6月30日(日)

 夜、スカパーでW杯決勝戦。ブラジル 2−0 ドイツ。まあ、W杯らしい終わり方かな。

 ドイツはいつになく積極的な立ち上がりで、球足の速い横浜のピッチを生かしてスピードに乗り、サイドの裏を突いてはたびたびチャンスをつくった。が、あと一押し崩しきれず、GKマルコスの堅守もあってなかなか先制点を奪えない。一見ドイツペースには見えたが、しかしブラジルの今大会での強みはなんといっても少人数でのカウンター攻撃にあるのだ。ブラジルにしてみればドイツが前に出てきてくれるのはむしろ好都合とさえ言え、「点さえ取られなければそのうちこちらのもの」という気持ちであっただろう。実際、ボールは支配されていても「決定的」なチャンスの数では全然劣っていなかった(こちらもカーンのファインセーブでゴールを割ることはできなかったが)。緊張感に満ちた0−0が後半半ばまで続いた後、67分に健闘していたドイツ守備陣がついにミスしてブラジル先制。さらにドイツが前に出てきたところをカウンター、ロナウドが2点目をゲットして勝負あり。ドイツもロスタイムに入る頃まではあきらめずゴール前へ攻め込んだが、決定力のなさは如何ともしがたく、そのままブラジルの完勝で試合が終わった。

 ブラジルの先制点は自陣でのハマンの不用意なボール処理とGKカーンのキャッチミスが重なったものだが、ああいうミスはそれこそ1試合に1つや2つはどうしたって起こりうることで、全般的に見ればドイツの守備は素晴らしかった。ラメロウのタックルなんて職人芸の域を超え、ほとんど芸術と呼んでもいいくらいだった。敗因は、点がとれなかったことに尽きる。最後までヤンカーを使わなかったのは負傷が癒えなかったからなのだろうか。クローゼはいいものを持っているとは思うのだけれど、ブラジル相手にはちょっと荷が重すぎる感じであった。

 カーンがリバウドのシュートを取り損なった瞬間、即座に「ああ、W杯らしいな」と思った。98年大会のロナウド、94年大会のバッジオ、90年大会のマラドーナ……。この世界最高峰の大会では、往々にしてそれまでの英雄が最後の最後でどん底に突き落とされるものなのだ。まあ、少なくとも良識あるサッカーファンの中でカーンを責める者は誰もいないだろう。彼こそは世界最高のGKであり、その彼がミスってしまったのであれば「仕方がない」と言うしかないだろう。彼のおかげでどれだけこの大会が救われたことか。ありがとう、と言っておきたい。

 ロナウドはこの試合でも2得点、大会で計8得点を叩き出して得点王。今度こそ文句なしのMVPだろう。4年前と比べると、突進するときのパワフルさ・スピードは幾分鈍ったものの(じん帯を切ったんだから当然だ)、決定的な場所を嗅ぎつける嗅覚と狡猾さは格段に増したように思える。師匠格のロマーリオに近くなったというか。失ったものを補って余りあるほどの新しい長所を備え、世界最高のストライカーの座に復帰。彼の才能は底が知れない。

 実はブラジル(特に今回の)はあまり好きではないので、僕としてはこの決勝、心躍るような結果でなかった。しかし、交代後ベンチで男泣きするロナウドや終了後ピッチに突っ伏して泣く選手達の姿はさすがにちょっといい光景だと思った。予選の不振から国内で想像を絶する罵倒を浴びせられ、ここに至るまでの道のりは長く辛いものであったのだろう。この大会ではグループリーグの組合せを含めて運も彼らに味方してくれたように思える。まあ、ファンタジックな内容を伴うことが王国の次の課題かな。あと、試合終了後ドイツチームに全く目もくれず延々自分たちだけで喜び続けたのも僕の美意識には反するな。

 僕の知り合いでこの大会に備えてセレソンのユニフォームをホーム・アウェイ分とも揃えていたのにチケットが全く当たらず、いよいよ土壇場の今日に一か八か朝から新横浜に出かけていった人がいた。売り手を探し回った末、周りのチケットゲッター軍団とのオークション(笑)を制してついにチケットを手に入れたとか。値段は1人10万円。色々言う人もいるかもしれないが、何しろW杯の決勝だ。それくらいの価値はあるだろう(外国に見に行くよりずっと安いよ!)。

 

 で、とうとう2002年日韓ワールドカップもこれでおしまい。明日あたりマスコミはさんざん「祭りの後」感を強調するだろうし、実際多くの人にとって「これでサッカーはおしまい」なのかもしれない。が、しかし。そんな世の風潮に関係なく、僕たちのフットボールはこれからも続いていくのである。「4年後に向けて」だあ?何寝ぼけたこと言ってやがる。次の試合は、もうすぐそこにあるんだぜ。楽しい楽しい、「僕たちのクラブ」の試合がね!


6月29日(土)

 昼間、西新宿の東京都庁展望台(45階)に上る。すぐ近くで仕事しているくせに、この展望台には上ったことがなかった。あいにくの雨模様で視界が悪く富士山も東京湾も見えなかったが、こうして「一番てっぺん」から見てみると、メガロポリス東京といっても意外と高層建築物は少ないように思えるね。都庁より西なんて何にもないもんね。

 その後、高島屋で服を買う。バーゲンとは恐ろしいものでげすな。

 夕方、録画でスカパーの特番『FC東京伝説〜原サッカーの挑戦』を見る。原監督のインタヴューと今季7試合のダイジェスト映像を中心に構成された1時間もの。正直言って試合結果がショボいので盛り上がりには欠けるのだが(よく知らない人が見たら「口ほどにもない」と思ったかもしれない)、しかし僕たちヒロミフリーク(笑)にしてみれば彼の淡々とした語り口と裏腹なサッカーへの熱い思いがしっかり伝わって嬉しかった。特に、バイクで事故った小林について「本人が一番後悔しているだろう……早く戻ってきてほしい」とさりげなくコメントしたりとか、個々の選手を暖かい目で見ているところが良いと思う。

 

 夜はフジテレビでW杯3位決定戦。コリア 2−3 トルコ。いやー、点がバカスカ入って面白い試合だった(この際、戦術があーたらとか技術がどーたらとかいうことは無視)!前半はトルコがイルハンとハカン・シュキュルのコンビネーションで韓国DFラインを翻弄して3得点。後半は一方的な韓国の攻勢となったが、トルコは自陣に人数を残し、がっちり守りを固めてきっちり逃げ切った。

  韓国は2点リードされた後も息切れせずによく攻めたが、いかんせんシュートの精度が……。アタッカーが宇宙開発するたびに「やな〜ぎさ〜わ〜」コールしちゃったよ(シュート体勢に持ち込むところまで素晴らしいのに、最後「あぼーん」となるのが共通項(笑))。まあ、最後の最後で世代交代もできて良かったんじゃないかな。とにかくこの大会では、韓国の人々はいい思い出をつくることができただろう。うらやましい。

 トルコは前半に今度こそハカン・シュキュルが大暴れしてリードを奪うことに成功したが、後半はアタッカーがボールを持ちすぎる(周りの運動量が落ちてパスコースがなくなるのかもしれないが)悪い癖も出て、ハーフウェー付近でボールをとられてサイドから攻めたてられるシーンが延々繰り返されるはめに。それでも失点を許さなかったのはDFが抜かれてもあきらめずしつこいタックルを繰り返したことと、GKリュシュトゥが脚の負傷をおしてがんばり抜いたおかげだ。リュシュトゥは自分で「交代させてくれ」というサインを送っていたようだが、それを無視するベンチというのも凄いわな。トルコの監督はNYヤンキースのトーリ監督(超悪役顔)に顔が似ていると思うのだが、人は見かけによるということか、冷徹かつ(勝敗を考えると)正しい判断ではあった。

  韓国では、夜中大騒ぎが繰り返されていることだろう。明日の決勝戦のことなど完全に忘れて(笑)。まあ、お祭りとしてとことん楽しみつくすこと自体は、正しい態度に違いない。


6月28日(金)

 年下の仕事仲間に「村田さんは動きがインチキくさいですね」と言われた。「マンガみたい」とか「ありえない」(笑)とか言われたことはあるが、「インチキくさい」ってのはどういう意味なんだ。

 夕方、新宿住友ビル50階の「大同門」で焼肉。窓の外には西新宿の美しい夜景が広がっていたはずだが、そんなものには目もくれずせっせと肉を詰め込む男4人であった。

 

 DVDで、ジャン=リュック・ゴダール監督『男性・女性』観る。主人公(ジャン=ピエール・レオー)とヒロイン(シャンタル・ゴヤ)らの若者らしい未熟なやりとりが中心の映画。65年作品。インタビュー・カットやら共産主義ネタやらモノローグやら、後のゴダール作品につながっていく要素も色々見られるんだけどもまだここではそれらが嫌みになっておらず、むしろみずみずしいくらい。ゴヤの歌など音楽もよく物語にはまっているし、ちょっとひねった青春映画として誰もが普通に楽しめるだろう。僕のお気に入りは、主人公カップル+お邪魔虫の女の子が3人でマッシュ・ポテトを食べるシーンと、ラスト前のレオーのモノローグだな。「英知とは〜」なんて、そうそう映画の流れにきちんとはめて話せるもんじゃない。


6月27日(木)

 久しぶりに、東京体育館で1kmほど泳ぐ。「ちょっと腹も引き締めなきゃな」と思い、泳ぎ終わった後プールサイドで腹筋運動をやっていたらいきなり腹がつった(笑)。恐ろしいことだ。

 

 ビデオで、黒沢清監督『ニンゲン合格』を観る。よく考えられた構図の画面、長回し・移動ショットの多用、淡々とさりげなくしかし確実に「普通でないこと」も織り交ぜつつ進む物語。まったくもって黒沢清らしい映画だが、通常の作品と一線を画しているのはジャンルが全然はっきりしていないことか。アクションでもコメディーでもホラーでもメロドラマでもなく、娯楽作でも芸術作品でもない。他のメディアにはない映画そのものの価値・威力を信じる黒沢監督としては、一本はどうしても撮っておきたかった類のものなんだろう。退屈せず興味深く観られたが、死に瀕した主人公が「存在」などという言葉を使ってしまったのは、あからさまに観念的すぎて減点材料かな。あそこは「俺、ちゃんとここにいたのかな?」くらいでいいはずだ。


6月26日(水)

 今日も、どうにかこうにかキックオフに間に合った。ブラジル 1−0 トルコ。試合全般を見渡してみて、中盤を制していたのは明らかにトルコの方だった。特に前半の、狭い隙間を縫うワンタッチパスをつなげてつなげて前進していく様はため息を漏らしてしまうほど。守備も早いチェックと果敢なスライディング・タックルで度々ボール奪取に成功。見てて小気味の良い、楽しいプレーぶりだった。で、あとは決定力があればなあ、と。「あと1つ、パスをフリーの選手に出せれば」というシーンがいくつあったことだろう。ロナウドの個人技で先制されてからは疲れもあってかコンビネーションがギグシャクしだし、終盤には無理なドリブル突破を試みては失敗、結局いいように時間を使われてタイムアップを迎えてしまった。基礎がしっかりしていてかつ美しいサッカー、でも勝ちきる力には少々劣っていたというところか。

 ブラジルの方は相変わらず攻撃陣の個人技が光った。リバウドの「スペースいらず」の速いシュートモーション、ロナウドの得点能力、カフーの馬力感あふれる突進、ロベカルの三次元ドリブル…。これにロナウジーニョが加わるんだからそりゃ凄いっちゃ凄い。でも、パーツ(あるいはその寄せ集め)としてずば抜けているとしても、チームとしてはどうだろう。個人の好みもあるかもしれないが、11人で行うスポーツとしてのフットボールの美しさという点ではイマイチではないかと思うのだけれど。

 ま、それでも決勝はややブラジル有利という声が強くなるだろう。ドイツは重要な選手を幾人も欠いているし、準決勝でも相当にキツい試合をしたからだ。個人的には、ブラジルアタッカーのシュートが雨あられとドイツゴールに飛び、それを全てゴリラカーン様が弾き返してドイツ1−0で優勝、という試合が見たい。


6月25日(火)

 夜、とっとと帰ってスカパーでW杯準決勝。大韓民国 0−1 ドイツ。ドイツを、そして何より猜疑心と過熱の炎の中に崩れ落ちそうな今大会を救ったのは、やっぱりオリバー・カーンだった。

 疲れ切った韓国にしてみれば勝つためには大声援を背に勢いまかせで押すしかなかったわけで、立ち上がりには攻めに攻めてまたしても「行ける!」ムードが漂い始めていた。右サイドからイ・チョンスが切れ込んでシュートを放った時には正直「あ!(決まった!!)」と叫んでしまったよ。後から考えてみると、これが試合のキー・プレーだった。決まっていればドイツはパニックに陥ったろうし、韓国は逆襲狙いにシフトして体力温存することもできたはずだ。が、しかし。絶妙のコースに飛んだボールを、カーンが信じ難い反応と瞬発力で横っとびに弾き出す。間違いなく今大会ナンバーワンの、超ウルトラファインセーブ。

 以後ドイツDFは韓国アタッカーのスピードに落ち着いて対処するようになり、後半終了間際に至るまで決定的な場面を作らせることはなかった。一方攻撃陣は華麗さ・意外性には欠けるもののひたすら生真面目なサイドアタックを繰り返し、後半30分にはついにバラックの先制点を生み出した。で、あとはひたすら試合のペースを落としてほとんど危なげなく逃げ切る。まあつまらないサッカーだが、そこがいかにもドイツらしいところでもあって、つくづく感心してしまった。

 韓国は最後まであきらめずに粘ったが、さすがにいっぱいいっぱいという感じ。毎試合余力を残さずギリギリで勝ってきたのだから、もう限界ではあったのだろう。後半の試合運びなんか見ると力の差もあるように感じられた。ま、色々あった(笑)とはいえ、選手・スタッフはよくがんばってベスト4という素晴らしい結果を残したと思う。お疲れさんでした(3位決定戦は勝ったようなもんでしょう)。というか、これ以上勝ち進むと取り返しのつかないくらい憎まれてしまうので(もう憎まれてるか(笑))、これでよかったんだ……と思う。

 ドイツはこの試合でバラックが2枚目のイエローをもらい、決勝は出場停止。もんのすっご〜く痛いのは確かだが、しかし彼らはなんてったってドイツ人であり、おまけにゴールを守るのはオリバー・カーン様なのである。我々はこの試合でその偉大さを改めて思い知らされたはずだ。相手がブラジルであろうと何であろうと、勝負の行方は分からない。

 今日のレフェリーはずっと怒っているような顔をした人だったが、判定自体は特に問題はなし。ありがとう(笑)。


6月24日(月)

 今回のW杯の審判問題については、僕にもいささかの後悔と反省点がある。以前から「審判をほめよう」などと偉そうに言っていたくせに、いざW杯ともなると選手や勝敗ばかりに気をとられ、良いレフェリングについては全く触れていないのである。誤りを批判するのは当然として、ナイスプレーを褒め称える姿勢もどこかで持っていなければならないのだ。とりあえず、決勝トーナメントではスペイン×アイルランドの主審が素晴らしかったということは言っておこう。

 で、超注目の準決勝の審判団が発表になった。なんと、今度は6人ともヨーロッパ人らしい。FIFAさんよ、あんたらいくらあせったっちゅーてもやりすぎでっせ。

 

 夕方、新宿NSビルの「八角」で食事。いくつかのつまみの他に「スーパーモダン焼き」なる特大サイズの粉ものを食すハメになり、胃袋圧力2万ヘクトパスカル(笑)。死ぬかと思った。

 

 夜、DVDでスタンリー・キューブリック監督『非情の罠』観る。引退寸前のボクサーの主人公とあきらめの悪いヤクザが軽薄で性格の悪い女を巡って殺し合いをするだけのお話で、クライマックスの乱闘に至るまでが退屈で仕方がない。おまけに、とってつけたような「ハッピーな」ラストシーンにはどうしても納得がいかなかった。あそこは、遠くから名前を呼ぶ女を無視してとっとと列車に乗ってしまうべきだろう。主人公は女の我が身かわいさに深く傷ついていたはずではないか。初監督作だけに、そこは「冷たい」キューブリック色が出せなかったか?


6月23日(日)

 午後、TVで宝塚記念(G1)を見る。ツルマルボーイ、惜しかったなあ。直線外から突っ込んできたときには「ダンスインザダーク産駒G1初制覇か!」とドキドキしたけれど、坂上に上がってからダンツフレームの底力に屈した形に。首差の2着。阪神の馬場が合わなかったというのもあるかもしれない。秋の天皇賞では、ぜひ。

 床屋で髪を切っていたら、「うらやましいくらい健康な髪ですね」と言われた。体に関しては、数少ないとりえでしょうか(笑)。

 夕方、久しぶりに秋葉原に出てみる。なんつーか、PCに関しては「1ギガだろうと2ギガだろうと、もう当分いいですよ」ってな感じで、全く興味がわかなくなってしまった。周辺機器やらソフトやらにもそそられるものはなく、何も買わず。神保町に出て、書泉ブックマートで白土三平の忍者漫画を買って帰る。

 黒田硫黄の短編集『大王』読む。冒頭の『西遊記を読む』がいい感じだなあ、と思っていたら、巻末のあとがきには「おっさんがむずむずする漫画」と解説してあった。俺、おっさんかいな(笑)。

 どうも審判問題でW杯は殺伐とした雰囲気になってきたようだが、中にはこういう「ちょっといい話」もあったりする。


6月22日(土)

 午後、NHK総合でW杯準々決勝。韓国 0−0(PK 5−3) スペイン。韓国は立派なサッカーをした。ホームの利を存分に生かして終始攻撃的に挑み、1対1の場面でも決してひるむことがなかった。ヒディング監督の一部ユーモアも交ぜた堂々たる立ち振る舞いにも唸らされた。ポルトガル・イタリア・スペインと連破しての準決勝進出。素晴らしい結果だ。次のドイツ相手にも十分チャンスはあるだろう。僕たちはあの赤の波動を見て感嘆し、賞賛し、嫉妬と羨望を覚え、そしてまた追いつき追い越せるよう頑張らなくてはならない。

 が、しかし。この試合、またしても微妙な(つーか、はっきり言って誤った)判定がいくつかあった。スポーツにミスジャッジはつきものとは言え、スペインにしてみれば相手が韓国ということもあって決して納得できないだろう。スペインの選手・スタッフは試合中から不信感を顕わにしていたし、ペナルティエリア内で手をあげて接触を避けるなど異常なほどの気の使いようだった。まあ、これが接触を巡る「微妙な判定」ならば仕方がないとも思うのだが、今日のはゴールラインを割ってないドリブルを誤ってゴールキックにしたりオフサイドの誤審だったりと、ビデオで後から見れば一目瞭然な種類のものだっただけに(しかも、どちらも決定的なシーンだっただけに)すっきりしない気持ちが残ってしまった。判定さえ正確になされていれば、(内容はともかくスコア的には)スペインが完勝していた試合だった。今回誤審による被害を受けているのはフランス・イタリア・スペイン・ブラジルといった強国であって、サッカー界のメインストリームにおいてこの大会の価値というのが軽んじられないかどうかが心配になってくる。「どうせ地の果てでやったアンフェアな(政治的な)大会でしょ」みたいな。

 冬季五輪での微妙な判定を根に持って、アメリカ戦では勝ってもいないのにしかも何の関係もない別競技であるにも関わらずみっともないことこの上ない「オーノ・パフォーマンス」まで披露した韓国が審判を味方につけて快進撃を続けるのは、皮肉と言うしかない。

 スペインは判定に泣かされた上にラウール不在の攻撃はいかにも迫力不足であった。それでも勝ってさえいれば「不利な諸条件を乗り越えてよくやった」ということになったのだろうが…。PK戦の1本目、コースを完全に読んでいたカシージャスの脇の下をボールが抜けたあの瞬間に勝利の女神がきっぱりとスペインを見放したように思えた。まあ、今回はいずれにせよあの頼りないCBでは優勝は難しかっただろう。この国も次の大会が勝負。

 結局ベスト4に勝ち残ったのはブラジル、トルコ、ドイツ、韓国か…。もしかするとこの中では、韓国が一番いいサッカーをしてるんじゃないか?僕のW杯は今日をもって終了だな(笑)。

 

 夕方、渋谷のブックファーストで買い物。どこの本屋にでも置いてある本でも、店員の対応の良いところで買った方が気持ちがよい。

 夜、赤坂の和民で飲む。トルシエの選手起用について愚痴りまくった3時間でした。「ヤナギがさぁ」みたいな。


6月21日(金)

 午後、仕事場のTVでこっそりW杯準々決勝。ブラジル 2−1 イングランド。暑さの中双方とも省エネサッカーで、まあ盛り上がらない試合だった。オーウェンの快速プレーで先制したイングランドはいつものように自陣で守りを固めるクレバーな(相手との力量差をわきまえた)試合運びに徹する。一時は「このまま1−0で行けるのではないか」とも思えたのだが…。失点の時間帯、あるいは偶発的な2点目のプレーはともかく、1点目の取られ方が悪すぎた。MF(スコールズだったかな?)の不用意な防御がブラジルにつけいる隙を与え、一気にムードが悪化してしまった。ま、イングランドはどちらかと言えば次が勝負かな。

 なんか僕の周りではみんな「ブラジル強えー、すげー」とか言っているようだ。ま、確かに強い部類には入るだろう。この試合でもあざやかなカウンターを見せてくれた。が、そんなにべた褒めするほどいいサッカーかなあ、とも思う。個人の能力は相変わらずピカイチだが(「それで十分」という人も多いだろうが)チームとしてはバラバラで、正直、見るべきものは少ないと思う。ブラジルらしくない「圧倒するスペクタル」に欠ける時の方が勝敗に関してはいい結果が出がち(94年大会とか)なので、優勝はするかもしれん。

 あと、この大会やっぱ審判ひどいわ。ロナウジーニョのレッドカード、あれ何?足踏んだだけじゃん。アンリを退場にしたのと同じ審判だって?おちおちタックルもできないな。今に選手はみんなできるだけ体がぶつからないよう、おっかなびっくりプレーすることになるだろう。で、それってフットボール?

 

 仕事がようやく一段落つきそうであるので、夜は飲みに出かけた。「ちょっと一杯」のつもりでしかなかったのだが、1軒、2軒、3軒(笑)、と行って気がつけば朝になっていた。何があったかよく覚えていないのだが、不思議なこともあるものだ(笑)。


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