2トップ沈黙すれば、今でもJ2並?東京、落ちゆく紫に足元すくわれる。
今回は筆者多忙により、詳細に試合経過を追いません。以下、江戸川陸上競技場のバックスタンド中央で筆者が気づいたこと、感じたこと、考えたことをとめどもなく箇条書きにします。
- 江戸川は狭い。スタンドの小ささは言うに及ばず、ピッチも狭く感じられ、逆に選手の体が異常に大きく感じられる。小峯の体が小さくかつ顔がでかいのは、いつも通りだったが。
- 江戸川は海が近く、磯くさい。というより、ヘドロくさい。
- 西葛西の駅でやたらと「当日券はございません」とアナウンスしていたため、席がないのではないかと心配したが、メインスタンドは6割程度の入り。また配りまくりやがったな、スポンサー筋に。
- アドバンテージもとれないレフェリーは最低だ。
- 前半開始直後にアマラオが絶好のチャンスを外したとき、後方に座っていた人が「アマは点入れると寿命縮んじゃうから」と言っていた。先週ハットトリックなんぞしてるので、あの人はさぞかし心配なことだろう。
- ツゥットのグラウンド全面にわたる神出鬼没ぶりは素晴らしいが、近頃は前半飛ばしすぎて後半ばてて歩く姿が目に付く。
- 京都サポーターの応援コールは、なぜかメロディが東京のコールと同じものが多い。「マッハGO!GO!GO!」のテーマが流れてきたときには、思わず東京ベンチを見てしまったぞ。
- ツゥットや小林がボールをミートすると「バシュ!」といい音がするのに、小峯がサイドチェンジなどロングキックを蹴ると「ゴボッ!」と変な音がする。
- 江戸川のナイターは暗い(照明灯が4本しかない)。シンガポールのナショナルスタジアムを思い出した。
- なぜナビスコカップはアウェイ得点2倍ルールを採用しないのか。
- 迫井くん、今回は前回にも増してポジショニングが不安定で、あっちへオロオロ、こっちへオロオロという感じ。
- 迫井くん、土肥ちゃん・DF陣・ツゥット・熊など四方八方から怒鳴られまくり。気の毒になったスタンドからは「迫井、がんばれ!」の声が度々とんだ。
- 迫井の不安定なプレーで割を食った小池も大熊に「前へ出ろ!!」と怒鳴られる。
- 一方京都はカズが怒りまくり、怒鳴りまくり。あんなキャラだったっけ?
- 前半中頃、京都DF佐藤一樹が右サイドをゴキブリのような走法・スピードで駆け上がり、藤山を置き去りに。スタンド、唖然。
- 東京サポーターからしきりに飛ぶカズコール。やっぱり人気者だね(いろんな意味で)。
- バックスタンドの下の通路はなぜかびっちょびちょに濡れていた。前半終わり頃から、ピッチでも選手がやたらと滑って転んだ。東京湾の潮位が上がり、海水がしみ出してきたのかと思った(サンフランシスコ49ers・ジャイアンツの本拠地ではホントにそんなことがあった)。
- いつも思うのだが、ハーフタイムのシュート練習、喜名のシュートは全然入らない。
- 東京は近頃日本人選手がますます2トップに頼りすぎ、2トップも自分で行きすぎ。先制点をとられてからはますますひどくなり、組織で相手を崩そうとする意図が著しく低下した。
- 増田について、私もそろそろ返品したくなってきた。
- この日の審判は全くジャッジの基準がわからんかった。ヘボ、ですか。
- 由紀彦は相手DFと勝負する意欲も能力もないダメダメ君になってしまった。フィジカルコンディションがまだ悪いのか?なら使うなよ、熊さん。
- 小林→神野の交代は失敗。攻撃時のポジショニングは混乱し、ボールをとられるとがら空きの左サイドを突かれ、度々チャンス(と時間)を与えてしまった。
- 小林・由紀彦・増田・喜名の4人で中盤を構成するオプションは不可能なのか?先制点をとられてから迫井はほとんど消えていたし。
- 京都のMVPは間違いなくヘジス。
- 東京のMVP?はたぶん喜名。
- 由紀彦が駄目プレーぶりで信頼を失ったか、それともリードされて焦ったか、右サイドどフリーの由紀彦にパスを出さず相手DFの壁へ無謀な突進をするアマラオ。危険な予兆だ。
東京は敗退したことには違いないのだが、「やられた!」という感じは全くしない。「外したあ〜(脱力)」という、この日アマがシュートを打つたびに場内に蔓延した雰囲気が、試合全体についても当てはまる感じだった。少なくとも先取点を許すまで、試合のペースを一方的に握っていたのは東京だった。試合後の大熊監督のコメント通り、度々惜しいところを外れたアマラオらのシュートのうち一本でも決まっていれば、試合は完全に東京のものだっただろう。いわゆる「勝てた試合」であり、久々の江戸川と言うこともあって場内の雰囲気も良かっただけに、残念だ。「これで今年はスケジュール的に厳しくなくなってむしろ良かった」という人もいるかもしれないが、今年2回戦で負けてしまうと来年のスケジュールが厳しくなるし、だいいち私は楽しい東京の試合を一試合でも多く見たい。もったいないなあ。
シュート外しすぎのアマにはあえて触れないとして、迫井・増田・由紀彦といったところのプレーには正直失望させられた。迫井はまだ経験不足だし浅利が帰ってくれば問題はなくなるのだが、重症なのは右サイドの方だ。いい加減増田にはドリブラーとしての本領を発揮してもらわねば困る。この日は喜名が中央で展開力・キープ力で光るものを見せていただけに、右の翼の不調ぶりが目立った。そしてサイドが不調だとアマ・ツゥットが自分たちだけで攻撃しようとし、周りもそれに甘えて「とりあえず」彼らにボールを預けるようになってしまう。そんな偏った攻撃では、強豪相手に通用はしない。さあどうする、大熊?負けておいてこんなことを言うのも何だが、京都はなるほどJ2に落ちそうなチームだなあという感じではあった。攻撃も守備も、意思統一がなされておらず、組織的に動けていない。バラバラ。ピンチになるとゴール前で大量のDFが右往左往し、攻撃時には少人数で個人技頼み。今回も東京の自滅とヘジスのキレキレの働きに助けられた形だ。これでは巻き返しは難しいだろう。平野・望月・大岩の獲得に動いているらしいが、J1リーグはあと12試合。詰めなければならない勝ち点は10。フロンターレもそうだが、カップ戦なんぞで勝ち抜いてしまい、むしろフロントは今頃頭を抱えているかもしれない。
それにしても、来年は東京スタジアムも完成することだし、もしかするとFC東京が江戸川陸上競技場で公式戦を戦うのはこれが最後ではなかろうか。そう考えると、このブルーな試合も、その場に居合わせた人にとってメモリアルな試合になるのかもしれない。勝って最後にしたかった。
2000年7月12日 江戸川陸上競技場
Jリーグヤマザキナビスコカップ
FC東京 0−1 京都パープルサンガ