ナビスコカップ第4節 vsアビスパ福岡 2006.5.14 味の素スタジアム
まったくもって、ひどい試合だった。スタジアム中に「ダメだこりゃ」という雰囲気が蔓延した90分間だった。これはいくらなんでも、選手も、監督も、猛反省しないといけないだろう。
序盤、怪我から復帰した戸田が走って走ってボールホルダーにプレッシャーをかけまくる。他の選手も前目から守備する意識は高い様子で、まずまずの入り方。そして今日は家本主審が福岡DFの当たりに厳しいジャッジで、東京は何度も相手陣でセットプレーのチャンスを得ることに。11分、ペナルティボックス手前からのFK、宮沢のシュートは枠をとらえたものの読まれてGK神山キャッチ。17分にも右サイドのFKをファーサイドのジャーンが落としたボールに戸田が飛び込むも、わずかに合わず。
福岡は中盤での寄せ・囲みから外国人アタッカーの技量を生かしつつ速い攻めを狙う、といういかにもJ2を勝ち抜いた好チーム。そのキビキビとした動きに比べると東京側は動きが重いように感じられ、中盤の選手(特に今野)の動き出しの悪さや梶山・ルーカスのパス精度の低さから、流れの中でチャンスをつかめない。22分、福岡陣中央のFK、規郎のシュートが壁を抜け、入ったかと思えたがポスト直撃で決まらず。27分、またも得たFKで規郎が強烈キャノンを撃つも、神山が横っ跳びで弾き出す。
セットプレーでのチャンスをものにできないでいるうちに、東京側にこぼれ球等への集中力を欠いたようなプレーが増え始め、流れは福岡側に傾く。24分、ボックス手前の競り合いからヘディングボールに反応したFWグラウシオが抜け出すが、シュートはバーを越える。28分、MF古賀のスルーパスでグラウシオが一対一になるも、シュートを塩田がかろうじて触り、ゴールへ転がるボールを増嶋がクリア。ここら辺から、組織のしっかりしている福岡の出足やパスのテンポの良さが目立ち、東京は攻守にまとまりを欠いて苦し紛れのロングボールを蹴るばかり。
32分と38分、梶山が軽率なプレーでボールを失ってカウンターとなり、いずれもDF3人×アタッカー4人の大ピンチとなるが、ラストパスとシュートのミスで命拾い。福岡の決定力のなさには大いに助けられたものの、それでもズルズルと修正できないままやられっぱなしの状況がもどかしい。さらにロスタイムにもまた「梶山からカウンター」をくらいかけ、「何度同じ事をやられるんだ!」と憤慨させられた。梶山はボールを奪われるのは仕方がないとして、うつむいている暇があったら相手を追いかけないと。そして、他の選手も見る前に戻らないと!
後半頭、梶山→伊野波の極めて妥当な交代。東京はガーロの喝が効いたかやや持ち直し、一進一退の攻防。1分、福岡陣右サイドの争奪戦からこぼれたボールを宮沢が柔らかくボックス内へ入れ、巧みにDFライン裏をとった戸田がボレーで狙うが空振り(涙)。2分、福岡のカウンター攻撃、ペナルティボックス正面でフリーの古賀がシュートを放つもポスト右を抜ける。9分、クロスに飛び込んだFW藪田のシュートを増嶋が体を投げ出してブロック。11分には右サイドに開いたルーカスがドリブルから低いクロス、GKとDFが交錯してこぼれたボールを川口がボレーで狙うもバーの上。
東京は局面局面ではいいプレーが出るものの、どうも味方の反応が鈍くて崩しきれない。戸田に代えて阿部投入。これで一時的に攻撃に勢いがついたのだが…。14分、規郎からボックス内左へ流れる川口へのパスが通り、中央への折り返しを走り込んだルーカスがシュート!「これは決まっただろう」というどんピシャのタイミングだったが、コースが甘く神山に防がれる。16分には福岡陣右サイドからのクロスを増嶋が頭で狙ったが神山の正面。次第に、やはりセカンドボールやカウンターへの備えの甘さを突かれながら流れは福岡へ。
19分、福岡のカウンターから右へ展開、グラウシオがボックスへ切れ込んで放ったシュートを増嶋がブロック。21分、中盤のヘディング合戦からバックヘッド一発で古賀がDFライン裏へ抜け、一対一の態勢で強烈なシュート!塩田がかろうじて弾き出し、さらにこぼれ球を藪田が狙うも枠外。その後もCKが続く。宮沢に代えてのササ投入も効果なく、30分を過ぎる頃からは、福岡の攻撃をはね返した後でジャーンが両手を広げて周りの味方に「上がれ!」とジェスチャーで指示するが、反応する選手はほとんどいない。そしてまたも攻撃はロングボール一辺倒になり、あっさりはね返されては逆襲の繰り返し。ウーム…。
そうして福岡の攻勢が続いて迎えた39分。中盤からのロングボール一発で古賀に代わって入っていた(この交代には正直首を捻ったのだが)宮崎が抜け、規郎のカバーリングも届かず浮かしたシュートが塩田の頭上を越えてゴールイン。あ〜あ、という感じである。わずか数十人のサポーターしかいないゴール裏へダッシュして喜びを表す福岡イレブンに対し、トボトボ歩いてなかなかボールをセットしない東京の選手たち。この試合でついた差が技術や戦術によるものではなく、選手のメンタルに由来する事がよくわかったシーンだった。そのまま試合終了。
結局、試合全般に散見された集中力の欠如(特に、こぼれ球への備えと攻→守の切り替え)や失点後の様子から察するに、選手もこの試合は「消化試合」ととらえていたのだろう。ガーロのハーフタイムコメント通り、モチベーションの問題、か。まあ、GWまでの連戦がようやく終わったこの時期、敗退がほぼ決まったナビスコ杯に気持ちを入れるのが難しいのは分かる。でもね。ホームの有料試合でこれをやっちゃうことの是非は置いとくとしても、今年の東京は色々模索してよりレベルの高いチームを構築している過程の途中。どんな試合であろうと、無駄にしいてる暇はないはずなのに。
本文中でも触れた通り、特にひどいのが梶山だったのは一目瞭然だが、他の選手も決して褒められた出来ではなかった。宮沢と、あと今野も。宮沢は高精度のFK等でチャンスを作っていたけれども、一方で「とりあえず得意な所に蹴っとく」シーンが多すぎたように思う。もっとパスを散らして攻撃を動かしてもらわないと。今野は相変わらずお悩み中。最近では、特にパスシチュエーションでは、失敗を恐れて消極性が目立つように思える。ちょっとハートが弱いのかな…。少なくとも今野だけでも、ジャーンの檄に応えてダッシュしてほしかった。
また、この試合に関してはガーロ監督にもケチをつけたい気分である。特に先発メンバー。おそらくガーロにしてみれば、いくら「消化試合」とはいえ、まだ完全に可能性が消えたわけでもなく、ホームゲームでもあり、これまでのスタメン中心でイケるだろうし、実際それできっちり勝つ思惑だったのだろう。でも、選手たちはついて来れなかった。ガーロの選手への期待や信頼は嬉しいし美徳でもあると思うけれども、やはりそろそろ見込みを厳しめにするというか、東京の選手たちの現状を考慮してもいいのではなかろうか。ちょうど怪我で休んでいた選手(試合に飢えた選手!)がゾロゾロ復帰しているところでもあるし、試すのが戸田だけでは惜しいように思った。あと、池上は何のためにベンチに入っていたのだろう?とも。
次は浦和か…いくら「長い目で見る」と言っても、負けが込むのはつらい(ホーム三連敗は避けて欲しい)し、まして浦和にボコボコににやられるなんて…。最終節福岡には行けないから、この試合であと2ヶ月間の気分が違ってきてしまうかもしれんのだ。頼むぞ、憂太。