J1リーグ第25節 vs大分トリニータ 2005.9.25 味の素スタジアム

 

 

 試合後、落ち込んだ。元々あまり精神的なテンションが高くなかった(これは全く個人的な事情ですが)ところに、今季何度となく見せられているぐだぐだな試合。今シーズンで、いやもしかするとFC東京を応援しだしてから一番意気消沈したかもしれない。「残留争いって辛いなあ」というより、「こんな試合しかできないから残留争いになっちゃうんだ!」というのが率直な感想である。

 

 前半の東京は見所が少なかった。横浜戦での中盤の健闘に気を良くしたのか、ルーカスの代わりにササが入ってあとはそのままの布陣。しかし、これが機能しない。マークの関係もあるのか栗澤が下がってしまう事が多く、前3人とそれ以外の間が空いてしまい、FWとテンポの合っていない梶山が配球にもたつく場面が目立った。ササ・規郎・戸田はいずれも体調が良さそうで積極性もあったが、ボランチやSBとの連動性を欠いて各々が孤立気味。強引な形からのシュート・クロスをDFに止められてはセカンドボールを拾われてしまい、二次攻撃にもちこむこともできない。行き詰まっては「各個撃破」されるシーンが続く。終了間際に梶山の「伸びるミドルシュート」に面食らったGK西川がCKに逃れた場面はあったものの、全体的にはチャンスの数は少なかった。

 一方、大分の方もさほど攻めに人数をかけてこず、パスの精度はあまり高くなかった(強風の影響?)けれども、こちらはとにかく人とボールを動かそうという意図が感じられるサッカー。チャンス数でもシュート数でも上回っていた。マグノ・アウベスを中心に、高松と吉田がボールを引き出し、後ろから外国人ボランチコンビがショートパスを繰り出す。受け身に回る東京の中盤。大分とすれば、前半のうちに先制しておきたいところだったろう。が、東京はDF陣が踏みとどまり、なかなか枠内シュートを撃たせない。40分、左サイドスルーパスで抜け出したMF吉田のクロスがファーにこぼれ、土肥が出たところをマグノ・アウベスにヒールで折り返されるピンチも、加地がシューターに貼りついて防ぎきる。ロスタイムにはカウンターから吉田の強烈なミドルシュートを土肥が横っ飛びではじき、拾った根本のクロスをマグノ・アウベスがボレーシュート!逆を突くようなコースだったが、土肥は素晴らしい反応で体を返してセーブ(お見事!)。大分優勢のままハーフタイムへ突入。

 

 後半、東京は戸田を2トップの一枚にして裏を狙わせる布陣に変更。栗澤が攻撃的MFの位置にとどまることによってかろうじて中盤と前線とがつながれ(規郎は消えてしまったが)、流れは東京側に。50分、戸田がペナルティボックス内で潰れたところに栗澤が絡み、フリーで走り込むササの前にボールが落ちたが、シュートはミートせず。前半とは逆に、東京の勢いに押される形の大分はほとんどチャンスを作れない。さらに62分、規郎に代えて阿部吉朗投入。吉朗は単騎でもどんどんドリブル勝負を挑み、チーム全体の攻撃を加速させていく。68分、右サイド栗澤からのクロスをニアで戸田が倒れ込みながらすらし、いい出足でファーに詰めた吉朗が押し込んでゲット!…したかに思えたシーンはオフサイド。残念。70分、ペナルティボックスすぐ外でドリブル突破しようとした戸田が倒されてFK。ササが撃った強烈なシュートは、弾道を見て思わず「決まった!」と叫んでしまうほどものだったが、西川が(おそらくヤマを張っていたのだろう)素晴らしい反応でセーブ。

 やがて大分も左サイド吉朗の突破を警戒してマークを厚くするようになり、東京の攻撃は停滞。また、疲労もあったのかもしれないが、どうもボールを奪ってから全体の上がりが遅く、やや腰が引けたような戦いぶりでもあった。中央からの攻撃に活を入れるべく、サブに入っていた馬場・宮沢いずれかの投入が期待される状況。が、原監督はなかなか動かない。膠着した攻防の時間が続く。そして、ようやく次の選手交代が行われたのは残り10分、梶山→三浦文丈であった…。この交代の時間と選択を見て、なんというか、非常にがっかりしてしまった。原さんは引き分けでもいいと思っていたのだろうか?残留争いのライバルを突き落とす絶好のチャンスだったのに。その2分後、消耗の激しかった栗澤に代えて馬場憂太。残り8分…。

 ここからは辛い時間だった。東京の選手たちの動きは鈍い。アタッカー3枚は前に貼りつきっぱなし、後ろからの押し上げもなく、憂太は1人で懸命にキープしながらコースを探すもパス出し所がない。マークの貼りついた阿部を狙ったミドルパスがタッチラインを割ったシーンではスタンドのあちこちからため息が。あれを通したらほとんど神だが、しかし他に手がないのだ。87分の左CK、憂太のドロップするクロスがジャーンにピタリ合ったように見えたが、ヘディングシュートはバーの上。諦めかけたロスタイム、大分陣中央で得たFKを敵も味方(の大部分)も追いつけぬタイミングで憂太がクイックリスタートし、しっかり反応していた戸田(素晴らしい集中力!)が西川と一対一になるも決めきれず、タイムアップ。もしあれを戸田が決めていれば「何はともあれめでたしめでたし」というところだったが…2週連続惜しいところで「救世主」になり損ねた感じ。で、結果はまたしても、の引き分け。

 

 前半のアタッカー陣の連動性のなさや中盤以降との分離は、ルーカスの欠場という事情があったにせよ(というかあったからこそなおさら)、今季これまでの東京サッカーの欠点が改善されていないことを端的に示していたと思う。いつも同じような形で同じような煮え切らないサッカーをしてしまっている、言い換えれば同じ事を繰り返しているような気がするのだが…。まあ、それでもこの試合に関して言えば、前半うまく行かなかった形を後半いくらか修正できた点は良かった。だが、結局勝負所でフリーズしてしまったのはいただけない。采配や一部の選手の動きから、「勝ちに行く」という意志があまり感じられなかったのは非常に残念である。なにしろ、今日の試合はホームゲーム。本拠地・味の素スタジアムで行われたのだ。ここでライバルを叩きに行かずして、いったいいつ叩くというのだ。納得のいかない戦いだった。

 ただ、精一杯ポジティブに考えるとすれば、下と勝点でほとんど差がないとはいえ、ともかく勝点1を得て13位に浮上することはできた。次は同勝点の大宮が相手である。その後広島、ヴェルディ、ガンバ、鹿島と上位&苦手が続くだけに、ぜひとも勝点3をとっておきたい。頑張りどころはまだまだ続く。

 


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