ナビスコカップ第1節 vs柏レイソル 2005.3.19 日立柏サッカー場

 

 

 昨年に引き続き初戦は黒星。なんつーか、「ケリー後」の攻撃サッカーは未だ構築しきれず、ということなんだろうか。

 

 試合前。暖かい日差しが差し込み、カップ戦ということもあるのか、どことなくのどかさの漂うスタジアム。久しぶりの私たちを迎えてくれたのは、以前と変わらぬ「FC東京の関係者、選手、並びにサポーターの皆様、ようこそいらっしゃいました」「心から歓迎いたします!」との場内アナウンスだった。素晴らしい。さすがは日立台。どこぞの、相手ファン・サポーターを観戦の邪魔となるアクリル板で囲み、それを社長が自慢げに語りさえする某失礼クラブとは大違いである。

 また、キックオフ前にはムック&ガチャピンとレイソルダンサーズ(笑)及び子どもたちのお遊戯があったのだが、ちょっとスタンドの嗜好とズレてたかな…正直、あまり盛り上がらなかった様子。あと、ムックとガチャピンの声、聞き慣れたものとは違っていたようにも思えたのだが、昔と変わってるのかな?

 

 キックオフ。序盤から、柏が風下ながらボールを支配して押し込む展開。明神を軸に素早いプレスでボールを奪い、グラウンダーのパスを崔成國・安永・クレーベル・大野という攻撃陣に送り込む。アタッカー(特に崔!)の活きの良さ、攻守の切り替えの早さが目についた。対する東京はやや引き気味になりながらも今野・宮沢・藤山らがボールホルダーにしつこく絡んでいき、ジャーンが鋭い読みを見せて最後の一線を破らせない。ボールを奪うと追い風を利用して(?)前線への長いボールで打開を図るが、これはなかなかFWへ通らない。10分、石川が倒されて得た相手陣のFK、宮沢のグラウンダーはGK南がキャッチ。14分には右サイドでパスを受けた崔が切れ込んでシュートを撃つも、威力なく塩田が抑える。

 先制したのは、やや劣勢にも見えた東京。17分、下がってパスを受けたルーカスから、左サイドを勢いよく追い越していく今野へパス。今野はそのまま持ち上がってクロスを上げ、ファーでフリーになっていた石川が巧みなトラップから右足ボレーで叩く。シュートの当たりはイマイチだったようにも見えたが、コース良くGK南の左を抜いてゴールイン。押され気味だった味方を勇気づける、幸先の良い得点に思えたのだが…。

 次のキックオフ直後のプレーで東京がファウル。右サイド遠い位置でのFKだったが、崔が美しい放物線のクロスを入れ、ファーで伸び上がったDF中澤が頭一つ抜けてヘディング、山なりのボールが塩田の届かない軌道を通ってゴール右上に吸い込まれた。あまりにもあっけない失点。1−1。その後も、東京DFは精力的なフリーランニングからDFの隙間に飛び出してくる柏アタッカーを捉えるのに苦労し、逆に東京の縦パスは高確率でカットされてタメを作れない。

 24分、MF谷澤から、DFラインのギャップにフリーで飛び込んだ大野に浮き球のパスが通る。きれいなボールコントロールからスムーズにシュート、塩田の横っ跳びも届かず。1−2。1点目に続き、守備のエアポケット。さらに柏の優勢は続き、何度かサイドからのチャンスを作られる。35分にはきれいなパスワークから右サイドでパスを受けた谷澤がDFとGKの間を狙うクロス、ジャーンのゴールライン方向への胸トラップ(クリア?)はあわやオウンゴールかと冷や汗。その直後に東京も逆襲、今野が持ち上がって右の石川へ展開、グラウンダーのシュートがゴールわずか左へ抜ける。

 終了間際、柏のバックパスにルーカスが詰め、南の中途半端なクリアを戸田が拾い、無人のゴールへシュート…も大きく枠をそれた。ロスタイムには柏陣でのFKから東京の波状攻撃となり、南が飛び出してかぶったところでヘディングシュートが決まったかに思えたが、ファウルの判定。南のぎこちない動きもあって悲観するような雰囲気でもなかったものの、1点ビハインドのまま前半が終了した。

 

 後半キックオフ前、東京ゴール裏からわき起こる南コールに(嫌そうに)手を挙げて応える南(笑)。

 

 後半立ち上がりは東京がラッシュをかける。宮沢のFK、石川のクロス。4分には、石川にマークが付いたのを見た藤山が右サイドから中へ切れ込んでシュート(枠外)!ところが、その直後、東京はまたしても失点を喫してしまう。東京陣でのパス回しからクレーベルが意表を突くロングシュート、これが追い風にも乗ったか、塩田の頭上を抜く。1−3。あっけないと言えばあまりにあっけない失点だった。しかし、もちろん東京イレブンはまだまだ諦めず、前がかりになる。6分にはルーカスがドリブルでゴールライン際までえぐるも、クロスは味方に合わず。対する柏は崔のスピードを生かし、効率よくチャンスを作る。

 9分、戸田OUT規郎IN。さらに数分後、東京サポーターは「ダ、ニーロゥ!!」コール。これに応えて(?)東京ベンチは14分に宮沢に代えてダニーロ投入、攻勢を強めようとする。しかし、柏は落ち着いてラインを上げ、東京FWがオフサイドにかかる場面が続き、逆に東京DFライン前のプレッシャーのゆるさを突いてクレーベルがドリブル勝負→シュートを繰り返す。悔しいことだが、攻守にわたって柏のシステムが機能し、東京は形勢挽回できないまま時間が進んだ。ダニーロは周りとのコンビネーションも運動量も不足しており、前に張りながら攻撃を活性化できない。栗澤は守備に追われっぱなしで、いつもの前後左右に絡んでいく動きは見せられず。

 29分、藤山に代えて藤田投入。藤田はとにかく積極的にオーバーラップをかけて状況打開を図る。この頃になると疲れもあってか柏DFラインの押し上げスピードが鈍り、東京は再び押し込めるようになった。攻撃にあまり人数をかけず、カウンターで対抗してくる柏。34分、カウンターから安永が右サイドを突破、クロスが塩田の左を抜くが、崔に届かず助かる。35分、藤田の入れたクロスのはね返りをペナルティボックス内で今野が根性でつなぎ、石川が左足でシュート、南が横っ跳びではじき出す。37分には東京陣で柏のFK、グラウンダーのボールにフリーで飛び出した中澤が触り、塩田が尻餅をつきながら右手で何とかかき出す。東京は藤田が何度か右サイドを突破するも、クロスがFWに合わない。

 44分、個人技で右サイド突破したルーカスに対しゴール前でダニーロが「よこせよこせ!」と手を振るが……超オフサイドポジションなんですけど、そこ(笑)。案の定、クロスを頭で叩きこんだところでオフサイドの笛。うーむ。終了間際にはイ・チュンソン君が登場し、東京ゴール裏からはやけっぱち気味(?)の「イ、チュンソン〜!!」(ダニーロのコールのメロディーで)の唄。ロスタイムには東京の波状攻撃。スルーパスで抜けかけたダニーロの戻しパスを石川がシュート、さらにはね返りを拾ったルーカスがコースを狙ったシュートを放つも、ポスト右に外れた。そして、CKを蹴ろうとしている栗澤のところへこの日一番のダッシュで駆け寄ってボールを奪うダニーロ。最後はペナルティボックス内で放った金沢のシュートが枠を外れ、タイムアップ。

 

 試合後、柏ゴール裏では内山田洋とクールファイブの『東京砂漠』がサビだけループで流されていて、ちょっと面白かった(笑)。

 

 前でタメられない、サイドと中の絡みが足りない、といったあたりは去年から引き続き、「ケリー後」の課題(強力なリンク・プレーヤーのいないメンツでどう攻撃を組み立てるか)ということなんだろうか。この日は柏の鋭いラン・パスに押されて中盤が作れず、前3人とそれ以後とがはっきり分かれてしまう場面が多かった。宮沢がなかなかパスコースを見つけられない中、栗澤も守備に追われてばかり。加えて加地もいなかったし(藤山は全然タイプ違うからね)、石川もなかなか援軍が得られず孤軍奮闘状態。まあ、栗澤・宮沢・今野の中盤は実戦ではまだ3試合目なわけで、バランスやサイドとの絡みを模索している状態なんだろう(と、思いたい)。

 ダニーロはちょっと…どうなんだろう。彼にボールが渡ると攻撃が減速してしまい、正直、今はほとんど貢献できていない状態だと思う。もうちょっとマーカーを引っ張ってスペースを空けたり、ボールのないところでも頑張ってほしい。戸田があんまり持ち味を出せていなそうなのもちと心配。守備陣では、モニの調子が悪そうだったのが気がかりだ。代わりにジャーンがカバーに前への守備によく頑張ってくれていたけれども。柏は、金沢がボール持つとササッとプレスかけに行くのに、藤山がボール持ってもそのまま放していたように見えたのは、気のせいだろうか。そういう意味では、藤山→藤田は攻撃態勢に移るためのわかりやすい交代であった。

 

 次戦は、今シーズンこれまで結果の出せていない大分をホームに迎える。チームとしてはリーグ開幕の4得点がフロックでないことを、ここでもう一度示したいところだろう。


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