10月20日(月)

 夜、遅い夕飯をとりながらJスポーツでラグビーW杯を後半だけ。スコットランド 39−15 アメリカ。後半に入ってからしばらくスコットランドがもたついたために点差こそ開かなかったが、まあ順当勝ちといったところか。アメリカはタックルが高く、終盤には外へ振ってからボールキャリアーがカットインするとすぐにDFラインが乱れてしまっていた。攻撃でもノックオンの多さが非常に目立つ。フィジー戦の時はもっといいラグビーをしていたらしいが、2戦目で既に消耗が進んでいるとすれば、これは日本にとって勝たなければならない相手と言えるだろう。フィジー戦でミラーが壊れさえしなければ何とかなるのではないだろうか。

 

 昨日、つれと電話で「FC東京は経済的にも右がストロングサイドだ」という話で盛り上がった。まあ、要するに最近増えてきたギャルサポ(歓迎)が着込んでいるレプリカを見てみると、石川・加地が圧倒的な人気を誇り、それに続くのが馬場君といった感じになっているというそれだけの話なんだが。グッズ収入って大きそうだもんね。しかし、阿部ギャルや戸田ギャルがいないのは、そりゃそうなんだろうけども、個人的にはいささか寂しいような(笑)。アマは全般的に人気で、石川・加地・馬場は女性に、宮沢・土肥・ケリー・文丈・ジャーンは子供に人気。茂庭・戸田・阿部・規郎は野郎の、浅利・藤山はオッサンの声援を浴びる、と。そう考えるとけっこうバランス的にいい感じになっているのかなとも思う。あ、金沢忘れてた(笑)。すまん(笑)。


10月19日(日)

 競馬の秋華賞(G1)はスティルインラブが中断待機から差しきり、メジロラモーヌ以来の牝馬三冠を達成。オークスから無事に夏を越え、さらに前哨戦敗退からきっちり立て直してきたことの見事さもさることながら、非常に好内容のレースぶりが光る優勝だった。ペースを見て3コーナーで仕かけ、4角大外から前の馬をごぼう抜き。徹底マークで挑んできたアドマイヤグルーヴの追撃もガッチリ押さえ込んで、全く堂々たる勝ち方であった。素晴らしいの一言。

 で、普通なら「次はエリザベス女王杯だ」「来年は牡馬にも挑戦だ」と書きたいところだが、「牝馬三冠」という偉業はただそれだけで一頭の馬が背負う名誉としては十分すぎるようなものであるように思える。あとはエリザベス女王杯で顔見せして、有馬は回避してそのまま繁殖に上げてあげるのがいいんじゃないだろうか。…などと書いてしまうあたりが「枯れた」競馬ファンになってきちゃってるよなあ、我ながら。

 

 録画で、ラグビーW杯ジャパン2戦目。フランス 51−29 日本。善戦。よく頑張っている。前回の平尾ジャパンの時は春のパシフィック・リム優勝でファンの期待がパンパンに膨らんだ状態になって、でも本番ではチームとしてのピークが過ぎてしまっていた。今回は全く逆で、豪州A代表戦でのへたれぶりが嘘のようにチーム状態が良くなっているように見える。今の監督の持っている引き出しと現有戦力の範囲内では、おそらくピークに近い力を出せているのだろう。現地の観客にもウケているみたいだし、国内メディアの取り上げ方も(量は少ないにせよ)おおむね好意的な様子。「戦いぶり」の良さはきちんと評価してあげるべきだろう。

 ただ、スコットランド戦同様、リードを奪って粘る展開に持ち込めなかったので、勝負という意味ではやっぱりまだまだという感じである。あくまで「健闘」止まりというか。スコア的には今回の方が接近(後半5分で1点差)していたが、どちらかと言えばスコットランド戦の方がまだ勝てる可能性は大きかったかな。前半後半それぞれ開始直後に日本がPGで先手をとりながら、その直後に2本ずつ連続トライをとったフランスはさすがに勝負所がわかっているというか、そういう部分でのギャップが大きいのだと改めて感じた(無論、こうしたことがわかるのも日本が「本気の」勝負に近いところまで頑張ったからだが)。逆に言えば、あそこで点をとられなければ、世界のどこと戦ったって勝機はある。

 攻撃では、前半にとったコニアのトライシーンが光った。単純な外への回しの速さでは、もはや日本が世界をリードしているとは言い難い。優れたパス能力を生かすには伝統工芸的なムーヴに加えて緩急・長短といった変化をつけなければならないのだが、あの場面ではリズム・攻撃ポイントの見事なまでの転換が見られた。フランスのDFラインが一瞬フリーズするほどの(それでも反応して食い下がったドミニシは凄い!)鮮やかさ。あれがいいところで出せるようだと、快速WTBもより生きてくるに違いない。あと防御の方では、大久保のタックルの素晴らしさはホントほれぼれするほど。他のFW、それからCTBあたりもあまり問題はない。HBとバックスリーが弱くなるのは、攻撃力とのトレードオフである程度は仕方がないのかな?実に19得点をあげたFB栗原(さすが日本3大キッカーの1人)だが、防御の方ではフランスのトライシーン6つのうち3つでタックルミス。つくづく起用法の難しい選手だと思う。

 で、ガツンと胸を張れる試合2つを見せてくれたのはいいのだけれど、問題はこのあと2つ。フィジー・アメリカに連敗してしまったらまた元の木阿弥である。日程は急に厳しくなり、中3〜4日の連戦が続く。春から様々なメンバーを試さざるを得なかったのがかえって吉と出たか、フランス戦で先発を8人入れ替えてもほとんどチーム力は落ちず、うまい形で試合をこなすことができた。今のところチームとしてのやり繰りはうまく行っているように見える。今度求められるのは「健闘」ではなく結果だ。さらなる「向井ジャパンのベストゲーム」で白星を2つ持ち帰ることができれば、これまでの戦績に関係なく「史上最強ジャパン」の誕生と言っていいだろう。期待したい。


10月18日(土)

 当然二日酔いな訳だが、午後に東京の試合があることを思い出して必死こいて起きる。

 出かける前に風呂に入ったら、尊雪邸の外付けジェットバス機が新しくなっていた。風呂の底に敷いてある板からボコボコすごい勢いで泡が飛び出してくる。うーむ、これは……血行むちゃくちゃ良くなりそうな感じである。我が家の風呂とでは、体のポカポカ感が明らかに違う。すげーいい感じ。1回しか入れなかったのが残念。オヤジ村田的には、夜朝昼と3回くらいは入って帰りたいのだが(笑)。

 1時前に尊雪邸を辞し、町田から横浜線で橋本まで出て、京王線に乗り換えて調布→飛田給へ。キックオフ直前「You’ll Never Walk Alone」の流れる中スタンドに到着。

 

 で、お馴染み「勝てば天国、負ければ地獄」(順位がどうのじゃなく、サポーターの心境として)の浦和戦。FC東京 1−1 浦和レッズ。……どうなんすかねえ、この結果。浦和側にしてみれば「勝点3取り損ねた試合」なんだろう。確かに、負けなくて良かったという気持ちはある。でもなあ…後半20分くらいで足が止まってから、馬場投入までの15分間。あそこがいかにももったいなかったというか、「押し込まれたけど頑張った」というより「浦和の攻勢を放置」って感じに見えたんだよなあ。「勝てた」とはとてもとても言えないが、残り試合数と勝点状況を考えたらここは勝負所だったのではないだろうか。

 浦和は相変わらずオフト的タスク・サッカーを見事に具現化してましたな。自陣で人数かけて相手の攻撃をがんじがらめにして、ボールを取ると前の3人にストレート・パス!持ち味はよく出ていたし、「みんな、頑張って自分の仕事をこなしましたね。ご苦労様」という感じか。選手交代がなかったのも、引き分けという結果も、いかにもオフトらしかった。ただ、以前と比べると中盤の底に長谷部・鈴木啓太という技術が高く前が見える選手を置いた分、速攻が止められた際の展開にやや味を増していたように感じられた。山田にはやられる気がしなかった(頑張ってたけどね)が、鈴木啓太はいつ飛び出してくるのかとても怖かった。あと、エメルソン、やっぱりあいつ人間じゃねえ(笑)。ボールがゴール内へテレポーテーションしたかと思ったぞ。なぜヨーロッパのクラブからオファーが来ないんだ?

 東京の方はイマイチの出来というか、守備陣、特に茂庭はコンディション悪そうだったね。アフリカとか行ってたんだから、そりゃ疲れてないはずないわな。11月頭にちょっと休めるはずだが、次の清水戦がいささか心配だ。前半の浦和の守備の堅さを見て、ハーフタイムに「入れるなら宮沢のミドルかセットプレーだな」と思ったのだが、まさかオウンゴールとは(笑)。後半20分で文丈→浅利の交代があって、残り25分宮沢がもっと前に出て浦和の5バックの前のスペースを攻略してくれるかと期待したんだけど、でも上がれるようになったのは試合終了間際になってからだった。やっぱり、もっと早くフレッシュなアタッカーを入れて(石川もアマもバテてたし)ボールを引き出させた方がよかったのでは。

 とにかく、何とな〜く納得がいかないドローだったので、ちょっと欲求不満気味。つーわけで、清水行き決定である。次は加地が出られないの?右SB藤山?それもちょっとなあ…。

 観戦記は、こちら

 

 夕方、渋谷の「ごまや」で夕食をとる。胡麻の葉チャーハンはとてもおいしいのだが、こげた葉っぱがひじきみたいでビジュアル的にはとても気持ちが悪い(笑)。

 夜、赤坂に出て居酒屋「いっこん」で飲む。焼酎のボトルを空けながら、「アテネ五輪の会場建設が間に合わないらしい。トルコと共催してはどうか(そりゃ無理だ)」「北京五輪では中国15億人民の中から選抜された超人たちが次々と世界記録を塗り替えるに違いない。100m8秒マラソン1時間50分とか(笑)」といった馬鹿話。


 帰ってから、Jスポーツでロンドン・ダービー。アーセナル 2−1 チェルシー。クレスポの豪快ミドルシュートには(昼間のエメと同じくらい)度肝を抜かれたが、個々の能力はともかく、チームとしての成熟度はアーセナルの方がずっと上(当たり前か)。速攻が冴え、チェルシーに全くと言っていいほどペースを握らせなかった。チェルシーは攻撃の選手に金をかけるのもいいけど、冬に補強すべきはDF、特にSBだろう。あんだけ抜かれまくったら勝負にならんよ、ホント。


10月17日(金)

 夜9時前まで仕事をした後、町田へ。一緒に中国・東欧・京都を旅した戦友(笑)亀山君がロンドンへ転勤してしまうので、送別会をするのである。

 小田急線の中、サッカーダイジェストで小林成光のインタビュー記事を読む。今年になってもまだ足を引きづってるなあと思っていたら、やっぱり再手術してたんだね。そもそも怪我自体が相当な重傷だったらしく、医者からは復帰は「100%無理」などと言われたそうだし、本人は命の危険まで感じていたようだ。僕も「バイクでこけたらしい」と聞いた時には「バカタレが!」と叫んだもので、まあ実際大バカな失敗だったとは思うのだけれど、でもそこまで苦しんでいたとは知らなかった。いやスマンかった、小林よ。リーグ戦に復帰した時には盛大な拍手で迎えるから、どうか勘弁してくれい。ずっと待ってるからさ。

 10時半頃佐々木尊雪邸に到着。今回のテーマ(ここの宴会、というか尊雪先生の作る料理には毎回テーマがあるのだよ(笑))は「海老」。いや、海老と茄子(だっけ?)のあえものから蓮根のはさみ揚げにゆで海老にパスタにライスコロッケと、どれもおいしゅういただきました。恒例のドンペリも一本空けたけど、個人的には大好きな赤ワインのすごくおいしいヤツがあったのが嬉しかった。とか何とかやっているうちにすぐ酔っぱらってしまい、大した話もしないままつぶれてしまったのであった。見ていた人によれば「スイッチが切れたように」眠りに落ちたそうだが、もちろん本人は全く覚えていない(笑)。

 亀山とは握手して分かれる。まあ、次はロンドンで会えればいいね。チェルシーの試合見たいし。


10月16日(木)

 午前中、新宿ピカデリー1で北野武監督『座頭市』観る。ダメだ…。期待が大きかっただけに落胆もまた大きい。市や服部(浅野忠信)の人物造形、切れ味と重厚感を両立させた殺陣、そしていかにも北野監督らしい無邪気さを醸しだすシーン。パーツとしてみれば魅力ある部分は多いのだけれど、それをつなぐ物語の描き方がどうしようもなくダメな感じである。一部見られる学芸会並の台詞回しは置いておくとしても(笑)、全体として冗長すぎ(回想が多すぎ)るし、千葉ちゃんが批判していたように「海外ウケ狙い」と思えるような演出も多かった。踊り関係については基本的にいらないと思えたし、家の周りを大声出して駆け回るデブなんて単にウザいだけだろう。善人がほとんど死なずに「何となく」丸く収まってしまうのもいかがなものか。ま、それでも、市が扇屋に殴り込んでからの展開は(驚愕のオチも含め)なかなか魅せたので、そのまま終わっていればそれなりの作品と思えたのかもしれないが……ラストシーンが説教くさかったのでやっぱダメだわ(笑)。武さんはアクション監督としての才能は間違いなくあるのだから、尺は90〜100分くらいでとにかくテンポを大事にしてほしい。晩年のクロサワの境地に至るのはまだ早すぎる。「用心棒」の頃の黒澤明の方向へ行ってほしいものだと、つくづく思うのである。


10月15日(水)

 今日は仕事は23時前まで。このくらいに帰れると「早い」と感じるのだから感覚狂っとるわな。

 夜中、JスポーツでUEFA杯。ドニエプル 3−0 ハンブルガーSV。ハンブルク、弱かった。余程調子が悪かったのか、それとも実力がこんなもんなのか。全体的にあまりにもプレーが粗すぎ雑すぎである。効果的な攻撃と言えば、右サイドのマハダビキアのドリブル突破(でもいいクロス上がんないから結局駄目)と、あとは高原の足下にいい角度でボールが入った時くらいかな。高原も見かけによらず個人の能力だけで打開できるほどの強靱さはないプレーヤーだから、こうなると非常に苦しい。ディフェンスもマークが緩くて緩くて…。対してドニエプルは奇をてらわずまとまった、そしてホームらしい攻撃的なサッカーで圧勝。ヨーロッパで「2流」以下と言われるような国でもこういうチームを排出するのはさすが。


10月14日(火)

 夜中、ビデオで藤井謙二郎監督のドキュメンタリー『曖昧な未来 黒沢清』。アップリンクから出てるテキスト版の方にエッセンスは収録されているので、発言内容とかには目新しさは感じなかったのだが、しかし映画の撮影風景(特にカメラ回す前の段取り)ってのはやっぱり面白い。何か狙いを定めてそこ目がけて投げたり当てたり働きかけたりする場合、世の中にはぴったりピンポイントで合わなければ気が済まない人間と、結果として「だいたい」いい位置に落ち着けばそれで良しとする人間とがいると思うのだけど、黒沢監督は明らかに後者(タイトルの「曖昧な」ってのはそういう意味でしょう?)。だから「どう考えてもドキュメンタリーとフィクションの区別はない」というような発言が出てくるのだろう。そこが受け入れられるかどうかで、彼の制作姿勢に対する共感度か決まる。そう言えば、黒沢さんの発言・著作の中に「超完全主義者」スタンリー・キューブリックの名前が出てきた覚えがないんだよね。


10月13日(月)

 今日も午後から24時過ぎまで仕事。誰か、俺に「のんびり」という言葉の意味を教えてくれ(笑)。

 昼過ぎに家を出たら、バケツをひっくり返したような、いやそれ以上のもの凄い豪雨。風も強く、傘をさしていたのにわずか30秒ほどで全身びしょ濡れになってしまった。必死の思いで渋谷駅までたどりついたら、乗り込んだ瞬間に山手線止まってやんの。仕方なく、銀座線→丸の内線と乗り継いで新宿西口へ。が、着いた頃には雨が上がって雲間から日差しが差し込んでいた。何なんだ、いったい(笑)。これも熱帯化の一つの現れなんだろうか?

 

 これって、何だか切ない話だよねえ。森島のいない今の代表において、藤田にしかできない仕事というのが絶対にあるはずなのだが。


10月12日(日)

 昼頃出かけ、仕事場へ。夜の9時過ぎまで働く。

 

 夜、Jスポーツでユーロ2004予選最終節。トルコ 0−0 イングランド。いや、テレビで見てるからかもしれんが、スタジアムの雰囲気が思っていたほどではなかったような。あれくらいならイングランドは普通にやれるだろうし、むしろトルコの選手の方が我を忘れてしまっている(ニハト除く)ように見えた。ホームチームとして今回ほど絶好のシチュエーションは2度とないとさえ思えるのだが…。トルコ側からは事前に随分威勢のいい発言が飛んでいたようだが、思えばそこからして舞い上がり気味、よそ行きの姿勢になっていたのかもしれない。怪我しているはずのハカン・シュキュルが平気な顔で出ていたり、ペナルティ・エリア内の泥んこ・トラップにかかったベッカムがPKを超大失敗(笑)したり、接触時にトルコDFからは鹿島ばりの汚い手足が出たり、イングランドにしてみればイラつく要素は大いにあったのだけれど、でもそこは経験の賜物か、最後まで自分のペースを守りきったのはさすがである。

 そして、こういう試合のベッカムは、ほんとシビれさせてくれるのだ。中継の中で倉敷アナが言っていたように「世間が騒げばそっぽを向くが、世間に叩かれれば擁護せずにはいられない」のが隠れベッカム好きの典型だが、まあ僕もその一員であることは間違いない。何て頼もしいキャプテンなんだろう。プレーにしても、振る舞いにしても。あ、でも、だからこそ皆が褒めるであろう今回は悪口書いとかなきゃいけないのか(笑)?

 

 夜中、録画でラグビーW杯。日本 11−32 スコットランド。うーん…微妙だ…。善戦であることは確かだ。今年に入ってからのジャパンの戦績を考えれば信じがたいほどの大健闘だし、過去5回のW杯の中で最も熱い戦いをした試合と言ってもいいかもしれない。でも、惜しいところまでいっただけに、大魚を逃したというか、「何とかならなかったのだろうか」という気持ちが残ってしまう。

 日本は苑田・ミラー・栗原をベンチに置いて辻・広瀬・松田を先発させる守備的な布陣。これが当たった。HB団が抜かれないことでDFのマーキングのずれが激減、LO・バックロー・CTBのタックルが高い確率で決まり、スコットランドの強力FWに容易な突破を許さなかった。先制されながらも食い下がり、9点差でハーフタイム突入。後半になってからもピンチをしのぎ続け、そして鮮やかな、世界のどこに出しても恥ずかしくない見事なパス展開から小野澤がトライ。この時点でスコットランドは完全に冷静さを失っている感じで、「これは、もしかして、ひょっとすると、」というアップセットの期待が高まったのだった。……が、終盤にDFの足が止まってきたところで3連続トライをくらって撃沈。「あと一歩」という結果に終わった。

 悔やまれるのは、まず試合の入り方がとんでもなく悪かったこと。最初の日本ボールのオープン攻撃で、緩慢なパス回しからいきなりノックオン。その後も開始5分までにもう1回イージーなノックオンがあり、さらにターンオーバーしても慌てて後ろに戻そうとしてあっさり取り返されたり。あの時間帯に2トライくらったのが痛すぎた。過去、日本代表が起こしたアップセットはリードする展開で逃げ切ったものばかり。今日は結局1度もリードを奪えず、典型的な「健闘試合」パターンに陥ってしまった。

 あと、選手交代も、ちょっと戦況とはズレてしまったような。大久保・松田は後半だいぶ足に来ていたけど、外れる直前にその2人のところで得点につながる決定的なプレーをされたんだよね。残念ながら、一歩遅れた交代となってしまったように見えた。前半極めて正確なスローをしていた網野を外したのはなぜだろう(怪我?)。坂田が出てきた時、思わず唸ってしまったのは僕だけか(笑)。辻が頑張っていただけに、ミラーを出す際に必ず苑田を出さねばならないこともやはり納得いかない。あとは栗原……森末さんにも指摘されたことだが、彼の、攻撃はともかく守備には大きな難点があるよね。慶応の頃から運動能力の高さとハードタックルで将来はジャパンのDFの核にもなってくれると期待していたのに、どうしてあんなタテ方向ばかり強くて横に振られるとメタメタな選手になってしまったのか。

 まあ、それでも、先に希望が見える戦いぶりだったのは間違いない。DFの粘り(特に辻と大久保と元木!)はもちろんのこと、ラインアウトはかつてないほどの獲得率だったし、攻撃の方でも(序盤のバタバタぶりを除けば)いい形が何回もできた。タイプの異なるHBの組み合わせが確立できたのも大きな武器だろう。問題は、今後3試合をどういうペース配分で戦っていくかだ。次のフランス戦は、相手もそれなりにメンバーを落としてくるにせよ、正直言って勝つのは苦しい。大敗で世界に恥をさらすのを覚悟でこちらも控え中心で臨み、フィジー・アメリカ戦に賭けるか?しかしそれでチームのモラールは維持できるのか?ここが向井監督にとって、ジャパンの監督として最大の腕の見せ所になるのかもしれない。


10月11日(土)

 午後起き出し、居眠りしつつスカパーでダラダラとW杯観戦。

 まずはニュージーランド 70−7 イタリア。NZ、強かった。もう個人の力は昨日のオーストラリアと比べても段違いで、スコア通り6カ国対抗メンバーの一員たるイタリアを粉砕してしまった。ただ、何つーか、ピッチのスペースを埋める感覚には乏しく、ラインを縦に突破して前へ前へ進むラグビーなのは前回大会と変わらない。どこかが(どこだ?)やはり前回のフランスみたいなかき回し方をできれば、つけいる隙はある…かもしれない(笑)。ま、このまま最後まで粉砕し続けてしまう可能性の方が大きいような気もするし、唯一がっぷり四つに組めそうなイングランドに対しては地の利もあるし、優勝候補ナンバーワンには違いないだろう。

 続いてアイルランド 45−17 ルーマニア。うーむ、ルーマニアもFWが強くて健闘したんだけどねえ。「番狂わせの起こりにくい」ラグビーの(悪しき?)特徴は大会ごとにますます強化されているように思える。アイルランドは、やはりCTBオドリスコルが攻撃で光っていた。ただ、彼の走りは強靱だし加速力はあるんだろうけど、突破してからの伸びに乏しいみたいで、「こりゃトライ行けるだろ」っていうシチュエーションでもけっこうつかまってしまう。フォローで受けて走りきれちゃうWTBあたりがほしい感じ。

 途中、ちょっとチャンネルを変えてJ2を見る。新潟 4−1 山形。結果は圧勝ながら、新潟はやはりちょっと失速してきているのかもしれないと思った。戦いぶりに余裕がないというか。外国人頼みになってきてるし。ま、プロフェッサー反町もそろそろ勝点リアリズム主義に移行してるっぽいので何とかなるだろうし、あのオレンジ色の4万大観衆を見ると是非何とかなってほしいものだと思う。

 

 夜、家で寿司をつまみながら、フジテレビの中継を見る。ルーマニア 1−1 日本。楢崎のコンディションが悪いのか、先発GKは川口能活。開始からなかなかルーマニアがシュート打たないので、「ああ、これは能活がポカする流れだなあ」と思っていたら、案の定(笑)。あれは坪井がクロスのコースを切ってるんだからニア抜かれちゃいかんだろう(坪井も両手を上げて「なぜだ!?」というジェスチャー)。まあアウェイだし、シュートの雨あられになるんだったら能活でも悪くないとは思うのだが……使わないのなら土肥ちゃん選ばんでくれ。

 試合の方は、柳沢の活躍で日本が追いついて引き分け。ヤナギはホント切れてたねえ。もう1人のFWが好調なら別に「つなぎさわ」でもいいのだが、今日は高原が不調だったので「へなぎさわ」だったらどうしようかと思ったよ(笑)。相手GKのきわどいグッドセーブに阻まれたけど、もう少しで逆転ゴールまで決めるところだった。ああいう風にやってくれりゃ何の文句もありません。

 一方、全体として見ると、やっぱりチームの構築が進んでいない感じである。「出てきてほしいところに出てきてほしいタイミングで人が現れる」ことが(少なくともテレビ観戦では)チームの組織力の目安だと僕は思うのだけれど、例えば柳沢の得点シーンだって、その前パスを出そうとした中田は右サイドを見てるんだよね。大きくスペースが空いてたから。でも、山田はハーフウェー辺りにとどまって上がってこなかった。で、やむなく前に向き直ったら柳沢が絶妙の動き出しをしていて結果オーライ(無論、それでゴールの価値が下がる訳ではないけれど)、と。ああいうところが一番約束事が必要なのに、それが足りない感じだわな。あと、交代のオプションはジーコの頭の中にはほとんどないのだろうか?俊輔を下げて藤田を入れるとか、さっきの右サイドの問題にしてもSBが上がれないのならそこに広山入れるとか、けっこうありそうなもんだけどね。

 フジテレビが試合中ボールの動きそっちのけで「心配そうに戦況を眺める」ジーコの横顔ばっか映してたのでイライラしたけど、一方でプレーが切れるたびに中田が各選手に指示を出して仕切りまくり(今日は宮本がいなかったのでなおさら)だった姿もよく映っていたので、見方を変えると面白かったというか、テレビ局のスイッチャー的には悪意はなかったんだろうけどもスゲエ皮肉な映像に仕上がっていたような。


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