8月10日(土)

 ビデオで、ジョン・カーペンター監督『遊星からの物体X』観る。冒頭からラストまで、息苦しさとダークな雰囲気が続く傑作。外側は普通の人間にしか見えない仲間の誰かが実はエイリアンになりかわっていて、一皮はげばどエライことに……という設定は『ボディ・スナッチャー』なんかと一緒だが、南極観測基地という極限&閉鎖的な状況設定が不気味さをより高め、登場人物たちがエイリアン云々よりも日頃の好き嫌いから互いに疑心暗鬼になっていくあたりがよくできている。血と電流を使って誰がエイリアンかをテストするサスペンス・シーンは特に面白かった。リメイク元は見たことがないが、少なくともこの映画についてはカーペンター流の「過剰になりすぎない」演出術が成功している感じである。

 

 夕飯は渋谷の「龍の髭」で。またレバー炒め。けっこうなボリュームで、一口食うたびに体の血が増えていくような(笑)。それと台湾風焼きそばがシンプルな塩味で非常にうまかった。

 その後、赤坂の「和民」で子連れ夫婦を交えた飲み会。いたるくん(5歳だっけ?)は人なつっこく好奇心たっぷりのとてもいい子。仮面ライダーの剣でやたら人に斬りつけるのは良くないけど(笑)。帰りは車の停めてある場所までお手手つないで歩いてしまった。子供好きなんである。

 

 で、FC東京はヴィッセル神戸相手に逆転負けですか。試合そのものは見てないが、聞くところによると前半20分の段階で10人になった相手から追加点を奪えなかったとか、延長で岡野を倒してPKをカズに決められたとか、相当恥ずかしい試合だったようですな。勝敗はともかく、「攻撃サッカー」を標榜するチームが人数の少ない相手(そりゃ守りはガチガチに固めたんだろうけど)から点をとれんでどうする、とは思う。まあ降格しない限りはしばらくは我慢して見守ろうと思っているからね、僕は。


8月9日(金)

 仕事が(相変わらず山積みではあるのだが)行き詰まったので、やむを得ず23時半頃職場を出て、西新宿の某居酒屋で「1時間一本勝負」(笑)の飲み会。つまみはレバー焼き。遅くまでの仕事が続くと、無性にレバーが食べたくなるのは生理的必然だろうか。生ビール4杯ほど飲み、終電で帰る。

 帰ってからスカパーでベルギーリーグ開幕戦。ゲンク 2−3 ロケレン。眠い目をこすりこすり観たにもかかわらず、ついに鈴木出場せず。初めて観たベルギーリーグの印象は、スピード感はあるけれどもまあ全体的な選手の質としてはJリーグとあんまり変わらないかな、と。ただしスタジアムはなかなかいい作りだしファンはもちろん熱心そうだし、何より様々な国籍の選手(ベルギー自体多民族国家で、しかもいろんな国から選手をかき集めている)が混在しているところがいいね。ああいうリーグの空気を日本人選手が吸うというだけでも僕たちにとって大いに意味があるだろう。


8月8日(木)

 昨日みたいな試合を観た後で翌朝仕事がどっさりあったりすると、正直うんざりするというか投げやりになるというか。でも朝8時半から夜12時半くらいまで仕事する。ちょっと脳みそがウニみたいになってきたような。タフさが足りないのだけは、何年たっても変わらない。

 夕飯は仕事場近くのラーメン屋でレバニラ炒め定食。レバーやニラよりもやしの方がはるかに多かったような気もしたが、ま、いっか。


8月7日(水)

 夜、机の上に山積みになった仕事をほっぽり出して飛田給へ。FC東京 1−3 京都パープルサンガ。まあ、スコア通りの内容というか、内容通りのスコアというか。京都は実に身の丈にあったサッカーをしていて、基本は「しっかり守ること」。試合を通じて、東京の攻撃の起点はしっかりつぶされていた。そして相手の隙を突いたスピードあるカウンター攻撃で得点。スカウティングにも力を入れているようだし、フォーメーションの違いはあれどJ1初年度のFC東京を見ているような感じだった。やるなあ、エンゲルス。

 で、東京の方はと言えば、ヴェルディ戦と同じ負け方をしてしまったわな。後半の戦いぶりを見て「やる気が〜」「闘志が〜」云々という批判をする人は多いだろうし、そういう物言いがあながち的外れとも思わないのだが、でもこのくそ暑い中あの戦い方じゃ絶対持たないでしょ。やはり浅利の負傷退場が痛かったのだと思う。前半は浅利がカバーリングに走り回って、中盤やDFラインの穴を埋めまくっていた。後半プレースタイルが前がかりの喜名に代わってからは例によって宮沢が走り回されて次第に中盤守備がスカスカになっていって……。結果論からすると、この暑い中終盤辛くなるのはわかっていたんだから、シーズン当初の考え方を貫くならば先発喜名控え浅利でも良かったかな、と。いずれにせよ、あんな包帯グルグル巻きの人間を試合に出して実際壊れてしまったのだからトレーナーなりの責任は問われてしかるべきだとは思うけれども。

 1点目はシュートを簡単に打たせすぎた茂庭のミスに見えた。柏戦も真ん中寄りになることは多かったのだけれど、でも外から切り込んでクロスを狙う平山相手だから問題はなかった(かえって裏をとられなくて良かった)。今日はアタッカーを離しておいたらさくっと(笑)シュートが突き刺さってしまった。2点目の失点は、茂庭1人に限らずDF全体のポジショニングに関する判断ミスかと。多分感覚的にはディフェンシブMFが帰ってるはずなんだろうね、あの場面は。実際浅利なら帰っていた(ないしアタッカーの飛び出しに付いていた)と思うが、でも喜名も宮沢もケアしていなかったと。攻撃的布陣に「せざるを得ない」緊急事態で、対応力がなかったということかな。ベンチからきちんとした指示はあったのだろうか?3点目は、もうプッツンしかけていて目を覆わんばかりのひどい失点。いずれにしろ若い茂庭あたりにはいい勉強になったんじゃないか。

 リードされてからの時間帯、ゴール裏から「動け!」「シュート打て!」コールも起こっていたけど、確かに攻めに関しては硬直的だった。「前線に飛び込む人数の多さ」が原サッカーの特徴ではあるが、相手が引いて守っているそのDFライン前で待っているだけでは、アタッカーが何人いようと可能性は薄い。しかも肝心のクロス放り込み役の石川は完全にケアされてるし、宮沢は逆サイドに開く余裕などないし、星が投入されたのはもう皆がバテきってからだったし。アーリークロスが入ってははね返されるばかり。スペインサッカーというより、むか〜しのイングランドサッカーに近いよ、あれじゃ。

 終盤、宮沢がパスミスを繰り返してゴール裏からしきりにブーイングが飛んでいたけど、でもあれはどうかと思う。過酷な中盤の負担の中、かつパートナーが続々と壊れ欠場する中、宮沢は終始出場して重責を担い続けざるを得ないのだ。今日もおそらくベンチのプランでは「宮沢→喜名」の交代だったと思うのだが、あいにく浅利が壊れて予定は狂ってしまった。あそこでバテてしまった宮沢を責める気にはなれないし、できればコールで勇気づけるくらいの柔軟さがほしかったかな。福田に「結果出せ!」の声が飛んでいたけど、それもいささか気の毒な。

 しっかし、東京も同じ負け方が重なってきたのと、気温に適応していないサッカーをしてしまっていて、かつ試合を重ねても修正されていないように見えるのが気になる。原さんの「攻撃サッカー」は好きだし、1年目だからトライアンドエラーは大いにけっこうなんだけど、でもメリハリのなさが目立つし攻撃態勢に入りっぱなしの人間が増えて中盤のコンパクトさがなくなってしまう(ボールを取るのに一部の選手が非効率的な運動を強要される)傾向は何とかならないものか。選手が個々で頑張っても状況を打開できない時にこそ采配・指示の力が必要だろう。原監督の力量が問われているとも言えるし、またグラウンド内で監督役を果たす人間が求められているようにも見える。キャプテンマークを巻いている人あたりに、もうちょっと声を出して人を動かしてほしいかな。

 いやあ、気も体も重いねえ(笑)。

 

 ちなみに今日はキックオフに間に合わなかったので飛田給からスタジアムまでダッシュしたのだが、途中立っている誘導のお兄ちゃんたちがいちいち「走らないでください!」と叫ぶのでとてもイライラした。人にぶつかるような混み具合でもなかったし、信号はちゃんと守っていたのに。ファンならあの状況で走らずにいられるわけがない。何もない歩道で走って転んでも、それこそ自己責任の問題であってぼくの勝手だろう。頭にきたのでスタジアムの中でも走り回っていたら、ハーフタイムにビールを買ってきたときに2階のスタンド入口で滑って転びそうになった(ビールが3分の1くらいこぼれた)。清水スポーツのお兄ちゃんにも「走らないでください」と言われてしまった。はい、そうします(笑)。「ビールの1滴は血の滴」だからね(笑)。

 あと、ゲートからバックスタンドに走る途中で息をきらせてタオルマフラーを巻きつつファンクラブテントでポイントを貯めたら、係の女の子が「頑張ってください(笑)」と言ってくれた。実に気の利いた言葉だと思ったし、もしかすると今日スタジアムでアマラオのゴールと並んで嬉しかった出来事かも。ありがとう。


8月6日(火)

 小泉内閣の打ち出した減税策は、景気刺激と財政規律の双方に配慮したものであるようだ。しかし、結局「減税→将来の増税に備えて皆が貯金→景気低迷続く→増税期限が迫ったところで『今の経済状況では増税は相応しくない』という意見が財界・与党から続出→増税延期→国家財政ますます悪化→日本経済底なし沼へ」というシナリオが一番ありそう。ペイオフ延期のへたれぶりなんか見ると、もう一度バブルが来ないと何もまともなことはできない(で、実際にバブルが来ると「のど元過ぎれば〜」で同じ過ちを繰り返す)のではないかと思ってしまうよ。

 

 U21代表、東京からは石川ナオリンとモニモニ(笑)っすか。彼ら自身のためにも、そして所属クラブとそのファン・サポーターのためにも、大いに名を轟かしてほしいと思う。何しろ「FC東京」と「代表」ってのはこれまでまっっっっっっっっっっっっっっっったくリンクしてこなかったと言ってもいいくらいだからな。ここに来て熊さんとか馬場とか尾亦とか、面白くなってきたのは間違いない。あとは加地あたりがフル代表入りすることか。


8月5日(月)

 ビデオでベルナルド・ベルトリッチ監督『革命前夜』観る。青春時代というのは、人生の中でも際だって甘美さと苦さとが入れ替わり立ち替わり現れる時期である(のだろう、多分)。ちょっと小難しげな台詞のオブラートにくるみつつ、そんな青臭さを描いた映画。まあ、それほど面白みはないけど。主人公とねんごろになる叔母さんがもうちょっと若若しい感じの方がよかったかな?


8月4日(日)

 たまには、ということでテレビの政治討論番組なんてのを見ていたら、かなり頭が痛くなってきた。景気が悪くなってきたからまた減税、ですか。まあ政治家ってのはとにかく「何かしなきゃいけない」人間なのかもしらんけど、この借金に対する麻痺ぶりは凄すぎると思う。「景気が回復するまで」、か。本当に回復しても増税しきれないくせによく言うよ。で、また何年かたって「景気が回復するまで」っつって減税するのだろう。借金雪だるま式。歳出削減や国債を財源にったって、現状の支出を削れない者が将来の支出を削るったって信用できるわけないでしょ。だいたい、不況ってのは需要不足が原因なのに、自分たちの利益ばかり考えた企業家連中(経済ナントカ会議の連中の言う事って、いかがわしすぎ。オリックスの宮内とか)の口車にのって法人税(それは供給の領域です)とか減税したって何の効果もないし、消費増やそうと減税しても将来の増税に対する予期が働いて景気刺激にならないのはここ数年の経験で明らかだろう。馬鹿もほどほどにしなさいって。今やるべきは増税だ(マジで)

 

 夜、NHK−BSで京都パープルサンガ×横浜Fマリノス。先発平均年齢が24歳に満たぬ若いサンガが「しっかり守ってカウンター」を実践。松井が、朴が、黒部が、思い切りが良いというか怖いもの知らずというか、とにかく行けるとみるや勝負を挑む。失敗してもあきらめず、ドリブルで駄目ならワンツーで、それでも駄目なら浮き球スルーで、ってな感じでラッシュする。横浜はボールは支配するのだが、京都の厚い守備網の前に奥から先に前進できず苦戦。松田の不運なハンドで京都が先制。横浜危うし。が、後半になるとさすがに京都のアタッカー陣もガソリンが切れ始め、ウィルの個人技(というか力技)で同点ゴール。首位は強し、か?しかし中盤の構成力を奥に頼りきりの横浜もそこまでが限界で、試合は膠着状態に。終盤交代選手が続々と出てきてさあこれで面白くなるかと思いきや、突如我が家の周りに降り出した超強烈な雷雨で衛星放送受信不能になり、ジ・エンド。
 で、後で見たら、結果は引き分けだったらしい。これで磐田と横浜の勝ち点差は1。俊輔移籍により勝ち点3を取りきる力に欠ける横浜は、これで相当苦しくなった。今季の横浜はとにかく1stステージ逃げ切ってあとはチャンピオンシップに賭けるしかないと思うのだが、ラザロニ監督がそこまで割り切って勝負にでることができるだろうか。


8月3日(土)

 昼間、ビデオでジャン=リュック・ゴダール監督『新ドイツ零年』観る。全編引用が満載で、僕たち日本人には難解すぎる。最後のホテルの部屋のシーンは『アルファビル』を観ていてかつドイツ現代史(というかアウシュヴィッツの話)にある程度通じていないと意味が分からないという、「いくら何でも観る人間を選びすぎだろ」という映画であった。

 

 夜は柏まで出かけて日立台で柏レイソル×FC東京。素晴らしいスタジアム、楽しいコールのかけ合い、そして3−1のスコアとアマラオのハットトリック。帰り際、「もしかするとこのスタジアムもアマのハットトリックも見納めかもしれない」と思うとちょっと胸が詰まった。ぼくたちも日立台で試合が観たい

 観戦記は、こちら

 

 帰ってから、ビデオでJ1優勝争いの一戦。ジュビロ磐田 5−4(V) ガンバ大阪。気温の高さも何のその、それをはるかに上回る、触れるもの全てが蒸発してしまいそうなほど白熱した戦い。明日をも知れぬガンバの超攻撃的サッカーも、それを受けとめ土俵際ひっくり返したジュビロの底力もともに素晴らしかった。ガンバの選手たちを見ていて驚いたのは、ここ数ヶ月のうちにガラリと目の光の強さが変わっていたこと。昨年までの公家サッカーはどこへやら、すっかり「戦う集団」に変貌。西野監督のチーム作りは予想以上のスピードで進んでいるようだ。ジュビロとの差は選手一人一人の経験の差に他ならず、負けて恥じることはない。堂々とした戦いぶりだった。試合直後、ベンチに座り込んでグラウンドを見つめながらネクタイをゆるめた西野さんの姿が脳裏に焼き付いて離れない。こうした戦いを経てチームは強くなり、リーグのレベルも上がっていくのである。


8月2日(金)

 ビデオで、三池崇史監督『殺し屋1』観る。R18指定は正解だろう。首は飛ぶわ顔は飛ぶわ舌は切れるわ腕はもげるわ内臓は吹き出すわ体は二つに割れるわ………とにかくムチャクチャな人体破壊っぷり。でも、傑作。我慢して見るだけの価値があるのは間違いない。変態を変態そのものとしてここまで妥協なく描けるのは、監督の力量あるいは個性の賜物か。妄想と妄想のクロスオーバー。れっきとした性的殺人者の主人公イチ(大森南朋)も、彼と対決することで至上の快感を得ようとする垣原(浅野忠信)も、これ以上ないくらいにキャラが立っていて、見ていてまことに面白い(現実にこんな連中いたら困るけど)。浅野の軽薄な演技(笑)が素晴らしすぎる。

 

 FC東京の大熊前監督がU20日本代表監督に決定とか。うれしいような、恐ろしいような……(笑)。まあ、まさか4−5−1フォーメーションでカウンターサッカーやるわけではないだろうが。少なくともジーコとははっきり合わなさそうだ。


8月1日(木)

 ビデオでアレックス・プロヤス監督『ダーク・シティ』観る。この映画、内容について何も知らずに見てたらえらく感心したことだろう。実際、アイデアと世界観にはなかなかのセンスを感じさせてくれた。が、しかし。事前におおよその展開を知っていたせいもあるのか、どうにも感情移入しきれなかった。結末が陳腐というかチンケというか……あれではハッピーエンドとも言えないだろう。たとえ世界を物理的に自在に変える力を手に入れたとしても、それはかえって自分の不自由さを浮き立たせるだけで、むしろ果てしなく手の届ききらない世界の中にいてこそ自由を感じ人間らしく生きれるものではないか。だから、主人公らが街の端の「壁」を崩しきった瞬間、その向こうに宇宙が広がっていたシーンにも失望した。あれでは行き止まりと同じだ。スケールが大きいっちゃそうかもしれんが、むしろ温かい日差しが差し込んで青空が広がっていた方がよほど感動できたかもしれない(ラストに出てくる青空はまがい物だしね)。


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