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2005年01月16日

●『ドラゴン怒りの鉄拳』

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WOWOWの録画で、ロー・ウェイ監督『ドラゴン怒りの鉄拳』観る。20世紀初頭の上海を舞台に、日本武術道場の陰謀で師匠を殺された武道家ブルース・リーの怒りの拳が炸裂しまくるアクション作品。主人公があまりに直情的過ぎる、日本人の描写がヘンテコである、等々のツッコミどころはあるものの、この映画には完成度云々とは別の凄さがある。

劇中、ブルース・リー演じる主人公は無敵の強さを見せる。拳の打撃、回し蹴り、ヌンチャク・アクション…。並みいる敵を次々と倒していくその姿は、燃えるテーマ曲とあいまって、観ている者の興奮を呼び起こさずにはおれない。だが、彼が敵を倒せば倒すほど、その屍の数、日本人を敵に回したという事実が彼と彼の仲間たちを追いつめていく。鉄拳ではどうにもならない日本人による支配の壁。仇を倒した達成感を味わう間もなく、主人公は辛い別れと死に直面する。これは息苦しく、またとても哀しいストーリーだ。

この映画の素晴らしいところは、そうした悲劇的な物語でありつつも、それでもなお「怒りを忘れるな!戦え!」というメッセージに溢れていること。怒りは、人を人たらしめる根元的な要素の一つ。理不尽な仕打ちを受けてなお怒らない者は、人と呼ぶに値しないということだ(「犬の真似をしてみろ」のくだり2つはそういうことだろう)。ラストシーン、居並ぶ銃口に対するリーの跳び蹴りは、おそらく不発に終わるのだろう。でも、彼の蹴りが放つメッセージは、確かにスクリーンを越えて僕たちの胸に届いてくるのである。

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