8月10日(火)
安彦良和著『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』第7巻読む。テレビ版に近い流れの中、細やかな描写とさりげない挿話が心を打つ安彦版ガンダム。今回のキモはチョイ役のタチ中尉だな。「本望です! 最後に あなたの役にたてて 本望 ですっ!!」は泣ける。まさに男泣きである。あと、巻が進むたびにMSのアクション描写がノッてくる感じが、ちょうどアムロの覚醒具合とシンクロしているようで面白い。ドムの襲撃シーン、サーベルを抜くガンダム(アムロ)の姿はまことにカッチョヨイ。
8月9日(月)
暑い。脱水症状気味。
夜、NHKのハイビジョンでパトレイバー劇場版の1作目をやっていたので、つい最後まで見てしまう。面白い。面白いんだけど、やっぱラストが淡泊すぎるよなあ…。緻密に築き上げた脚本なのに、余韻がないことで全体の印象が損なわれてしまうのは惜しい。まさに「画竜点睛を欠く」。
夜、味スタでプレシーズンマッチ。FC東京 0−0 ASローマ。東京がローマを圧倒、というより、ローマのあまりのダメさ加減には閉口させられた。ボールへの寄せは全然甘いし、攻めには創造性やコンビネーションがないし、何度も同じ失敗(オフサイド)しても審判に文句つけるばっかりで工夫することをしないし…。あれでお金を稼ぎに来たとは、まったく日本人も馬鹿にされたもんである。そういう意味では、レアル・マドリーの方がよほど誠実に見えるな。
でも、だったらそんなチームにはきっちり勝っとけって話だよね。今日はホント、勝たなきゃいけない試合だった。なのにシュートがことごとくバーやポストに当たって…。「やっぱりまだまだレベルが低いよな」などと自分が日本人のくせに日本サッカーを馬鹿にしたがる連中を黙らせてやるいい機会だったし、アウェイとホームでデポル・ローマに連勝すれば、さすがに「やるじゃないか」と見てくれる人の数だって増えただろうにね。うーん、惜しいことした。ちょっとナメたことする連中にはきちんとダメ出ししないと。
ま、しかし、それにしても、得点できなかったことを除けば(笑)東京の見せてくれたサッカーはローマなんぞ全く問題にならないくらいに面白いものだった。ロングパスやサイドチェンジの精度も良かったし、敵陣にはいるとワンタッチ・ツータッチでパスが回ってサイドからクロスが上がりまくり。「セクシー東京!!」のコールが何度か出たのもうなづける。外国のチームとやると、普段見に来ない、従って「東京?何それ?」みたいな人も多くいるだろうから、なおさら僕たちの東京に対する誇りや愛着を強く意識するようになる。「どうだ!面白いサッカーするだろ!!」という。
東京の選手では、ケリーの動きがだいぶ軽快になってきたのが嬉しいところ(憂太と梶山とどう両立させる?)。あと、前田は運動量もクロスの精度もあって、今後は確実に戦力になるように思えた。増嶋のボランチ起用は、あれは「英才教育」(笑)だろうか?コバも問題なく動けるようにはなってるみたいだけど、あとは仕掛けの動きがチームにはまるかどうかかな。戸田もけっこういいところに顔を出して得点の香りがしていたのに、怪我してしまって心配だ。いつもは我慢するタイプなのに速攻で交代しちゃったからねえ。
とにかくここまでステージのインターバルをいい感じで過ごしてきているようなので(遠征の疲労が気になるけど)、2ndステージは期待しちゃって……いいのかな(笑)?「五輪組」をどううまく合流させるかってのもまた楽しみ(心配)ではあるが。
午後、木場の現代美術館で『日本漫画映画の全貌』展。一番感心したのは、「動画の父」政岡憲三さんの諸作品だった。会場で「くもとちゅうりっぷ」「すて猫トラちゃん」の一部が流されていたんだけど、そのクオリティの高さときたら…。僕が今まで観てきた中では間違いなく上位に入る出来だろう。それくらいキャラクターの動きのなめらかさや演出、音楽が素晴らしかった。もちろん僕はさほどアニメに詳しいわけではないのであまり偉そうなことは言えないけれど、でも日本アニメの「プロトタイプ」に当たる作品群だということを考えたら、やっぱりスゴイのは確かだよね。あと、『カリオストロの城』でルパンが乗っていたフィアット500が再現された展示があって、「ちょっと色が違うんじゃないか、大塚先生!」とか言いながらもけっこう感激してしまった。だって、後部座席に積んであるのがワインとフライパンと「赤いきつね」なんだぜ。
夕食は、骨付き鶏とエリンギのポモドーロ・ソース煮、鮭のカルパッチョ、ペペロンチーノ、あとポモドーロ・ソースの残りで作ったリゾット、白ワイン。我ながらこれまでで最高の料理が出来たと思う。ちょっと塩っけが多すぎるような気がしないでもないが、しかしうまかった。
NHK−BSでアジアカップ決勝。中国 1−3 日本。まさにアウェイの雰囲気の中、日本の選手たちは素晴らしい大健闘。もちろん出来のよくない選手もいるにはいた。しかし、酷暑の重慶での連戦・苦戦の後、6万の観客が敵意をむき出しにし、さらには審判の笛に信頼がおけないという状況の中、フル出場した11人は本当によく頑張り通した。今日に限っては、これ以上を望むのはそれこそ酷というものだろう。
先制してすぐに追いつかれた窮状の日本を救ったのは、出場停止の遠藤に代わって先発した中田浩二だった。決勝点の「ハンドゴール」ももちろんだが、そのCKに結びつくチャンスを作った左サイドへの抜群のタイミングのはたき。今日は(も?)俊輔の球離れが悪く、味方のオーバーラップが生かされない場面が多々あっただけに、あの場面での中田の判断とパス能力は光った。ジーコ・ジャパンの「弓矢サッカー」の攻撃は、優れた射手と速く強い的の存在が前提になっている。そう考えると、そもそも小野のいない今回、中田の出番はむしろ遅すぎるくらいだったのかもしれない。
それと、何といっても玉田。前半も消えがち、後半になってからは運動量も落ちて、「早く代えるべきでは」と思えたのだが……3点目の独走は見事だった。あの、ちょっとズラしてGKを外すあたり、まさしくストライカーとしての動き。鈴木隆ともども、FWの駒が足りない中で頼もしい働きぶりだった。ありがとうよ。あと、能活も一発「奇跡のセーブ」があったな。うんうん。
中国は、監督が表彰式ボイコットしたって?判定への不満?それも中田浩のハンドの件じゃなくて?え、意味がわからないんですけど(笑)。北京市内で騒いだ馬鹿連中もそうだが、彼らは「誇りある敗者」になる気などさらさらないのだろうな。悲しくなってくるね(とか言いつつ、喜々としてキーボードに打ち込んでいる俺(笑))。
ま、しかし、しばらくは歓喜に浸るとして、だ。この大会で代表の問題点が数多く露呈したのも確かだろう。相も変わらぬフィジカル調整のまずさ。サイド、というよりサイド・守備的ハーフ・DF3者の連携のマズさから来る守備の穴。前線でのパスワークの貧しさ。そして、手持ちの戦力を使い切ることができないジーコの硬直采配。この優勝で自信はついただろう。チームの一体感も強まっただろう。でも、秋のオマーン戦に負けてしまえば、今回の喜びなどどこかへ吹っ飛んでしまうことも忘れてはならない。今の日本は決して強くない。これからまだまだ、強くなれるはずだ。
夜、西新宿の「三国一」で飲む。鶏のみぞれ煮だの天ぷら盛り合わせだの鰹のタタキだのを食べ過ぎて、うどん屋なのにうどんを食うのを忘れてしまった。おまけにビールっ腹。いかんなー。
DVDで、りんたろう監督『幻魔大戦』観る。…ダメだ……決定的にダメだこりゃ…。
宇宙からの邪悪な力「幻魔」の襲来を知ったテレパス少女・ルナ王女がサイボーグ戦士ベガとともに世界中のエスパーを集め、その総力を結して戦いを挑む、というプロットは悪くない。しかし、観ていていたたまれなくなるほどにダメだった。その要因としては、
- 迫り来る人類や地球の破滅への、切迫感と悲壮感の欠如
- 間延びしたテンポの脚本
- アクションシーンの切れ味のなさ
- 登場人物の心の中を表すのにモノローグを多用する、ハズかしい表現手法
- 都合の良すぎる、観客置いてけぼりで独りよがりなストーリー展開
といったあたりが挙げられるだろうか。我ながらボロクソに言っとるな(笑)。特にだね、物語は実質的な主人公の東丈が日常生活の中で超能力に目覚め(目覚めさせられ)、そこから非日常のハルマゲドンへと飛び込んで行く過程が軸になっているのだけれど、そこで東の親しい人間がボロボロ死ぬわりには悲壮感もないし、東が日常を過ごしていた街並みが破壊されても無感動に次の戦いへと赴いてしまうのがアカン。そのくせ台詞は大げさだし。「終末テーマ」の作品としては、あまりにも軽すぎるのである。せっかく東京やニューヨークまで廃墟にしたのが全て無駄になってしまっている。
8月5日(木)
西新宿の「さくらや」でメガネを新調。最新のフレーム・レンズは軽いなあ。思わずかけているのを忘れて、「メガネ、メガネ」って探し回っちゃいそうだよ(笑)。
夜、ヤクルト×巨人戦をつらつら見ながら夕食。胡麻豆腐、マーボー豆腐(豆腐が重なっちった)、刺身と大根とサラダ菜にゴマ油のソースをかけたサラダ、それと明太子。2人分作るってのは難しい。つい3人前くらいのボリュームになってしまう。
8月4日(水)
夜、野人・林とこばえもんと3人で、国立競技場でバレンシア来日試合。鹿島 0−1 バレンシア。本当はビールを傾けつつまったり観ようと思っていたのだが、野人がうっかり鹿島ゴール裏の真ん中近くに席をとっちゃったものだから、騒がしくてそれどころではなかった。まあ、鹿島の大旗の下に入ったりとか貴重な経験もできたので、結果的には良かったんだけど。
試合の方は、技術レベルの差は歴然、しかしバレンシアも攻めあぐむという展開。鹿島はボールをつないで何とか前進しようとするのだが、パスの精度とスペースへボールと人を動かしていく意識は低め。一方バレンシアの選手は調整重視というか、局所であまり無理をしないよう気をつけていた様子だった。うーん、前の試合で鹿島はバルセロナに、バレンシアは新潟にそれぞれボコ負けしてるので、両者ともにもうちょっと意欲的なサッカーが見られると思ったのに…ちと残念だ。
普段は鹿島嫌いな僕だが、バレンシアのコーナーキックでフラッシュがばしばし焚かれる光景とか見ると、さすがにちょっと鹿島にも頑張ってほしいと思った。だから、結果的にオフサイドになったけど鹿島側のヘディングシュートが決まったかに見えた時には、思わず手にしていたビールのコップを落としてしまった。で、前の席に座っていたおニイちゃんにもろかかっちゃった(笑)。いやー、どうにもすまんかったです。ゴメンナサイ。
ハーフタイム、野人とまたしても柳沢話。「だからー、ヤツのどこがいいのよ」「柳沢には、敵DFの弱みを突くセンスというか能力がある。それはまだ覚醒しきっていないんだけど」「サッカーの世界で、そういう目覚めず埋もれているヤツなんていっぱいいるじゃん」「いや、柳沢の能力ってのは、そこらの優れたアタッカーのものより希少なんだ」「例えば、それが何戦で発揮されたのよ」「W杯のロシア戦とか、柳沢はすごく勝利に貢献したと思うよ」「えー!?…」と会話が進んだところでタイムアップ。つけ加えておくと、僕は今の柳沢のプレーを買っているというよりも、「才能はスゴイのにそれを生かしていない」ということによる「もったいない!」度があまりにも大きいので、彼について語る時にはつい口数が多くなる、ということだよ。
帰ったら、つれが実家からファンクラブ通信を持って帰っていた。こことかで話題になっている村林さんのコラムを読む。……うーむ、批判している人もいるみたいだけど、そんなにおかしなこと言ってるかなあ。ということで、ここの8/3のところに長いコメントをつけてみました。
夜、録画でアジアカップ。日本 4−3 バーレーン。4年前の「トルシエ・ジャポン」の圧倒的な強さにも感激したものだが、今回「ジーコ・ジャパン」はあのチームに比べてずっと弱いにも関わらず(いや、だからこそ、か)、別種の感動を呼び起こす戦いぶりを見せてくれている。数々の困難を選手たちが一丸となって克服していく様には本当に胸が熱くなる。重慶の酷暑、中国人観客の理不尽な大ブーイング、不可解な判定の連続、そして固定メンバーにこだわるジーコの硬直采配。今日も、100%悪意も事実もない「ラフプレー」で遠藤が退場になり、そこからは長く辛い時間を過ごすことになった。これまでの4戦と同様にほとんど負けゲームの内容。しかしながら、勝利の女神は能活の身体からは離れたようであるが、日本チームの側には微笑み続けていてくれているようである。おとつい書いたとおり、今度こそアタッカーの出番となった。神の力が舞い降りたのは俊輔ではなく玉田だったけれど。左足に溢れた、あの力。そしてそれを守り抜いた延長戦、鈴木の大奮闘。
今日のジーコは、状況に対して比較的柔軟に対応したように見える。中田浩と小笠原の投入は確かに当たり、勝利の大きな要因となったと思う。ただ、彼らのような比較的コンディションのいい選手がいるのならば、なぜこれまで全く先発メンバーを組み替えようとしなかったのか、とも思えてしまうのはこの2年間の不信の蓄積ゆえだろう。とにかくこの大会限りでジーコがクビになる可能性はほぼなくなっただろうし、今後W杯までに彼の解任があるとすれば、おそらくそれは日本代表自体のカタストロフ(予選敗退!)を意味することになるのだろう。ジーコ自身は強運の持ち主かもしれないが、こちらとしては非常に気が気でなく、冷や汗ものの観戦がこれからも続くことになるのだろうか。ああ、複雑な気分だ。「アジアカップ優勝」という勲章をもって勇退していただくわけにはいかないのだろうか。
などとまたカントクの悪口を書きながらも、もちろん日本に優勝してもらいたい気持ちには一点の曇りもない。こういうこともあったしね。しかも肝心の決勝の相手は、やはりと言おうか中華人民共和国(台湾含まず)である。勝てば(場内は静まりかえるか怒号に包まれるだろうが)最高に気持ちよく、負ければ(場内はやはり罵声に包まれるのだろう。不毛なことだ)この上なく惨めな一戦、か。まあできることならば、最後の最後くらいスポーツの大会らしい光景も見たいのだけれど……無理だろうなあ。
FC東京、敵地でデポルティーボ・ラ・コルーニャを撃破!!…これはすごい。本当に大したものだ。もちろんあくまで親善マッチの一種であるからその分は割り引かなければならないと思うけれども、しかしアウェイで3試合を戦う厳しい日程で、しかも相手が欧州CL準決勝進出チーム(メンバーもいいのが揃ってます!)とあれば、そんな割引など余裕で取り返してプラスもプラス、大プラスの成果である。いやあ、現地まで観に行った人たちはいいもの見たねえ。チームも、彼らをはるばる地球の裏側まで追っかけて行った人々も、本当におめでとう。
試合の映像を全く観ていないのでそこは伝聞頼りになるのだが、オフィシャルの戦評を見る限りは、東京は遠征の3試合で尻上がりに調子を上げていったようだ。こういう「試合を重ねるごとに強くなる」というのはラグビー強国の成功した遠征を見るようで、気分もいいし実際に収穫の多いシリーズであったに違いない。もちろん、時差のある場所でのアウェイゲームというのも、貴重な体験としてチームに蓄積されることになる。いやー、良かった良かった。
ただ、ネガティブ心配性の僕としては、これだけスペインで頑張ってくれたゆえに、かえって日本に帰ってからの反動が心配にもなる。2ndステージに疲労を引きずらぬよう、ローマ戦はあまりリキを入れすぎない方がいいようにも思えるが…でもやっぱり、あの不気味な「レアル・フィーバー」を見ていると、トッティやカッサーノのいるチームをやっつけて欧州贔屓の連中をギャフンと言わせてやりたいよなあ。微妙な心境。つーか全力を出せばローマに「勝てる」と自信満々な時点で調子に乗りすぎてるな、俺(笑)。
ところで、えげつないほどの強さを見せてくれた昨日のマドリーとバルサを見ていて思ったのだが、ちょうどこの両チームが同時に日本の、それも東京という場所にいてくれるのだから、この2チームに一戦交えてもらう企画は誰か構想しないのだろうか。どうせ見せ物の花試合(マドリーは去年に比べればまともに調整しているみたいだけど)、いっそ最高の組み合わせでやってもらえばいいのではなかろうか。来年あたり、横国とかでどう?
朝起きたら頭がズキズキ痛む。やはり飲み過ぎた。昼過ぎまで頭痛と吐き気と悪寒と格闘。
昨日のアジアカップ日本×ヨルダンのPK戦、ネットで落とした録画ファイルで観戦。なんという劇的な展開。0−2となった時点で普通はダメ、というよりそこからひっくり返した例というのはあまり記憶にないのだが…。かろうじて残っていた細い細い糸のような可能性をたぐり寄せたのが、宮本の機転と、そして何といっても能活の神懸かりセーブだった。
まず、流れを変えた宮本。あの場面、足場云々についての抗議はもっともではあるが、理屈だけで言えば(ジーコが怒り、宮本自信も認めているように)ヨルダンの2人目が蹴ってからサイドの入れ替えをするべきであった。しかし、勝ち負けの観点からすれば、宮本の決断は完全に吉と出た。PK戦が「流れ」に支配されがちであるのは周知の通り。あのまま蹴り続けていたら、日本の3人目が決められたかどうかも疑わしいと思う。判断力に優れた宮本らしい、キャプテンとしての面目躍如たる活躍だった。
そして、能活。ヨルダンの4人目(決めたらヨルダン勝ち)からは、もう完全に目がイッてましたな(笑)。相手を睨んで微動だにしない姿。完全なる集中力。それでこそ能活である。彼は常に「闘志の男」として見られがちだが、一方で技術的な部分にも細やかなこだわりがあって、足の位置だとか姿勢だとかには神経質なほど気を遣う面がある。それが調子の波を増幅してしまうので、素晴らしいセービングをしたかと思えばとんでもないポカをしたりすると思うんだよね。でも、例えばアトランタのブラジル戦とかコンフェデ杯のカメルーン戦とか、単なる「確変」を超えた「神懸かり」の域に入った時にはもうそういう気配りはどこかへ吹き飛んでしまい、あとには極限まで集中した自然体が残る。今日はそういう「無」の境地に入った能活を見ることができた。コイツはやっぱりすごい。
で、勝利が決まった瞬間には当然能活を中心に歓喜の輪ができたのだが、その中で特に良かったシーンが2つ。1つ目は、満面の笑みで能活に駆け寄り、感極まって能活の胸に顔をうずめた俊輔の姿。4年前のアジアカップ決勝、能活の確変セーブで勝った試合後のインタビューに能活と俊輔が呼び出されて、能活は会心の笑顔で俊輔の肩を抱いて話してたんだけど、俊輔は「こいつウゼエ」みたいにそっぽ向いてたんだよね。それを見て、「あ、やっぱり能活チームの中で浮いてるのか」なんて思ったり(笑)。でも、今回はそんなことなかった。純粋に勝利を喜び合う2人がいた、と思う。あと、「勝利を喜び合う2人」と言えば、能活と楢崎が笑顔で話すツーショットも嬉しいものだった。ポジションを奪ったり奪われたりと微妙な関係にある彼らだからこそ、そのうち解けた様子は微笑ましい。とにかく、「チーム一丸」という言葉が相応しい、感動的な試合後の光景だった。ありがとう。
もっとも、これでまだ準決勝進出が決まったにすぎないわけで、あと2試合を勝ち抜かなければならないことは言うまでもなく、そこではまたしても苦戦難敵が待ち構えているに違いない。これまでの経験からして能活の確変モードもそろそろ下り坂にさしかかることが予想され(笑)、そうなれば今度こそアタッカーの出番になるだろう。頼むぞ、俊輔。
夕方、恵比寿の東京都写真美術館で『世界報道写真展2004』。「報道的価値」と「写真としての創造性」との両面から作品は選考されているらしいのだが、まあ報道色の強いものはほとんど戦争がらみなのが何ともはや。大賞に選ばれたイラク人捕虜とその息子の写真はもちろん、その他にも印象的なものが多数。アメリカ軍のミサイルで家族全てと片手を失い、全身に火傷を負った少年。リベリア内戦で生首を掲げる兵士。政府軍に追いつめられ、木の根を食べて飢えをしのぐラオスの少数民族。アフガンで焼身自殺を図った15歳の少女。ニューヨークの大停電。コッリーナさんのどアップ。パパ・ブッシュとその嫁さんの微笑ましい日常。巨大なプールに飛び込んだ飛び込み選手のちっぽけな姿。芸術的な色彩に彩られた、ヨーロッパ地下鉄駅の組写真。アイスランドの美しい川や氷河湖。ミシガン湖とシカゴ市を覆う雷雲。この全てを合わせても、世界のたった一部を描写しているにすぎないという事実に圧倒される。
夜、スシをつまみながら、フジテレビでマドリーの来日花試合。東京ヴェルディ 0−4 レアル・マドリー。マドリーの、特に攻撃は確かに素晴らしいとは思うのだが、そんなわかりきったものを延々「演じて」もらって、ゴールが決まるたびにスタンドはワーキャー騒ぎ、テレビ解説はマドリー賞賛の言葉を並べ立てる。そこにある種の不毛さと卑屈さを感じてしまうのは僕だけだろうか。ま、それなりに楽しませてもらったからあんまり文句も言えんけど。