●「おたく」展&「文化庁メディア芸術祭」
夜、恵比寿の写真美術館。今日は展示内容がいわゆるサブカル寄り、観覧料もタダみたいな値段ということで、若者のカップルや女性の2人連れが非常に多かった。そんな中、一人黒スーツに黒のロングコート姿の俺。
まずは地下1階展示室で「おたく:人格=都市=空間」展。濃い…これは濃いなあ…。オタク要素が過剰に濃縮された感じ。いわゆるオタの人たちですら違和感を抱くのでは?浅草とかの土産物屋で売ってそうな、「東京タワーと富士山と雷門が一緒にプリントされているタオル」みたいな感じか(笑)。
ヤバめのものとしては、いきなり入口に展示してある「オウムのサティアン」と「宮崎勤の部屋」の写真とか。いや、もちろんそれらをオタク文化の本質とみなすのではなく、むしろそういう犯罪的なイメージとオタクとは全然別のものだと言いたいのだろうけど、世の中何かと混同して単純化したがる人というのはいるからね。
ヤバいと言えば、年齢制限がかかってもおかしくないような絵(アニメのおねいちゃんが喘いでる、みたいな)も結構かかっていたし、あと「新横浜ありな」がクレープを食べてる絵とか。東京都の青少年健全育成役人が飛んできそうな……って、そういやここも都立だったな(笑)。
BGMの音楽が『劇場版エヴァンゲリオン』だったのはちょっと懐かしかったな。でも、天井から下がっているポスターの8割以上は全然知らない作品だった。
続いて2・3階で「文化庁メディア芸術祭」。3階に展示してあったのはエンターテイメント部門とマンガ部門。優秀賞『鬼武者3』のオープニング、超スピーディーに動く金城武(顔は実写とほとんど変わらず)はリアルを通り越して、大画面で見ると気持ち悪いくらいだった。マンガ部門の大賞はこうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』。この手の受賞について難癖つける人もいそうだが、良質のものが高い評価を受けた事を単純に喜んでもいいのではないだろうか。
2階はアート部門とアニメーション部門。アート部門は、元々展示用に作られている作品だからだろう、他の部門に比べてもその場で見て楽しめるものが多かった。特に気に入ったのは加藤太一/じゅげむさんの『Liquid Bits』。手元にあるキーボードでひらがなの文字を打ち込むと、それを2進法に変換し、その数字に対応した数・コースの水滴がクルクルっと傾斜の先へ転がって行く。で、先端にある機械がその水滴を読み取って、ひらがな(もちろん打ち込んだものと同じ)を表示する、と。それだけなんだけど、「通信」という行為・現象と「美」を融合させた面白い仕掛けだと思った。
で、どれも魅力的ではあるんだけど、なんとなく笑えるものが少ないな…と思っていたら、最後にありました。『スキージャンプ・ペア』。くっだらねー(笑)。実況がハマっているのが素晴らしすぎるな。