2015年04月10日

●『70年代日本SFベスト集成1 1971年度版』

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相変わらず本を読むのが遅くて60年代ベスト集成のレビューをしてから2ヶ月もたってしまったんだけど、筒井康隆編『70年代日本SFベスト集成1 1971年版』(ちくま文庫)を読了した。筒井さんが「日本SF」の中心的作家として活躍していた頃の伝説的(と僕は勝手に思っているが)アンソロジーの第2弾(原書の刊行順としては第1弾)。


収録されているのは、半村良『農閑期大作戦』に眉村卓『真昼の断層』、星新一『使者』、小松左京『保護鳥』、光瀬龍『多聞寺討伐』、広瀬正『二重人格』、河野典生『パストラル』、梶尾真治『美亜に贈る真珠』、永井豪『ススムちゃん大ショック』、高齋正『ニュルブルクリンクに陽は落ちて』、荒巻義雄『ある晴れた日のウィーンは森の中にたたずむ』の11作品。

今回の復刻版の帯に「黄金期の魅力と迫力!記念碑的アンソロジー。」とあるけれど、これは全くその通り。有名無名様々な短編が含まれているが、1980年代後半〜90年前半のまだまだ「日本SF」そのものが力を持っているように思えた時期にそのジャンルにハマっていた僕にとっては、まさに珠玉の作品ばかり。これらが同じ年の作品というのは本当に凄いことだと思う。


特に、高齋正『ニュルブルクリンクに陽は落ちて』については、おそらく十数年ぶりに再読して、あらためて感動してしまった。何度読んでも泣けるんだな、これは。

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