>国見ラインやら流経大ラインやら、色々できてますね。
鹿実ラインも忘れてはいけません。

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