8月21日(水)

 渋谷駅東口の山下書店は、なんと24時間営業である。1時2時になっても寄れるのはまったくもって便利というしかない。

 

 ビデオで、林海象監督『我が人生最悪の時』観る。少なくとも日本(の物語世界)において探偵とは、あくまで「挫折し続ける者」である。探偵は探偵にすぎず、権力を持っているわけでも肉体的にムチャクチャ強いわけでも圧倒的な武器を持っているわけでもない。事件を自力で解決することなど滅多になく、探偵にできるのは弱き者に対するささやかな手助けや去りゆく者を見送ること、あとはせいぜい散った者の「骨を拾う」ことくらいだろうか。しかし、だからこそ、無力な者の「あがき」こそが、同じく無力な我々観客に共感と静かなカタルシスをもたらしてくれるのである。この映画はそのことをよく分かっているのだろう、脚を撃たれた濱マイクが友人を救うため(おそらく間に合わないと分かっていながら)必死の形相で階段を這いずり上るシーンには胸を打たれた。


8月20日(火)

 朝、家を出たら涼しげな風がやたら心地よかった。もうすぐ秋なのだろう。

 で、さんざっぱら仕事して(飲みの誘いも断って(笑))12時過ぎに仕事場を出たら、夜風は涼しいというよりひんやりしてやや寒いくらい。なんつーか、あっという間なんだなあ、というか。


8月19日(月)

 『Number』556号読了。金子達仁は、またまた嫌われるような書き方をしてるねえ(ただし、今回の彼の物言いにはいくらかの理があると思う)。日本代表特集ではトルシエへの反感と怨念(笑)が出過ぎているようなきらいもあるが、まあ実際トルシエが愛されないパーソナリティなのだから仕方がないっちゃ仕方がない。トルコサッカーの現状を冗談70%くらいの割合で書いた熊崎敬のレポートが秀逸(あほって素晴らしいね)。藤島大の連載は、相変わらずこれだけで510円払う価値はある。早く本にしてほしい(5千円出しても買う)。

 午前1時頃帰宅して静かな部屋でネットにつないだら、いきなり「サンデーサイレンス死亡」とのニュース。ため息。彼がいなければ、僕はダンスインザダークにもスペシャルウィークにもサイレンススズカにもアドマイヤベガにも出会うことはできなかった。感謝の気持ちは限りないが、しかし「ありがとう」「さようなら」と言ってしまうにはまだ早すぎるかも。残された未デビュー産駒は3世代。世界制覇のチャンスは、まだ充分に残されているのだから。


8月18日(日)

 Jスカイスポーツでトライネーションズ最終戦を観る。南アフリカ 33−31 オーストラリア。またしてもラストプレーでの逆転劇。後半20分くらいまで一方的とも言っていい南アペースで、ゴール前での素晴らしい展開から4トライ。しかしそこからふっと南アの気が抜け、しかも度重なるラフプレーで退場(シンビンでなく、レッドカードによる退場)者も出てあれよあれよと豪州が逆転。が、地元大観衆の声援に押された南アが終了間際に再度の猛攻、ラストプレーのホーンが鳴ってからもつないでつないで攻めまくり、最後は根負けした豪州のDFラインがぽっかり空いて再逆転劇が完成した。あくまで泥臭いが、地元になると不思議な底力を発揮する南アの特長は健在。これもフットボール、ということでワラビーズの連覇はあえなく途絶えた。

 この試合、豪州はこれが本当にあのワラビーズかと疑いたくなるほど出来が悪かったが、最近自慢の展開ラグビーが「継続のための継続」に堕していたことを考えれば、まあ(この試合でそうなるかはともかく)予想された結果と言えなくもない。大げさに言えば、一つの時代が終わったかな、と。他方南アはパスを受ける各選手が「このランで抜いてトライをとるぜ!!」というオーラを発していて、ラフプレーを除けばまことに痛快なラグビーであった。2本目と3本目のトライをとったのはいずれも身長が170cmそこそこのバックスで、スピードで豪州DFの大男の脇を抜いていった。あれは絶対日本人にもできるプレーだ。やればできる。

 

 夜、スカパーでプレミアリーグ。リバプール 1−0 アストン・ビラ。マーフィーの中盤でスルスルと相手プレーヤーをかわしていくまさに「つかみ所のない」ドリブルからカウンターを決めたリバプールがまずは堅実に1勝。アストン・ビラのGKの出来が素晴らしかっただけにこの初戦の勝ち点3は大きい。マンチェスター・Uやアーセナルほどの攻撃力はないだろうから、こういう試合を地味に拾っていくことが覇権への唯一の道となるだろう。


8月17日(土)

 夕方、新宿で買い物。高島屋も東急ハンズも人でごったがえしていたが、本当に日本は不況なのか?ヨドバシカメラで『カリスマ』のDVDを買う。

 

 夜、東京スタジアムで1stステージ最終戦。FC東京 1−2 名古屋グランパス。ロスタイムに一発のカウンターを浴び、悔しい逆転負け。3連敗。修正点として攻守・フォーメーションのバランスには気を使っていたようで、ここ2〜3試合に比べると戦いぶりはしっかりしていた。ただ、逆にその意識が勝負所で采配にも迷いを生じさせたようであった。後半半ばで喜名を入れて叩き潰しにかかるべきだと思ったのだが…。2ndステージに入る前に、もう一度コンセプトをハッキリさせることが必要だろう。

 観戦記は、こちら

 J1の1stステージは、結局ジュビロ磐田が優勝。元々ずば抜けてレベルの高いサッカーをやっていたのだから妥当ではある。優勝の立て役者高原は完全に「化けた」様子で、この日も決勝点をゲット。こないだ生で見たときも実に大きく見えたからなあ。勇気の中山、自信の高原。ベテランと若手の組合せでもあり、素晴らしいコンビである。

 2ndステージは2週間後に始まる。横浜はパサーを補強しない限り相当に苦しいだろう。鹿島と磐田がちょっと抜けていて、その下辺りでガンバと名古屋と横浜がダンゴ、といった勢力図になるのかな。東京は残留を確定させた上でこの一角に食い込むまでが現実的な目標になるだろうか。

 

 試合の後、恵比寿に出て「ASO・VIVA!」とかいうカラオケ屋で飲む。僕はカラオケ嫌いだと思われていたそうだが実はそんなことはなく、定番の曲(「HEY JUDE」とか「BE MY BABY」とか「私の16才」(笑)とか)を歌わせてさえくれれば、あとは雰囲気を楽しみつつおとなしくしております。

 帰ってからスカパーでプレミアリーグ開幕戦。マンチェスター・U 1−0 ウェスト・ブロムウィッチ。ユナイテッド冷や汗ものの勝利。ベッカムも変に真ん中で仕切らないのはいいんだけど、もう少し前線に近いところでプレーしないとなあ。得点が2トップ頼りになりかねない。ま、ファーディナントが入るんだから確実に優勝争いはすると思うのだが。


8月16日(金)

 今日は終電ギリギリで、勝負する時間もなかった(笑)。

 

 ビデオで、黒沢清監督『勝手にしやがれ!! 成金計画』観る。いや、これは……。見終わった後にこれほど「映画を観ることの幸せ」感が残る映画も珍しいと思う。素晴らしいの一言。全編メタなギャグで埋め尽くされていてそれはそれで僕の好みだけど(ついていけない人もいるだろうが)、ただのドタバタのみに終わらないところがさすが黒沢である。なんですか、あの最後の数シーンは。あれこそ「映画の神が降りてきた」瞬間だろう。劇場で観ていたら、絶対エンディングの「森のくまさん」は口ずさんでしまっただろうな。


8月15日(木)

 夜の12時前まで仕事してから、今度は「北の家族」で40分一本勝負(笑)。だんだんと時間が短くなっているのが恐ろしい。明日は30分一本勝負とかになるのだろうか。


8月14日(水)

 夕飯は西新宿の「ラーメン杉」でレバニラ定食。前に行ったときも思ったが、「レバニラ」と名乗っている割にはもやしが多すぎるのではないか。

 で、23時半頃まで仕事してから同じ新宿の「まさみや」で、1時間一本勝負。レバー焼きをつまみに飲む(こだわるたちでね(笑))。最近、ほんとレバーが毎日食べたくなる気分。レバー中毒(笑)。体にいいのやら悪いのやら。


8月13日(火)

 NHKスペシャル『幻の大戦果〜台湾沖航空戦の真相〜』を録画して見る。ホラと見栄と希望的観測と未熟と組織的非効率と無責任さがもたらした超誇大戦果。別にこれは戦前日本だけではなく、個々人の心の中では「おかしい、どー考えてもおかしい」と思っていても、集団としてはなぜか突き進んでしまうことってのは今でもよくある話。いい加減な報告・検討から雪だるま式に戦果がふくらんでいく様を足し算の数式を使って表現するNHKの手法が面白かった。

 Jリーグから延長戦をなくしてくれるというその1点だけで、しばらくは鈴木チェアマンを応援していこうと思った。さすがにクラブ経営の現場にいた人間は敏感さが違う。ファンが一番やってほしいことを一番最初にやってくれそうだ。次の目標は1シーズン制導入だな(これだって、本気でやろうとすれば案外早そうだけど)。


8月12日(月)

 ビデオで、ジャン=リュック・ゴダール監督『ゴダールの探偵』観る。どうせジャン・ピエール・レオー出してメタっぽいギャグを散りばめるのなら、いっそ徹底的なドタバタ劇に仕上げてくれればよかったのに。クラシックのBGMや小難しげな詩の引用など、中途半端な気取り方が作品を中途半端にスキゾな方向へ押しやり、つまらなくしてしまってもったいない。どうして楽しくできんかなー。


8月11日(日)

 昼間、ビデオでラグビートライネーションズ第4節。オーストラリア 16−14 ニュージーランド。現地はとんでもない強風だったらしく序盤から両チームがPGを外しまくりで、結果的に「徹底地上戦主義」とでも言うべきワイルドな試合になり、観ている方としては大変面白かった。NZは一時期の「はまればとんでもない破壊力を発揮するが、接戦ではもろさ・粗さを露呈する」というところからは脱してよりソリッドなスタイルに。逆に豪州は時に一か八かのパスも放るようになって、結果、ジャージの色が同じならどっちがどっちかわからないのではないかという戦いになっていた。南半球諸国の今のルール解釈への適応の仕方がある程度固まってきたということか。春の六カ国対抗を見る限り、北半球でもそう状況は変わらないと思われる。となると、次に「新しいラグビー」を提示して均衡を破るのはいったいどこなのか、ということになる。ちょうどW杯でそれが出てくれば最高に盛り上がるのだが。

 

 夕方、NHK−BSでマリノス優勝への最大の難関鹿島×横浜を観る。前半からやたらと鹿島攻撃陣の積極的で活き活きとした動きが目立ち、後半始まってすぐに鹿島が先制。そこから怒濤の反撃を見せた横浜が25分に一旦は追いつくが、その後すぐにディフェンスの凡ミス?(中継ではリプレイ中で映らなかった)からボールを奪った本山があっという間にペナルティエリアへ突入して弾丸シュートを突き刺す。そのまま試合終了。鹿島はとにかくW杯の疲労から回復しつつある選手たちが元気(ヘナギ除く)で、例年通り2ndステージは優勝争いに絡んでくるのではないだろうか。マリノスの方は個々の能力は高いが「人を使う」選手がいかにも不足しているという感じで、14節にして2位転落。前代未聞の大型補強もついに実らずか?まあ、最終戦というのは実力云々関係なしにわからないものではあるのだけれど……。

 今日のBSは実況・町田アナ、解説・早野さんだったのだが、大事な一戦を任された町田アナがとにかくもう興奮しまくり。早野さんが「奥がおくの方まで攻め込めませんでしたね〜」「(鹿島のシュートがポストを直撃して)マリノスは今日は白いユニフォームで良かったですね。ポストも同じ色だけに味方してますよ」とさりげないプチさむギャグをかましていたのに、全く耳に入らない様子で完全無視(笑)。ちょっと早野さんは気の毒であった。


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