2006年12月21日

●『硫黄島からの手紙』


先日、クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』を観てきた。「硫黄島2部作」の第2作で、アメリカの「作られた英雄」をクローズアップした前作『父親たちの星条旗』に対し、今度は日本側からの視点で作られた作品。「硫黄島の戦い」という歴史に残るべき悲劇と、その中で死んでいった日本軍人たちの人間性や狂気を余すところなく描ききった傑作である。


正直、観る前は「アメリカ人の手による日本人像」にやや懐疑的な部分もあった。だが、実際観た後には「本当に外国人が作ったのか……」と唸りたくなるほどよくできた映画だった。確かに一部の台詞回しなどにおかしい部分がないではない。でも、それはおそらく「今の日本人の手による」ものよりははるかにマシなものであろうし、特撮や演出から小道具に至るまでに漲る迫真感は、違和感をはるかに凌駕していると思う。

続きを読む "『硫黄島からの手紙』"