土肥好セーブ連発!ツゥットのハットで最下位サンガに引導!!
しかし、何で鴨池だったんだろう。国立も駒沢も空いてなかったというのはわかるのだが、何もFC東京のホームゲームを鹿児島でやらなくても良いように思うのだが。藤山、あるいは京都の遠藤や松井が鹿児島実業出身だからなのだろうか。おそらく、この際だから地方の人にもJリーグの試合を見てもらおうという意図も込められているのだろうが、東京はまだ若いチームなのだから、地元東京の人にできるだけ多くの試合を見てもらうのが先決だと思う、って、単に私が飛行機嫌いで見に行けなかったからグチりたくなっただけです、はい。
というわけで今回はテレビ観戦。鴨池は快晴でグットコンディション、というよりもむしろ暑そうな感じ。見た感じ芝は綺麗に生えそろった良い状態で、日に照らされた緑色が画面を通しても美しく見えた。さらにスタンドを見てみると、これがガラガラ。公式発表で4千人ということだが、MXテレビの中継だったせいもあり、何だかJ2時代に戻ったかのような感覚だ。
スタメンを聞くと負傷のアマラオはやはり欠場で、代わりに神野がツゥットとコンビを組むという。元マリノスファンの私としては、チャンスで鬼のようにゴールマウスを外しまくった若き日の姿が頭に焼き付いているだけに、いささかの不安を感じずにはいられない。他のメンツはいつも通り。対するサンガはカズ・へジスの2トップでその下に期待の新人松井。京都といえば京セラ・任天堂の資金力にものを言わせた大型補強(このチームの場合結果として補強になってない場合が多いが)が毎年恒例となっているが、どうして新人が攻撃の要にいるのだろう。松川はどこへ行ったのだ。
立ち上がりは東京がテンポよく攻め立てる展開になった。開始直後ボランチから左サイドにきれいなパスが通り、由紀彦がシュートするもふかして×。さらに浅利がミドルを放つも惜しくも枠を外れる。そういう戦術なのか悪癖なのかはわからないが京都は相手ボールになるとDFラインが思いっきり引くため、ボランチと最終ラインの間でプレッシャーが甘くなり、そこから左右に散らせば高い確率でチャンスになった。早めの時間帯で喜名を使ってDFライン前のスペースを攻めても面白かったかもしれない。15分にはやはり左からのセンタリングを受けた神野が振り向きざまに強引なシュートで京都ゴールを脅かす。FWは、無理な体勢からでもパスよりシュートをどんどん打つ方が相手にとっては絶対に怖い。神野もすっかり大人になったものだ。しかし15分辺りから東京は4バック+ダブルボランチと攻撃陣の間が広く空き(時には6バック状態になってた)、攻撃の厚みがなくなっていった。
一方京都も7分に遠藤がDFラインの裏へ抜けてセンタリングを放り込むが、フリーのカズが外す。これには命拾い。また10分過ぎにはヘジス・遠藤が立て続けにシュートを放つがいずれも土肥の正面をつく。
前半も半ばを過ぎると暑さのせいか両チームとも前線から最終ラインまでが間延びした状態になり、攻めに時間がかかるようになっていく。最終ラインがそろわずに引いていくためオフサイドもとれず、攻め込まれてはゴール前ではね返し、攻め込んではゴール前ではね返される展開が続いた。両チームともシュートはそれなりに打つのだが、決定的な場面はほとんど生まれなかった。完全に膠着状態、というかまったりとした感じ(笑)。
個々の選手を見ると、東京は小林の動きがなかなか良い(ペナルティエリア内のダイブでイエローをくらった場面は、下手な演技+チャンスを潰したことでブーイングものだったが)。神野もまあまあでツゥットも相変わらず精力的に働いている。守備陣もユニットとしてはともかく個々(特に内藤)は健闘していた。終始動きがピリっとしなかったのは由紀彦で、見かけ華奢そうなタイプだけに、お疲れではないかと心配になってしまう。勝負の季節はまだ先だぞ、ユッキー。京都では、遠藤・へジズが目立った。特に遠藤は鋭い飛び出しで度々東京の最終ラインを突破して脅威となっていた。松井も独特のリズムのドリブルを見せ、なかなか面白い選手であるように思えた。ただ、前半を見た限りではこの3人を押さえていればさほど怖くない印象。カズは…。カズの最盛期を知る者にとっては、ペナルティエリア横でボールをこね回すくらいしか見せ場がなく、小峯に完封されている姿を見るのはいささか寂しい思いであった。
後半も開始当初は相変わらず下手なバスケみたいな展開が続き、ただでさえ少ないお客さんが帰ってしまうのではないかと心配になってしまった9分、FC東京が待望の喜名投入。両チームがバテ始めて間延びしている中盤にフレッシュな喜名を入れたらいくらでもチャンスを作れるのではないかと思っていただけに、この交代は嬉しかった。ただ、実際に試合の流れの中に入ってみると、喜名自身はあまり機能しなかった。パスミスが多く、下がり気味のポジションをとったこともあり、前線での決定的な仕事はできなかった。そういえば今季まだアシストもゴールも決めていない。喜名はゲームの流れを変えられる、東京においては貴重な存在であると私は思っているが、もう少し存在感をアピールしてもらわねば困る。あと、これは余談だが、いつも喜名と交代させられるのは小池であるがこの二人、交代時に言葉を交わさなければ目も合わせない。ひょっとして仲が悪いのだろうか。確かにポジション争いをしていると言えないこともないが、元来違うタイプで別々の役割を担っているのだから、そんなにツンツンしなくても…って、ちょっと想像の世界に入ってしまった(笑)。
喜名自身の働きはともかく、喜名投入で確かに試合が動き始めた。サンガは中村が右サイドから積極的に上がるようになり、シュートの本数が増え始める。東京も20分頃には度々サイドから崩し(マークを引きつけるという意味では喜名はいつも通り機能していた)、決定的な場面をつくり出す。しかしこの場面は神野が足を負傷したこと(アマがいないときは彼のポストが起点)や数度のFK・CKを生かせなかったことで(由紀彦、もう少しキックの種類増やした方がいい。読まれてるぞ)無得点。25分頃にはまた流れが京都に移り、シュートを連発するも、土肥ちゃんのナイスセーブで事なきを得る。
両チームの攻めが活性化して「下手くそバスケ(体育授業レベル)」が「ちょっとうまいバスケ(中学部活レベル)」くらいになったなあと思っていた後半27分、大熊監督が足をつらせた小林に代えて鏑木を投入。今日の大熊采配はこれがヒット。今季出場機会が少なく、体力も気力も有り余っている(と思われる)「スーパーカブ」は積極的に前線で動き回り、京都DFをかき回した。
33分、カブが京都DFライン手前から左にはたいたボールをツゥットがゴールライン際まで持ち上がってセンタリング。カブと神野が次々に走り込んだところで両者と京都DFが交錯し、京都DFがハンド(なのか?TVではよくわからなかった)。PKをツゥットが冷静に決めて先制。東京の崩しは確かに鮮やかだったが、何だかはっきりしないプレー・判定だった。
直後、得点後に集中が切れる東京の悪いクセは今回もやはり出て、キックオフ直後のプレーで右サイドを破られ、野口のセンタリングがどフリーのカズにわたり、シュート!だが土肥ちゃんがまたしても好セーブ!!、サンガのチャンスが潰えた。その後はサンガの運動量・集中力ともに目に見えて低下し、東京FWの独壇場。せっかくDFの裏に出てナイストラップを見せたカブがシュートをダフったりしながらも、43分には新人松田の突破で得たFKをツゥットが頭で押しこみ追加点(なんと、今季セットプレー初得点!)。さらにロスタイムにはゴールキックで競り勝ったツゥットが右45度から豪快に左サイドネットに突き刺してハットトリック達成の3点目と、結果としてはツゥット様々の東京完勝となったのであった。
スコアだけ見ればFC東京の圧勝であったが、内容的にはほぼ互角であったと言っても良い試合。勝敗を分けたのは両チームの決定力の差・この試合のMVP土肥ちゃんのナイスプレーと、コンディション的にきつい中きっちり3枚カードを切った大熊監督の采配だろう。東京のカウンターが上位チームにある程度通用することはすでに判明しているのだから、これからはサンガのような下位のチームにきっちり勝ちきることが何よりも重要。そういう点では福岡戦と並んで「ほっとする」一勝だった。問題は、ツゥット・アマラオの出られない次節エスパルス戦だ。強力ツートップに得点力のほとんどを依存していた東京だけに(今季16得点中、二人で12点)、苦戦が予想される。まず何よりも先取点を取られないことが重要だ。DF陣の奮闘に期待したい。
京都は、それほど酷い内容とも思えないのだが、今季まだ一勝。ここ4試合一点差負けが続いているように、とにかく勝負弱い印象だ。今回の試合もどこかで一本シュートが決まって先制していれば、結果は逆だったかもしれない。松井一人ではトップ下の荷が重いのか、ヘジスが下がってボールを受け、カズが孤立する姿も目についた。繰り返すが、松川はどこへ行った?
今回MXテレビの中継で面白かったのは、久々にガラガラのスタジアムで、大熊監督の声がよく聞こえたこと。特に「コバ!コバ!」と「カブ!カブ!」が目立っていた。はるか鹿児島に響く、大熊のダンディボイス。なんだかいいなあ(笑)。
2000年4月29日 鹿児島県鴨池競技場
Jリーグファーストステージ第9節
FC東京 3−0 京都パープルサンガ