ナビスコカップ第6節 vsジェフユナイテッド千葉 2005.6.11 市原臨海競技場
これで今季(というかこの1ヶ月で)千葉には3戦全敗。全て1点差だから決してボコボコにやられているというわけでもないのだが、点差だけでは計れない様々な差を感じる3試合でもあった。ついでにナビスコ杯敗退も決定。
前半は風上に立った東京がやや優位に試合を進めた。というか、東京の出来が良かったというよりも、ジェフの方が何だか地に足がついておらずフワフワとプレーしていた印象。予選突破をほぼ確実にしていたことで気が抜けていたのだろうか。前半21分、右CKから石川がマイナス方向へのクロスを上げ、フリーになっていた今野がボレーで思い切り叩く。「ズドン!」ともの凄い音がしてボールがゴールに突き刺さった。プレーは単純ながら見た目のインパクトのあるゴールだった。1−0。その後はジェフも攻め返す姿勢を見せるものの、いつもほどのキレのないパス回し・ランニングは東京DFを崩しきれず。
34分、栗澤の何でもないスルーパスに対してジェフDFが緩慢な対応を見せ、DFラインの裏に飛び出した戸田がきっちり決めて2−0。東京ゴール裏からは「あと3点!」コールも飛び出す。その後も惜しい場面が何度かあり、終了間際には取り消されたプレー(ファウルの後にボールがゴールネットを揺らした)をゴールインと勘違いした(?)東京サポーターが『東京ブギウギ』を歌い、さらにスタンド前の柵まで降りて行進を始めるシーンも。ともあれ、最近になくいいムードでハーフタイムへ突入することになった。
後半、戦況は一変する。風上に立ったこととハーフタイムのオシムの喝(どこかの新聞には「千葉に落雷」と書いてあったとか(笑))がよほど効いたのだろう、ジェフの選手たちが前半とは別人になった。4分、阿部のFKが壁に当たったこぼれ球を羽生が拾い、東京DFの寄せが遅れたところでシュート、ボールは左ポストに当たってはね、さらに右ポストに当たってからゴールイン。サポーターの目の前での得点ということもあり、大いに盛り上がるジェフ陣営。これでもう勢いが違った。前線へのフィードに素早い二列目からのフォローが加わり、東京守備陣はズルズル後退していく。
15分、右FKから上がったクロスをファーに流れながら林が頭で落とし、ポペスクが足下に収めてからシュート、ボールはDFの間を抜けてゴールネットを揺らした。同点。その2分後にはまたも右サイドからのクロスのこぼれ球をポペスクが叩き、これまた低いシュートがネットに突き刺さってあっという間の逆転劇が完成した。2−3。この間、なんというか、千葉の選手たちの生きのよい動きからは「これで取れないはずがない」「きっと逆転できる」という自信、あるいは確信みたいなものが感じ取れたのに対し、東京の選手たちのプレーからはどんどん躍動感が薄れていくように見えた。
もはや予選突破はほぼ不可能な状況ながら意地の反撃を見せたい東京は、燃料切れの祐介に代えて特別強化指定のFW赤嶺、消えていた栗澤に代えて憂太、さらにこれも電池切れの宮沢に代えて文丈を投入する。が、ジェフペースは変わらない。ジェフに好調時の攻撃の連動性がなかったこと、さらに羽生・ポペスクらを早めに下げてくれたことで追加点こそ免れたものの、反撃の機会すらつかめぬまま時間が過ぎていく。憂太や赤嶺へいいボールがなかなか入らず、たまにパスが渡っても周りのフォローが足りない。良い形で速攻になりかけたところで石川のグラウンダーのパスを誰も追わず、石川がふてくされたかのようなジェスチャーと動きを見せる場面もあった(あれはいかんぞナオ)。無力感と焦りの中でチームが傾いていく、イヤな感じ。結局そのまま試合終了。終わってみれば、また完敗だった。
ジェフ千葉は立派なチームだと思う。元々資金力で劣るところに毎年主力選手を引き抜かれ、それでもオシムの指導でチーム全体を底上げしつつ若い選手を育て、優れた成績を収め続けている。お金のないチームでもここまでやれる、という意味では一部の裕福なチーム以外に関わる人々(つまりは日本サッカーの大部分)に夢を与えてくれているとさえ言えよう。見た目にも実に生き生きとしたプレーぶりで、まあこれだけ楽しいサッカーをしていてなぜもっと人気が出ないか(この日の観客は6千人台)とも思うのだけれど、それは余計なお世話か。ホント羨ましい部分のあるチームである。
FC東京は、相手の出来の悪さをうまく突いてリードを奪ったのに、反撃で1点差とされた時点でもう自分を見失ってしまったようであった。問題は何も精神面に限った話ではなく、こちらの優位性に対して相手が戦術なり何なりで修正・対処してきた時に、それに対する対策が有効にできていない印象。「組み負け」と「気後れ」の悪循環とでも言おうか。文丈はコンディションの関係(ユーベ戦も欠場していたし)で後半途中まで使うことができなかったのだろうか?文丈が中盤の底にいて、その周り・前でプレーする今野や宮沢をうまく使ってくれる形でチームを頑張らせるのがいいように思うのだが。前節柏戦の石川・文丈・今野・宮沢と並んだ中盤をもう一度観てみたい。
さて、これでナビスコ杯の連覇という目標は消えた。リーグ優勝も数字的な可能性はともかく、現実的にはもう駄目だろう。既に先週の時点でこういうことを書いている人もいるわけだが、FC東京は今シーズンの目標をどこに持っていくのか、非常に難しいことになってきそうだ(まあ当面の目標としてはもちろん「1部残留」があるわけだが)。少なくとも今年チームが「優勝宣言」とか「Hop−Step−Champ」とか「攻めて獲る」とか言っちゃった(個人的にはそれ自体は正しいことだと思うけど)からには、何らかの総括が必要なのは確かだと思う。
僕は、別に「カフー、フィーゴ、ジダンのそろったFC東京が観たい」わけではないが、連敗がしゃくに障る人間なんでね。