8月20日(金)

 夕飯は、鮭のバターソテーに温野菜のつけ合わせ、豚肉とみつばの味噌汁、だだちゃまめ、えのきご飯。どれもシンプルな料理だが、それはそれでうまいもんだ。

 

 夜、今日もNHKハイビジョンでアテネ五輪。

 柔道最終日は男女ともに金メダルでフィニッシュ。女子78kg超級、塚田の大逆転劇には驚かされた。技ありを取られて押さえ込まれる絶対絶命の体勢から一気のカウンター。当たり前の話だが、勝因は「あきらめなかった」事に尽きるだろう。てこでも動かないような(手と体の使い方が抜群なんだろう)押さえ込みにも唸らされた。見事に怪力フランス選手の足を払った男子100kg超級の鈴木と合わせ、最後の最後まで柔道の母国らしい戦いぶりであったと思う。ホント、感服しました。

 続いて女子サッカー。日本 1−2 アメリカ。みんなよく頑張った。でもかなわなかった。この試合についてはそれでいいと思う。確かにアメリカの決勝点は明らかな誤審(アタッカー中1人だけがオフサイドトラップにかからず、その動きにつられて線審が残りのアタッカー全員(笑)のオフサイドを見逃した)だったけれど、あそこでガックリ来てしまったあたり、そしてその後アメリカがしっかりしたパス回しと激しい寄せで時間を使い切ったのを見ると、やはり力の差はあったのだと思う。「前半ある程度半我慢して、こちらより日程の厳しい相手の足が止まる(はずの)後半に川上を上げて勝負!」というゲームプラン(だよね?)がはまりかけていただけに、あの副審がもうちょっとまともだったらなあという気持ちは残ってしまうのだけれど。

 でも、これで終わりにしちゃいけないんだね。予選、そしてスウェーデン戦と、サッカーファン(とプラスアルファの人々)が女子サッカーの魅力に気づいてくれたこの機会を生かさないといけないんだろう。僕もLリーグ見に行こうかなあ、と思うもんね。でも好きな選手が多数在籍する田崎は関西での試合が多いんだよな…。あと、代表が次の舞台に臨む上での強化ポイントだと思ったのは、ボールを奪う際の体の使い方、中盤の展開力、それとFWの連携あたりかな。現状の力はここ。でも、次はもっと上に行けるよ。

 で、柔道もサッカーも終わったし、「あとは日本人でメダル狙えるのは室伏と女子マラソンくらいか?」と余裕かましてチンタラ競泳を見てたら、女子800mフリーで柴田さんがとんでもない大金星!まったく今回の日本選手は目が離せない。「あわてず、あせらず、あきらめず」か。頑張ったからといって天や人が味方してくれるとは限らない(今日の女子サッカーのように)けど、こうした心構えでいなければ「奇跡」がやって来ないのもまた確かなのである。

 

 サッカー(というか、山本ジャパン)についてもうちょっと。気がつけば男子も女子もともに「3試合で1勝2敗、全て1点差」という結果に落ち着いてしまった。ちょっとアレな審判にやられたのも一緒。でも、この2つの代表に対して抱いた印象がかなり違うのは、「個々の選手の力をきっちり合わせてチームとして仕上がったか」「チームに(戦術、あるいは信念の)芯が通っていたか」「チームとしての目標は明確だったか」という3点が異なっているからなのだろう。当然それらは監督の違いによるわけで、上田さんは株を上げ、山本さんは大いに株を下げてしまった。

 ただ、山本さんの事を「素人監督」とか書いている人(ここの人ですが)まで現れていて、それはちょっといくらなんでもちょっとなあ、と思ったりもする。我々素人が「プロ」の監督に対して「素人」呼ばわりするのは極めてキツイ表現だと思うし、今回コケたからといって全否定で片づけてしまうのは、結論としてはちょっと乱暴にすぎないか。まあ、僕もジーコに関しては全否定に近いのだが…(笑)。

 ま、とにかく今回の五輪サッカーについては、とりあえずここまで。


8月19日(木) 

 日本が金メダルを獲得した体操男子団体、NHK刈屋アナの実況の評判が非常に良かったらしい。例の「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への懸け橋だ!」というやつである。確かにあれにはシビれた。ちょうど鉄棒から身体が離れるあのタイミングで叫んで、もし富田が着地失敗していたら目もあてられなかっただろうし(笑)。そして結果は、富田の素晴らしい着地+ガッツポーズのシーンとともに忘れがたい名実況が残ったのだった。

  民放のアナ(角澤さんとか)は、あの叫びを聞いて「俺たちの絶叫実況と何が違うんだ。やっぱり俺たちのやってることは間違っていない」とか思うのかもしれないが、全然違うんだよ、それが(笑)。何が違うって、試合展開とのシンクロ度が全然違う。通常の場面では淡々と状況を伝え、自然と(←これが大事)感情が高ぶる場面ではそれを素直に、あるいはやや抑え気味に声に出す。そうしてこそ、我々の観戦の邪魔となることなく試合のエモーショナルな部分が素直に伝わってくるというものである。テレビでは、抑制こそがいい意味での雄弁さをもたらすことが多い。刈屋さんの使った「栄光への架け橋」というフレーズはNHKの中継のテーマソング(byゆず)のタイトルだからもちろん作為は入っているのだけれど、でもそれはあの時の文脈と乖離したものではなかった。どこかのバカ実況のような、感動の押しつけとは訳が違うのである。

  つまり、だ。スポーツの試合というのはそれ自体が感動に満ちているものなのだから、それを過剰に煽るというよりも、むしろ邪魔をしないように(「できれば」加速させるように)実況を「添えて」あげればいい。NHKのアナウンサーは、そのことをわかっている人の割合が民放に比べて多いと思う。主役はスポーツ(選手)、中継の演出(アナ)は脇役、ということを忘れたらアカン。

 

 今日のアテネ五輪は男女柔道と、あとアーチェリーをちょっと。男子柔道で「無敵」井上が敗退したのは残念だったけど、女子78kg級では阿武が「3度目の正直」で金メダル。……感動させられた。これまた日本柔道らしい、磨き抜かれた技と気力とが結実した勝利。ポイント制で争われる柔道競技を理解しつつ(これが一時期の日本低迷期との違い)も、しかし「投げ勝つ」という基本を貫く潔いファイティングスタイル。エイヤ!バーン!!ってね。

 男子サッカー、最後でガーナに勝ったのはいいが、また石川は不完全燃焼に終わってしまったようだ。最終予選、アウェイのレバノン戦で見せた弾丸シュートが脳裏をよぎる。そもそも1・2戦目、点を取りに行かなければならない状況で彼が起用されなかったのは未だに納得がいかない。山本さんはいったい何のために直宏をはるばるキリシャまで連れて行ったのか。本当に見損なったぜ。


8月18日(水)

 夕方、西新宿のベトナム料理屋「フォンベト」で仕事場の飲み会。春巻や炒め物も良かったけど、何といって最後に出てきたフォーが美味しかった。ベトナム料理はタイ料理ほど辛いものが多くないので、ビールよりはさっぱりしたリキュール系の方が合う感じだね。

 今日は偶然人に遇う事が多い日だった。仕事場の入っているビルのエレベーターで旧知の人に出くわし、飲みに行く途中で下山けんとにばったり遇い、帰り道には彼女と待ち合わせしているのっぽ氏を発見した。広い新宿、こんなことはそうあるもんじゃないわな。

 

 帰ってからは、半分居眠りしながらアテネ五輪。

 長嶋ジャパン(皮肉を込めて僕もこう表記することにした)は伏兵オーストラリアに逆転負け。「難敵に快勝した次の試合」の難しさというのは、サッカー等でも何度も何度も見せられてきたところで、今大会で言えば柔道の横澤さんのようなケースもある。決勝ラウンドじゃなくて良かった、と割り切ることができるかどうか。中畑監督が「全部勝ちたかった」と言っているそうだが、そんなことよりとにかく金メダルでしょ。

 卓球の愛ちゃんはベスト16で敗退。しかし世界6位の相手への食い下がりようはなかなかのもの。よく考えたら彼女はまだ15歳なわけで、あと5回くらいは五輪に出るチャンスがあるんじゃないか(笑)。いい経験になったことだろう。

 水泳は、北嶋が二冠を達成。100mは見逃してしまったので、この勝利は僕にとっても非常に嬉しい(笑)。強かったなあ。100mは僅差の快勝だったけれど、今度は1秒以上引き離しての圧勝である。インタビューの時のちょっと異様なテンション(集中力の余波)を見てもわかるように、勝負所での「入り方」は他を圧倒しているように思える。「鬼才」と呼ぶに相応しい男だ。

 と喜んでいたら、200mバタフライの中西もやった!おめでとう!!


8月17日(火)

 夕飯はつれの作った豆腐ハンバーグ、豚しゃぶの茸おろしかけ、水菜サラダ。豆腐ハンバーグってのは、これは美味い食い物だなあ。

 

 夜、NHKハイビジョンでアテネ五輪。

 女子柔道63kg級は谷本選手が終始圧倒的な強さを見せて優勝。準決勝・決勝と、床に落ちかけた体勢から二枚腰で投げきった下半身の強靱さ。日頃鍛え抜いたものが大舞台で存分に出せたという意味で、本人も語っている通り「完璧な」金メダルだったのだろう。「柔道ニッポンここにあり!」という感じで実に気持ちのよい勝利であった。おめでとう。

 そして、谷本さんは勝った後も素晴らしかった。試合後、対戦相手と握手をして抱き合って、試合会場にもきちんと一礼をしてから高速ターン(笑)を見せ、古賀コーチに飛びついて大泣き。あまりに立派で、あまりに純粋なその反応に、恥ずかしながらこちらもホロリ。その後表彰式で今度はとびっきりの笑顔も見せてくれた。何というか、「人を幸せにする笑顔」とでも言ったらいいのだろうか。周りの人たちに愛され、その周りの人たちに幸福をふりまく、素敵なループが目に見えるようであった。いや、この人を見られただけでももう今回の五輪は「元をとった」と言っても過言ではない。

 体操団体の金メダル、最後の演技者富田のあの落ち着きぶりはなんなんだろう。アイツ、ただ者じゃないな。

 さらに、200mバタの山本もやった!自己記録を1秒近くも更新しての銀メダルはスゴイ。わずかに届かなかっただけに単純な嬉しさだけではないだろうが、しかし間違いなく会心の、過去最高のレースではあったのだろう。インタビュアーが「気持ちのいい悔しさじゃないですか?」と聞いていたけれど、確かに言い得て妙だ。 

 

 サッカーの敗退についてはまだあれこれ考えて続けているのだけれど、山本さんの奇策(4バック、阿部や森崎の起用法、etc…)は「策士策に溺れる」という状態でもあったんだろうな。敵や味方との相性とか組み合わせとか、諸々考えてあれこれ策を弄しすぎるあまり、自分の足下を見失ってしまったという。ほら、野球とかでもたまにあるじゃないか。右投手に左バッター(あるいはその逆)をぶつけようと拘りすぎて、本来実力的に上位の選手を使わずに負けちゃったりとか。長嶋巨人最後の年の清水みたいな。…イタリア戦の後半には石川を使ってほしかったよなあ。


8月16日(月)

 結局、ほとんど徹夜状態で観てしまいましたよ。だって、放っておけないじゃないか。

 NHKハイビジョンで五輪男子サッカー。日本 2−3 イタリア。色々な意味でがっかりである。自分たちのミスが招いた面があるとはいえ、才能と個性に溢れた、実に魅力的なこの代表が3試合で観られなくなってしまうこと。いつかは腹をくくるだろうと思っていた山本さんが、ついにフワフワと地に足のつかないまま終戦を迎えてしまったこと。そしてこの試合ではサッカーの実力云々以前に、不条理な、やり切れない「壁」が若者たちに立ちふさがってしまったこと。

 まあ、アジア人に偏見があるか、もしくはセリエAの大ファンらしい超クソレフリー氏に当たってしまったのは不幸な出来事ではあったが、それを敗因に挙げるのはやめよう。こないだの中国代表監督みたいになるのはイヤだからね(ただし、「あんな判定ごときに負けてはいけない」などと涼しい顔で切りすてるほどには僕はエラくない)。最後こそ食らいついたものの、試合としてはイタリアの完勝と言っていい。個々の力量差からすればこのスコアも順当なようにも思える。それでもなお「本当ならこんなものでは…」と言いたくなるのは、やっぱり「なぜだ?!」と叫びたくなる部分があったからだな。プレーにも、采配にも。

 2失点目を喫した場面、茂庭の対応は非常に残念だった。ペナルティボックス付近でのジラルディーノとの一対一。確かにボールはジラルディーノの手に当たったように見えはしたが、よりによってゴール正面、茂庭が抜かれればGKしかいない場面でハンドをアピールすることはないだろう。あそこは迷わずクリアしかないはずである。あと、3点目の場面も闘莉王と那須のマーキングの判断がちょっと…でも、いきなり4バックやらせられればそれくらいは混乱するよな。

 そう、今日は従来ほとんど試してこなかった4バックの布陣だったのである。1トップ対応だか何だか知らないが、これにはがっかりした。最終予選の時にもあったことだが、事前の綿密なテストを全て覆すような奇策。それって、『備忘録』で山本さんが批判してたトルシエの悪しき面じゃないのか(笑)。山本さんの悪い癖(消極と積極の間でブレ幅が大きすぎる)は、ついに最後まで直らなかったのだ。今までずっと3バックのDFで練習やら親善試合を重ねてきたのは、一体何のためだったのだろう。うーん。たとえこの大会での結果にこだわらなかったとしても、こういったやり方が果たして「強化」になるのかどうか…。山本さんは、コーチとしては優秀ながらも、結局指揮官向きのタイプではなかったということだろうか。苦しい状況が予期される時にこそ、チームにビシッと一本筋を通すのが監督ってもんだろう。

 あー、個々の選手が持っているポテンシャルを考えると、これで終わってしまうのは本当に悔しいことだ。小野の展開力や阿部のFK、田中や松井(意外とスピードもあるのね)のドリブル、那須の馬力、今野の機動力、闘莉王の頑健さ、茂庭のカバーリング力、石川の切れ味、大久保と高松のシュート力。もったいないもったいないもったいない!メダル云々はさておき、決して「谷間の世代」なんかじゃないのに。


8月15日(日)

 黙祷。

 昼間は新宿で買い物。雨上がりの涼しさに昨日以上の人の少なさ。快適な都心だ。

 電車の中でスポーツ新聞を読んでいる人を見かける。野村忠宏の3連覇は日本スポーツ史上例のない偉業であるというのに、やっぱり1面はでっかく「YAWARA」(笑)ですか。

 

 夕飯は、豚の冷しゃぶになめこのソースをかけたもの、水菜のサラダ、ぶりの照り焼き、鯛の潮汁。我ながらグッジョブ!である。

 

 夜、今日もNHKの衛星放送でアテネ五輪。

 まずは男女柔道。女子52kg級の横澤、準決勝の残り1秒での逆転一本勝ちは、技術と体力と気持ちの強さ(慌てずしっかり腰を入れていた)が合わさった素晴らしいものだったが…。金をとらせてあげたかったなあ。決勝戦も積極的に攻めたのだけれど、その積極性が裏目に出た(寝技のカウンター?)のが「これも柔道」か。インタビューの呆然とした表情を見たら、「ちょっとそっとしてあげて!」と言いたくなった。男子66kg級の内柴は文句なしの強さで優勝。60kg級では野村と張っていたというから、それは強いはずである。

 野球はイタリア相手に圧勝、したのだけれど、今のチームを何の疑問もなく(と見えるが…)「長嶋ジャパン」と呼んでしまうメンタリティーは病んでいる、と僕は思う。

 女子卓球の2回戦は面白かった。2ゲームを連取された福原愛が、ねばり強く逆転して初戦突破。彼女はもちろん技術的にも優れているのだろうが、声もすごいな(笑)。勝負所でポイントを取るたびに「サー!」(それとも「シャー!」かな)と高く叫んで小さくガッツポーズ。相手の選手は明らかにあの声に苛立っていたと思う。使える武器は何でも使わないとね(笑)。


8月14日(土)

 昼間、六本木のヴァージンシネマで大友克洋監督『スチームボーイ』。期待がムンムンに膨らんでいたこともあってか、やや肩すかしをくらったというか。美しい映像、達者な声優、馬鹿馬鹿しい(注:褒め言葉です)ハッタリと大友らしいブラックなユーモアの入り交じる展開。120分強の上映時間のうち、90分くらいまでは本当に楽しめたのだけれど…。「スチーム城」が動き出してからの冗漫さと問題が内部(「親子げんか」とか城の内部の修理とか)に収斂していくチンケさが、映画全体の印象を決定的に損ねているように思えた。もっとアクション寄りの素直な構成にすれば良かったのに。スカーレットが戦闘に巻き込まれたあの場面、あそこでレイがばびゅーんと飛んできたらさぞかし熱い気持ちになったろうし、最後のジェット(蒸気?)飛行の脱出シーンだってもっとカタルシスに満ちたものにならなければならないはず。まことに残念でならない。

 いや、これがシリーズ第1弾だって意図なんだろうけどね。やっぱり「スチームボーイ」ことレイの活躍(問題の解決へ向けて、のね)がもうちょっとわかりやすい形で見せてもらえたらなあ、という。

 

 夜、渋谷の「だいぜん」で飲む。お盆だけに客は少なく、料理も酒もすぐに出てくる(ここは元々しっかりしてるけどね)ので極めて快適。ビールもうまかった。

 

 帰って、NHKの衛星を中心にアテネ五輪中継。

 まずは男女柔道。野村にしろ谷にしろ、決勝戦はさすがにプレッシャーもあったのか、「負けない戦い」に徹したように見えた。で、見事野村は3連覇、谷は2連覇を達成。文句なし、とはこの事だろう。谷が試合後涙を流しながらも、テレビ向けの口調で無茶苦茶饒舌にしゃべくってたのはいかにも彼女らしくて「ありゃりゃ」という感じだったが(笑)。

 続いて女子サッカー。日本 0−1 ナイジェリア。ああ、やっぱり2戦目は難しいんだね。ナイジェリアは強かったし、宮本の負傷退場はとてつもなく痛かった。ただ、やり方の問題として、後半もうちょっとサイド攻撃で圧迫できなかったかな、とも思う。横から放り込んで、そのこぼれ球を狙うというパターンが一番ゴールに近いように思えたのだが。丸山より山本を先に出すのは、山本のコンディションの関係で難しかったのだろうか。うーん、「思わぬつまづき」というヤツである。

 しかし、時事通信とやらだそうですが、こういうこと書く記者がいるんだね。「慢心」って表現が引っかかるな。まあ確かに「スウェーデンよりは与しやすいだろう」という予断はあったかもしれないけど、しかし彼女らのあの懸命の反撃を見て、それで「慢心」と切り捨てますか。意に添わない結果が出るとすぐに精神論に持っていくのは古き悪弊だと思ってたけど、まだ生き残ってますか。だいたい「足下の技術が稚拙」って、この記者スウェーデン戦観てないのかな?

 

 東京も3度勝ち越して逆転負けするショッキングな開幕戦だったそうである。なんだかなあ。


8月13日(金)

 夕飯は、イカとエリンギ・しめじのペペロンチーノ・スパゲッティきのこのクリームスープ、プチトマト数個。「ペペロンチーノ」だけでどれだけバリエーションがつけられるか、ちょっと追求したい気持ちになってきた。

 

 MX−TVで、デポルティーボ×東京の試合を後半途中から。梶山のロングシュートは掛け値なしにスーペルな一撃だった!あれを現地で目撃できた人間は本当に幸せだと思うぞ。一生の宝物かもしれん。で、東京が逆転したところでさすがにマズイということになったか、デポルのアタッカーが無茶苦茶本気になってつっかけてきたのには笑えたし、そうなったらなったで東京の攻撃がカウンター気味にはまり始めたのも面白かった。相手ボールをカットした藤山が斜めに切れ上がって敵陣深くへ攻め込むシーンとか、増嶋が体勢を崩しながらも懸命にボールに食い下がるシーンとか、いや、30分くらいだけど実に楽しかった。

 バレロンの素晴らしいパスさばきについては、また明日以降ゆっくり見直そうと思う。あと、解説は石井アドバイザー…だったのかな?愛がある解説って、いいよね。

 

 ナベツネの辞任については、元々スポーツそのものへの興味が薄い人だったというのもあるだろうし、1リーグ制構想に対する反発に嫌気がさしたというのもあるだろうし、もちろん巨人がやった行為があまりにも生々しく酷いということもあるだろう。何にせよ、これでいよいよプロ野球はカオス状態だな。


8月12日(木)

 今日は東すかの原稿をあげなければならない、ということで夜の9時から一旦仮眠をとる(頭をリフレッシュさせるために)。

 で、起きたらちょうどパラグアイ戦のキックオフ(2時30分)だったので驚いた(笑)。テレビを眺めながら、しかし時折集中して原稿の直しに取り組む。

 

 つーわけで、NHKハイビジョンでアテネ五輪男子サッカー。日本 3−4 パラグアイ。選手についても、監督についても、現時点での弱さがモロに出てしまった試合だったと思う。

 とにかく最初の1点で全体的に浮き足立っちゃって、プレスをかけようとするもいなされ続けて、そうしているうちに中盤とDFラインの意図のズレが目立つようになって…ここら辺はやっぱり「若いチーム」ということなのだろうか(相対的に見て、パラグアイの方には大人の賢さ・ズルさがあった)。守備の綻びが最後まで修正できなかった印象。那須のポカ2つは予想外の事だったし、彼を後半引っ込めたのは正しい判断だったと思うけど、そこで山本さんが阿部・闘莉王・茂庭でDFラインを組ませたのには(しかも阿部が右ストッパー!)驚かされた。そして結果的には、その策が致命的な4点目をもたらすことになってしまったのだ。これまで散々散々テストを繰り返してきて、この期に及んであれをやるかね、しかし。素直に阿部を下げて、徳永をストッパーに入れるのが上策だったのではあるまいか。

 あと、小野のトップ下起用も「何だかなあ」という感じであった。トップ下に「司令塔」を置かないのがこのチームの指向してきたサッカーだったように思ったのだけれど(松井や山瀬はパッサーじゃないし)…うーむ。小野をFWかトップ下で起用する(要するにベルカンプやバッジオにする)というのは、確かに僕なんかもしばしば思い浮かべる「日本サッカーの夢」ではある。でも、それをやるならそれ相応の準備と時間が必要だろう。少なくともこの2〜3年の小野の活躍はボランチないしサイドハーフとしてのものだったのだから、いきなり前半の布陣で「機能させろ」と言っても無理なことだ。その上この試合では立ち上がりからボランチ・サイドハーフ・DFラインの動きが連動せずパスの回りも極めて悪かったので、小野に全然いい形でボールが入らず「宝のもちぐされ」で45分間が過ぎてしまった。今日の後半の布陣、さらに加えて阿部にこだわりすぎない選手起用がより良いバランスをもたらすように思うのは、僕だけだろうか?中盤を(攻守ともに)支えられる強力な脇役がいないこのチームでは、小野のパス能力を生かしたいのならばボランチ、つまり容易に前を向け、しかもターゲットが多くいるポジションで使うのが妥当な線だと思う。

 これで残り2戦勝ちに行くしかなくなったのだが、攻撃は松井が小野の前に入って以降ある程度機能していたし、まあどっかの夕刊紙「メダル絶望 お祭り騒ぎも1試合で幕切れ」とか大書きしているような状況までは行ってないよな。ただ、というか、そもそも、「史上最強」との前評判だったシドニー五輪のチームも、負け方はともかくとしてベスト8止まりだったのだ。それを考えれば、このチームが目指すべきはまずは前回と同じポジションであって、メダルはそこから先の挑戦、ということになるはずだろう。だからー、煽りに乗じてくだらない見出しつけてるんじゃないよ、この日刊ゲンダイ!!

 ま、ともかく、次は田中達也と、あと皆がちょっと侮りがちな高松(今日も得点の香りがしてたのに…平山かよ!)に期待したい。


8月11日(水)

 夜の22時くらいまで仕事、っつったって大して遅い時間でもないんだけど、今日はいわゆる「待機がかかっている」ってやつで、別に今日中にやらなきゃいけないことがあるわけでもないのに延々と残る羽目になった。こういうのは気分が悪い。ボーッと書類とか眺めながら、遥かアテネへ思いをはせる。くすぶっているような時にこそ、大谷未央のボレーシュートでスカッとしたいね!

 

 で、夜中、NHK−BSでアテネ五輪。日本 1−0 スウェーデン。いや〜、ヒヤヒヤさせるものである。立ち上がりこそやや受け身に回ったものの、荒川の見事なステップからのシュートで先制すると、前半の終わり頃は日本のパスワークが世界第2位の相手を圧倒。あそこで澤さんが3度あった決定機のうち1つでもモノにしていればもっと楽な展開になったろうに…決まらなかった。後半は日本の足が止まり、今度は自陣からクリアの苦しい場面が続いたが、鍛え抜かれた組織力(と個々の勝負する気持ち!)は崩れない。最後までしのぎきって、めでたく五輪初勝利となった。

 上田監督も前半35分くらいまでは「よしよし」って感じだったんだろうけど、澤のシュートミスと、あと左の小林(右足アウトサイドでカーブをかけたスルーパスは素晴らしかった)に代えて出した安藤が機能しなかったのにはちょっと慌てたかもしれない。観ているこちらも思わず「こんないいサッカーして勝てなかったら、先々まで悔いが残るよなあ」なんて考えちゃったよ(笑)。まあ、澤は守備の方で貢献することが出来たし、左サイドには控えで柳田もいたこと、逆サイドの川上(好クロス連発!)のスタミナが保ちきったこと、あと酒井が素晴らしいカバーリングを見せたことで、幸い致命傷には至らず。苦しみながらも、強敵から勝点3を取れたのは何よりだった。

 ま、この勝ちについてはもちろん喜ぶべきとして、問題は次だろう。アトランタ五輪の男子サッカーの事などを思い起こしても、これで予選リーグ突破を楽観してしまうのが一番怖いように思える。相手はナイジェリア(アトランタで男子がやられた)か…。ともかく、がんばってこれまでと同じく、「自分たちの」サッカーを続けてほしいと切に願う。それが実現できればまた日本サッカーの歴史を塗り替えることができるはずだ、このチームなら。


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