どん底のジャパン、「ホームゲーム」を忘れた戦い方でじり貧負け。

 

 

 カナダ代表はルーマニアやアメリカよりは明らかに強いチームだった。でも、ホームということを考えれば勝たなくてはならないレベルの相手だったと思う。

 

 ルーマニア戦と同様に前半から日本はキックを多用、多くの時間カナダ陣内でゲームが行われることになった。しかし日本は3位・4位の2チームと同様にBKの展開に工夫がない。というか、冒険せず安全な地帯でのオーソドックスなプレーにより「まずゲームを作る」ことは悪くないのだけれど、その先で生まれるチャンス、例えばターンオーバーの時などに反応が悪いのはいただけない。好機に「かさにかかる」動きがないのでは怖くないのである。きつい言い方をすると、日本のキック戦術は勝利につながる「堅守速攻」とは別物の、消極的な「負けにくい」戦い方でしかないように見えた。

 それでも前半わずか3点ながら日本リードで終われたのは、カナダが嫌らしい攻め方(徹底的なキック攻撃とか)をせずに日本の一線防御がよく決まっていたこと(特に箕内と辻)、それとルーマニア戦に比べてセットプレーが安定していたことが大きい。ただ、森田や五郎丸が二線防御であっさり抜かれてしまうシーンもあり、不安も大きかったのだけれど。五郎丸のハーフウェー付近からのPGがポスト直撃で決まらなかったのは残念。

 

 後半になるとカナダが盛り返し、日本は自陣に押し込まれる。森田がパントを上げておいてタックルに行かず(お前が行かなきゃ前は全員オフサイドだっつーの)、カウンターでゴール前大ピンチに陥る場面も。徐々に自信喪失、パニックに陥る日本。カナダがPGにこだわってくれたせいでかなりの時間耐えることはできたのだが、18分についに逆転トライを許してしまう。ここで日本は五郎丸→立川の交代。森田を筆頭に選手たちの気持ちが受けに入ってしまっている状況で、五郎丸のようなミスも多いが前向きな選手は残しておくべきだと思ったのだが。

 日本は続いて24分に伊藤剛臣、27分に後藤翔太を投入。ようやく攻勢に転じることに成功、小野澤・大畑のランを軸に同点を狙う……のだが、肝心なところでセットプレーにミスが連発。逆に37分、前がかりになった裏を突かれ、トライで突き放されてしまう。完全な負けパターン。ロスタイムに意地の1トライは返したものの、ゴールキックを決めたところで試合終了のホイッスルが鳴った。

 正直な感想として、今のジャパン、セットプレーやキック処理の精度を棚に上げるとしても、戦い方がよろしくないように思う。必勝を期したのかどうなのか知らんけど、あまりに消極的すぎて「自分で勝ちに行く」ことのできないチームになってしまっているように見えた。敵失と偶発的なチャンスがないと勝てない、ということ。強さも魅力もない状態。色々な意味でリセットするなら、この夏が最後のチャンスなのだけれども……。

 あと、ついでに余計な一言。敗戦後の表彰式。キャプテン箕内をはじめとして苦い顔が並ぶジャパンフィフティーンの列の中に、笑顔で隣の選手と私語をかわしていた選手がいた。見たくない光景だった。あれはマズイぞ。

 

 

2005年5月29日 秩父宮ラグビー場

TOSHIBAスーパーカップ

 

日本代表 10−15 カナダ代表

 


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