« あやかちゃんを救う会 | メイン | 大阪遠征しまっす »

2005年12月01日

●『ガンダム展』、行ってきますた

0511_gumdam.jpg
上野の森美術館で『GUNDAM 来るべき未来のために』。「ガンダム世代」(ってどの辺の人たちを言うのだろう?)のアーティスト・クリエイターたちによる、ズバリ『機動戦士ガンダム』をモチーフとした展覧会。正直なところあまり期待していなかったのだが、行ってみるとこれがなかなか面白い。

おそらく、テーマパークやロボットアニメ的なものを求める人にとっては全く魅力のないイベントだろう。1/1コアファイター(そんなに大きくないのね)と、「ニュータイプテクノロジーラボ」と、あとオリジナルプラモくらいかな?「そっち向き」なのは。基本的に絵や映像やインスタレーションによる構成。つまり扱うテーマが『ガンダム』というだけで、そこを除けば割と普通の「展覧会」なのである。ライドも体感3Dもアニメ上映もなし。

加えて、参加アーティストの間でコンセプトの統一はあまり図られなかったようだ。展示作品はバラバラ感満点、無理矢理な後付けのキャプションがやや滑稽ですらある。中には「これ、別に『ガンダム』じゃなくてもいいのでは」と思える作品も。もっとも、これは意図的なものかもしれないし、『MOTアニュアル』とかと一緒で、とにかく各アーティストの「腕試し」として満喫すればいいのだろう、きっと。

入場してすぐの小谷元彦『胸いっぱいの愛を』は思っていたより陳腐で残念(もっと残酷なら良かったのに!)だったが、その脇にある会田誠『ザク(戦争画RETURNS番外編)』は期待以上だった。戦場に見渡す限りひしめくザクの大群。砲弾が撃ち込まれ、何体ものザクが吹き飛ぶが、その屍(?)を越えてさらに前進していくザクたち。「モビルスーツ」というのは「巨大ロボ」と違ってあくまで身体拡張的な兵器であり、擬人化は説得力がある。凄惨な戦場で使い捨てられるザク(=雑魚)の山。迫力のある描写だ。

1/1コアファイターの周りで流れていた映像は誰の作品だろう?おそらく「ニュータイプの知覚」をイメージしたものだと思うのだが、これがなかなか。まばゆい星々に抽象的で意味ありげなイメージが重なって、その中から「何か」が湧いてきて……じっと向かい合っていると引き込まれる感じ。「ああ、アムロ、時が見える」みたいな(笑)。

意外な当たりだったのは田中功起『アムロとアムロたち』か。アムロの部屋を模した空間で流れる、カメラをじっと見つめた15~16歳の少年たちのスローモーション映像(カメラはマジックミラーで隠されていたそうだ)。何の変哲もないようで、これも引き込まれそうな。あの年代の子たちの眼差しってのは確かに独特の雰囲気があるね。アムロの年齢の設定は、実は絶妙だったのかもしれないな、と思った。

ちょっと毛色が違っていて笑えたのは、横山豊蘭『ガンダム筆』。ビームサーベルのサーベルの部分が筆になっているものから始まり、長さ1.5mはありそうな「ガンダムバズーカ筆」、そしてジオングの首からにゅっと筆が伸びている(バーニアの噴射に見立てた?)「ジオング筆」。アホか(笑)。こういうのは、意味がないからこそ非常に楽しい。

「戦争」「モビルスーツ」あるいは「ニュータイプ」を題材にした作品が多い中、一見ガンダムとは関係なさそうな安村崇『せめて惑星らしく』はナイスチョイス。上空から俯瞰して撮った、海岸や草原や火山や、その他諸々大自然の写真。『ガンダム』とは「宇宙」と「地球」を巡る対立の物語でもあるのだが、「宇宙」ばかりにスポットライトを当てるのではなく「地球」も強調したことが、展覧会に深みを与えたと思う。大気圏突入に成功したホワイトベースが青空の下大地へ降りていく感動的なシークエンスを思い出した。


まあ、そんなこんなで色々な作品が並んでいる展覧会である。玉石混合というか、上で言及しなかった作品でつまらないものもけっこうある(富野由悠季御大のもイマイチだったかな)のだけれど…。「他では決して見られないガンダム世界」を体験できて、1300円。じっくり回れば1時間弱か?好き嫌いはあれど、ガンダム好きならそれほど損はないとは思うのだが。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/446

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)