●「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第4部」
写真美術館で「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第4部「混沌」」。10周年記念展の最後は現代写真がテーマ。アメリカ、欧州、日本、その他の4地域(?)の1970年以降の所蔵作品を多数展示。
今回は「混沌」と題されているだけあって、これまでの3部に比べてまとまりがない(アカデミックな体系性が薄い)展示となっている。芸術写真も報道写真も一緒くた。でも、逆に言えば、それだけ多様な写真のあり方(とそれに反映された現代社会の諸相)を楽しめるとも言えよう。ダイアン・アーバスに始まって、シンディ・シャーマンにウォーホルにロバート・メイプルソープにヘルムート・ニュートンに田原桂一にアラーキーにオノデラユキに…。もうてんこ盛り。1時間くらいかけて回っても飽きなかった。
気に入った作品をいくつか挙げると、ハイコントラストで女性の顔をドラマティックに演出したラルフ・ギブソン『窓辺の女』、車窓を幻想と現実の境界のように演出した白岡順『モウベウジュ、フランス』、ミャンマーのチャイテイヨー山頂の巨岩を写した久保田博二『チャイテイヨー』あたりか。特に『チャイテイヨー』にはビックリさせられた。技法自体は特別でも何でもないのだろうが、とにかく写っている光景が凄すぎる。これをこういう形で切り取れるのは写真ならでは、か。
で、4月から続いてきたこの展覧会シリーズもいよいよ今回がラスト。「そして写美は今後も続いていく」という意味では、最後で変にまとめようとしなかったのは良かったと思う。末広がり、写真というものには大きな可能性があるのだ、ということで。