●28年目のラグビーワールドカップ (前編)
ということで、今週の金曜日はいよいよ、全世界ラグビーファン待望の第8回ワールドカップの開幕だ。開幕戦は開催国イングランドとフィジーの一戦である。
4年おきにワクワクドキドキハラハラさせられるこの大会だが、今回はこれまでになく楽しみなのだ。それは、優勝候補の拮抗ぶり(まあ普通に考えりゃNZなんだろうが、おそらくそうは問屋がおろさない)もあるのだけれど、何といっても我らが日本代表が「史上最強」と称される状態にあるから。世界のスターたちのスーパープレーももちろん見たいんだけど、やっぱり見慣れた「俺たちの」チームが健闘しないと、ね。
思えば、サッカーと違ってラグビーのW杯はたったの8回目、始まってからまだ28年の年月しか経っていないのだが、たかが28年、されど28年。僕の人生の過半はこの大会と付き合ってきたことになるわけだ。今週は、これまでの僕のラグビーW杯に関する体験と記憶を振り返ってみよう。
ニュージーランドを会場に第1回ワールドカップが行われたのは、1987年のこと。開催国NZが優勝し、招待参加の日本代表はイングランド、オーストラリア、アメリカ相手に3戦全敗だった。
正直、この頃は大学ラグビーに夢中(お気に入りは魂のタックルの慶應)だったので、W杯をやっていたことは途中で知った。確か「Number」誌の見開き記事かなんかで見たんじゃなかったかな。まだW杯がほとんど知られていなかった頃、観客のまばらなスタンドを背景に、アメリカ相手に思わぬ敗戦を喫したジャパンの面々ががっくり肩を落としている写真が記憶に残っている。苦難の道はあの時から始まったのか(笑)。
優勝したNZはとにかくフィジカルがたくましく、「これは全然かなわない、別次元だな」と思わされるチームだった。実際、その後来日して日本代表と対戦した時は全く歯が立たなかったし。とりわけトライを量産して優勝に大きく貢献したWTBのジョン・カーワンは凄まじく……まさかその後日本で二度に渡って再会(NECでプレー、その後日本代表ヘッドコーチに就任)するなんて夢にも思わなかったけども。