J1リーグファーストステージ第1節 vs柏レイソル 2003.3.22 味の素スタジアム

 

 

 開幕戦というのは、何度迎えてもウキウキワクワクしてしまう。

 今年の開幕記念イベントは、東京スカパラダイスオーケストラのスペシャルライブ。DJの紹介に続いてまず演奏したのは、おなじみ「ルパン三世のテーマ」!…って、よくわかってんじゃん、スカパラ!!選曲の勝利というか、これで少なくともゴール裏のハートはがっちりつかんだな(バックスタンドは全然平静だったけど(笑))。「スカパラ、東京!!」のコールも飛ぶ。で、曲名は知らないけど(笑)彼らのオリジナル曲が入って、最後に「You’ll Never Walk Alone」の演奏。この「You’ll Never Walk Alone」も良かったな。いつもはボーカル入りのテープが流れるんだけど、そうなるといかにも「歌わされてます」って感じがしちゃうんだよね。今回はインストのみだけに、スタンドのサポーターはいつもより自分たちで声を出すことになって、より雰囲気的には高まったんじゃないだろうか。たったの3曲だったけど、いいイベントだったと思う。少なくとも蝶野よりははるかにグーだ(笑)。

 両チームのメンバーを見る。柏は何かサテライトのチームと入れ替わってしまったのではないかと思えるほど、いきなり若返りが進んでいた。矢野・永井・大谷・永田・田ノ上…。うーん、最近のウチも人のことは言えないが…なんか一気に「西野時代よさよ〜なら〜」って感じだな。下平も入ってるし(笑)。明神が右サイドバックに入っているのにはちょっと驚き。東京の方は、土肥ちゃんが復帰(練習でピッチに飛び出してきた時、すごい拍手があがった)。アマラオは間に合わず、ここのところ定番と化している阿部・戸田の2トップ。サブのアタッカーは規郎と馬場。うーむ、ヒロミも頑固だ。

 恒例となった柏サポーターとの野次合戦だが、今回は東京側が新しい応援歌の練習(笑)をしたりしていたせいもあり、盛り上がりはイマイチだった。「戦争ハンタイ!東京ヘンタイ!!」(君たちに言われたかぁないぞ(笑))コールとか、PL学園風の人文字とか、横断幕「ジャーンとジャーンとの味の素」「金町の自由作戦」とか、柏サポも頑張ってはいたけど、何となく元気もなかったような…。ちょっと心配(笑)。

 キックオフ。立ち上がりは両チームとも前目からプレッシャーをかけ合い、ボールが落ち着かない。なかなかシュートにまでは至らないのだが、柏の若いDFラインのボールさばきにぎこちなさが見られる一方、東京もDFラインを上げきれず柏FWにあっさりボールが入ることが多い。「こりゃ安心できないな…」。期待と不安が入り交じった心境で試合を見つめていると、意外とあっけなく試合は動いた。10分、中央でボールキープしたケリーが状況をよく見て左でフリーになっていた金沢へ展開。金沢はサイドへ流れるケリーがDFを引きつけた後のスペースをドリブルで持ち上がり、プレッシャーのかかる前にペナルティエリア内へ速いアーリークロス。これをDFがカットしそこない、ボールは裏へ走り込もうとしていた戸田の足下へすっぽり。戸田は慌てずGKの脇を抜いてゲットし、東京先制。まさにタナボタの1点だった。

 どうした形であれ得点をとればチームは活気づくもので、東京の攻撃は途端に軽快さを増した。まずは右サイドからFK・CKの連続で、宮沢の鋭いキックが柏ゴールを脅かす。16分にはジャーンのシュートがサイドネットに突き刺さる。18分、カウンターの態勢から加地のスルーパスで阿部が右サイド抜け、切り込んで迷わず勝負!シュートがゴール左をかすめる。この時間帯は中盤のパス回しに阿部のボールを引き出す動きが加わり、後ろと前の意図がシンクロしていいリズムを作り出していた。ワンタッチ・ツータッチのパスが小気味よく通って行く。22分、GKとDFの不安定なパス回しに詰めた阿部がGKからボールをかっさらうが、がら空きのゴールを狙った戸田のシュートはDFによりブロックされた。25分には阿部のパスで石川がスペースへ出てクロス、ファーの戸田が右足で叩くも、GK佐藤が横っ跳びでナイスセーブ。

 東京の攻勢を前に柏は3〜4人のアタッカーと後方が分離してしまい、全体的に攻撃は薄い。素早く縦のボールが入ればともかく、中盤で少しまごつくと前後からかかる東京プレスの餌食になっていた。ただし、平山・明神がサイドで上がるタイミングをつかんだ時だけはカウンター気味のチャンスが生まれる。16分にはサイドチェンジから平山が好クロスをゴール前に走り込むマルシオに合わせ、茂庭が懸命に体を寄せてシュートは枠外へ。29分には東京DFがマーキングに手間取った隙をついて明神がドリブルで持ち上がり、シュートを放つ。攻めながらなかなか追加点が奪えない時、一発のカウンターこそ要注意。「東京のパトリオット」浅利がスライディングタックルで逆襲の芽を摘む。

 31分、石川のクロスに阿部が飛び込み、こぼれ球がケリーの前に転がるも、トラップが大きくなって逸機。このあたりから東京の攻撃も息切れしていく。ボールをとっても上がりが遅く、横へのパスが増えて前方へスムーズにボールが流れない。浅利がボールを奪うのを見てスタートを切った石川にパスが出ず、両手を上げて点を仰ぐシーンも。「90分間、攻撃サッカー」を文字通りにやれないのは仕方がないが、ペース意識をチーム内で共有できていないのではないかと気になった。38分、中盤の詰めが甘くなったところで大谷がロングシュート、枠に飛んだ強烈な球を土肥が横に飛んではじき出す。

 いわゆる「いい時間帯」、東京にとってはイヤ〜な時間帯に突入。ちょっとした気の抜け方・プレーの雑さが目立ち始めていたこともあり、ポカによる失点が心配になってくる。案の定というか40分、土肥がボールをキャッチして「やれやれ」とメモ帳に目を落とした瞬間、耳にスタンドの異様な悲鳴が飛び込んできた。慌ててピッチに目をやると、土肥が(何故か)目の前の、黄色いユニフォームを着た選手の足下にボールを投げ込んでいる!ウヒョー!!超大ピンチ(笑)。幸いにもシュートは枠をそれ、「ドンマイ土肥!」のコールが飛ぶ。いや〜、土肥ちゃんも冗談がキツいんだから〜。45分にもDFラインにぽっかり穴が開いて、ゴールエリア内の矢野にボールが入るが、宮沢(?)が必死こいてクリア。茂庭・金沢の付近は浅利もケアしづらいのか、守備の盲点になっていたようなところがあった。何とかリードを保って前半終了。

 

 後半、立ち上がりから左SBの平山が前にせり出して圧力をかけてくるのがはっきりわかった。攻撃に厚みが増す分怖いのは確かだったが、彼が上がった裏には当然スペースがあるわけで、東京のストロングサイドである「右」の活用に期待がかかる。3分、ケリーから右の石川へサイドチェンジが成功、切り返して左足のクロスがゴール前へ入る。続いて4分、中央を阿部・ケリーで突いたところからDFラインの裏を突くパスが出、石川がフリーで抜け出す。久々の大チャンス!……しかし、ここで、GKと一対一なのに、逆サイドには誰も走り込んでいないのに、石川はGKをかわすようなグラウンダーのクロスを出してしまう。誰もいないエリアにボールが虚しく転がる。ゴールへ向かう気持ちの欠けた、石川らしさの微塵もないプレーだった。

 チャンス、特にいや〜な形でそれを逃した後にはピンチが待ち受けているのがサッカーというものだ。7分、前半幾度か突かれていたDFラインの「左中間」に矢野が走り込んでスルーパスを受ける。チェックに入る金沢。倒れる矢野。さほど激しい接触には見えなかったものの、砂川主審の手はペナルティを指していた。明神がきっちり決めて1−1。あまりにもありがちな展開に、東京は受け身になり、柏はかさにかかろうとする。9分には左サイドを平山・大野の2人で突破し、大野のシュートが枠外に抜ける。東京は悪いパターンにはまりつつあった。ケリーがボールを求めてライン際や後ろにやたら顔を出すもののそこで囲まれて詰まってしまう。ケリーと2トップとの距離は開き、ボールが前で落ち着かなくなり、柏の攻撃時間が増えてしまう。それでも阿部はいいボールが入らない中奮闘し、11分、左サイドから切り込んでシュートを放つ。

 23分には両チームともに動き、柏は大野OUT増田IN、東京は戸田OUT鈴木IN。この、アタッカーの入れ替えで攻撃をリフレッシュしようとするベンチの意図に応えてか、ゲームは一気に激しい攻め合いに。25分、阿部が右のスペースを突き、ストライドの大きなドリブルから速いクロスを入れるも惜しくも石川に合わず。その切り返し、柏は右からのクロスが逆サイドの平山に入り、加地が食らいつくも速い球がゴール前に。土肥を抜け、逆サイドのマルシオの足下にボールが入った瞬間は正直駄目だと思ったが、我々にとってはまことに幸運なことに(柏サポーターにとってはまことにお気の毒なことに)シュートは大宇宙開発であった(笑)。26分にはまた阿部が右から切り込んで今度は左足のシュートが枠をとらえる(佐藤また横っ跳びでセーブ)。めまぐるしい攻防が続く。31分にはDFを力づくで突破した加地がグラウンダーのクロスを入れるも、走り込む阿部にわずかに合わず。

 双方ともに中盤が失われる状況の中、宮沢は全く前に絡めず、DFの壁に直面した石川を浅利が追い越していく場面なんてのもあった。35分、ケリーがDF3人に囲まれながらドリブル突破、シュートを枠に飛ばす(GKセーブ)。ここで東京は石川を外し、馬場を入れる策に出る。サイドからのクロスは加地に任せ、あるいは阿部が右に流れる配置に。結果の出せていない馬場投入だけにスタンドには非常に微妙な空気が流れたが、結果的にはこれが当たることに(なったのかどうかもまた微妙だな(笑))。37分には柏がカウンターに入り、明神がミドルシュート。38分には加地が好クロスを上げるが、ケリーと宮沢(?)がぶつかってしまいフィニッシュできず。

 そして40分、右サイドで阿部がボールを持つ。外を加地がオーバーラップしてDFを引っ張るのを見た阿部は、切り込むかと思いきや意表を突くやや早めのクロス。驚いたことに、これが高くもなく低くもなく素晴らしい弾道を描いてゴール前走り込むケリーの頭へピタリ。由紀彦ばりの(←禁句(笑))最高のピンポイントクロス。次の瞬間ゴールネットが揺れ、スタンドで絶叫が渦巻く。苦しい展開で出た思いがけぬ(笑)ホットライン。阿部の公式戦初アシストは文句のつけようのないものだった。続く41分にも阿部は後方からのボールに反応して独走、GKまで一気にかわしてリーグ初ゴールをほぼ確信させたが、ぎりぎりで追いついた根引の危険なタックル(真後ろからスライディング!)で防がれる。「PKじゃねえのか!」。今度は場内に怒号が渦巻く。さらに44分には馬場のサイドチェンジを受けた阿部がまたしても好クロスを上げるが、ケリーに惜しくも合わず。

 42分にはリーグ戦1年ぶりの文丈が出場。ロスタイムには馬場が相手DFのクリアミスを拾ってゴール前まで進むも、DFと一対一になったところで「何もできない」(笑)という感じでシュートをブロックされたりしているうちに時間は過ぎ、東京はどうにか5年連続開幕戦勝利を達成したのであった。

 

 

 柏レイソルは、今後もしばらくは苦労しそうな戦いぶりであった。意識的に若い選手を起用してチームをリニューアルしようという意図は一目瞭然。それはチーム(監督)の方針だからまあいいとして、じゃあその若く新しいメンツでどういうサッカーをやりたいのか、というのがあまり見えてこなかった。まずはしっかり守りを固めてソリッドな戦いをしたいのか、それとも攻撃色を強めたいのか、いずれにせよどういう方法論でやるのか。今回はまだ初戦でもあり、試合を重ねるうちにそれらははっきりしてくるのかもしれないが、しかしそれまで我慢できるんだろうか、あのサポーターが(笑)。具体的には、あのDFライン(というかCB)のガタガタぶりがヤバすぎるだろう。渡辺毅とか薩川の起用を求める声が早晩上がってくるのではないかと思う。明神の右SBはいかにももったいない感じだし、平山をより攻撃的に使ってみるのも面白そうな……うーむ。柏の皆さんはどうお考えでしょうか。「若手起用でガタつくチーム」というのは人ごとではないしなあ(笑)。

 そのヨロヨロ柏相手にやっとこさ辛勝した我がFC東京(笑)。相手の守備に問題があったとはいえ、前半30分くらいまでのサッカーは今年になってからでは最も軽快さに溢れていて、見ていて実に気持ちが良かった。で、そこから息切れしていつもの「30分間、攻撃サッカー」(笑)になってしまう訳だが……ま、「90分間、攻撃サッカー」ってのは1つの理念型であって、気持ちはいつもそこを目指して、そしてハマッた時には6−0くらいでバカ勝ちするような試合もしてもらわなきゃ困るのだが、そりゃあ実際には「休憩時間」みたいなのはあってもいいだろう。ただ、そうした実際の試合の中でのペース判断みたいなのがどうも選手によってまちまちのように見えるのが気にかかる。上にも書いたが、前半の終盤、周りの上がりが遅いのを見た浅利があえてパス出しを遅らせて、それに対して石川が天を仰ぐ、というシーンがあったのが印象的であった。現場指揮官がほしい感じというか。ケリーあたりどうだね、ポルトガル語でもいいから(笑)。

 まあ、何にしても、初戦で勝ち点3取れたことは大きい。

 選手では、この日のヒーローはなんと言っても阿部だろう。スピードがある、周りも見える、コースを狙ったシュートが撃てる、勤勉さがある、アイデアもある、絶妙のクロスも上げられる、そして何よりゴールに向かって勝負していく意識がある……ほめすぎだとは思うが、しかし彼のプレーぶりに非常に大きな可能性を感じさせられたのも事実なのだ。1試合ごとに着実に良くなっているし、何年か前の東京に見られたようなひたむきさのオーラを出しているのもいい。もうその魅力をサポーターの目に焼き付けることには成功した。あとは、「形に残るもの」としてのゴールを1試合でも早くあげることか。一方、見ていて心配になるのは石川だ。この日に関しては、ナビスコの2試合に比べればチャンスにも絡んでいたし前でドリブルを開始できていた(これは相手チームとの力関係が大きいけど)。ただ、何というか、あのGKと一対一になってシュートを打たなかった場面に見られたように、意識がゴールに向ききっていないように見える。開幕前のインタビューで「今年は2トップだからもう少し後ろからの組み立てもしないと」みたいなことを言っていたようだが、もしかして自分の役割とか周りを生かすこととか考えすぎなのだろうか。ケリーも宮沢も阿部も(次からはアマラオも)いるのだから、とにかく今は自分の持ち味を出すことに専念してみればいいのに、と思う。ゴールライン際をえぐるドリブルが見たい!

 

[追記]
 今回から試合前にDJのスティーブンさんの「Today’s English Football World」なるコーナーが始まった。第1回目は「Header」。「ヘディングシュート」はいわゆる和製英語というヤツで、英語では「Header」と言うそうな。あ、ちなみに「センタリング」ってのも和製英語だわね。まあ日本語は日本語なので文章にする時は別にかまわんとも思うのだけれど、現地語で放送聞く(あるいは活字を読む)時に便利そうだし、ちょっとカッコいいかも(笑)。「今日の試合は阿部のクロスをケリーがヘッダーで決めたんだよ」とかね。


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