2009年04月30日

●踏み切り板はどこだ (ガンバ大阪×FC東京 テレビ観戦)

J1第8節は、またもスカパー!でテレビ観戦(GWのホーム試合、少なっ)。ガンバ大阪 4-2 FC東京。ACLグループリーグと掛け持ちの過密日程に苦しむガンバのホーム万博に、前節大分で劇的な「サヨナラ勝ち」を収めた東京が乗り込んだ一戦。試合は、ガンバが幸運な先取点から巧みな試合運びを見せ、自慢の外国人アタッカーが爆発して4得点。東京は終盤に2点を返すにとどまり、またも強豪相手に力不足を実感する結果となってしまった。
 
 
東京は前節に引き続いてウイングに石川・カボレを並べる4-3-3の布陣。対するガンバはレアンドロ・チョ・ルーカスが今季初めてそろい踏みするメンバーでスタート。落ち着いた守備から細やかなパスワークで攻めるガンバに対し、東京はSBと守備的MFが上がりをひかえ、3トップ+梶山で逆襲の機会をうかがう形。上位争いに加われるか微妙な順位にいる双方にとって是が非でも勝ちたい一戦だけに、緊迫感が伝わってくる序盤となった。

19分、ガンバが先制。右サイドから入れた佐々木のクロスが立ちふさがる羽生の頭に当たり、絶妙の軌道を描いたボールは権田の頭を越してゴールイン。不運としか言いようのない失点である。0-1。これでガンバはリズムが良くなり、動揺する東京は退却意識が過剰になって守備ブロックが弛緩。レアンドロのミドルシュートはポストに弾かれたものの、25分、チョ・レアンドロとのパス交換から仕掛けたルーカスが佐原を抜き去ってゴール右上にゲット。0-2。

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2009年04月28日

●『ウォッチメン』

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先週、新宿ミラノ座でザック・スナイダー監督『ウォッチメン』を観た。アメリカがベトナム戦争で勝ってニクソンが4選を果たし、マスク・ヒーローの活動が法律によって禁止された「もうひとつの1985年」が舞台。ある日、ヒーロー集団「ウォッチメン」の元メンバー・コメディアンが何者かによって惨殺された。同じく元メンバーで1人非合法な自警活動を続けているロールシャッハはその死に疑問を感じ、他のメンバーたちを訪れながら真相を探っていくが……。
 
 
見終わった後、1人で酒でも飲みながら考え事に浸りたくなる。そういう映画だった。

まず素晴らしかったのは、完璧に構築された独自の世界(観)である。オープニングでは「三次元紙芝居」みたいな感じで第二次大戦後のアメリカの歴史と、その裏側におけるウォッチメン(とその前身ミニッツメン)の活躍や挫折が延々と描かれる。これが実に良くできていて、いつの間にやら僕たち観客はヒーローたちが実際に活躍していた「もうひとつの世界」を当然のものとして受け止めているのだ。冷静に考えれば、あのタイツ姿はそーとーにオカシイのに。

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2009年04月25日

●泣くな西川、君は凄かったぞ (大分トリニータ×FC東京 テレビ観戦)

J1第7節のアウェイ大分戦は、スカパー!でテレビ観戦。大分トリニータ 0-1 FC東京。大分は3連敗、東京は前節千葉に逆転負けをくらって2連敗と、ともに不調にあえぐ下位同士の対戦。大分が前半のうちにチームの要を失って数的不利に陥りながらも堅守を見せてよく粘り、東京が圧倒的に押しながら攻めあぐむ展開。最後は後半ロスタイムにPKを得た東京が辛くも勝点3を得たが、快勝にはほど遠い、苦い味のする勝利であった。
 
 
大分はいつものように「守備から入る」3-5-2の布陣で、対する東京は鹿島戦・千葉戦に引き続いて石川先発の3トップフォーメーション。序盤は凸凹ピッチの上でボール争奪戦が続いたが、次第に東京が両ウイングのスピードを生かしてチャンスを作りだす。特にカボレはマーカー(主に高橋)を置き去りにして逆サイドからパスを受ける絶好機が前半だけで3度ほど。だが、いずれもシュートは大きくバーを越えて決まらず。カボレ師匠、っすか(笑)。

32分、エジミウソンが梶山を後方から倒して2枚目のイエローカードで退場。確かにファウルをとられてもおかしくないプレーではあったが、警告を出す程かどうかは……以後、大分の選手たちのエキサイトする姿がやたら目につくように。高山主審らしい杓子定規な判断が試合を荒れさせる好例である。数的優位に立った東京は梶山や羽生の配球にSBの攻撃参加も加わって押し込むが、攻撃にあとひと工夫足りず、無得点のままハーフタイムを迎えてしまう。

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2009年04月24日

●『オールナイトサッカー』

サッカー本レビュー3連発のそのさーん。
 
 
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最後は杉山茂樹編・著『サッカー番長杉山茂樹・オールナイトサッカー』(コスミック出版)。「フランクにワイワイガヤガヤ」、外国のサッカーラジオ番組をコンセプトにした(?)ムック本。ある意味大物名物ライター(笑)たる杉山茂樹氏の「責任編集」と銘打っているだけあって、前ページ通じてスギヤマ色(でわかるかな)に溢れた一冊。

基本スタンスは「日本サッカー」(特に岡田監督)批判。語り手はセルジオ越後、釜本邦茂、加部究らが並ぶ。となれば当然に内容は「辛口」となるわけだが、確かに品の良いコラムや理屈っぽい文章も多いサッカー媒体の中でこの「生々しさ」は新鮮である。対談やインタビューを多用しているせいで非常に読みやすいし。中でもチョン・テセくん(憲剛には頭が上がらないのね)と、あと江本孟紀さんの記事は楽しかった。張本さんの「町人ども」発言って(笑)。

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2009年04月23日

●『蹴りたい言葉J』

3連続サッカー本レヴュー(と大げさに言うほどのもんじゃないが)の2冊目。
 
 
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続いては、いとうやまね著『蹴りたい言葉J』(コスミック出版)。海外におけるサッカー名士たちの名言を集めた『蹴りたい言葉』に続くシリーズ第2弾。「リサーチの達人」(と、Amazonでは紹介してあるんだよマジで(笑))である著者が、今度はJリーグの開幕前から現在までにおける名言・迷言を集めた一冊。

構成的には『蹴りたい言葉』と同様に、見開きの右頁に名言→左頁にその解説という流れになっており、とても読みやすくなっている。内容は、やはり前作と同じように格言的なものを集めた本というよりは、象徴的なコメントを取りあげることを通じて様々な人物や出来事を紹介する「名士録」「事件簿」的な色彩が強いと言えるかもしれない。また、正直「掘り出し物」は少なく、ある程度Jリーグを追ってきたファンならば知っている発言が多いのではないだろうか。

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2009年04月21日

●『日本サッカー史 日本代表の90年 1917-2006』

4月から仕事の担当が替わったりして忙しく、全然映画も観てないし本も読んでいない……のだが、かろうじてサッカー関係の本だけは3冊ほど読んだ。ので、つれづれとレビューなぞ。
 
 
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まずはバーレーン戦@さいスタの直前に読了した、後藤健生著『日本サッカー史 日本代表の90年 1917-2006』(双葉社)。ご存じ日本サッカージャーナリズム界の大御所(と言っていいのだろうな、多分)が「膨大なフィールドワークと徹底的な検証」を基に書き上げた大著。

一言で表すならば「とんでもない本」である。なにしろ、06年の時点で90年もの長きに渡っているサッカー日本代表の歴史を1冊の本でカバーしているのだ。その中身の重厚さときたら……日本におけるフットボールの起源に始まって、初の国際試合からベルリン五輪の大金星、戦争とその後遺症、クラマー来日と東京五輪、メキシコの栄光、一転して暗黒時代となった70年代、プロ化への風が吹いた80年代と世界へ飛躍した90年代、そして現代へ。

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2009年04月20日

●歴史は繰り返す (FC東京×ジェフ千葉)


土曜日の晩は、国立霞ヶ丘競技場でJ1第6節。FC東京 1-2 ジェフユナイテッド千葉。前節鹿島相手に悔しい敗戦を喫した東京が、今季まだ未勝利と不振に苦しむ千葉を迎えた一戦。試合は粗い「蹴り合い」の様相を呈し、前半東京が石川のキモチいいシュート一発で先制するも、終了間際に千葉がお得意の粘り腰を発揮して瞬く間に2得点。まるで昨シーズン最終戦のリプレイを見ているかのような逆転負けで、早くもシーズン4敗目となった。
 
 
この日はIOC評価委員が来日中ということで、試合前には東京オリンピック・パラリンピック招致活動応援イベントが行われた。ソウル五輪100m背泳ぎ金メダリスト鈴木大地さんによる「聖火台灯火式」。東京ゴール裏には「2016」の横断幕が掲げられ、「バサロ!」コールも。いやー、あの30mバサロは燃えたよなあ。隣のコースが世界記録保持者のバーコフで……という話は、長くなるので割愛(笑)。トーチから火が移るのにちと時間がかかったが、何とか点火。

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2009年04月15日

●男たちの闘い ('09ツール・デ・フランドル、'09パリ~ルーベ)


先週、そして今週の日曜夜は年に一度のお楽しみ、サイクルロードレース「北のクラシック」2連戦(本当は、間の平日にヘント~ウェヴェルヘムが行われるから3連戦らしいんだけど)をJSPORTSでフル観戦。吹きすさぶ横風に激坂石畳が続くツール・デ・フランドル、そして27カ所ものデコボコ石畳が選手たちを痛めつけるパリ~ルーベ。毎度の事ながら「テレビの前で観ている側で良かった」と言いたくなるほど過酷な、しかし最高に面白い2レースである。
 
 
まず第93回ツール・デ・フランドルは、昨年のリプレイを見ているかのような展開となった。レース全般を通して、トム・ボーネン率いるクイックステップが抜群の存在感を発揮。コッペンベルグをはじめとする難所ではペースアップして集団を制圧、ボーネンがパワフルなペダリングで他の有力選手をふるい落としにかかる。そしてボーネンが厳しいマークに遭うや、今度はこれまたエース級のデヴォルデルとシャヴァネルが好位置から仕掛けていく。盤石。

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2009年04月14日

●確かに悪くはない……がっ! (FC東京×鹿島アントラーズ)


日曜日の午後は、味スタでJ1第5節。FC東京 1-2 鹿島アントラーズ。第4節ジュビロ戦の辛勝で星を五分に戻して迎えた、前年度チャンピオン(ACL帰り)との対戦。昨年の30節と同様、絶好の「力試し」の機会である。試合は、開始直後に不運なゴールで先制され、さらに早々に追加点を許す苦しい展開。これまでよりも積極果敢なパス攻撃で反撃し、赤嶺のゴールで1点を返すも、あと一歩が届かず悔しい悔しい敗戦となってしまった。
 
 
試合前、先日の入替戦に勝利して見事「V・プレミアリーグ」への昇格を決めた、FC東京バレーボールチームの面々が登場。監督の熱い挨拶に続いて選手たちが上着を脱ぎ始めたので「何だろう」と思って見ていたら、白Tシャツの胸に「サッカーもバレーも東京が1番!アイシテル東京」の文字が。いやー、いいねえ、こういうおバカな感性は(笑)。ちゃんとメインスタンドにも向いてくれたし。「アイシテル」がカタカナなあたりはアマラオを意識しているのだろうか。

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2009年04月12日

●平塚に、いい風が吹いていた (湘南ベルマーレ×東京ヴェルディ)


土曜日の午後は、平塚競技場でJ2第7節。湘南ベルマーレ 2-0 東京ヴェルディ。実績のある監督同士の対戦でもあり、また元東京の選手が多数出場する試合ということもあって、湘南新宿ラインでちょいと遠出してみた。前節鳥栖に敗れて開幕からの連勝が止まった湘南と、やはり前節仙台に完敗して勝ち越しに失敗したヴェルディ。連敗は避けたい両チームだったが、ゲームの大半を支配した湘南が外国人選手の2ゴールで勝利を収めた。
 
 
前に平塚に足を運んだのは確か反町監督時代の新潟との試合だから、5年ぶりくらいか。相変わらず古びた競技場であり、プロレス調の紹介で各選手にキャッチフレーズが付くのもレトロな感じ。「右サイドを切り裂く音速のアタッカー!うすいー、こうへーいー!!」みたいな(笑)。ジャーンだけはなぜか「ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン!」。反町監督は「元祖暴れん坊」だったが、その後に「夜も暴れん坊、リムジンー!!」とか付いてたら、きっと僕は笑い死んだことだろう。

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2009年04月06日

●勝てば官軍、の気分 (ジュビロ磐田×FC東京 テレビ観戦)

昨日は義理の弟(11歳 オス ウェルシュ・コーギー)を温泉に連れて行く用があったため、J1第4節はスカパー!でテレビ観戦。ジュビロ磐田 0-1 FC東京。ナビスコ杯の2試合を挟んでリーグ再開の初戦は、ともにスタートダッシュに失敗し、チーム立て直しの途上にある2チームの対戦となった。ホーム磐田が試合の大半を支配してチャンスを作るも決められず、数少ない好機をエースストライカーがものにした東京が辛うじて勝利。
 
 
激しい雨の中キックオフ。東京はナビスコ神戸戦とほぼ同じ布陣で、SBは長友が復帰したことにより椋原がメンバー外に(もったいない)。磐田はほぼベストメンバーだったろうか。開始直後、那須のヘディングを東京陣中央で前田がすらし、佐原の裏をとったジウシーニョが抜ける大ピンチ。果敢に飛び出した権田がシュートを顔面で防いで事なきを得る。続いて左サイド突破からの戻しを山本がミドルシュート、バーを越えた。いきなりのワンツーパンチ。

その後しばらくは互角の攻防に。東京は地上で丁寧にボールをつなぎ、梶山のキープ力と大竹の突破力を生かして攻撃を組み立てようとする。しかし、中央攻撃はコンビパスの微妙なズレからなかなかDFラインを突破できず、サイド攻撃もクロスまでは行くのだがはね返されるばかり。9分、パス交換から右へ展開、徳永のクロスのこぼれ球を角度のないところからカボレがシュートするも、サイドネット。19分には大竹のCKを今野が頭で叩くが、左に外れ。

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