6月26日(月)

 衆議院選挙結果判明。全体としてみれば「受け皿を用意できない野党には信頼を置きがたいが、しかし連立与党には勝たせたくない」という一般有権者の意図が表れた結果。共産党等よりも民主党がぐっと伸びたのは、現在の選挙制度の特質(小選挙区で弱小政党の候補者に入れても死票が増えるだけ)について有権者が前回の選挙で学習したからではないだろうか。内訳を見てみると、自民党=地方・高齢者、民主党=都市・若年層という見事な分かれよう。戦後の日本は議会制度の未成熟を巨大与党の調整能力(および派閥の相互牽制)が補ってきたのだが、もはや構造的に自民党の一党支配はあり得ず(分配のためのパイの縮小)、政治は社会的な利害対立を解決するというよりも、むしろ増幅する方向で作用していくことになるかも知れない。「決戦」は次か、それともその次か?


6月25日(日)

 宝塚記念はテイエムオペラオーが実力の差を見せつける。道中それほどスムーズに見えなかったのだが(折り合いに苦労していたのか?)、直線に入るとしっかり伸び、最後はメイショウドトウを力でねじ伏せた。それにしても、武豊が早めのスパートで内をついて一気に先頭に立ったシーンには燃えた。勝ちに行く姿勢。勝つためにできうることを探り当てる知性。そして、実際に勝利をたぐり寄せる高い技術。武豊という男には、騎手という存在の根元的な魅力がある。
 グラスワンダーは、昨年の有馬記念で燃え尽きたんだよ、きっと。


6月24日(土)

 J1セカンドステージ開幕。FC東京3−0横浜Fマリノス。東京、ファーストステージ序盤のセクシーフットボール復活で横浜完勝。今日の雨は俺たちのうれし涙だ詳しくは観戦記で。

 意気揚々と引き揚げ、赤坂の『じゃんがららあめん』でとんこつラーメンをすすっていると、右前方に座っている男(キャップとメガネ着用、女連れ)が急に声を荒げた。「味玉入りじゃねえだろ、俺が頼んだのは味玉明太入りだ!」。にらみつけ、店員をやたら恐縮させている。そんなことでキレんじゃねえよ。いるんだよね、こういう奴。客というだけで、勘違い。てめえはたかだがラーメンと座席分の金を払っただけじゃねえか。店員が間違えたというならそれを指摘すればすむ話だ(そこで自分の聞き間違いを棚に上げて店員が不満そうにしたら、私だってキレるけど)。なんと器量の小さい男だろう。ああいう振る舞いだけはしまいと心に誓う。

 女子バレーボール、ついに3連敗。あと1セットだったのに…。慎重に、手堅く行こうとしすぎたか、攻撃が単調になって3セット連取され逆転負け。非常に尾を引きそうな負け方だけに、明日の韓国戦で開き直るのはちょっと無理だろう。ただでさえ精神的に弱いチームだし。監督も選手も個性と能力(精神力除く)にあふれていたチームだけに、シドニー五輪の楽しみがまた一つ減ってしまいそうだ。


6月22日(木)

 女子バレーボール日本代表、2連敗で一転して五輪出場ピンチ。3日前もちょこっと書いたが、この子たち、ちょっと自信が足りないんだよね…。苦しくなるとすぐうつむいてプレーが縮こまっちゃう。思い切ってやれば、凄いことができる才能なのに。


6月21日(水)

 武豊&森調教師コンビのアグネスワールド、イギリスG2で2着。これほどまでにさりげなく行われ、しかも2着で「敗退」とか書かれる日本馬の遠征なんて、初めてのことではないですかね。もう、このコンビは海外遠征のノウハウも完全につかんで、名実ともに「世界のレギュラー」だ。ダンスパートナーの仏G2ハナ差2着で地団駄を踏み、フジヤマケンザンの香港G2制覇で飛び上がって喜んだ5年前の日々が遠い昔のことのようだ。


6月20日(火)

 今度の日曜日が衆議院選挙の投票ということで、近頃各政党のテレビCMが流れている。あんまり傑作はないなあ。自民党は相変わらず八方美人(650兆の債務には触れず。当たり前か)、社民党も若い世代に媚びようとしてて気持ち悪い(かえって若い奴に足下見られるよ)。自由党はインパクト的に悪くない感じだが、実際の党の持つ力とのギャップがやや痛々しい。公明党と共産党は未見。民主党は鳩山のダンディさと力強さを印象づけようとしたのだろうが、もともとの鳩山のキャラがダンディでも力強くもないのだから、無理がある(話に全く具体性ないし)。どうせなら、鳩山由起夫と菅直人が「日本の進むべき道」を巡って怒鳴り合い、取っ組み合いの喧嘩を始めるぐらいの方が、真剣さも伝わってインパクトがあったんじゃないか。真面目な政治家も多いのに、どうも煮え切らないんだよな、この党は。


6月19日(月)

 トルシエ留任。結局、トルシエと比べても遙かに能力の低い協会のジジイ連が、トルシエの恫喝に屈したということなのだろう。もはや問題の所在は、明らかすぎるほど明らかだ。

 タイガーウッズ、全米オープンで歴史的圧勝。青木功さんも中継の中で少し触れていたが、タイガーはあと10年もしたらあらゆるタイトルを取り尽くし、あらゆる記録を更新してもはややることがなくなってしまうのではないだろうか。むしろ心配になってしまう。

 女子バレーボール日本代表、五輪切符をぐっと引き寄せる勝利。今回の大会はワールドカップの時とは違って本当の勝負所であるがゆえに、選手たちの表情もいつになく硬い。もともと自信家が少なそうなチームだけに、逆境やプレッシャーのかかる場面では弱気と不安の虫が顔をのぞかせているように見える。しかしそれでも、幸いにも日本での開催であること(つくづく、日本協会の政治力は偉大だ)、葛和監督の見かけによらずきめ細やかな采配、そして何よりも選手たちが時折かいま見せるポテンシャルとでどうにかこうにか乗り切っている。この子たちがホントの自信を身につけた時には、きっと凄いことになるぞ。

 昨日の阪神競馬のメインプロキオンステークスをビデオで見返す。勝利ジョッキーインタビューでの武豊が、目の下にクマをつくって肌にもいつもの張りがなく、疲れた感じだったのが印象的。本人が「元気ですから」などとあえて言っていたのが、かえって気になる。時差に強いとかタフだとか言っても、限界があるからね。


6月18日(日)

 キリンカップ最終戦、日本2−0ボリビア。なんかこう、すっきりしないんだよね。

 今日は見ている方とやっている方で目標設定・意識が食い違っていたようだ。我々ファンとしてはホームゲームでしかもほぼ2軍のボリビア相手、当然3点以上とって単独優勝することを期待した。そして前半の積極的な攻撃の結果2−0になった時、「これはいける」と思った人も多いだろう。ところが、後半なかなかチャンスをものにできないでいるうちに、攻守にわたって無理をしないプレーが目立つようになった。試合終了の笛が鳴った時、結構満足そうな選手が多かったのは、少し残念な気がする。能活など、不満そうな選手も一部いたみたいだったけど。私が贅沢言い過ぎなんですかねえ。

 三浦アツは相変わらず切れまくり、望月・奥・森岡・高原といったところも良かった。西澤や俊輔はコンディションも悪かったのだろう。森島は、適性に合わないポジションで苦しんでいるように見えた。評価が難しいのは柳沢。2点とったことは素晴らしい。でも、後半のあのスルーがな…。性格的にもう仕方がないのだろうか。「俺が日本のエースだ。俺がボールを受け、俺が質の高い動きで相手をかわし、俺がシュートをぶち込んで俺が試合を決めるぜ」といった姿が見たいのだが(別に表情とかには出さなくていいからさ)。あの2点目のプレーを見ても、彼は天性のストライカー=点をとる人だと思うのだが。

 私は基本的にアンチトルシエだが、もう時間的に五輪・アジアカップの監督は彼に任せざるを得ないような気もする。でも、せっかくの欧州リーグオフの国際Aマッチ、ちゃんと中田・城・名波は呼ぼうね。

 

 エスパルスの遠藤がベルギーリーグに移籍?名波や城よりは応援したくなる話だね。

 夜、バレーボール五輪予選をちょこっとだけ見る。TBSも、フジがV6や嵐でやったことをそのままパクるほどに落ちぶれたか。モーニング娘の客席における配置やカメラの振り方までそっくりそのまんま、フジのワールドカップ中継と同じ。個人的には今のバレーボール日本女子代表のポテンシャルには期待できるものがあると思うのだが、肝心の中継がこれじゃあなあ。スタジオで司会をしている女子アナとタレントも、何だか滑稽だし。


6月17日(土)

 皇太后逝去により、本日の中央競馬は中止。なんでやめるかねえ。弔意を表したいというそのこと自体には別に異存はない。しかしそれならば、関係者が喪章を付けるとかレース前に黙祷を捧げる時間を設けるとか、いくらでもやりようがあるはずだろうに。「自粛」という形にこだわって人の楽しみを無理に奪うよりも、楽しみをきっちり提供しつつ一方で悲しみの表現を織り交ぜた方が、よっぽど気持ちがよく表れるし訴えかけるものがあると思うのだが。中止じゃあ、競馬ファンが「競馬がなくなって残念だな」で終わり、皇太后さんの死へ気持ちが向かないよ。まあJRAがそれでいいと言うのならいいけど。


6月15日(木)

 ちくしょー、ユーロ2000、見てえなあ。ユーロ2000はWOWWOWの独占放送。うちは昨秋にラグビーW杯とヨーロッパの欧州リーグ戦見たさにスカイパーフェクTV!を入れたのだが、近頃ユーロ2000やチャンピオンズリーグをWOWWOWにとられてしまうは、ラグビーパシフィックリム選手権はフジテレビにとられてしまうはで、スカパーまるで精彩なし。ラグビー六カ国対抗もほとんど中継しなかったし。湘南シーレックスだのオリックスの2軍だのの試合を中継する前に、もっとやるべきものがあるんじゃないの(別にプロ野球の2軍の試合の中継に意味がない訳じゃないけどね)?

 ユーロ2000、私のひいきのイングランドやデンマークはちょっと苦しそうだ。となると、今回はオランダの優勝に期待。ベルカンプもそろそろ年だし、チームとしてもちょうど爆発期になるだろうし。


6月13日(火)

 平壌で史上初の南北首脳会談。歴史的なことではあるし、トップ同士が直に顔をあわせるだけでも相当に意味のあることだとも思う。ただ、それにしても、ちょっと韓国は浮かれすぎではないですかね。情に厚い、お人好しの国だけに心配ではある。

 衆議院選挙告示。「650兆円の借金」、この重さをどう考えるかが今回の選挙のすべてなのだと思う。もはやいくら公的支出を増やしても、その分皆が財布の紐を締めてしまうだけ。安易な方法で経済の改善を図ったせいで、どんどんどんどん状況は悪くなっている。今に若者がこの国から逃げ出すんじゃないのかね。

 結局、福岡と市原にJリーグからの制裁なし。当たり前だ。リーグ運営者自身が訳の分からない日程組んどいて何言ってやがる、という感じだったからね。ま、始末書提出ってのも、面子にこだわった陰湿なやり方に思えるが。


6月12日(月)

 初めて携帯電話を買う。機種は、DoCoMoの「シティフォン」(こうなりゃ意地だ)。確かに多少音質は悪いような気もするが、なーに、ついこないだまでポケベルを使っていた人間からすれば、会話と留守電サービスができるだけで十分ですよ。月3千円ちょいしかかからないし。

 長年お世話になってきたポケベルも、今日限りでお役ご免である。いままでどうもありがとう。


6月11日(日)

 キリンカップ第1戦、日本1−1スロヴァキア。フランス戦は一体何だったのだろうか。コンディションのせいなのだろうが選手の動きが悪く、トルシエの交代も相変わらず意味不明。後半はほとんど得点の予感が感じられなかった。中田・名波・城の欠場はこの際関係ない。必要ならば招集すればよかったのだから(仮にも国際大会のカールスバーグ杯やキリンカップに呼ばず、親善試合でしかも欧州シーズン真っ只中の韓国戦に呼ぶことが矛盾してるのだ)。トルシエは「五輪のテスト」とか言っていたらしいが、2年間もテストを繰り返して、その上何をテストするというのか。テストマッチや国際大会は何よりもまず勝ちに行くのが代表の使命であり、ファンや相手に対する最低のマナーだ。「勝てなかったがいいテストができた」。そんな事言うならまず観客に金を返せ。トルシエも、彼の振る舞い・言動を放置している協会も同罪だな。

 三浦淳のカミソリドリブル・センタリングと俊輔のFK・展開力(後半なぜ代えた?!)、しばしばオーバーラップして攻撃にも貢献した森岡の健闘は光った。

 テレビで見る限り、スロヴァキアは体がでかくて組織がしっかりしていてオーソドックスなサッカーをして、いかにも中欧のチームという感じだったなあ。

 

 ラグビーパシフィックリム選手権で日本代表、サモアに9−68で大敗。もはやテレビ中継もされなくなって試合内容はよくわからないが、酷いことはスコアから一目瞭然だ。日本ラグビーは存亡の危機にあるのかもしれない。なのに、監督のコメントからはそれほどの危機感が感じられないことがファンの失望・絶望をますます深める。世界の強豪と日本との差以上に、首脳陣・選手とファンとの間に(意識の上で)大きな大きな差があるのかもしれない。「観客のいない秩父宮ラグビー場」「誰も見る者のいないテストマッチ」の光景はすぐ目の前にある、と思う。


6月10日(土)

 浦和レッズ、アルビレックス新潟に1−6で大敗。みんな、少しは事態の深刻さに気づいただろうか。

 高校の後輩たちの飲み会に11時頃顔を出すと、店の前には酔いつぶれたやつが数人、死屍累々という感じで転がっていた。救急車で運ばれた奴も出たという。ああ俺にもあんな時代があったなあと感慨にふける。3年ほど前、ちょうど同じ店で飲み過ぎて前後不覚になり、レジで店員とケンカになったこともあるのだ(財布とティッシュペーパーの区別もつかない(笑)ほど べろんべろんだったらしい)。一応先輩なので、心の中で3年前の分も含めて店員さんに頭を下げておいた。

 今日で26歳になってしまった。サッカー選手ならもう中堅ですな。


6月9日(木)

 昨日の阪神×巨人戦で、度々打席を外す阪神打線にぶち切れたメイが和田に「警告球」(手加減したビーンボールだったようだ)を投げたとのことで、10日間の出場停止になった問題。巨人が連盟に質問状を出したりして、まだまだ騒ぎは収まらない様子だ。この件に関してマスコミ報道を見てみると、「遅延行為をした阪神は悪いが、ビーンボールはもっと悪い」との論調が一般的だが、はたしてそうだろうか。今回に限らず日本では「気持ちはわかるが、手を出してはいけない」という言われ方がされる。でも、周りが正してくれない場合、当事者が手を出さざるをえないことだってあるのだよ。ラグビーでも、悪質なファウルを審判が見過ごしていた場合、選手がパンチ等で制裁を加えることが多々ある。それは確かに決して誉められた行為ではないが、あくまで第一義的な責任は悪質なファウルを見逃していた審判にあるのだ。今回の件だって、メイの性格を知っている野村監督が戦術的行為として(確信犯的に)遅延行為を行っていたのだから、まず主審が阪神選手に退場等何らかの制裁を与えるべきだったのではないか(それができないと言うのならルールに欠陥があると言うほかない)。行き過ぎた遅延行為はゲームの精神を冒涜するもの、すなわちフェアプレイに反するものだろうに。投球動作に入りかけた時にタイムをかけると、投手には故障の危険だってある。まあメイは試合進行云々を考えたのではなく、ただ単にぶち切れただけなのかもしれないが、万一当たっても大したことない球速で投げたみたいだし。

 それにしても、確か野村さんは2年前の就任会見で「野球本来の醍醐味が忘れられかけている」(注:うろ覚えです)とか言ってたはずだが、それってせこい野球・陰湿な野球のことだったんですかね。


6月7日(水)

 夕方、ビックカメラ渋谷店で携帯電話を買おうと店員を呼びとめ、「ドコモのシティフォンを買いたいのですが」と言ったところ、その女性店員は「えーーーー!!」と驚きの声・表情。何かおかしなことでも言ったかと思い「何で?」と聞き返してみると、「だってシティフォンは通話エリアも狭いし、音も良くないし、ドコモにする意味がないですよ。PHSや他社の携帯の方がずっといいですよー!」だと。そんなに駄目なもんだったら、店に並べて売るな。だいたい私がその機種を選んだのは「音質や通話エリアよりも価格の低さ重視」「個人的にNTT系が好き」という考え・判断があってのことだ(プロバイダーなら価格より品質重視だけどね)。それを売り子の方が「えーーーー!!」とは何事だ。無礼にもほどがあるだろう。結局、買う気が失せておとなしく帰宅。もうあそこでは絶対買わない。


6月6日(火)

 ハッサン2世国王杯。日本4−0ジャマイカ。A代表、アジア以外の相手に久々の快勝。前半はじれったい内容だったが、後半にジャマイカの足が止まったところを確実に仕留めた。攻撃では城や三浦淳あたりが大活躍(相変わらずシューターとしての自覚が不足している柳沢にはがっかりしたけど)。守備もそれなりに安定し、終盤にジャマイカの選手が集中力を欠いてしまったこともあって失点の危険はほとんど感じられなかった。今回は1.5軍の相手とはいえ、フランスW杯でも先取点さえとってればこういう展開になっていたのかもしれない。

 それにしても、世間ではもうトルシエの留任が決まったかのような雰囲気である。確かにこの2試合トルシエは間違いを犯さず選手の力を発揮させたと言えるのだが、彼の問題は韓国戦のような追いつめられた状況下での采配にあるのだから、あんまり早まらない方が良いのではないですかね。


6月5日(月)

 午後、ビックカメラパソコン館池袋本店で買い物。LANカード等を買い込む。ネットワーク用品売り場のレジでポイントカードをレジ係の女性に直接手渡ししようとすると、不機嫌そうに「こちらにお願いします」と、お釣りなんかを入れるトレイ(?)を指さされてしまう。なんだよー、そのまま受け取ればいいじゃないかよー、それとも俺の手がそんなに汚いってか?そういう態度、失礼だと思うぞ。というか、金を払うのにレジまで足を運んで並ぶというのはまだわかるが、なんでそこまであなた方のルールに従わねばならんのだ?不快なことだが、お店でこういう経験をすることはしばしばある。


6月4日(日)

 ハッサン2世国王杯日本×フランスをテレビ観戦。この間の韓国戦と同じチームとは思えぬ大善戦。超強敵相手の実質引き分けだけに、今回こそ素直に「良くやった」と言える内容だったのではないだろうか。選手のモチベーションが高そうだったし、トルシエの采配も森島・西澤の先発起用や三浦淳の投入などおおむね当たった。西澤・森島の素晴らしさは言うまでもなく、左サイドとボランチも攻撃面で良く機能しており(特に三浦淳の切れぶりは尋常ではなかった)、中田の負担が軽減された。守備のもろさがやや目立ったものの、ボランチに名波を配置して攻撃に重きを置いた結果だけに仕方がない面もあった(オフサイドのセルフジャッジで集中力を欠いたのははいただけないが)。トルシエジャパンのベスト・ゲームと言ってよいだろう。ただし、まだ一試合。これだけでトルシエを信用するわけにはいかない。なにしろ、もう1年半以上監督をやっているのだから、何らかの結果が出て当然ではある。

 一晩あけたら、マスコミの大半がトルシエ支持に回っていた。いやはや、何とも気の早い。ジョホールバルでW杯出場を決めた後、某テレビ局のアナウンサーが「岡田監督には何年でもやってもらいたいですね」とか言っていたのを思い出す。


6月3日(土)

 秩父宮でパシフィックリム選手権日本×トンガ観戦も、25−26で惜敗。全体的なチームの熟成度・個人のスキルはまだまだ。しかしこれまでの2試合と違って今日は選手の戦う気持ちが表面に出ており、徹底的に回して走り勝とうとする方針も良し。これが見たかったんだよなあ。野澤・栗原に日本ラグビーの明日を見る思い。次はきっちり勝とうね。


6月2日(金)

 『Number』498号。リー・小林・モボ氏(小林深緑郎さん?)の記事は、あまり知られていないセレッソ大阪のクラブ全体としての変身ぶりを描いており、興味深い。一時的な成績の躍進にとどまらない、関西でも起こりつつあるJリーグの新しい風。

 腹の底からわきあがる物欲に負け、ついにノートパソコン購入。「ソニー VAIO PCG−XR9E/K」。公式には明日発売なのだが、某店に本日入荷との情報を得ていち早く入手。ステンレスメカキーの、「カタカタ」という硬い感触が、たまらない(実はキーボードフェチなんです、はい)。


6月1日(木)

 元ラグビー日本代表ウィング吉田義人、フランスリーグ1部コロミエへ入団決定。2人の日本人プロラグビー選手、村田亙と吉田がいずれもフランスへ渡ったのは、決して偶然ではない。彼らはいずれも日本ラグビーを強くするカギはフランスにあると直感的に考えたようだが、おそらくそれは正しい判断だ。理由はただ一つ、世界ラグビー界八強(イギリス四カ国、仏、南ア、豪、NZ)の中でフランスは他の七カ国に無いものを持っている「例外的」な国だからだろう。詳細はいずれ。

 この二人の行動、平尾はどのように受けとめたのだろうか。

 

 宮台真司の対談集『野獣系で行こう!!』(朝日新聞社)読了。数年間に渡って宮台が様々な媒体で様々な相手と(田原総一朗、筑紫哲也から江川達也、果ては観念絵夢まで!)行った対談を収録。彼は当代きっての理論派だけに、相手によって主張が変わったりすることはほとんど皆無。むしろ、時間の経過による彼自身の主張・姿勢の微妙な変遷が見受けられ、とても興味深い。「理論的な正しさを突き詰めることにより、あたかも自明であるかのように誤解されている歪み・過ちを明らかにする」という手法は一貫しているのだが、「ではそこから実際にどう社会を改善して行くか」という部分でスタンスの変化が見られる。具体的には、以前はもっとマスメディアを通じての(例えば「朝まで生テレビ」)情報戦を重視していたのが、最近は議員・官僚へのロビー活動など、より直接的な影響力を指向しているように見える。

 僕が初めて大学で宮台の講義を聞いたのはもう6年以上前になる。当時はまだ今ほどの知名度はなかったが、その論理の明晰さ、常識にとらわれない発想の面白さにただただ圧倒されるばかりであった。翌年地下鉄サリン事件の直後にも彼独特の用語(「終わらない日常」など)を用いたオウムに関する説明を聞くことができ、彼の講義は退屈だった大学生活において一服の清涼剤のようなものだった。だが、その後も媒体を問わずマスコミに登場しまくり、「サブカル系」のスターとなり、西部邁などの論敵を徹底的に論破していく彼を見て、疑問も膨らんでいったものだ。「この人は容赦ない正論をはきまくるが、その正論にどれだけの効果があるのか」と。彼は論理をねじ曲げてでも実存にしがみつく人々(例えば団塊世代)や善意に基づきつつも不合理な結果を引き起こしてしまう人々(例えば主婦団体)を批判し、論理的な振る舞いと自己選択を推奨する。しかし、将来世代はともかく、今の社会で生きている人のうちどれだけが実存や価値観に拘泥することなく論理的に振る舞えるというのだろう。どれだけの人が自分の善意よりも論理を優先できるというのだろう。彼は、一部の熱烈ファンにのみあがめられる存在となりかけ、逆に小林よしのりや「新しい歴史教科書をつくる会」、各地での淫行処罰条例のような反動さえ招いた。この本の中で彼本人が紹介する宮台批判にあるように、彼はここ2〜3年の間、「議論に勝って動機付けに負けている」ように思えたのだ。 

 しかし、酒鬼薔薇事件後しばらくたった辺りから、宮台自身もそのことに気づいて方針を修正しているようだ。その結果が、上にも書いたロビー活動や教育改革プランの提唱などである。世の中へ向けてめくらめっぽう鉄砲を撃つのではなく、政策担当者や将来世代にきちっとターゲットを絞って現実的に影響を与えていく。以前ほど頻繁にその主張に触れることができなくなってしまったのはいささか寂しいが、今後さまざまな問題に関してより効果的な処方箋あるいはヒントを提供してくれるのであれば、相変わらず僕にとって最も重要な学者の一人であることに違いはない。


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