8月31日(金)

 『回路』再見。やっぱり感動。素晴らしい。

 黒沢監督は「説明・対応できないものこそが人にとって心底恐ろしく、そういったものが登場するのがホラーである」という趣旨のことをエッセイで書いており、実際『キュア』では説明を極力少なくした物語(何しろ、犯人が真相を語ろうとしたその瞬間に主人公の銃弾で殺されてしまうのだ!)と観る人の神経を逆撫でするシーンの連続で僕らをゾッとさせてくれた。しかし、この映画でも黒沢流恐怖描写は健在(というかパワーアップ)ではあるのだが、吉崎なる登場人物の説明的な台詞や終盤主人公の一人を消滅に至らしめる「幽霊」が言葉を発してしまう(黙って襲った方が絶対に不気味度は高い)など、あえて怖さにブレーキをかけているようなところもいくらか見られる。あくまで「ホラー」として評価するなら、それらの要素はマイナスだろう。もっとも、そうした配慮があるおかげで僕ら観客はかろうじて恐怖の沼地に浸かりきってしまわず精神の平衡を保ち、ラストのシークエンスによって「心の揺り戻し」を経験することができるのだ。単なる恐怖映画ではなく、それ以上の、ジャンル的な見方など超越した高みを目指したということだろうか。『キュア』から『カリスマ』、そして『回路』へ。最後に行き着く先はいったいどこになるのだろう。


8月30日(木)

 ビデオで黒沢清監督『回路』。うーん、この映画のことを何と言い表したらいいのか…。とにかく「良作」とかそういうレベルにとどまるものではない映画である、とだけは言っておこう。『キュア』とか『カリスマ』を見て「黒沢清とは素晴らしい表現者だ」と感激したものだが、これまたスゴイ。ほとんど奇跡に近いとさえ言ってもいい。アイデアの独創性(幽霊の侵略による現世の破滅)、恐怖場面の演出(光と影・陰の使い方!)、デジタル映像の調和性、スケールの雄大さ、クライマックスの盛り上がり、どれをとっても「スゴイ」の一言だ。ホラー映画がSFで言うところの「終末テーマ」を内包するのは珍しいことではないが、人類の滅亡(寸前)を単なる「オチ」にとどまらずその過程も含めてここまでのクォリティで描いた日本映画はおそらくこれまでにはないだろうし、これからもそうは出ないに違いない。最後に出る結論(がちゃんとあるところがいかにもこの監督らしい)にも、震えが来るほど心を揺さぶられた。日本脱出後の船上での主人公と船長(役所広司)とのやりとりと、それに続く寂しくも美しいラストシーン。思わず巻き戻して繰り返し何回も見てしまったぞ。

 たとえどんな状況に置かれたとしても、人が人である限り、人らしく先へ先へと進んで行かねばならない。そうすればただちに消えてしまうことはないだろうし、たとえいつかは消えてしまうとしても「生きること」とは何かを理解することができるだろう。


8月29日(水)

 『Number』530号。この雑誌も相変わらず質の高い記事を多々(ろくでもない記事も少々)載せており、サッカーやラグビー特集の時は必ず買うようにしている。でも、今より昔(5年とか10年とか前)の方が、読む前のワクワク感や新たな視点を見つけたことによる感激がずっと大きくあった気もする。雑誌が変わったのか、それとも読んでる僕の方が変わったのか。

 何と何と、ペルー小池まで水戸にレンタル移籍とのこと。試合に出られない選手をどんどんレンタルして試合カンの維持・経験の蓄積を図るというのはまことに合理的な方法だとは思うが、ここのところあまりに目立つレンタルラッシュ、何か特別なきっかけ・理由でもあるのだろうか。
 ところで、ペルーっていわゆる「社員選手」だったっけ?去年の加賀見もそうだが、「社員」のレンタルってのも何か違和感のある状況だね(ま、Jリーグの選手である限り「社員」であろうが「統一契約書」によりチームとの契約を交わしていることに違いはないのだろうけど)。

 ふと、久々にshortcut webに立ち寄って2〜3年前の自分の100字レヴューを眺めたりして。全然変わってないやん


8月28日(火)

 『サイゾー』9月号。別に平山綾ちゃんの超かわいい表紙につられて買ったわけではない

 宮台真司は僕が大学で講義を受けていた頃はもう少し一般大衆とかそういう存在に期待していたような気がしたのだが…。でも、今回の「M2」で表れている苛立ちはまことに共感を覚えるね。いわゆる世間の「構造改革支持」なんつったって、その内容とか帰結とかを真面目に考えようとしている人は少数だもんね。この国に一番足りないのはやっぱり科学的・論理的な思考(もしくはそれらへの関心)なんだろう(自戒も込めて)。それらを踏まえた上で価値判断をするようにしないと、あとで人や方策についてまともな評価もできず「誰がやっても同じ」みたいな馬鹿な無関心あるいは「ニヒリズム」へ向かってしまうと思うのだけれど。


8月27日(月)

 夜、スカパーでビデオにとっていたプレミアリーグアストン・ヴィラ×マンチェスターU。アストン・ヴィラのGKがシューマイケルなのには驚いたが(いい加減移籍市場もチェックせにゃいかんな)、開始直後に思わず2001年度カウンターサッカー大賞を贈りたくなるような超鮮やかな速攻でアストン・ヴィラが先制したのにはもっと驚いた。以後、マンチェスターはベロンを無理矢理ねじ込んだ布陣のバランスの悪さ(ここもか!)とDFの不安定さ(ますます悪化)、そしてアストン・ヴィラ守備陣の活躍により大苦戦。ロスタイムのオウンゴールで辛うじて引き分けたものの、先々大いに不安を残す内容であった。ベッカムなんて間の悪いことに来週W杯予選を控えたこの時期に負傷退場してるし、ベロンやスコールズもイライラしっぱなし。バルテズは怪我の悪化で出場できず、スタムも消えた。初っぱなから大ピンチである。どうする?、ファーガソンよ。

 FC東京の松田がレンタルでヴァンフォーレ甲府へ。東京はこのパターンで若手出しまくりで、何かJ2相手のレンタル屋さんの様相を呈してきたような。


8月26日(日)

 朝、Jスカイスポーツでリーガ・エスパニョーラ開幕戦バレンシア×レアル・マドリード(実況:倉敷康雄)。ジダンの加入が注目されたレアルだが、現段階では完全にネガティブな方に出てしまっている様子。他の選手とコンビネーションが全く合っていない。というか、そもそも昨年のシステムでは「将軍然とした」トップ下選手は不要だったのに、ビッグネームが加入してきたので仕方なく他の選手のポジションまで無理矢理動かして結果としてサイド攻撃が死に(マクマナマンは移籍したんだっけ?)、チームはバラバラに。いろいろな組み合わせや戦術を試して最適なバランスを見つけるのには時間がかかりそう。こりゃ監督は大変だわ。果たしてチャンピオンズリーグに間に合うのか?

 昼飯を食いに行こうと家から歩いてたら、渋谷警察署の前で稲垣君を待ちかまえるカメラマンや野次馬が人だかり。

 昨年からデジカメで撮りためた写真をプリントしたく思い、渋谷のビックカメラでエプソンPM−780CSを購入。確かに画質はもんのすごく綺麗だが、前のキャノンのやつに比べてサイズがかなりでかいのと、駆動音がビックリするほど大きいのがマイナス点かな。まあ、欲しいところが全て揃った商品というのもなかなかないわね。

 世田谷で警官刺殺事件、というニュース。「刃物を持っている男がいる」という通報で駆けつけたのに、襲いかかられて初めて銃を抜いて威嚇射撃し、刺されて初めて男の体目がけて発砲したという。この平和な国では警官が銃を構えたりましてや発砲することについて余りに敏感で、ナイーブすぎる面がある。こういうケースでは最初っから銃を構えて威嚇し、襲ってきたら撃つっきゃないでしょ。丸腰で対処するのが基本では、あまりに警官の命を軽んじすぎだろう。

 夜、GAORA(スカパーね)でオランダリーグ「エールディビジ」の大一番フェイエノールト×アヤックス。ホームにも関わらず前半アヤックスのカウンター攻撃に苦しんだフェイエノールトが、後半開始から小野を投入。一瞬ボールの流れが良くなりチャンスが来るかと思われたが、暑さで動きの弱った左サイドを破られて先制され、さらにカウンターで失点。ロスタイムに1点を返すのが精一杯で、事前に伝え聞いていた下馬評とは違って完敗だった。小野もゴール前フリーで抜け出してパスを受ける場面もあったが(シュートは空振り)、全体的には目立たなかった。もうちょっとボールのないところでの動きを改善したり我を出してパスを呼び込んだりしないと。
 実はオランダリーグの試合を90分間ちゃんと見たのは初めてだったのだが、選手の理詰めの動きによってトライアングルとラインができたり消えたりを繰り返すTVゲームみたいなサッカーだった。時間が残り少なくなったと見るや徹底的に放り込んでくるし、若い小野がサッカー頭脳を鍛えるにはいいところかもしれない。


8月25日(土)

 午前中、NHKBSで大リーグレンジャーズ×レッドソックスマリナーズ×インディアンズ。インディアンズの先発が最速158kmの剛速球投手で初めは手も足も出ないかと思われたのだが、3回イチローが速球を難なく打ち返して出塁し、彼の足を警戒するあまり投球リズムが乱れたところを3番マルチネスが2点タイムリー。さらに1点差に追いつかれたあとの7回裏、イチローのタイムリーで突き放す。今のイチローだったら、年俸10億円でもちっともおかしくないだろう。

 FC東京、名古屋からFW福田を獲得。待望の、速くて強くて1トップやれそうな若い(これが重要)FWをゲット。期待しすぎは禁物だが、福田と言えば一時はトルシエ率いるU23代表の正FWだった男。少しはアマラオじいさんを楽させてやれるかもしれず、まことに良い補強だと思う(ただし、他のFW、特に松田君の処遇はどうするんだ、という気もするが)。とりあえずはポストに入って右にはたく特訓をしてくれい。

 午後、国立競技場内『オリンピア』で飲み会。サンドイッチやピラフなどが出てきて、ビールで膨れた腹には厳しかった。

 

 もちろん夕方には東京スタジアムまで出かけ、東京×清水を観戦。逆転負けをくらう。アルバート先生にも大ショックだった様子。今季、まだホームで2試合しか勝っていない。異常です、これは。

 愛知県からお越しになった森末さん、それなりに楽しんでいただけましたでしょうか?

 観戦記はこちら

 

 赤坂に戻ってきてから『炭焼処 北蔵』での飲み会に合流。他の人間は「ここ、食べ物おいしいよ!」と喜んでいたようだが、僕は東スタでフライドチキン(+ビール)を詰め込んでいたゆえ、全く食い物に箸がつけられないのだった。悔し涙を流しつつ、ひたすらビール、ビール、ビール。

 ついでに帰ってからもビール(合計何リットル飲んだのやら)。クールに装っても、負けは悔しいもんね。

 あと2、3年といったところでしょうか。


8月24日(金)

 サポーター歴3年弱にして初めて、FC東京(というか東京ガス)深川グラウンドで練習見学。FC東京の事務所と併設された練習場は都営新宿線住吉駅から徒歩5分、下町にしては緑の多い川沿いの住宅街にあった。今日は試合前日ゆえ軽いフィジカルとボールゲーム、清水の主力選手(ずばりアレックス)を想定したゴール前の守備練習が中心。日差しが強く、スタンドで2時間以上ジリジリと焼かれたのは辛かった。しかし、時には数メートルの近距離で、普段は聞けぬ選手の肉声などを耳にしつつじっくりとスタジアム以外での彼らを観察できたのはとても楽しい体験でもあった。また少し、東京のことが好きになれたような気さえする。

 どの選手の練習風景も興味深いものではあったが、やはり面白かったのは小峯の様子。長めのパス練の時に向かい隣で蹴っていたアマラオがしくじるたび「あ、アマラオ!また左足でかよ!馬鹿野郎!!」などと罵倒(クールダウンのジョッグの時にアマに耳つねられてました)。全体練習後の由紀彦・喜名との3人での居残りセンタリング練で喜名がゴールに叩き込んでも「今のキーバー正面だよ!ナイスセーブって言われちゃうよ!!」、喜名が体勢を崩してヘディングすると「今のケツから落ちたよ!だせえ!前へ行け、前へ!!」と言いたい放題。見ていて、全く飽きさせない。ギャラリーなり他の選手の見る目なりを考えてやっていたら大したものだし、そうでなくてもそれはそれでキャラが立っていて凄い。
 あと、伊藤選手のお子さん(男の子2人)が遊びに来ていたのだけれど、そのお兄ちゃんの方が全体練習が始まって他の選手から遠ざけられても、まだ仲間に加わりたそうにジッと皆の様子を眺めていたのが可愛かった。未来のJリーガー候補だろうか。

 

 夜中、スカパーでUEFAスーパーカップ。UEFAカップ王者リバプールがチャンピオンズリーグ王者バイエルンに3−2で快勝。リバプールはオーウェン・ヘスキー・ファウラーといった有能なFWによるシャープな攻撃が魅力。DFもそれなりに固く(この試合では後半ちょっと息切れしたが)、バランスは良さそうだ。怪我人を出さず安定して力を発揮できれば、DFに大きな不安を抱えるマンチェスターUを追い越す可能性もあるだろう。

 「アマラオ姉妹」、正体判明


8月23日(木)

 もしかして、こういう日記って上から日付順に並べないと読みにくいんじゃないか、ということに今気づいた

 ビデオで、またプレミアリーグ開幕戦ミドルスブラ×アーセナル。アーセナル、守備はそこそこいい感じだけど、攻撃がどうも…。アンリあたりの個人技を抑えられると、もうどうにもならない感じ。ベルカンプもすっかりスーパーサブに収まっちゃってるし。早く稲本が出て、あの中盤の底から一気にドドドドーッて上がっていくプレーを見せてほしいのだが。今シーズンは難しいのかなあ。
 ちなみにJスカイで放送されたこの試合、実況金子勝彦・解説岡野俊一郎といういわゆる「黄金コンビ」復活だったのだが、岡野さん(言わずと知れた日本サッカー協会会長)の解説には「けっ、時代遅れもはなはだしい」と思った人も多かろう。でも、近頃のTBSやらテレ朝やらのスポーツ愛好者の神経を逆撫でしまくるような絶叫実況にうんざりしていた僕としては、このコンビのゲームの邪魔にならない、かつサッカーへの愛情に満ちたやりとりが何とも心地良く感じられたのだった。

 「古館伊知郎のサッカー実況を阻止する会」でも作ろうか。今にやりそうだもんね、TBSかテレ朝が。


8月22日(水)

 ラグビーマッドおやぢこと中尾亘孝氏のコラムを読む。今年のラグビートライネーションズにおけるキック戦術の多用を見て、僕はルール解釈の変更故にそうなったのだと思っていたのだが、中尾氏によればむしろ現代ラグビーの最先端を行くACTブランビーズ(豪州)が率先してモデルチェンジを図ってるとのこと。ラグビーやサッカーの世界において戦術・システムなどの面で先手先手をとってリードしていくということは実際の戦いの場でも主導権を握ることにつながるし、またその競技の進歩に寄与するという面で多くの賞賛・評価を集めることができる。そう、志あるフットボールコーチ・関係者は単なる他人のコピーにとどまらず、創造あるいは応用という形で常に先へ先へと進んで行くべきなのだ。そういった点で今のJリーグクラブ、あるいは国内のラグビークラブをどう評価すべきだろう?


8月21日(火)

 北海道でも7〜8時間は寝ていたのだが、旅の疲れはやはり普段のものとは違うらしい。寝たりこの日記書いたりゴロゴロ横になって本を読んだり台風のニュースをボーッと眺めたり。

 え、アウミール解雇!?ちょっと札幌さん、高望みしすぎなんじゃないのー(なんつって、人のことは言えんが)?

 などと驚いていたら、今度はC大阪の次期監督にジョアン・カルロス就任のニュース。さすがセレッソ、この降格の瀬戸際で大ギャンブルに出たか。はたして吉と出るか、凶と出るか。セレッソなら名古屋ほどプライドの高い選手もいなそうだし、案外うまくいく可能性もあるかも。

 

 夜中、Jスカイスポーツでプレミアリーグ開幕戦マンチェスター・ユナイテッド×フルハム。フルハムが若いクラブらしく勢いのある攻めでマンチェスターDFを崩しまくり、サハのぶっちぎりゴール連発で2度のリードを奪う面白い展開。しかしマンチェスターもベッカムが直接FKを決めて食い下がり、後半にファン・ニステルローイの2ゴールで逆転、辛うじて王者の面目を保った。昨年からユナイテッドのウィークポイントがDF(特にCBの2人)にあることは明らかだったが、この試合を見る限り状況は全く改善されていない様子。強大な攻撃力とGKバルデズの好セービングで何とか帳尻を合わせているようだが、チャンピオンズリーグでは通用すまい。補強をしない限り、ファーガソン監督のラストシーズンは国内リーグ制覇がせいぜいではないか。

 あと、マンチェスターはベッカムにベロンにバルテズにシルヴェストルにチャドヴイックにスタムと、とにかくハゲが多すぎ(スコールズも短い金髪だから似たようなものだ)。常にポジショニングを気にしてないと、テレビだと全然区別がつかんぞ。


8月20日(月)

 午前中、朝市へ出向いて『きくよ食堂』でメシ。ここは非常に有名らしくガイドにも載っている店なのだが、店員のおばちゃんがそういう店にありがちな無礼な感じではなかったのでホッとした。「函館巴丼」を注文。うに・帆立・いくらが丼の上部にびっしりのせられて1300円。まあ東京では無理ですな。ちょっと丼の量が少な目な気もしたが、単品で頼んだいかそーめんが透きとおっていて甘くて、これまた東京では味わうのが難しそうなうまさだったのでよしとしよう。ごちそうさま。

 その後市電に乗って市街東部の五稜郭公園へ。中は資料館も休館中で何にもなくちょっと退屈だったのだが、最初に「五稜郭タワー」の展望台に上ろうとエレベーターに乗ったら昨日の「藤山ボーイ」に再び遭遇。

 市電で函館駅前に戻り、ホテルの喫茶店で時間を潰したあと(この旅行、最後の方は本当に時間を持て余しまくった)直通バスで空港へ。20分くらいで到着。

 空港では土産など買って出発時間を待つ。観光地ではよく見られることだが、待合室に複数の土産物屋が並んでいたが売っているものはどれも一緒。あれはどういう意味があるのかねえ、などと思っていたら、目の前をまたまた「藤山ボーイ」が通過。この人たち、僕らとほとんど同じ道のりで来たのか。同志よ(笑)。あまりに時間が余ったのでビールとハンバーガーで軽い夕食。結局、腹へりゃ何でもうまいことを再確認させられた。待合室のテレビで「いしだ壱成逮捕」という、どーでもいいニュースを聞く。

 帰りの機中では映画『ピカチュウのドキドキかくれんぼ』を見て過ごす。かっわい〜い!!ANAにのって良かった!

 というわけで、東京帰着。疲れました。東京は蒸し暑いっすね。

 夜中、ニュースで小野君のデビュー戦を確認。左右の足をほぼ同じように使える器用さ・振り幅の小さくて鋭い(相手には対応が難しい)スルーパスなど良いところが出せたようだ。2試合後のアヤックス戦が楽しみだね。


8月19日(日)

 ホテルで朝食をとったあと、駅の裏側にある北海道大学で散策。お約束のクラーク像、ポプラ並木の前で写真なんかとったりして。つれによれば、「東大も一橋もここも、国立大ってどこも雰囲気が似てるね」とのことだったが、北大が一つ違うのは、敷地がとびきり広いこと。最初は構内を縦断しようかとも思ったのだが、キャンパスのメインストリートはどこまで歩いても果てが見えず、途中で引き返す羽目に。中に農場まであるんだから、そりゃ広いわな。

 11時発の「スーパー北斗」で函館に向かう。所要時間3時間。札幌駅で『かにめし弁当』を買い、車内で食す。列車に乗り込むとき、ホームでFC東京のグッズで身を固めた母子に遭遇。坊ちゃんの方はキャップに藤山のバッジをくっつけていたので勝手に「藤山ボーイ」と名付ける。

 函館の印象は……典型的な地方都市ですね、といったところか。街並みはそれなりにきれいなのだけど、駅前や商店街でスピーカーから流れ出すコマーシャル放送がチープさを醸し出してしまっている。やっぱり突然「キューティーハニーのテーマ」が聞こえたりするのはマズいでしょ。

 ホテルに荷物を置き、まず「土方歳三最後の地碑」に出向いてから反転して市電に乗り、市街西部へ。元町の坂を上ってカトリック元町教会・聖ハリストス教会・旧函館区公会堂・旧イギリス領事館などを主に外から眺めたあと、坂を下って海沿いに出、「北海道第一歩の地碑」で記念写真。その後は波止場でしばらく海を眺めながらボーっと過ごす。旅行で時間を持て余さないようにする、というのは意外に難しいことだ。

 夕食は赤レンガの倉庫を改造した『函館ビアホール』で。ビールももちろん最高だったが、「函館ポテト いなか風」というポテトを混ぜた餅を焼いてたっぷりのバターをのせたものが抜群にうまかった。思わずおかわりしてしまいましたよ。

 暗くなってきたところでロープウェイに乗って函館山山頂へ。ここで見る夜景は「100万ドルの美しさ」(何か熱海とかもそういうこと言ってなかったっけ?)だそうだが、実際眺めてみると確かに綺麗だった。津軽海峡と函館湾に挟まれた函館市街は光の点にびっしり埋め尽くされ、そこから東西の湾沿いに光が東と北の方向に伸びていく。こういう美しさは行って見ないとわかるまい。ここはお薦めでっせ。


8月18日(土)

 というわけで、今日からFC東京札幌遠征に合わせて北海道旅行。

 朝8時台の全日空(この航空会社は嫌いなのだが…)で千歳空港に飛ぶ。飛行機に乗るのは3年ぶり、国内線に限ればいつ以来やら分からないくらい久しぶりだったので少し緊張。10時過ぎに到着し、JR「エアポート快速」で40分ほどかけて札幌駅へ。駅前のホテルで荷物を預けてから市内散策に向かう。

 駅前から旧道庁を経由して大通公園まで歩き、テレビ塔など見てからさらにすすきのまで進む。札幌市内を一目見た印象はというと……不景気なんだなあ、やっぱり。東京のような化け物的大都市に住んでるからそう見えるのかもしれないが、とにかく土曜の昼間というのに繁華街に人通りが少ない。通りも建物もきれいだし、大きなショッピングビルや派手な看板など街にそれなりの華やかさはあるのだが、そこを歩いている人数がとにかく寂しすぎる。どうしても元気ないなあ、という感じがしてしまうのだ。ちなみに、札幌駅前の「そごう」は有楽町と同じく巨大な「ビックカメラ」になってました。

 昼飯はラーメンにしようと決めていたので「ラーメン横町」を覗いてみるが、しかしどの店もカウンターには観光客らしき人の姿しかなく、いかにもあやしい感じ。ならばとすすきのから市電に乗り、東本願寺前の『五丈原』に行ってみるが夕方からの開店らしくシャッターは降りたまま。仕方なくさらに30分ほど歩いてネットのラーメンサイトで評価が高かった『てつや』へ。カウンター10人ほどの小さな店で行列がなかなか進まずちと辛かったが、しかしラーメンは激うま。僕はしょうゆラーメンを注文したのだが、背脂の浮いた豚骨系スープは見た目ほど脂っこくなく、麺は固くコリコリと不思議な歯ごたえのちぢれ麺。麺とスープがしっかりと絡んでうまいことうまいこと。一気にかき込んでスープもほとんど飲み干してしまった。

 

 で、あわててタクシーに乗ってすすきのへ戻り、豊水すすきの駅から地下鉄東豊線で15分程の福住駅へ。歩いて10分くらい(バックスタンドへ回り込むのにもっと時間がかかったが)で札幌ドームに到着。今回の旅行の主目的、Jリーグコンサドーレ札幌×FC東京を観戦。素晴らしいスタジアム、素晴らしいアウェイサポーター、素晴らしい東京の攻撃を堪能した。観戦記はこちら

 試合中、僕の斜め後ろにはこれまでも何回か近くの席になっている家族連れが座っていた。娘さん2人が11番のTシャツを着ていたので、勝手に「アマラオ姉妹」と名付ける。

 

 試合後、スタジアム周辺をのんびり散歩したあと再びすすきのへ。夕食にはジンギスカンを食おうとやはりネットで評判の『札幌ジンギスカン』『めんよう亭』などを覗いてみるが、男女二人づれでゆっくりできるような雰囲気ではなさそう。結局サッポロファクトリー地下の小ぎれいな『麦羊亭』でジンギスカン&焼肉。お店自慢の「ミルクラム」に関しては「まあ、肉だな」という感じで、むしろサッポロビールやカルビ・トントロなど他の肉類の美味さが印象的だった。

 北海道は水道の水が冷たくていいねえ(冬はとんでもないことになるのかもしれんが)。


8月17日(金)

 松沢呉一著『風俗ゼミナール お客編』読了。松沢さんの本(特に調子の良い時の著書)ってどんどんどんどんテンポ良く読み進めて、適度に頭を使いつつリラックスして楽しめるのがいいっす。

 柏レイソルが柏の葉への全面移転を決定したそうな。まあ収容人員や屋根の有無(これは大きい!)、私企業保有グラウンドから県営競技場への移転などメリットが多々あるのは間違いない。ただ、それはそうなのだけれど……日立柏サッカー場のあの「近さ」と「臨場感」がもう味わえないとなると、ねえ。

 夜、今年の春まで仕事で大変世話になっていた方と千歳烏山駅前の居酒屋『遊』で飲む。ほんの1杯のつもりが話が弾み、ついつい生ビール5杯も飲んでしもうた。明日の朝、5時半に起きられるのだろうか…。


8月16日(木)

 同じ渡田審判のジャッジについて抗議して、長嶋さんは退場にならずに森さんは退場。この違いはなんなのかね。

 今話題の日南学園の寺原、ただひたすら肩や肘を壊さないように(そしてそういう方向にしむけるべく監督・関係者が理解のあるように)祈るのみだね。早く敗退してほしい、というのは言い過ぎだろうか。


8月15日(水)

 夕方、渋谷区某所で自販機のジュースを買おうとしたのだが、あいにくポケットに小銭がない。そこで千円札を入れたところ、お釣りが100円玉3枚と50円玉11枚と10円玉3枚で出てきた。小泉靖国参拝支持者による嫌がらせであろうか(笑)。

 

 夜、AFC・OFCチャレンジカップ日本×オーストラリアもちろんテレ朝ではなくNHKBSで観戦。試合は日本(1.5軍)が豪州(2軍)を危なげなく一蹴したのだが、実況の町田アナにイライラさせられてちょっと残念。解説者が返答に困るような質問や「見りゃ分かるよ!」的なくどい説明があまりにも多すぎて試合に集中させてもらえない。自信がないせいか0.1秒の間にも耐えられず、常に自分が声を出すか解説に喋らせてないといられないというのも駄目実況の典型ではある。もしかしたらテレ朝の方が今日に限ってはマシだったのかも。

 しかし、よく考えたら、いくら弱い相手とはいっても中田も小野も俊輔も名波も稲本も使わずに3−0なのだから、チームとしての層が厚くなっているのは事実だ。長期継続指導のメリットは誰の目にも明らかになってきている。あとは、大事な大事な一発勝負でマックスの力を出せるかどうかだな。こればっかしはどうにもわからん。

 あと、柳沢の動き出しには、何度見てもほれぼれさせられる。気持ちの持ち方もだいぶ強くなってきた様子。残り1年間「お前はストライカーだ。だってお前はストライカーだ。何たってお前はストライカーだ……」てなミニマルテープとか聞かせて洗脳すれば完璧かもしれない。


8月14日(火)

 松沢呉一著『風俗ゼミナール 女の子編』(ポット出版)読了。近頃の靖国参拝を巡るゴダゴダを見ていると失望せずにはいられないのだが、こういう本を読むとこの国もあながち捨てたもんでもないかな、という気にもなってくる。日本の未来は明るい(かもしれない)。


8月13日(月)

 小林和男著『1プードの塩』(NHK出版)読了。ロシアを貧しくて小ずるくてエリツィンみたいな男が威張り散らしている国、というイメージだけでとらえている人は今すぐこの本を読もう。さすがに大ロシアは奥が深い。

 

 当初の予定から2日間の前倒しで行われた小泉首相の靖国神社参拝。「8月15日さえ避ければ、韓国も中国も少しは感情的反発が小さいだろう」と考えるのは、こちらにとって都合の良い、しかし全く根拠のない思いこみでしかない。近隣諸国にしてみれば国の代表、それも国民の8割近い支持を受けている首相が戦犯も含めた日本帝国軍人を祀ってある神社に参拝すること自体が不快なのだろうから。

 それにしても、小泉首相や靖国神社参拝を安易に支持している人々に聞きたいのは、どうして8月15日に行われる政府主催の追悼式じゃいけないのか、ということだ。どうしてあれでは不十分なの?日中戦争〜太平洋戦争で戦死した人間は軍人だけでない。多くの、非常に多くの一般市民・非軍人も犠牲になった戦いであったはずだ。それなのに、特定の団体・集団の利害のみを優先させる立場にないはずの日本国首相が、なぜ軍人「戦死者」だけを優遇する振る舞いをするのだ?戦場で被弾して戦死した人間と空襲で焼け死んだ人間、あるいは特攻隊で空母に突っ込んだ若者と沖縄戦で死を強要された母子の間でその死の重みに違いがあるとでもいうのだろうか?

 いや、もしかしたら小泉は「国を守ろうと戦った人の死はより尊いのだ」という固い信念の下に参拝を強行したのかもしれぬ。しかし、だとしたら、自らの振る舞いが特定の立場・傾向の明確な表現になる(そうとられても仕方がない)ことをしっかり自覚し、発言していかねばならないだろう。少なくとも中国や韓国の(あちらの立場からすれば「感情的に」もっともな)抗議を受けておいて、それに対して「私の真意を誤解して」などと相手を小馬鹿にするような発言は避けるべきだろう。あまりに無神経だと思う。


8月12日(日)

 昼、またマリナーズ×ホワイトソックス。イチローが9回2死から同点2点タイムリーを放ってサヨナラ勝ちを呼び込む。イチローが打席に立った瞬間、観客総立ちのイチローコールが凄かった。打率とか盗塁数とかより何より、チームメイトとファンから頼りにされきってるところが素晴らしい。

 競馬の小倉記念(G3)はロサードが優勝。外からミッキーダンスが伸びてきて勝負あったかと思われた残り50m、内からグイっと伸びて身体一つ前に出た。公営のトップ騎手(今日は小牧太)が乗ると最後のひと伸びが違うのが不思議でならない。いったい何が違うの?

 

 ビデオで黒沢清監督『蜘蛛の瞳』。理不尽な物語、淡々とした殺戮シーンの連続、つながるかつながらないかギリギリの綱わたり的編集、そして○○(怖くてとても書けません(笑))が出てくるシーンの恐ろしさ。一応『蛇の道』の続編だが、完全に前作を凌駕している。ある意味「物語」としての映画を超越しているとさえ言えよう。もしかすると黒沢清の最高傑作なんじゃないか、これ。画面と音楽とが静かさに包まれるラストはいかにも「全てが終わった」という感じですっきりして、とてもよいと思う。

 

 夜中、TBSで世界陸上女子マラソンを見る。リディア・シモン優勝という至極順当な結果は良かったと思うのだが………てめえ、うるせえよ、古館!!この強い強いシモン(今までも充分強かった)を形容して、こともあろうに「おしん走法」だあ!?この野郎、どこに目をつけてやがるんだ。あと、「テレビの前の男たちは何を見るのか」「この閉塞した世の中に〜」って、無理矢理(たかが)日本の世相と結びつけようとするのはやめろ!スポーツそれ自体の美しさを台無しにしやがってからに。TBSが日本選手にいちいちキャッチフレーズ(「新世紀のニューヒロイン」とか)をつけて顔写真を出しまくるのもうざすぎ。例の猿は映った瞬間にチャンネルを替えるのでもうどうでもいいけど。ホント、TBSとテレ朝はあらゆるスポーツの中継から手を引いてほしいと思う。というか、頼むからやめてくれ。お願い。


8月11日(土)

 昼前から、スカパーでラグビートライネーションズNZ×オーストラリア。ラーカム復帰の豪州が敵地での激戦を制して1勝1敗に、という結果はまあいい。重要なのは、今年からルール解釈が変わり、結果としてゲームの流れがガラリと変わったこと。タックル後に守備側が絡みやすくなったため密集でのボール争奪戦が激しくなってターンオーバーが頻発。一昨年W杯時のようなDFが横一直線に並んで穴のない「シールドロック」状態は少なくなったものの、攻撃の継続が難しくなりキックと反則も増加。今のところ試合がぶつ切りになってゲームの面白さは削がれているように見える。まあネガティブな面の多くは過渡期であるがゆえなのだろうが(審判も完全に対応できておらず基準が曖昧だし)、このルールに真っ先に適応して次の覇権を握るのはどのチームなのか、それが問題だ。パッと見たところジャパンのつけいる隙は増えるような気もするのだが…。

 終了後、BSの大リーグマリナーズ×ホワイトソックスをつけたらマルティネスの逆転満塁ホームランが出て「スゲえ!」と驚く。で、夜中に帰ってニュースを見たら3点差から佐々木が打ち込まれ逆転負けをくらってて、2度驚いた。それはそれでスゲえ。

 夕方から、東京スタジアムでJリーグ東京×柏。こういう負け方をするチームが「タイトル」とか言っちゃいけませんね。観戦記はこちらで。由紀彦可哀想すぎ。

 で、直通バスで新宿に戻ってから赤坂に出て『村さ来』でやけ酒。ここの店長は愛想がないというか、覇気が感じられないというか、元気が足りないというか、客としても困ってしまう感じ。サービス業としてはいかがなものか。


8月10日(金)

 休み。

 体脂肪率を測定してみたら、たったの12.6%だった。もう2〜3%低下すると、明らかに「やせすぎ」の部類になるとのこと。健康のためにもっとビール飲まなくちゃね。

 『Number』529号購入。巻頭の記事で永井洋一さんが「マンネリ化を打破するために柏の西野監督更迭はやむなし」と書いているのを読んで「そう言われれば、あのチームに関しては確かにそうかもしれない」と納得させられたのだが、そこから戦術的な行き詰まりに近づきつつあるFC東京の未来に思いをはせ、ちょっと暗い気分になったりも。

 夜、メシを食いながらプロ野球巨人×ヤクルトを見ていて激怒。6回裏、3点差で巨人リード、1アウト2塁でバッター仁志の場面。仁志が放った打球はレフトポール際ぎりぎりのところでスタンドに飛び込みひとたび3塁塁審が手を回したのだが、これに若松監督が異議を申し立てて判定が覆り、ファウルに。ここで本来強調されねばならないのは、審判団がとった処置は極めて正当なものだということ。だって、VTRで客観的に見たら明らかにファウルなんだもん。しかし長嶋監督は執拗に抗議し、十数分に渡って試合を中断させた。大リーグだと監督会議か何かで「抗議は何分まで」と合意されているそうだが、日本の場合はどうなのだろう。もし決まってるとすれば、長嶋監督の抗議はルール違反に違いないが。加えて、テレビ解説の堀内がこれまた執拗に審判を攻撃。責任審判がマイクで事情を場内に説明したにも関わらず「説明不足だ。これはミスです(んなもんみんなわかってるよ)」「こんなことでは審判の権威が保たれない」と大声で叫び続ける。マイクでの説明は極めて簡潔なものだったが、「3塁塁審が一度ホームランとジャッジ」「しかし他の3審判から見るとファウル」「で、協議の結果結論はファウル」という要点はきちんとおさえていた。あれ以上何を喋れというのか。土下座して涙を流し「私のミスでした」と懺悔しろとでもいうのだろうか(これまた極端ですね。失礼)。だいたい、審判も人間であってミスを犯すのはルール的にも織り込み済み、だからこそ審判の協議とか責任審判とか最後は主審が決めるとかいう制度があるのではないか。それを理解せずに「チームは納得がいかない」的感情論で非難を続け、長嶋監督の進行妨害を弁護する堀内にはいたく失望した。同じ日テレでも掛布や中畑よりはマシだと思っていたのだが。


8月9日(木)

 夜、ビデオで『エイリアン4』。見るのは2回目。『3』で破綻したお話をクローン技術(笑)を駆使して本筋へ引き戻し、『1』『2』の素晴らしさを取り戻したシリーズの救世主的作品…と思いきや、本国では思いっきりコケたらいしね、これ。何でやろ。ま、僕にとってこの映画は、お話もエイリアンの造形も残虐シーンも全てがグロい中、ウィノナ・ライダーの美しさが異様に光り輝いているところが素晴らしい。いいよね、ウィノナ。驚いたり躊躇したり泣いたりする表情がサイコー。もしかしたら外国の女優さんのなかで一番好きかも。


8月8日(水)

 千歳烏山駅前の中華居酒屋『榮じ』で夕食。エビにはマヨネーズがよく合う。


8月7日(火)

 ビデオで塚本晋也監督『BULLET BALLET』。暴力描写がグチョグチョ続く映画で見る前は「もしかしたら俺こういうの駄目かも」と思っていたし実際感情移入するのは難しいのだけど、主人公とヒロインが全力で駆けていくラストシーンのせいか見終わった後は非常に爽やかな気分になれてちょっとお得だった。衝動を抱えてウジウジウジウジしているくらいなら疾走してしまえ!走れ!走れ!走れぇ!!

 

 夜、TBSの世界陸上中継を見る。相も変わらずあのが大はしゃぎしまくり、見ているこっちはどんどん白けてせっかくのジョナサン・エドワーズの快ジャンプも台無し。一体視聴者のどれだけの割合があの猿の司会進行を望んでいるというのだろうか。誰か保健所に電話して保護してもらいなさい、早く。


8月6日(月)

 原爆記念日。よく考えたら、この「原爆記念日」という名称も相当ブラックな香りがするね。

 山形浩生『新教養主義宣言』(晶文社)読了。寄せ集めの雑文集はそれはそれで楽しいのだけれど、後からつけた序文の志・格調が高すぎてちょっとミスマッチな感じもする(特に、小説の解説文を集めた後半部分との)。経済・社会・フリーウェア文化等に的を絞った『山形道場』の方が、筋が通った感じがしてわかりやすく、おすすめかな。


8月5日(日)

 競馬の関屋記念(G3)は人気薄の先行馬2頭が逃げ切って穴馬券。人気どころは消極的な待機策から仕掛けが遅れて届かず、直線長けりゃ何とかなるものでもないという春秋の東京でもよくある展開だった。僕の本命ネイティブハートも3戦連続の4着。つーかこの馬、やっぱり善臣じゃだめだ(と言いつつ買ってしまった僕がだめだ)。勝負の世界では「ソツがない」ことは長所には決してならない。とっとと後藤あたりに乗り替わってほしいね。

 

 ビデオで黒沢清監督『蛇の道』。サスペンスなのかアクションなのか、中途半端な印象が否めない。拷問・殺人描写もヌルいし、ラストも「ああ、やっぱりな」と意外性に欠けた。ただ、冒頭の車で狭い道をグルグル回るシーンの不気味さ、全編に散りばめられた狂気の演出(香川照之のあの笑顔!)はさすがだと思う。

 

 日本クラブユースサッカー選手権でFC東京が優勝!未来は明るい(、のかな?)。


8月4日(土)

 DVDで『インビジブル』。透明状態から戻れなくなった主人公(ケビン・ベーコン)がやけになって行う悪事が、のぞきとレイプなのが「やっぱり」という感じで笑える。まあ、誰がどう見ても正しい(いや、良くないとは思うけどさ)行動ではある。DVDの特典映像の中で出演者たちに「もし透明になったら何をします?」とかいうインタビューがあって、ケビン・ベーコンが臆することなく「小さい頃からの夢で、女子更衣室ののぞき」と答えていたのもグッドだし、別の出演者が「ポルノ映画に出演してもオフクロにばれなくて良さそう」とか言ってたのはサイコーだ(笑)。

 

 昼、フジテレビで『PRIDE15』。桜庭は楽勝だったが、相手にパワーボムとかやられて「俺の方がやりたかったのにー」てな表情でちょっと不満げ。

 夜、赤坂サントリービル屋上『サントリービアガーデン』で飲み会。夜風が気持ちよかったし、さすがにここの「モルツ」はうまかった。二次会は『和民』で、12時頃まで。

 

 夜中、ビデオで『プライベート・ライアン』。凄惨極まる戦闘シーンがこの映画の魅力のほぼ全てであることは間違いないだろう。実物同様の巨大な戦車が地響きをたて、機関銃が薬莢の転がる音を伴って炸裂し、人間の身体が次々と飛び、ちぎれ、はじけ、焼け、潰れていく。「新しい歴史教科書」だの何だのよりも、この映画こそ義務教育課程でガキどもに見せるべきだな。

 ストーリー的には何ということもないが、最後の戦闘でヒイヒイ泣きながら逃げ回ってた馬鹿(こいつのせいで味方が5〜6人は死んでる)が生き残ってしまったのが不満かな。


8月3日(金)

 asahi.comで小泉改革に関するアンケート結果を見てのけぞる。何でも、優先施策について「改革推進」35%に対し「景気・雇用対策」を挙げる人がが56%も存在し、他の指標でも改革に対する支持はそれほど強固なものではなくなっているという。まあ別に「構造改革」の推進と景気対策が必ずしも矛盾するものじゃないとは僕も思うのだけれど、じゃあ、何でみんな参院選で自民党を勝たせたの?そんな風に政治判断と投票行動を分離させて単なる好感度・イメージで投票してるからいつまでたっても日本の政治はろくなことにならないんだよ。自民党に入れた人の多くはどうせ「小泉サンはそれほど酷いことはしないだろう」と、公約の内容とは全く別の次元でタカをくくっているのかもしれない。根拠ないよ、その信頼。僕は小泉内閣の方針をそれほど支持している訳ではないが、こういうのを見てると「いっそ徹底的にやれ」と思ってしまう。これまでの既得権や法・行政・経済の構造を丸ごとひっくり返し、国民に政治の恐ろしさを知らしめ、ついては政治権力の行使としての投票行動の重さを思い知らせてやればいいのだ。客観的に見れば、日本国民は参院選で与党に過半数を与え「構造改革」にGOサインを出したのだ。みんな、後になって「話が違う」とか「政治家にだまされた」とか「もう信じられない」とか訳のわからないことを言うんじゃないぞ。

ちなみに、有権者が今の与党を議会で少数派に追い込めるのは、早くても6年後になる(3年後の選挙では自民党の改選議席が少ないからね)。わかってんのか、おい。


8月2日(木)

 ビデオで黒沢清監督『カリスマ』。『キュア』が我々を感覚的にゾッとさせる「ホラー映画」であるのに対し、こちらは怪奇・サスペンス風味を帯びつつ観客の脳髄を刺激する「哲学映画」だ。射殺された立てこもり犯の「世界の法則を回復せよ」という一言から物語は始まり、「カリスマ」という一本の木(やがてそれだけにはとどまらぬ存在と化していくのだが)を巡る森の人々の争いが描かれる。「森」と「カリスマ」、およびそれぞれを守ろうとする人間たち。生きるためには、殺すことはやむを得ないことなのだろうか?やがて「カリスマ」の魔的な力の前に人々の理性と秩序は崩壊していき、この世に地獄が姿を現す。そしてその時、気がつけば森の中心にもう一つの「カリスマ」となった一人の男が立っていた…。物語の構造はあくまで寓話的であり、その気になればいかようにでも解釈を広げることはできる。見終わった後も僕の脳は思索を続け、延々と物語をたどり続けた。思い浮かぶ感想は様々だが、ただ一つ言えるのは、この映画がとてつもない傑作だということだ。

 黙示録的な光景を描いたラストについては「あれはある意味『cure』の続編だ」という意見を事前に読んでいたのだが、実際に見てみた後僕が抱いた感想は異なったものだ。思うに、『カリスマ』は『キュア』と時系列的、あるいは並列的につながるような話ではない。『キュア』では人々を催眠で「解放」して殺人を犯させる間宮(萩原聖人)を軸に物語が展開し、ラストその座を主人公高部(役所広司)が継ぐことを示唆して終了する。『カリスマ』では、自明と思われていたこの世の縛りから人々を解き放つ役割は「カリスマ」が担い、最後主人公薮池(役所)自身がカリスマとなることを示唆して物語が終わる。この構造は同じ。だが、「解放」された人間が他人を殺しておしまいの『キュア』に比べ、『カリスマ』はもう一歩踏み込んでいるように見える。薮池は劇中こうつぶやくのだ。「生きる力と死ぬ力は同じものだ」「両方が生きようとしているのだから、両方が生きればいい」「その方法については(あるいはそれができるのかどうか)わからない。答えは、ない」と。

 ラスト、薮池が見下ろす街は唐突に始まった戦争で赤く燃え上がっている。おそらくそこでは狂った森林作業員たちや『キュア』の無動機殺人者たちが殺し合いを続ける、まさに地獄絵図が展開されているのだろう。『キュア』ならばそれで「癒された」ことになって終わるのだが、薮池(ないし黒沢監督)が「それで良し」としているわけではない。薮池自身は映画を通じて、頑ななまでに人や木を殺すことを回避するのだから。『カリスマ』は、いわば「カリスマ誕生」の物語である。薮池はあの後、世界の法則(それは「秩序」とは別次元のものだろう)の回復者となるべくアノミー化した街へと立ち戻ることになる。つまり、「英雄の帰還」という帰結へ向かっていく。爆破された「カリスマ」の跡に姿を現した新しい芽と、深く確信をたたえたラストの藪池の表情が示唆しているのはそういうことではないだろうか。


8月1日(水)

 スペンサー・ジョンソン著『チーズはどこへ消えた?』(扶桑社)読む。説明不要のベストセラーで、これから社会に大なり小なり様々な変化が訪れるであろう(と多くの人が思いこんでいる)今の日本にはぴったりの寓話だ。まあ別にそれほど悪い話とも思わないのだが、「小泉内閣(特に竹中あたり)が推奨しそうな内容だな」という意地悪な考えが頭に浮かんだね。

 で、読んでない人には訳がわからんと思うが、ちょっと感想を。本の中ではネズミ的な変化への対応が賞賛されていて、確かに単純なモデル・例えならそれでもいいかもしれんが、現実の複雑さの中で「ほとんど何も考えずにまず動く」ことがどれほど妥当でありうるのだろう、という気がする。それと、結局人というのはぐずぐず悩んだり腹をくくるのに時間がかかったり納得行くのに苦労したりするものであって、おそらくそうしたことから100%自由になることはありえない。とするならば、やはり我々はネズミではなく、ホー(小人の思い切りのいい方)になるのがせいぜいだし、それで充分なのだと思う。あと、チーズを巡るネズミと小人の本編はともかく、前後にわざとらしく挿入された部分(ステレオタイプなアメリカ人連中が同窓会で本編について語り合う)は読むに耐えないぞ。

 いずれにせよ、ちょっとした思考のきっかけとする、あるいは自分を見つめるための材料とする程度ならば良いのだろうが、この手の本にバリバリの人生訓を読みとろうとするとかなりマヌケなので気をつけましょう。

 

 元若乃花こと花田勝がアメフトXリーグに選手登録、とか。相変わらず彼のギャグは寒いね。


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