4月30日(金)

 石川晶康著『日本史の考え方』(講談社現代新書)読了。「外圧(敗戦)」「内乱」「神としての天皇」「帝国化」といった共通項をもつ天武朝と明治時代を画期として、日本史を「中国時代」と「欧米時代」の2つに分けてしまうという超意欲的な試み。非常に大ざっぱな捉え方なのは確かなんだけど、しかし読者に納得を与えるだけの説得力を持っている本なのである。ひいき目抜きで(笑)、一読の価値あり。受験でガリガリ勉強して、かえって日本史が嫌になってしまった人は読んでみるといい。世界を、歴史を認識することの面白さがわかるから。

 

 もう4月も終わりか。仕事場が変わり、毎日もがいて酒くらって暴れているうちにいつの間にか1ヶ月たってしまった。あ〜あ、しょーもな(笑)。


4月29日(木)

 午後、MXテレビでナビスコカップ。鹿島アントラーズ 1−2 FC東京やったな、梶山!!東京史上、カシマ国における記念すべき初勝利。現地で観れなかったのは残念だけど、これで呪縛が解かれて「普通のアウェイ」になれば次の勝利もきっと遠くはないだろう。こうして1つ1つ潰して行くことが大事な「強豪への道」である。あとアウェイで勝ったことないのは…名古屋と磐田くらいかな?

 立ち上がりフワフワした時間帯にガツンと先制パンチをくらい、前半半ばに反攻を開始するもFWがペナルティボックス内の勝負で勝てず、時間がどんどん過ぎていく……磐田戦と同様(というより毎度お馴染み)のパターンに「またか」の思いが沸き上がってきたのだが、しかし今回はツキもあった。まさか、後半開始早々にオウンゴールをプレゼントしてもらえるとは(これならFWのシュート力は関係ない(笑))。勢いに乗った東京はその後も攻撃的守備(←原東京のキーワード)を武器に互角以上の戦いを見せ、そして後半33分。文丈が中盤からゴールライン近くまで持ち上がって折り返し、さらにルーカスがペナルティボックスで粘って中央へ、走り込んできた梶山がズドン!推定速度150kmでゴール右上隅を撃ち抜く、目の覚めるような素晴らしいシュートだった。この一撃でもう一気にお腹一杯、という感じ。ごちそうさまでした!!

 今日一番目立っていたのは、なんと言っても右ウイングで起用された栗澤だろう。石川を剛とするなら栗澤は柔。柔らかいボールタッチ、精度の高いキック、そして的確な判断。サイドに頼れる基点ができたことが攻勢の継続を可能にした。セットプレーキッカーとして使えるのも嬉しい。小柄だが非常に頑張り屋のようだし、まさに東京向きの人材である。また、決勝点をあげた梶山は、相変わらずプレーぶりはオッサンくさいが(笑)よくボールを散らしてチャンスを作っていた。鹿島DFのエグい寄せにも体を張って頑張っているように見えた。ただ、磐田戦の後にけんと君がやたら怒ってたので注意して見てたんだけど、自分のところでボールとられた後にしっかり追わない姿が目立つ。ちょっとどうにかならないものか、と思う。他の若手では、塩田は目立ったミス無し。増嶋は序盤深井のスピードに何度かやられかけたが、時間がたつにつれ落ち着いた様子で、後半はいい読みから前に出て何度もボールを奪った。痛い目に遭わないうちにどんどん「通用する部分」を試していくのはいいことだ。

 一方で、ベテランの頑張りも目立った。原さんも磐田戦の教訓をさっそく生かし、宮沢が途中交代する一方で文丈はフル出場。決勝点はいかにも文丈らしい飛び出しから生まれた。また、宮沢に代わった浅利は球を散らしスペースを埋め奮闘(って、テレビで見てたからさほどしっかり見れてないけど、きっとそうでしょ?)。右SBで出た藤山も、いつも以上の攻め上がりを見せていた。新人・若手が活躍し、ベテランも負けずに頑張る。栗澤の活躍で石川も宮沢もうかうかしてられないし、増嶋が経験を積めば茂庭も安泰じゃない。浅利が良いプレーをすれば今野ももっと頑張らねばならず、梶山が実績を上げればケリーだって先発は約束されない。単なる「若手抜擢」じゃなく、選手個人個人が持ち味を出して刺激し合い、それがチーム力の向上につながっていく。そういう可能性が今日の試合で垣間見えたように思う。その循環を実際に続けさせていくことが原さんの仕事なんだろう。

 あと、忘れてはならないのは、終盤、特に40分過ぎてからはボールをとっても無理に攻撃を加速させないで時間を流そうとしたこと。昨年2ndステージの轍は踏まじ、というチームとしての意図が感じられた。少なくともアウェイや僅差の試合においてはこれは歓迎すべき試みだろう。ここら辺については、次の『東すか』にけんと君がいいコラム書いてます。ぜひ読んでみてね。

 GW直前に「ケリー負傷」のニュースが伝わってきて正直「あ〜あ」と思っていたのだけれど、今日みたいな試合ができるのであれば横浜戦・神戸戦もけっこう期待できそうである。ま、冷静に考えれば今日もFWのシュートは入らなかったのだが(笑)。

 

 夜、渋谷クロスタワーの「東天紅」でお食事会。以前ここはテーブルの上で皿をぐるぐる回すいかにもな中華料理を出していたんだが、久しぶりに行ったら1人1皿ずつ出てくる形式に変わっていた。これは前の方が良かったなあ。味はすごく良かっただけに、ちと残念だった。


4月28日(水)

 GW前、ですか。仕事をとっとと済ませて世間並にウキウキしたいのはやまやまなのだが……。

 

 夜、日テレで日本代表親善試合。チェコ 0−1 日本。いや、ここ数試合のていたらくに比べてずっといいサッカーを見ることができた。少なくとも前半は、スコアだけでなく内容も日本の方が上だった。後半もしっかり我慢して結果を残したし。好調な国内組FWと地味だが能力十分のDFをちゃんと先発させて、それに実績がありコンディションも問題ない欧州組MFを加える。まっとうなメンバー選びをすれば欧州の強豪相手でもこのくらいやれることがわかったのは大きな収穫で、自信をつけた選手も多いに違いない。

 前半見ていて思ったのは、日本はコンディション良好の小野が加わると全く別のチームになる、ということ。パスの正確さ、多彩さ、そして緩急をつける巧みさ。苦しい時に最も頼りになるのはもちろん中田なんだけど、チーム全体のサッカーの質を上げるにはやっぱり小野が必要なのだ。そして今日は彼に加えて、稲本も守備に展開によく働いていた。前に横にターゲットが揃っているメンツならばこのコンビがフィットするということなんだろうか。また、久保・玉田の2トップはボールの収まりが良く、スピードでは完全にチェコDFを上回っていた。勝負してかわしてシュート!「日本の選手は個として弱い」なんて誰が言ったんだ(笑)。一対一でも全然勝ってたぞ。あと忘れてならないのは、もちろん3バック。ピンチの数はけっこうあったものの、最後の最後体を寄せることで際どく押さえきるのに成功した。特に田中誠の判断力は、宮本と比べても決して劣ることがない素晴らしさ。あ、もちろん楢崎も良かったっす。

 チェコの方は序盤こそキレのいいパス回しとフィールドの左右を広く使った展開から何度もチャンスを作っていたが、途中からはネドベドが孤軍奮闘しているような状態になってしまった。全体的にやや鈍重な感じ。日本をなめていたというのもあるだろうし、つい最近無敗記録が止まったらしいので、もしかしたら調子は底に近かったのかもしれない。まあ終盤はけっこう必死めの猛攻に出て、楢崎が当たっていなければ少なくとも引き分けには持ち込めたのだろうけど。

 しかし、この試合で一番驚いたのはジーコのまともさだな(笑)。先発メンバーも妥当(いつものパターンなら柳沢を使うところ?)で、これなら国内組のモチベーションも変に下がることはなかっただろう。試合中もちゃんと声を出して指示出していたみたいだし(通訳のキャラがいきなり変貌してたし(笑))。さすがにケツに火がついたのだろうか。ま、今回は高原や俊輔の怪我という巡り合わせもあったわけで、欧州で試合すれば欧州組のコンディションが整うのも当然っちゃ当然。ジーコの采配自体が改善しているのかどうかはこの試合だけではよくわからない。ただ、1つだけ言えるのは、アジアカップやW杯予選は決して欧州で行われないということだ。

 3日前にこういう結果が出ちゃって、この集会もちょっと盛り上がりに欠けるかもしれないね。


4月27日(火)

 サポティスタ経由でこういう記事を読んだ。騒ぎになった当時クラブへの批判をちょこっと書いた身としては、「おいおいちょっと待ってくれよー」と思わないでもないし、この人の「大人の関係」という言葉の使い方は正直あまり好きではない。ただ、あの時確かに「おかしいんじゃねえか」という声は少数だったように記憶しているし、こういう取り上げ方をされてしまうということ自体について色々考えさせられてしまう。少なくとも、「他者」から見て「無批判な受容」に見えてしまっている、という事くらいは意識しておいた方がいいんだろうね。


4月26日(月)

 DVDでピーター・ジャクソン監督『ブレインデッド』観る。うーむ、これは、何とも…。ノリは『バッド・テイスト』とあんまり変わらないんだけど、スケール10倍、残酷度100倍、血糊の量1000倍(笑)。興味は引かれつつもスプラッターが苦手なので敬遠していたこの作品、いざ観てみるとホラーとはかけ離れた「人体破壊コメディ」だった。随所にキレのいいギャグが散りばめられていて、100分飽きずに楽しめることは間違いない。教会のシーンやゾンビに食事を与えるシーンなんてサイコー。ただ、カンフー神父の活躍が少なくて残念だったのと、最後の15分くらいはさすがにグロすぎて気持ち悪くなったかな……。まあ、ケッサクです。

 しかし、こんな一般人に激しく拒絶されそうなオタク向け作品を作っていたピーター・ジャクソンが、オタクの大古典『ロード・オブ・ザ・リング』でアカデミー賞を完璧に制してしまうのだから、世の中そう捨てたもんじゃないと思ったね。


4月25日(日)

 新緑の季節。草木の色が実にきれいだ。晴れた日に歩いていて幸せを感じるこの頃。いや、「草の匂い」とかは苦手なんですが。

 

 夜、テレビ東京でサッカー日本代表親善試合。ハンガリー 3−2 日本。後半30分までは全く見所のない試合。「このまま0−2で終わればジーコの首もいよいよ…」と不埒な考え(笑)が頭をよぎったのもつかの間、本山・玉田・久保が狂ったようにキレたプレーを連発して連続得点。「これはまた何とも微妙な結果になったな」と思ったのもまたつかの間、終了間際にあっとびっくり(いや別に驚くことじゃないか)のPKでハンガリーのサヨナラ勝ち。いや〜、何と後味の悪い。

 後味の悪いと言えば、磐田勢の使い方もね。コンディション悪いのわかってるだろうに先発で全員出して後半途中まで引っ張って、無駄に悪い印象を残しちゃった感じだよね。まあ藤田と福西は(いないと中盤足りなくなっちゃうから(笑))仕方ないとして、西は途中出場でも生きたと思うんだけど。順番のせいで本山・加地が異様によく見えたっつーか。いや、実際2人とも良かったとは思うのだが。あと、三都主は天地がひっくり返っても代えられない選手なんでしょうな、あの監督にとっては。代えたら通訳がいなくなっちゃうから(笑)。

 さらに後味の悪いと言えば、試合後のジーコ。玉田がハンガリーと交換して持ってたユニフォームをもぎ取ってレフェリーに投げつけてやんの。「お前らハンガリー人だろ!」っていう意味ですか。なんだそりゃ。もう笑うしかないというか。いや、笑ってる場合じゃなく、あんな人間が日本「代表」の監督をやっているという事実をもっと重く受けとめなきゃいかんのだろうけど。いくら気に入らない判定があったっつったって、「親善試合」であれをやるかね、ほんとに。クビだ、クビ。

 テレ東の中継は、久保田アナも調子を取り戻したらしく、安心して観ていられた。今日のラモスは「もったいないオバケ」(笑)になってましたな。「もったいないー」「もっと丁寧にー」ばっかり。どうせなら「ハート足りないよ、魂こもってないよ、ジーコ!!」って爆発してくれればよかったのに(けっこう怒ることは怒ってたけど)。


4月24日(土)

 昼間、赤坂界隈を散歩。というか犬のお供(笑)。

 

 テレビ朝日で女子サッカーアテネ五輪予選。日本 3−0 北朝鮮。サッカーの魅力がギュッと凝縮された試合。緊迫感、面白さ、そして心を揺さぶられた度合い。あらゆる意味で今年の(現時点での)ベストゲームだと思う。

 全てのポジションにおいて、一対一の身体能力という点では北朝鮮選手が上のように見えた。だから試合の「形勢」ではどうしても受身に回らざるを得なかったのだけれど、でも日本の選手たちはあくまで冷静に、かつ懸命に90分間戦い続けた。ピンチでは最後までねばり強く、チャンスでは思い切り勝負!メリハリがはっきりしていたのも良かった。北朝鮮もガンガン攻め続けたんだけど、やや一本調子すぎたかな?先制されてちょっと焦った上に青い大観衆が(あるいは赤い応援団も?)プレッシャーになったか、クロスやパスのミスも目立った。オウンゴールをしちゃった12番の選手の、悲痛な表情はちょっと忘れがたいな。

 今日の日本代表に関して忘れてはならないのは、個々の体格・体力で上回る相手に対して組織力で対抗し、にも関わらず選手が個性をきちんと発揮して勝利したこと。大谷の得点感覚、荒川の勝負意識とDFを読む能力、川上の運動量、澤の統率力、酒井のポジショニング、矢野のタコのような絡みつき、磯崎の気迫、etc。「組織と個性は決して相反しない」事をこの上ない形で示してくれたと思う。これぞチームプレイ。上田監督はいい仕事したねえ。そして、それに加えて、サポーターの心のこもった応援との「一体化」も。男子のA代表において失われつつある最も大事な要素たちが、今日の国立にはあったのだ。

 いや、ホント、こんなに素晴らしいゲームを見せてもらえて、僕たちサッカーファンは彼女たちに心の底から感謝せねばなるまい。選手たちもすごくすごく嬉しそうだったし、これこそまさに「幸せな結末」。おめでとう!!

 

 夜、赤坂見附駅前「つぼ八」の飲み会に顔を出す。最近人の名前と年齢を覚えるのがホント苦手になってきた。皆さん、悪気はないんですよー!


4月23日(金)

 午後、東京都現代美術館で『YES オノ・ヨーコ』展。ほとんどの作品、特に映像関係はピンとこないものばかりだったけれど、初期の「インストラクション・アート」群はなかなか面白かった。特に『青い部屋のイヴェント』は素晴らしく、文字として記された言葉と人間の想像領域との境界線を曖昧にするような、あるいはその曖昧さを指摘するような妙な感覚を体験できる。あとは『ほほえみの箱』かな。ありがちなコンセプトだけど、ああいうものは好き。

 帰り道、「三ツ目通り」を真っ直ぐ、両国までのんびり歩く。平らで格子状の街並みが延々と続いて、僕たちが「東京」と聞いて連想するものとは異質の風景を味わう。街歩きはどこに行っても楽しいものだ。

 

 夜、新宿西口の「東方見聞録」で今の仕事場の歓送迎会。先週のこともあるので、そりゃあ気をつけましたよ。ビールと赤ワインを少々。つまみは美味しかったけど、豆腐ものばっかり(「月の雫」の系列店だからねえ)だったので量的にはちと物足りなかった。

 で、2次会は「甚八」なる居酒屋で。1次会の反動で寿司とチャーハンとうどんを頼む。我ながらわかりやすい空腹っぷりであった(笑)。


4月22日(木)

 安彦良和著『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(角川書店)6巻を読む。セイラさんのドロップキックサイコー。ランバ・ラルが死んで、これでストーリー全体の4割くらいまで来たかな。まあ、もう1回宇宙に出てからが長そうだから、あと3〜4年は楽しめそうである。


4月21日(水)

 夜、テレビ東京で五輪代表親善試合。ギリシャ 1−1 日本。終了間際に追いつかれたのでどうしても印象が悪くなりがちなのだが、テストマッチとしては満足のいく試合だったのではないだろうか。「レギュラー」と断言できる選手の1人もいないDFラインで試合に臨んだこと、さらには地元のオーバーエージを含む代表相手ということを考えれば、1失点は上出来である。つーか、あのロスタイムの長さはどう考えてもおかしいだろ(笑)。攻撃にしろ中盤にしろ様々な選手を試すことができたし、本番に近い気候や芝を体験することもできた。あと1点くらい取っていれば万々歳だったのだが…まあ本番は先ということで。

 田中達也や今野・石川は相変わらず頼りになるし、高松・鈴木啓太・徳永といったところも計算が立つ様子。大久保は守備を気にかけすぎたか?茂庭は、両脇が両脇だけに、すごく頼もしく見えた。北本は最後直接失点につながるミスをしちゃったし、ちょっと苦しい立場かな。評価が難しいのは松井・山瀬の両トップ下か。2人とも、替えがたい特徴があるんだけどそれをチームの中で生かし切れてないんだよね。

 今日の中継はテレ朝でもなくTBSでもなく、つまりは角澤でもなかったので安心して観られるかと思ったのだが、しかし久保田アナがいつもよりトチリが多く、カメラの前を人が何度も横切るシーンもあって不出来な中継となってしまった。さらに画面の右上には邪魔なことこの上ないテロップが。「田中達也のゴールで先制 日本、メダル見えた!!」……テレビ東京よ、お前もか。まあ、ピッチレポーターが僕たちの水原恵理さんだったので、許すけど(笑)。

 あと、解説は浅野さんとラモスだった。ラモスは、相変わらずほとんどの話が「ハート」「気持ち」「愛」「心をこめて」といった結論へつながっていくのであった。あそこまで行くと皮肉や冗談抜きでスゴイと思う。数少ない「尊敬すべき親父」……かな?


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