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2005年07月27日

●『独立愚連隊』

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WOWOWの録画で、岡本喜八監督『独立愚連隊』観る。うーむ、こういうジャンルの明白でない、喜劇的な要素も悲劇的な要素も含んでいてそれでいて見応えのある作品というのは、よほど力量のある監督でないと撮れないのだろうな。

大戦末期の北支戦線。日本軍の駐屯地に従軍記者・荒木(佐藤允)がひょっこり現れる。荒木は飄々と、しかし大胆な行動で、部隊を牛耳る副官・藤岡(中丸忠雄)らを翻弄。さらに偶然出会った馬賊(鶴田浩二!)などとも交流しながら、最前線中の最前線、変人揃いの通称「独立愚連隊」に潜入する。実は荒木は脱走兵で、独立愚連隊において変死を遂げた弟の死因を探っていたのだった。八路軍の侵攻が迫る中、荒木は綱渡りのような捜査により真実に迫っていくのだが…。

最初にも書いたが、これは多様な要素を含んだ映画だ。独立愚連隊の個性豊かでちょっと間抜けな兵たちや、三船敏郎演じるキチガイ部隊長(これヤバすぎ(笑))といったコメディ要素。ヒロインの悲しい死、ちょっとした不運(ポケットからこぼれ落ちるサイコロ…)から八路軍と戦闘に突入して全滅する独立愚連隊、といった悲劇。そして、ピンチに陥った荒木を救う男たちの心意気が胸を熱くさせる。

そういった諸々を衝突させずに見事一本の映画にまとめることができたのは、変にベタベタと情緒的にせず、淡々と物語をつむぐ岡本監督の演出ならでは。それはちょうど、様々な感情を秘めながらどこかあっけらかんと爽やかな、主人公荒木その人のようでもある。抑え気味でドライな撮り方をしているからこそ、心に残る印象はかえって大きい。うーん、もしかしたら『殺人狂時代』よりもこっちの方が上かも。楽しいからこそ失う哀しみは大きく、悲しさがあるかさこそ喜びも大きい。そんな余韻の残る映画でもあった。

もちろん、あまた登場するスター俳優たちも素晴らしい活躍。佐藤允の力強い笑顔、中丸忠雄の悪役演技、三船敏郎のキレっぷり、中谷一郎の男らしさ、鶴田浩二の人間くささ。どれも実に魅力的だ。あと、ヒロインのトミを演じる雪村いづみは、「ハスキーボイスの上戸彩」ってな感じでけっこうイイっす。

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