12月10日(火)

 夜、西新宿の「東明苑」で焼肉。コンロのつまみは最大にしているのに何となく火力が足りず、焼肉独特のパワフルさに少々欠けたような。帰ってからコートを脱いだらすげえニオイ。

 民主党代表選は菅直人が執念の勝利。少なくとも二者択一として考える限り、民主党は正しい選択をしたと僕は思う。
 で、民主党という政党にとって、代表が誰か云々ということよりもずっと大きな問題が今回の一連の騒動で明らかになったと思うのだ。それは何か。ズバリ、「冷笑主義」だ。これは民主党のみならず日本の政治(=有権者)風土全般にも言える傾向である。選挙の時には自分たちで(後から考えれば)間違った選択をしておいて、その責任は「選ばれる側」の代表(政治家)におっかぶせ、自分たちは「代表(政治家)はバカだ」と自分たちの馬鹿さ加減を棚に上げて冷笑している党員(国民)たち。民主党員は党の首脳部を冷たい目で眺め、国民は民主党を冷たい目で見るという入れ子構造。「つまらない」「任せる気にならない」ですか。そうやって、いつまでも自民党のジジイどもに政治権力を握らせて自分たちは責任回避して、新保守主義とともに奈落の底に沈んでいけばいいんじゃないの、キミタチ。………というあたりの風潮にしっかりしたアンチテーゼを突きつけるあたりから(つまりそれは「寄らば大樹の陰」ということで鳩山を持ち上げていたような連中を追い払うことにもなる)、民主党の「独自性」なるものは生まれると思うのだがどうだろうか。

 

 ビデオで、キャロル・リード監督『第三の男』。これはすごい。すごい映画だ。ウィーンの美しい昼と妖しい夜、観覧車のはるかな高みから見下ろす風景、下水道での行き詰まる追跡、そしてラストシーンの並木道と名場面が連発。オーソン・ウェルズ演じる徹底的な悪党、それに惚れてしまった女、その女に惚れた主人公、悪党を追う男気のある軍人といったキャラクター造詣も魅力たっぷり。よく練られた脚本も素晴らしく、終盤にさしかかるや固唾を呑む展開に画面から目を離すことができない。まさに映画の「王様」に位置づけられるべき作品と言ってよいのではないだろうか。

 ラストで主人公がヒロイン(?)にフラれる中央墓地の並木道には、僕も6年ほど前に行ったことがある。あそこといい街中といい、風景が50年前と今とであんまり変わっていないのがいかにも欧州的というか、日本とは全然違う感覚なんだろうね。


12月9日(月)

 朝起きて窓の外を見て、思わず笑ってしまった。なんだ、12月もまだ上旬というのにこの白さは(笑)。家から歩いて3分のバス停までの間ですでに雪だるま状態。昨日渋谷で「1月2月は雪の日もあるからなあ」とHAWKINSの「TRAVELLER ICE−TECH」という超滑りにくい革靴を買ったのだが、まさか翌日に役立つとは思わなかった(笑)。

 夜、録画でスペインリーグ。マジョルカ 1−5 レアル・マドリード。好調マジョルカがホームでマドリーに正面から挑み、前半は健闘したものの後半一気に粉砕された試合。昨年・今年とFC東京が連勝後にジュビロ磐田に立ち向かい、いずれもボコ負けしたのを思い出した。
 マドリーはやはりトヨタカップをきっかけに覚醒したのだろうか。このゲームでも次元の違う多彩な攻撃を披露。ラウール・ロナウドの2トップはほとんど反則という感じですらある。ジダンが調子悪くてこれだからなあ…。ただ、攻撃が昨年にもまして破壊力抜群なのに対し守備はけっこうもろい、というか守備ははっきり言って重視してない様子で、何しろエルゲラがセンターバックなんである。例えば稲本がセンターバックやってる日本代表を想像していたければ、少しはその過激さも知れるだろうか(笑)。ま、最強のメンツでつまんないサッカーやってもしょーがないからね。


12月8日(日)

 午前中、馬券を買いがてら渋谷まで出る。今日も死ぬほど寒かったせいか、妙に人が少なかったような。

 昼飯は、ウィンズ渋谷の「東海堂」でおこのみ定食9百円。さばみそに冷や奴・まぐろぶつ切り・納豆がついた優れものであった。美味。

 帰ってNHK−BSで天皇杯。アルビレックス新潟 1−0 プロフェソール宮崎。やはり北国では寒くなってくるとコンディション調整がきついのか、前半の新潟は夏場とはまるで別のチームのようなひどさだった。パスがつながらない届かないイーブンボールへの反応が遅いスペースへの走り込みが足りない…。リーグ戦終盤の失速もこんな感じでズルズル行っちゃったんだろう。後半アタッカーを増やして活を入れ、何とかこの試合は勝ったものの、采配ではどうしようもない部分の落ち込みにプロフェッサー反町も歯がみする思いだろう。
 健闘した宮崎はJFL最下位(地域リーグへ降格)らしいけど…もう「しっかりしたサッカー」をしているだけでは社会人トップレベルでも通用しないということなのだろうか。

 朝日杯フューチュリティステークス(G1、名前長すぎ(笑))はタイガーモーションで乾坤一擲の勝負を挑むも、直線伸びずまたハスレ。サクラプレジデント(出遅れて2着)なんかと比べると超狙い目だと思ったんだが…。気がつけばもう、あとは有馬しかないじゃないか。ついに年間G1全敗の偉業(笑)達成か。

 録画でプレミアシップの大一番観る。マンチェスター・U 2−0 アーセナル。選手たちの表情を比べる限り、マンチェスターの方はこの試合に賭けていて、一方アーセナルにとっては「38分の1」にすぎなかったように見えた。この1敗でアーセナルが切羽詰まる必要は全くないのだろう。マンチェスターは、主力を欠いている分逆にチームがまとまって、とても謙虚に「身の丈サッカー」をしている感じ。チャンスにおける「この機会を逃すな!」感は鬼気迫るほど。ベッカムが復帰して王様振る舞いをするとリズムが狂っちゃうんだろな、多分。

 夜、スカパーでセリエA。パルマ 2−0 レッジーナ。試合内容・結果は両チームの力量差を正確に反映したものだったと思うが、そんなことよりスカパーの、特にスタジオ解説石川アナのはしゃぎっぷりが気恥ずかしいほどであった。「日本人ダービー」って、何じゃそりゃ。CSくらいになると見る人もみんな普段からサッカー観ている人なんだから、さらっと普通に流しときゃいいのに。「サポーターには『俺たちの中田』『俺たちの俊輔』という雰囲気があるんですかね!」だって。あー、恥ずかし。


12月7日(土)

 寒い。昼間は外へ出る気にもならず、ひたすら寝て過ごす。

 ビデオで、黒沢清監督『大いなる幻影』。世紀末(ってのももう3年前の話だが)的な風景とどこにも逃げ場のない重苦しさ、人の存在の希薄さ、そして決して分かりあえぬ人と人の心。後の『回路』でも繰り返される、いかにもこの時期の黒沢監督らしい映画であった。人がその生の中で永遠を実現するのは不可能なんだけれど、それを承知で今を生きれば、あるいは後に永遠が残るのかもね…って感じですか。全体的な作りの素人っぽさ(実際、スタッフは監督・主演以外全員(?)素人)を何とか我慢できれば、それなりに余韻の残る映画ではある。

 1日中家にいるのもいかにも不健康なので(笑)、夜は根性で出かけた。赤坂の「つぼ八」で飲む。「味の素スタジアム」についてどう思うかって?気に入らないに決まってるでしょ!もし西が丘サッカー場が「auスタジアム」、秩父宮ラグビー場が「マイクロソフトスタジアム」(念のために言っておくが、企業名の選択に特段の意図はない)とかになったらどうするよ、あーた。世の中金に換えていいものと悪いものがある、と僕は思う。

 夜中、Jスカイスポーツでプレミアシップ。チャールトン 2−0 リヴァプール。よくも悪くもオーウェン次第だけに、彼が決定機を外しちゃうとどうしようもないのがリヴァプールというチーム。ハマンのロングシュートだって、そうそう決まるわけでもないしね。焦って攻撃の人数増やして逆襲くらって…まことにわかりやすい(笑)。こうして得点力不足でジリジリ勝点を失い、結局また優勝争いに絡めず終わるのだろうか。だからリーグ戦では必要なんだ、「攻撃サッカー」が。


12月6日(金)

 DVDで、アラン・レネ監督『夜と霧』。第2次大戦10年後に作られた、著名なユダヤ収容所のドキュメンタリー。収容所告発の「原点」的な作品だけあって、今の目で見ると、アウシュヴィッツ等で行われていた残虐行為を一通り平板に解説、という感じで特に新味はない(もちろん映像はそれなりに衝撃的だが)。貨物車に乗せられたユダヤ人が夜霧の中到着、という典型的なイメージもこの作品から来ているのだろう。ナチ収容所関係のことをあまり知らない人は1回見といた方がいいかもしれない(中学校とかの教材に良さそう)。
 6年前にアウシュヴィッツ・ビルケナウを訪れた時の記憶を掘り起こしながら見ていたのだが、広い部屋一杯に積まれた女性の髪の毛の映像が出て、当時の気分の悪さまで思い出してしまった。あれ、アウシュヴィッツの博物館で見られるんだよね。


12月5日(木)

 ビデオで、デイヴィット・リンチ監督『ブルー・ベルベット』。日常と非日常の世界は全く別のものとして存在しているのではなく、背中合わせになっているわけでもない。それらは我々の目の前で混在しているのであって、ふとしたきっかけ、あるいはよく目を凝らしてみることで簡単に「世界の貌」などというものは180度変わってしまうものなのだ。よく手入れされた庭でうごめく虫、草むらの中に落ちた人間の耳、閑静な住宅街を裸でさまよう傷だらけの女、赤の色調で統一されたアパートメントでの異様な惨劇。リンチの描く世界はどこまでも美しく、どこまでもおぞましい。
 で、そんな世界にぴたりとはまっているカイル・マクラクランは、やはりリンチ映画に出てナンボなんじゃないのかな?と思った。

 

 黒田硫黄『黒船』読む。絶対にこの人にしか書けない短編多数収録。もっともっと読みたくなる感じ。


12月4日(水)

 昨日録画しておいたトヨタカップを観る。レアル・マドリー 2−0 オリンピア。マドリーの、期待通りのファンタジックなサッカーが見られて日本のファンにとってはめでたきかな、という試合。まあ今のマドリーがベストメンバーを組んできちんとした日程で調整すれば、このくらいはやるでしょうよ、そりゃ。フィーゴとラウール、ついでにロナウドもコンディションが上がってきたみたいなので、むしろこの後の国内リーグやチャンピオンズリーグが楽しみになってきたような(どうせチケット持ってなきゃどこでやっても同じ(笑))。そんな相手に対し、オリンピアはよく守った方ではないだろうか。オリンピア側にしてみればいくつかあったチャンス(特に前半、クロスがファーに抜けたところでベニテスがカシージャスに当ててしまったやつ!)を1つでも決められれば……というところだろうが、しかしそれでベニテスやコルドバを責めるのも酷な気がする。ロナウドだって決めたのは先制ゴールだけで、後はけっこう枠を外してたし。チャンスを多く作った方が多く点をとって勝った、順当だった、ということか。
 しかしこの試合、MVPがロナウドってのはどういうことなんスかね。フィーゴかロベルト・カルロスじゃないの?


12月3日(火)

 新宿某所で忘年会。まあ気分良く飲ませてもらって、水戸ホーリーホックのトレーニングジャージ(本物)とかもらったりして楽しんだのはいいんだが、飲み過ぎて途中からな〜んにも覚えてないぜ!俺はいったいどうやって家に帰ったんだ、誰か教えてくれYO!!HA、HA、HA……最近、こんなんばっかしや。しばらく酒は控えよう(と、今までに何回この日記に書いたことか)。

 というわけでトヨタカップはリアルタイムでは観ていないのだが、レアル・マドリーが2−0で勝ったとか。どーでもいいが、地上波テレビや新聞の多くがマドリーのことを躊躇なく「レアル」「レアル」と連呼しているのは何とかならないものだろうか。FC東京のことを無邪気に「エフシー」と呼ぶウチの両親と話している時と同じ居心地の悪さを感じてしまうのだ。


12月2日(月)

 FC東京の来季非契約選手発表。意外と言えば意外な顔ぶれ(と人数)。星の放出は馬場の成長に期待して、ということか?でも由紀彦もコンディションに不安があるし、コバもあの足じゃどうなるかわからないし…もしかして石川引き留めっすか。小林稔は加地がいれば出番なし、小林弘は緊急補強した時の状況が変わった(怪我人が復帰した)から、山尾はいなくても困らなかったから(笑)ですな。まあ、今からあんまり色々想像してもしょうがないのだけれど、もっと大幅な入れ替えがあるかと思っていたので少々意外ではある。オフの補強は人数絞って精鋭を、ということかな?なんつってもFWだよね、弱いのは。
 しかし、それにしても昨日のファン感で星はファッションショーにも出て笑いをとっていたし、小林弘はファンとのゲームに凄く積極的で皆を楽しませていた。あの時点でもう戦力外だってのはわかっていたのにね。4人とも、どうも今までありがとう。

 

 ビデオで三隅研次監督『大魔神怒る』観る。シリーズ第2作。ストーリー的には前作と似たようなもの。湖より得られる利益の独占を求めて隣国を侵略する悪大名に怒った湖の守り神が、魔神と化して城に来襲し大名を退治、ついでに今まさに処刑されんとしていた善玉カップル(侵略された2国の世継ぎと姫)を助けてめでたしめでたし。この作品、前作にもまして特撮が素晴らしい。有名な湖が割れるシーンを始め、水辺のセットとミニチュア等の風景が違和感なく一体となっている。わずか4ヶ月で制作したという話は本当なのだろうか?ラストシーンの水と空の美しさでそのまま魔神の破壊によるカタルシスの大きさを表現しているのも、スマートな演出で心地よい。

 

 スカパーでリーガ・エスパニョーラ。レアル・ソシエダ 2−1 バルセロナ。ほとんどチャンスのなかったバルサがクライフェルトの反転シュート一発で先制した時には「おお!」と思わず声を上げてしまったが、結局それもコバチェビッチの破壊力をより引き立てることにしかならなかった。好ストライカーの条件の一つは、決定機においてゴール枠・GK・DF・自分(味方のことはそれほど考えなくてもいい(笑))の関係性を瞬時に把握できることだ。それができれば、落ちついて(さらにはDF・GKを見下して)「最も入る確率が高い」軌道でシュートを打つことができる。コバチェビッチは確実にそうした資質を持っていると思う。


12月1日(日)

 昼間、新木場から「りんかい」で有明に出て、有明コロシアムでFC東京ファン感謝デーに参加。昨年よりもずっと会場はでかくなったのだが、客席の埋まり方はちょっと期待はずれだったかもしれない(もう西の方でやった方がいいかもよ)。まあ、選手たちがファンと入り交じってゲームやって、それなりに楽しい時間を過ごすことができた。選手と子供たちのドリブルリレーなんて、観てる方としても面白かったし、子供たちにとっては素晴らしい体験だよね。コバの元気そうな(足ひきづってたけど)姿が見れたのもよかった。選手たちのはしゃぐ姿なんか観察していると、やっぱ体育会系というか、年功序列みたいなところはあるな。ボスは土肥ちゃんね(笑)。で、その悪の参謀(笑)が文丈、中堅ワル(笑)が由紀彦・福田で、前田あたりの下っ端があちこち走らされる、と。すげえわかりやすいというか、とても観客動員平均2万のビッグクラブとは思えん(笑)。誰が来年残るかまだわからないけれど、みんな僕たちのクラブの大事な選手。こういう親しみを持てる場は大事にしたいし、来年こそはタイトルを手にして喜び合いたいよね。

 東京「お笑いキャラ」という分野では、小峯から茂庭へと政権交代(笑)が起こりつつあるのかもしれない。

 

 夜、スカパーでプレミアリーグ。リヴァプール 1−2 マンチェスター・U。スコアレスの時間が続いてはいたが、後半半ばまで主導権を握り続けていたのは明らかにリヴァプールの方だった。マンチェスターは攻撃を組み立てることがなかなかできず、あとは失点を待つばかりとさえ言えた。が、リヴァプールGKデュデクの、ヘディングのバックパスをキャッチしそこねるという信じがたいミスにより全てが変わってしまった。GKはつらい。たった一度のミスが大きく取り上げられ、それを気にして慎重になりすぎるとかえって手足が動かなくなり、さらなるミスがまた何倍もの非難を招く。FWなんて、何度ミスしても一発決めればヒーローだもんね。GKは、ハードボイルドの気概を持たないとやっていけない職業だ。

 

 ビデオで、デイビット・クローネンバーグ監督『イグジステンズ』。仮想世界と現実との境界があいまいになって、さて今の自分の体験はどちらなのか…というテーマは『ビデオドローム』と全く同じ。性的な隠喩とかグロい描写とかも他の作品と同様。ただしこの作品、わりときちんとしたオチがついている分「わかりやす」く、クローネンバーグ初心者(笑)にはよりお勧めではないだろうか。ジュード・ロウ熱演。


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