J1リーグ第8節 vs柏レイソル 2005.4.28 味の素スタジアム

 

 

 昼間の陽気とは裏腹に冷たい風の吹きつける中で行われたこの試合、内容と結果、そして試合後の光景は、風なんかよりもずっと寒くてつらいものだった。

 

 試合前、コンコースでどとねと君とやすぞうさん(この時点で既にビール2杯目)に会った時、非常に数の少ない柏ゴール裏を見て「寂しいね〜」などと話していたのだが、まさか試合後に寂しい思いをするのがこちらだったとは(笑)。 

 ゴール裏には「楽しい金町ダービーをもう一度!!」という横断幕が下げられていた。東京サポーターの日立台ピッチ乱入事件、そして馬鹿げた「突破」騒動。柏ゴール裏もチームの不調からか、先日の暴力事件を持ち出すまでもなく近年は殺伐とした雰囲気になっていること。かつて「金町ダービー」などと名付けて面白がっていた頃の雰囲気は、確かに最近の対戦では全くなくなってしまった。「ああ、あの頃に戻りたいなあ」という気持ちは私も一緒なんだが、でも結局この試合ではまずホームの東京側に楽しむ余裕がなかったんだよなあ…。

 

 

 キックオフ。両チームともバランスを保ちつつ探り合うようなプレーぶりで、静かな立ち上がりとなった。もしかすると、強風でボールが扱いにくいせいもあったかもしれない。互いになかなかアタッカーにボールが収まらず、取りそうにも取られそうにもない時間帯が続く。先発起用されたダニーロは気合の入った様子で、手を伸ばしてパスを要求するポーズも出たのだが、なかなか宮沢や今野が狙ってくれず、たまにパスが来た時には拍子抜けするほど簡単に後ろに戻してしまうなど、どうも噛み合いが悪い。

 15分を過ぎたあたりから試合が動き始める。まず16分に柏のCKでクレーベルのヘディングがバーを直撃。17分、今度は東京のCK、宮沢の巻いてゴールに向かうボールが柏DFに当たってポストを直撃。18分、東京の逆襲速攻、石川がフェイントでDFを揺さぶりながらペナルティボックス正面へ持ち上がりシュート、ショートバウンドのボールをGK南が危なっかしくセーブ。見た目きれいな4バックの陣形で押し上げ、クレーベルを軸に機会をうかがう柏、対してDF裏へのシンプルなパスから活路を見出したい東京。

 短い時間での目まぐるしい攻防が過ぎ、試合はまた膠着。石川・平山らが散発的にクロスを上げるも、これらはDFが残っている状態のもので効果は薄かった。静寂を破るようなチャンスは35分に生まれた。今野が出足良くパスカット、後ろから明神に引っ張られながら前進し(もちろんレフリーはアドバンテージのシグナル)右へ展開、ルーカスの低いクロスにダニーロが土屋と競りながら足で会わせるも、ゴール方向へはねたボールはカバーに入った明神がクリア。

 柏に先制点が生まれたのは38分。自陣で宮沢がボールを奪われた場面、柏は右サイドへつないで波戸がクロス。フリーで走っていたクレーベルが頭で合わせ、やや距離のあるシュートではあったが、ボールは前に出かけた土肥ちゃんの頭上をふわりと越えてゴールに吸い込まれた。技ありの得点。0−1。膠着状態で自陣におけるミスは痛い。それでも東京はすぐさま反撃に転じ、40分、CKのはね返りを宮沢が連続してミドルシュートするが、いずれもDFにブロックされ、さらにペナルティボックス内へ突入しようとしたダニーロがDFと接触して超大げさに倒れるも、もちろんレフリーの笛は鳴らず。42分には左サイドから栗澤が上げたクロスにダニーロとルーカスが飛び込んで南とガチンコ、こぼれ球がどフリーでファーサイドにいた石川の足下にこぼれるが、シュートはゴールライン上に立つDFがきわどくブロック。1点ビハインドでハーフタイムへ。

 

 後半、前半はフィードばかり狙っていた右SB迫井の上がりも増え、東京はやや前がかりに。さっそく1分には迫井のオーバーラップを囮にして中へ切れ込んだ石川からペナルティボックス内のダニーロ、さらに左サイドでどフリーになっていた今野へパスが通りこれは同点かと思われたが、シュートは大ふかし(この決定機を逃したのは痛かった…)。押し上げようとする東京に対し人数をかけて守りながら逆襲狙う柏、という前半とは逆の構図になったのだが、ボールホルダーにスペース与えぬ柏の守りに東京は苦戦。なかなかチャンスを作れぬまま時間は進む。

 11分、東京は宮沢に代えて馬場を投入し、状況の打開を図る。が、役割が整理されないままの交代が混乱を招いたのか、なかなかボールを進めることができず、次第に焦れたルーカスが下がっちゃうわ憂太はターゲットを見つけられず中途半端なパス出しに終始するわ石川やダニーロは孤立するわで攻撃が停滞。逆に19分、東京ゴール裏から「シュート撃て!」コールが飛んだ直後、玉田のグラウンダーのクロスをペナルティボックス内で受けたリカルジーニョが折り返し、波戸が流したボールを平山が押し込んでゲット。0−2。書いていて気づいたのだが、チャンスとみるやきっちり人数をかけていたのだね、柏。東京ゴール裏からは珍しい「意地見せろ!」コールが。

 失点直後に東京はダニーロOUT戸田INで2トップの布陣へ変更するが、全体的に動きは鈍く反撃の機運は高まらない。長いボールで戸田を走らせる安易で単調な攻撃ばかりが目につく。繰り返されるブーイング、そして「シュート撃て!」コール。27分には栗澤に代えて規郎投入…。うーむ。30分にはペナルティボックス外から規郎が弾丸FKを放つが、いくら威力のあるシュートでも壁めがけためくら撃ちではあまりにも確率が低い。ここでボールの直撃を受けたクレーベルが倒れ、高山レフリーが試合を止めたことで1回目の「クソレフリー」コール(二次攻撃の後で柏DFがクリアしたところという、実に妥当なタイミングで止めたと思うのだが…)。

 後半途中から柏はプレスをかけるポイントを完全に自陣に移しており、逃げ切りの体勢。33分、CKで南が中途半端に弾いたボールをペナルティボックス内で石川が拾って叩くが、ゴール左に抜けた。37分、規郎の大きすぎるクロスが上空を通過する際、ゴール前でルーカスがDFと接触して倒れるも笛ならず、その直後に憂太が明神をあからさまに引っ張ってファウル。この判定に不服なスタンドからは大「クソレフリー」コール。……僕の目には理不尽なジャッジには見えなかった。試合の形勢がよろしくない鬱憤をレフリーにぶつけるのは、端的にみっともない。その後戸田・石川が続けて警告を受けたことでまた大「クソレフリー」コール。ああ、本当にみっともない。

 終盤、キャプテン明神が全く落ちない活動量で攻守を支え続ける柏に対し、東京は運動量も集中力もパスの精度も落ち、ただ戸田へ縦パスを放り込み続けるだけであった。これでは勝てない。これでは点が奪えるはずがない。これでは……。0−2のまま試合終了。

 

 試合後、スタンドへの挨拶に回る選手たちの列がコーナー付近に至った時、バックスタンド1階が変にざわついた。手を上げてエキサイトし、周りに制止される茂庭の姿が見える。土肥ちゃんも怒っている様子。最初は変なヤジでも飛ばす馬鹿がいるのかと思ったが、どうも物を投げ入れた大馬鹿がいたらしい。係員がマークしていたその男は、高校生くらいだったろうか?なんてことすんねん…。怪我上がりの体を押して奮闘していた茂庭に申し訳ないというか何というか。

 とにかく後味の悪い試合だった。次だ。早く次に行こう。いや、もう次が来てしまうというべきか。

 


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