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2006年04月13日

●「不器用な戦い方」

昨晩の試合について。

三ツ沢からの帰り道、一緒に歩いていたミネさんが「どうして3バックにしたのかねえ」と呟いた時、「そうですね~、やっぱり色々と試したいんじゃないんですかねえ~」てな感じで返事したのだが、確かに「なんで?」と言いたくなる突然の3バックではあった。磐田戦では4DF+伊野波(今野)の守備陣で結果を出したばかり。「勝ってる時はチームをいじるな」のセオリーからは外れている。ジャーンの復帰は1つの要因ではあろうが、課題は守備よりもむしろ攻撃にあるのだから、それだけでは新布陣採用の理由にはなるまい。

一つには、やはり後ろを安定させることで両サイドをより前がかりでやらせたい、という意図があったのだろう。特に左サイドについては、もはや規郎の後ろのスペースを使われる(ほんで規郎の戻りがまた遅いんだこれが)光景は日常茶飯事だし、磐田戦の失点もその形だった。最終ラインのカバーリングに余裕を持たせることで徳永・規郎を攻撃に専念、までは行かずともより集中させる、と。伊野波をフォアリベロないしアンカーとして守備要員に特化させる場合と、根っこの発想は一緒なんだと思う。

ただ、実際に試合を観た人にはおわかりのように、これはうまく行かなかった。梶山・今野・栗澤の中盤と両サイドはその布陣なりの動き方・スペースの使い方が全くできておらず、中盤はスカスカでぎこちない。結局、伊野波がマーク相手に引きずられて中盤が機能不全に陥った前回の横浜戦と同じ状態になってしまった。ガーロも細かい「仕込み」はしていないようで(これからもしないかもね)、少なくとも現時点では3バックだと(DFの3人が、ではなく全体として)全然ダメじゃーん、というところか。

あと、もう一つは、やはりガーロ監督自体が悩んでいるというか手探りというか文字通りの試行錯誤を繰り返している、ということなのだろう。ガーロも着任して3ヶ月ほどで、だいぶ東京の選手の特徴についてはつかんできた様子だが、そもそも日本人サッカー選手のレベルや「引き出し」の数については未だピンと来ていないのではないかと思う時がある。だから、考えられる可能性について、いちいち実際にやらせてみて試しているのではないか、と。ここは思い切り推測の域になってしまうけれども。

もしそうだとすれば、個人的には、うまく行ったり行かなかったり、今のところはダメな時の方が多いけれども、色々なやり方でチームのポテンシャルを探る(あるいはあり方を問いただす)ガーロの方針はけっこう面白いと思う。少なくとも、同じようなサッカーを延々繰り返して同じようにダメな試合を続けていた昨年の勝てない時期よりは、ずっと楽しく応援させてもらっている(僕個人は、だよ)。「これで優勝できるの?」と言われたら「わかんね」としか言いようがないけれども、少なくとも降格はなさそうだしね。

まあ、あえて心配というか気になる部分を挙げるならば、「3」にせよ「4」にせよ両サイドが押し上げる形を重視するがゆえに、SBが怪我や出場停止で出られない時にどうなるんだろう、とは思う。右はそれこそ川口で何とかなるような気もするけど、昨日の藤山のプレーを見る限り、規郎の代わりはちょっといないかも(金沢はまだ?)。もちろんそういう時にはシステム変更などで対応できるのが望ましいし、だからこそ色々試すべきだとは思うのだが、やはり昨日見た限りではその手の柔軟性を身に付けるには相当苦労しそう。難しいね。

しかし、ガーロも頑固というか何というか…世渡りが下手なんじゃないかこの人?と思うようなキャラクターではある。磐田戦でファンが喜ぶサッカーができたんだから、次もとりあえず同じシステムでやっておくとか、あるいは3バック試すにしても大幅にメンバーを替えて言い訳の余地を残しておくとか、そういう器用さはどうも備えていないようだ。どちらかと言えば熊さん(やトルシエ(笑))を想起させる感じで、実はこういう監督さんというのは結構好きだったりする。まあ、今年1年は思う存分やってくれ。何事も経験だ。

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