2010年09月29日

●『キッスで殺せ』

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これはずっと前にWOWOWで放送された、ロバート・アルドリッチ監督『キッスで殺せ(完全版)』。私立探偵マイク・ハマーは深夜の路上で裸にコートをまとった女クリスティーナを車に乗せるが、何者かに襲われて女は殺され、ハマーも重傷を負ってしまう。回復後FBIの尋問を受け、事件の背後に陰謀を感じ取ったハマーは女秘書ヴェルダとともに真相を究明していく。彼は関係者を次々尋問し、クリスティーナと同居していたリリーという女を保護するが……。
 
 
不気味さというかダークさというか、独特の引っかかりを持つ映画だった。

筋立て的には、陰謀に巻き込まれた探偵が仲間・美女の協力と自らのタフさを武器に真相を追い、ついに追い求めるモノにたどり着く、といういかにもハードボイルドなもの。しかし主人公のハマーはこの手のヒーローにありがちな正義感や賢さを感じさせることもなく、終始何を考えているのかわからない風。肝心の調査・推理も暴力頼みで、正直魅力に欠けるのは否めない。しかも彼だけでなく、ほとんどの人物が共感を拒むかのように描かれているのであった。

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2010年09月25日

●悔しいな、本当に悔しいよ (FC東京×大宮アルディージャ)


今日の午後は、味の素スタジアムでJ1第24節。FC東京 0−1 大宮アルディージャ。浦和・磐田に連敗を喫して16位に転落、窮地の中でとうとう城福監督解任という事態にまで至ってしまった我らが東京。大熊新監督が就任しての初戦は14位大宮との「残留デスマッチ第1戦」であった。試合は、後半途中まで東京が優位に進めてシュート20本を撃ちながら先制できず、逆に大宮にゴールを許して悔しい敗戦。これでリーグ戦は3連敗となってしまった。
 
 
午後1時開始ということもあり、やや暑さの残る中でキックオフ。まずはホームの東京がペースを握る展開となった。5分にリカルジーニョが、8分に石川が撃ったミドルシュートをGK北野がキャッチ。東京は平山が久しぶりに先発し、左右にリカと石川が張る布陣。梶山を欠く中盤は森重が何とかさばき、サイド展開を軸に長短のパスを交えてバランス良く攻めて行く。11分、中村北斗の威力あるFKを北野が弾いて波状攻撃となるが、クロスはいずれもDFがクリア。

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2010年09月23日

●『北国の帝王』

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続いてロバート・アルドリッチ監督『北国の帝王』。確か先月にNHK−BSで放映されたものだっけか。大不況時代のアメリカ合衆国。無賃乗車で全米各地を移動する浮浪者「ホーボー」の中に”Aナンバーワン”と呼ばれる伝説の男(リー・マーヴィン)がいた。彼は、行きがかりから若いホーボー”シガレット”(キース・キャラダイン)と行動を共にするようになり、2人で鬼車掌シャック(アーネスト・ボーグナイン)の取り仕切る19号列車への無賃乗車に挑戦するのだが……。
 
 
全編に妙な「あつさ」が充満した映画だった。男たちの熱さと、そして暑苦しさ。

筋立て的にはベテラン&若者のホーボー2人組が「ただ乗り不可能」と言われる列車に無賃乗車して残酷な車掌と戦う、というもの。現代日本の僕たちにしてみれば不思議な設定ではある。普通に犯罪だろ、と(笑)。おまけに、当時のホーボーにしてみればそれも生活のためのテクだったのだろうが、しかしこの映画での無賃乗車はどこかへ移動する手段ですらないのだ。チャレンジとして目的化した無賃乗車。そこに感じるこの熱さと共感はいったい何なのだろう。

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2010年09月21日

●『特攻大作戦』

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これもHDDレコーダーの底からさらったもの。ロバート・アルドリッチ監督の戦争アクション『特攻大作戦』。ノルマンディ上陸作戦直前のヨーロッパ戦線、アメリカ陸軍のはぐれ者ライズマン少佐(リー・マーヴィン)は司令部から特殊任務を命ぜられる。それは軍刑務所で重刑に処せられている囚人12人を率いてドイツ占領下のフランスで特殊工作を行え、というものだった。ライズマンと囚人たちは衝突を繰り返しながらも猛訓練をやり遂げ、遂に敵地へ潜入するが……。
 
 
大半は大いに盛り上がる展開ながら、終盤の畳み方がどうにも微妙な感じを残す映画。

重厚なマーチ曲の流れる中マーヴィンが険しい表情で囚人1人1人の罪刑を聞かされるオープニングに始まり、ジョン・カサヴェデスやチャールズ・ブロンソンら一癖も二癖もいや百癖もある囚人たちとの対立、マーヴィンによる硬軟使い分けた説得や猛特訓の様子、そして窮地に立たされた「汚い12人」がアウトサイダーらしい知恵と勇気で嫌な上官野郎の鼻をあかす場面。映画の90分くらいまでは本当に熱くて痛快で、男たちの闘いに素直にシビれることができた。

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2010年09月19日

●最悪の現状が見えた試合、そして (ジュビロ磐田×FC東京)


昨日の午後は、ヤマハスタジアムでJ1第23節。ジュビロ磐田 2−1 FC東京。現在14位と追い詰められている東京にとって、順位の近いチームが相手となる今節からの4戦は残留争いにおける正念場である。だが、この試合も前半から攻守ともバラバラの状態で磐田に蹂躙されて2失点を喫し、後半石川のスーパーゴールで追い上げるものの同点ゴールは遠く、あえなく敗戦。神戸・仙台が勝点を得たことによりついに降格圏の16位へ転落してしまった。
 
 
現地は肌を焼くような強い日差しが照りつけており、試合は過酷な暑さの中で行われた。

序盤からペースを握ったのは磐田。ボールホルダーへの積極的な寄せから、前田の巧みなポストプレーとジウシーニョのスペースへの飛び出しを交え、速いパス交換で前進していく。1分、左CKから古賀のヘッダーが権田の正面を突く。対する東京は4−3−3でスタート。石川とリカの突破力を生かしたい形だが、これが機能しない。慣れない布陣でつなぐのが精一杯の攻撃は磐田守備陣に読まれてパスカットされまくり、守備もマークずれが激しくスカスカの印象。

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2010年09月16日

●『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』

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HDDレコーダー底さらいの2つ目は、ギレルモ・デル・トロ監督『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』。人気アメリカン・コミック『ヘルボーイ』の映画化第2弾である。
 
超常現象調査防衛局(BPRD)のエージェントとして、恋人の発火女リズや親友の水棲人エイブとともに活躍を続けるヘルボーイ。ある日ヘルボーイはNYに現れた怪物たちを退治するが、それをきっかけに魔界の王子ヌアダとの争いが始まってしまう。太古の昔に人類と争った種族の生き残りであるヌアダは、封印された超兵器「ゴールデン・アーミー」を復活させようと企むも、争いを避けようとするその妹ヌアラが復活の鍵となる王冠の部品を盗み出してしまい……。

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2010年09月14日

●『ヘルボーイ』

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最近仕事がちょっとヤマを越えたので、時間を見つけてはHDDレコーダーに溜まりっぱなしの未見映画を片付けているところ。まずはギレルモ・デル・トロ監督のアメコミ映画『ヘルボーイ』

第2次世界大戦中、怪僧ラスプーチンの仕組むナチスの秘密実験により魔界から生まれ落ちたヘルボーイ。ブルーム教授によって拾われた彼は60年後の現在、FBI「超常現象調査防衛局」のエージェントとして密かに活躍していた。ある日、ヘルボーイのお付き役としてFBIの新米職員マイヤーズが配属される。そりの合わぬヘルボーイとマイヤーズはヘルボーイの恋人リズを巡って恋のさや当てなどしながら、復活したラスプーチンに対して挑んでいくのだが……。

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2010年09月13日

●レッズ戦は毎回疲れるねえ (FC東京×浦和レッズ)


日曜の夜は味の素スタジアムでJ1第22節。FC東京 0−1 浦和レッズ。ナビスコ杯が悔しい敗退となり、大宮に勝点で追い越されたこともあっていよいよリーグ戦(の残留争い)に専念すべき状況になってきた東京。今回は、実に04年以来勝つことができていない「苦手中の苦手」レッズとの対戦であった。試合は全体的にミスの多い「どっちもどっち」の内容となったが、東京は前半途中のアクシデントから劣勢に立ち、後半PKで失った1点を覆せず完封負け。
 
 
3万弱の観客数と、このカードにしては寂しいスタンドの中でキックオフ。

序盤は東京が押し気味に試合を進めた。鋭い寄せを繰り返してボールホルダーを追い詰め、たまらず浦和が長いボールを蹴ると着実にはね返して速攻を狙う。1分に高橋が、8分には羽生が低く鋭いロングシュートを撃ってGK山岸がキャッチ。10分、森重の好フィードを大黒がきれいに落として梶山がゴール左に蹴り込むが、オフサイド。浦和も柏木を中心にパスをつなごうとするが、連携がイマイチでなかなか進めない。12分の直接FKも柏木のシュートは壁直撃。

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2010年09月06日

●12年ぶりの大学生 ('10-'11天皇杯2回戦)


9月最初の日曜日の夜は、味の素スタジアムで天皇杯2回戦。FC東京 2−0 駒澤大学。2〜3年度ごとに微妙に開催方式が変わるせいもあり、毎年違う状況で迎える「全日本サッカー選手権大会」。今回はわずか2日前に1回戦を勝ち抜いた駒澤大(関東大学リーグ2位)との対戦となった。試合は、駒澤の組織守備に苦戦してスコアレスで折り返す展開ながら、後半投入された羽生・徳永の活躍によって終わってみれば2点差の完勝。東京が3回戦に進出した。
 
 
昨晩の東京は今野・石川・梶山・大黒・権田が怪我や温存(?)で欠場し、DFラインに高橋と平出が並んで松下・田邉がボランチを組む新鮮なスタメン。前半は「メンバー落ちで連携と動きの鋭さを欠くJ1チームが、組織力と走力に勝る学生(ないし下部リーグ)チームに苦戦」といういかにも天皇杯初戦な展開となった。東京は選手間が離れすぎている上にパスの出し手と受け手の呼吸が合わない場面が多く、サイドにしか行き場がなくなってしまういつものパターン。

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