2015年07月29日

●しばし夏休みを (FC東京×ベガルタ仙台)

FC東京 3−1 ベガルタ仙台 (J1第22節 味の素スタジアム)


結局、今日も味スタには足を運べず、スカパー!で録画観戦。

1stステージ2位と過去最高の躍進を見せたものの、2ndステージはスタートから出遅れて一進一退の我らが東京。下位の仙台相手とはいえ、リーグ戦中断を前にとりあえずホッと一息の快勝であった。


今回はここのところうまく行っていなかった4-3-3ではなく4-4-2の布陣、かつボランチも守備力のある米本にパス能力のある野澤という無難な組み合わせで、まあ上手くいって良かったというか。マッシモさすがの監督力というべきか、鹿島戦もこれでやれば良かったのに、というべきか(笑)。

まあ、おそらくフィッカデンティ監督としても、自分のこだわりを多少犠牲にしても今の高温多湿の気候には合わせざるを得ないのだろう。これまで避けていた米本のボランチ起用や羽生・三田という「ダブルダイナモ」の両サイドハーフ起用はその表れかと。この監督らしい現実主義、なのかな。

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2015年07月19日

●とりあえず水飲んで次頑張ろう (FC東京×モンテディオ山形)



FC東京 0−0 モンテディオ山形 (J1第20節 味の素スタジアム)

今回はさすがにディテールを書く気にならないというか。まー、辛い試合だった。


とにかく観ていてストレスのたまる試合だった。蒸し暑い気候、いま一つ工夫と精度を欠く攻撃と枠に飛ばないシュート、山形のほつれを見せぬ手強い守備、交代枠と勢いを削ぐ怪我の続発、安定感を欠きヒステリックなレフェリング、そして7分の追加タイムと報われぬ総攻撃……。

一言で表せば「ちくしょう」である。もう一言付け加えるなら「悔しい」か。冷静に論評するなら「優勝を目指すチームならばこういう試合こそ勝点3を取らなければ」と言うべきなのかもしれない。


でも、まあ、何というか、こういう試合だからこそ、サッカーファンとしての自分の立ち位置を強く意識させられるのも確かなわけで。つまりサッカーなんてものはどこまで行ってもままならぬものであって、僕たちはその中でもがく選手たちの姿にこそ共感を覚えるということだ。

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2015年07月15日

●『戦場でワルツを』

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先日、DVDでアリ・フォルマン監督『戦場でワルツを』を観た。2008年に製作され、各国の映画祭で絶賛を浴びたイスラエル制作のドキュメンタリー映画である。


主人公は監督自身。レバノン内戦から約四半世紀、かつての従軍仲間から戦時中の体験に由来する悪夢について打ち明けられた監督は、自らも内戦中の「ある時期」の記憶を失っている事に思い当たる。監督は次々と従軍仲間を訪ねてインタビューし、当時の出来事を丹念にたどっていくのだが、ついに自らも身近に体験した虐殺事件の事実に行き当たって……。

つまり、これはレバノン内戦に介入したイスラエル兵士たちのPTSDについて扱った作品なのだ。レバノン内戦というのは宗教対立も絡んで市街戦で多くの一般市民が巻き添えになった地獄のような戦いで、従軍した兵士はいずれも心に傷を負ったり記憶そのものを拒否したりと、さながら70年代アメリカ合衆国にとっての「ベトナム」のような有様なのであった。

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2015年07月11日

●いきなりボコ負け (川崎フロンターレ×FC東京)

川崎フロンターレ 2−0 FC東京 (J1第18節 等々力陸上競技場)

浦和に続く2位とリーグ「前半戦」過去最高の成績をマークした1stステージから中一週。早くも2ndステージの開幕戦、しかもアウェイの多摩川クラシコである。渋谷から電車で20分、等々力に足を運んで観戦した。


キックオフからの入り方は東京の方が良いように見えた。武藤が移籍した東京は前田・石川・東で3トップを組み、積極的なフォアチェックから速い守→攻の切り替えでゴールを狙う。対する川崎は憲剛や大島を中心に流動的に動きながらパスを回すも、序盤はミスが多い。5分、浮き球に反応した石川がDF裏に飛び出してシュート(GK新井がセーブ)。8分にも徳永のロングスローを前田がつなぎ、羽生が飛び込むきわどい場面。

しかし、前半の半ばになるとフロンターレのパスがリズムよく回りだし、一転して川崎の一方的な攻勢に。21分、ボックス手前からレナトが狙ったFKは右サイドネット。28分にもレナトのドリブルシュートがポスト右を抜ける。東京の守備は受け身になって後追いのチャージやタックルをかわされる姿が目立つように。もっとも川崎もなかなか決めきれず、38分の武岡や41分の大島のシュートは枠を外れ、0-0で前半終了。


後半に入るとネジを巻き直した東京が再び前目から追い込みにかかり、川崎のパス回しとの追いかけっこになった。が、先制したのは川崎。52分、ユルい東京の中盤守備をかいくぐってボックス左へ素早く展開し、小宮山の狙いすましたクロスにフリーのエウシーニョが巧みに合わせ、権田の横っ跳びも届かず右隅にゴールイン。中盤守備を何とか助けようと前線から東も下がった場面だったが、完全に崩されてしまった。0-1。

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2015年07月03日

●観るまで死ねない!『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

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新宿のバルト9でジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2D字幕版)を観た。舞台は核戦争後の荒廃した世界。家族を失って放浪する元警官のマックスはある日独裁者ジョーに捕らわれてしまい、そこでジョーに反抗して逃亡を図る女戦士フュリオサと、ジョーの子供を宿した奴隷女たちに出会う。マックスはフュリオサたちを助けてジョーの軍団と戦いながら「緑の地」を目指すことになるが……。


事前にタマフルや映画秘宝関係の人たちがやたらハイテンションで盛り上がっていたので逆に警戒してしまったのだけれど(笑)、いやあ、期待以上の大傑作だった。

無駄な前置きや余計な説明を極力省いたソリッドなストーリー、全編の半分以上で繰り広げられる激烈なカーチェイスと息をつかせぬ車上のアクション、コミカルなまでに異常性を強調されたジョーをはじめとする悪役たち、そして意外なほどに繊細な主人公たちの人間模様……いや、ホント、「よくできているなあ」と感心(感動)しきり。ビジュアル的にも物語的にも素晴らしすぎる。

何より良かったのは、ハード極まる舞台設定や物語の中で描かれているのが「人間性の回復」だったことだ。虚無に陥っていたマックスも、女戦士フュリオサも、奴隷扱いされていた女たちも、支配者に洗脳されていた白塗り戦士ニュークスも、みな逃亡と反抗の極限状態の中で心を通わせ、失っていた人としての心を回復していく。決してアクション(ももちろん凄いんだけど)だけの映画ではないのである。

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