ホームユニオンに様々な面でレベルの差を見せつけられ、ジャパン完敗。
完敗。色々な意味で実力不足が露呈した一戦であり、単に「監督替えろ」では済まない(もちろん替わるべきなのだが)状況を突きつけられて気の重くなる試合後であった。
立ち上がりは両チームのボール奪取力の差がはっきりと出た。密集から次々とアイルランドがボールを出し、リサイクルし続ける。開始8分までにほとんど為す術のないまま2トライを喫する。「こうしてジャパンが攻撃の糸口すらつかめぬまま、延々トライを重ねられてしまうのでは」。大敗濃厚の雰囲気に背筋が冷たくなった。
しかし幸いなことに一方的な展開にはならず、ジャパンも次第にペースをつかんでいく。ボールキャリアーに前進を許しながらも大穴は空けず、ゴール前でもあきらめず粘りのタックル。攻撃でも最近のキック偏重戦法は陰を潜め、バックスで勝負しようとパスを回す。小野澤のステップなどでスタンドが何度か沸き、そしてアイルランドに疲れの見え始めた34分、両チームの間ではねたボールに元木が飛びついてつなぎ、大畑が裏へ抜けて独走トライ。10−14。
食い下がられたアイルランドは多少ムキになったのか、強引な突進でまともにタックルを受けてノックオン、という場面が連続。FWの運動量も明らかに落ちており、「これはもしかしてひょっとするとひょっとしてしまうのか」と思い始めたロスタイム、繰り返しのペナルティ(おそらく寝込んでのハンド)でPR高木がシンビン。大変なピンチだったが、ここもゴール内タッチダウン寸前の粘り(僕の目にはトライに見えたが(笑))でしのぎきる。
後半。1人少ない状況下で最初の10分粘れれば、というところだったが、最初の10分で3トライを喫してしまう。スタンド各所で漏れるため息。特に2本目は、アイルランドDFラインが横一列びっしり並んだところにバックスリー(というか立川)が無謀なカウンターアタックを仕掛けてあっさりターンオーバー→トライ、という噴飯ものの失点であった。そりゃ積極的なパス攻撃はいいんだけど、この10分間こそ、前戦までのキック戦法で時間を使う(かつ相手FWを走らす)べきだったんじゃないのか。13−33。これで勝負への興味は薄れた。
残り時間は、「意地の反撃」というやつで、ジャパンが仕掛けまくって20分に再び大畑がトライ。しかしアイルランドも着実に2トライを追加し、さらにジャパンはテンポよいパスアウトで攻撃のリズムを作っていた村田OUTで後藤INという不可解な交代。どうせ若手を入れるなら、突破力のある五郎丸が先ではなかろうか?結局、最終スコアは18−47。まさかこれで「健闘」などと言う人はいないと信じたいが、念のためにもう一度言っておく。完敗である。
この日のジャパン、戦いぶりは悪くなかった。マイボールラインアウトは取れていたし、スクラムも崩壊せず。パス中心の攻撃はファンの期待にある程度沿うものであったろう(例によって極端すぎるし、「最初からやっとけよ」というツッコミは確実に入るが)。それでこの点差になったのは、密集へのボールの持ち込み方、フォロワーの入り方、モールやラックのパックの固さ、タックルの正確さ、チャンスにおける動きの連動性、といった局面局面での差が積み重なったからだろう。体格にはほとんど差がないようだから、本質的には普段やっているラグビーの質の差、ということか。当たり前だが、トップリーグをもっとずっとレベルの高いものにしないと。
あと、一番気になったのは、前のW杯が終わってからはいつもそうなんだが、タックルに入る時にジャパンのDFが一旦止まるような動きをすること。飛び込んで抜かれるのが怖いのはわかる。わかるんだけど、それで相手を止めきれずにズルズル引きずられてつながれるのでは仕方がない。ボールキャリアーをタッチライン際まで追いつめてもまだ飛び込まないシーンには、ちょっとため息が出た。
村田亙さん(あと元木さんも)が交代したシーンでは、スタンドから名残惜しむかのような拍手が上がっていた。これからジャパンは監督も替わり(まさか替わらないなんてことはないよな)、世代交代も進んでいくのだろう(進めなければならない)。もしかしたらテストマッチで彼らの姿を目にするのもこれが最後かもしれない。そう考えると、ますます時間を無駄遣いしている(してきた)ように思えてならないんだよな…。
2005年6月19日 秩父宮ラグビー場
テストマッチ
日本代表 18−47 アイルランド代表