6月20日(木)

 寺島実郎著『時代の深層底流を読む』(東洋経済新報社)読了。内部告発に対する評価とか首都移転構想についてとか異論を挟みたい部分がないではないが、しかしこの人の議論を貫く社会的公正を追求する姿勢や、過度の市場・IT信仰への警告といった部分については真剣に受け止めるべきだろう。みんなそろそろ、単なるカタルシスやちっぽけな優越感を追い求めるはかりでは問題の解決にならず、社会工学的な発想の必要性に気づかなければならない。


6月19日(水)

 夜中まで部屋の中で地味な仕事を続けているとさすがに飽きてきて、下ネタやバカ話がつい口を突いて出てくる。今日は長渕剛の物真似がブームで、昨日は西城秀樹「ギャランドゥ」(笑)。大したことないギャグでも、11時を過ぎる頃になると頭がおかしくなっているのか、腹を抱えて大笑い。ちなみに、先週は「千代の富士引退記者会見」とCCBが流行ってました。下らねえ(笑)。


6月18日(火)

 午後、仕事場のTVでW杯準々決勝を観る。日本 0−1 トルコ。決してボコボコにやられた訳でもなく、100%力を出し切った末に力尽きた訳でもなく、かといって「絶対に勝てた試合だった」などと非論理的な言葉を叫ぶ気になるほどでもない。不完全燃焼感の残る敗戦。組み合わせを見て「これは行ける!」(もちろん、トルコは強いっちゃ強いけど、ブラジルやイタリアよりましでしょ)と思った瞬間に惜敗したシドニー五輪と同様のパターンであることも含め、いかにもトルシエ・ジャパンらしいっちゃらしいやね。

 とにかく先制点を取られたのが大きかった。ある程度引き気味に来るかとも思われたトルコだが、立ち上がりからFW以下が前目前目でガンガンプレッシャーをかけ、日本はジリジリと押し込まれていく(布陣的にも、精神的にも)。で、中田浩のミスからCK。この時宮本が大声で指示を出しまくっているにも関わらず選手の反応が何となく鈍いのが気になったが、案の定あっさりと失点。日本は懸命に反撃するものの雨で重い芝にいつもの軽快なパス回しは鈍り、コンビプレーの甘さにいくつかの不運も重なって、ゴール前を固めるトルコDFの前についにゴールを割ることはできなかった。部分部分の長短はあれ決して実力差があったとは思わないが、しかし結果的にはトルコ会心のゲームとなってしまった。

 試合開始前には、いつもの事ながらスタメンに驚かされた。柳沢・鈴木を2人とも外してアレックス・西澤が先発。「勝っている時にチームをいじるな」という鉄則からすれば首を傾げたくもなるが、これは昨年のコンフェデ杯での鈴木先発もそうだったようにトルシエお得意のギャンブルであり、チーム活性化のための刺激策であったのだろう。強敵相手にアレックスという「秘密兵器」で主導権を握ろうとした意図もあったかもしれない。ただ、今日の試合についてはこの手は成功したとは言い難かった。1トップフォーメーションではこのチームが機能しないのは昨年のフランス戦・カナダ戦で分かっていたはずなのに、結局同じ過ちを繰り返してしまった。そしてアレックスが左に寄ったことでMFの位置関係は窮屈になっていて、攻め手としての小野が居場所を失っていたように思った。当然、コンビネーションもイマイチ。どうせ前半で代えてしまうのなら、グループリーグの2トップがもう一度見たかったのだが。

 トルコは日本に比べると派手さも意外なプレーもないが、1人1人がしっかりした技術を持っているように見えた。今日のような悪コンディションではフレア(閃き)の多寡よりも、きちんと足下で止めて強くボールを蹴るといった基礎的なプレーの精度がずっと大事になってくる。そういった意味では天候がトルコの良さを際だたせたと言えるかもしれない。いずれにしても、今日は「トルコの日」だった。堂々たる準々決勝進出。

 柳沢敦は、ついに決勝トーナメントでその姿を見せることがなかった。このサイトを見ていただいている方ならご存じかと思うが、僕がこの大会で最も期待していた日本人選手は柳沢だった。彼には、他の(おそらく全ての)日本選手にはない「天分」があると思う。困ったことに本人がそのことを分かっていないようなので、この大会でレベルの高い相手に挑むことで彼が「覚醒」してくれればと願っていたのだ。が、しかし。ロシア戦ではほんの少し輝いたものの、しばらく時が過ぎれば「得点0」というスタッツだけが残りそうな中途半端な結果に終わった。あとは海外移籍しかないか?

 この敗戦で、近頃異様に加熱していたトルシエへの評価も落ち着くだろうか。彼の欠点も長所も努力も全て抜きにして「魔術」などという表現を使って彼の虚像を持ち上げるマスコミの言説は、僕にとってひどく気色悪いものだった。ただし、今日を機に掌を返したようなトルシエバッシングが始まるとすれば、それもまたみっともない事だと思う。今はとりあえず、他の選手・スタッフに対するのと同様、彼の努力と苦労をねぎらおう。拍手を持って送り出そう。そして時間がたってから、冷静な視点で彼の率いた代表の4年間をじっくり振り返るべきであろう。

 今日を持って日本サッカーはひとまずの終戦を迎えた。ファン・サポーターは虚脱感と、しばらくたってからは寂しさに襲われ、街中で青いユニフォームを着ることはいささか気恥ずかしくなるだろう。まだW杯という祭りは続いているが、それも長いことではない。ま、しばらくは休んで、また次を楽しめばいい。僕たちのフットボールはこれで終わってしまうわけではないのである。

 

 その後、半ば腰砕けになりながら仕事を深夜まで続ける。ノートPCの画面の片隅にブラウザを浮かべて韓国戦の経過を見ていたのだが、こちらはイタリア相手にまさかの逆転勝利。今頃韓国はえらい騒ぎになっているに違いない。羨ましいことこの上なく、嫉妬さえ覚えてしまうのだが、しかし韓国にとって過去4回のW杯が全て敗北の歴史であったことを思えば、彼らはここに来てようやく得るべきものを得ているのかもしれぬ。

 それにしてもトッティってのは、つくづく勝負弱いね。


6月17日(月)

 今日も遅くまで仕事だったので、ブラジル×ベルギー戦は終わり頃だけ仕事場のTVで。ベルギー、あと一歩というところだったろうか。ブラジルの2点目は素晴らしいカウンターで、ちょっとだけ94年大会のロマーリオを思い出した。守備側ににとってはどうしようもない絶妙の軌道のグラウンダークロスと、それにきっちり詰めているストライカー。少ない人数で得点できるようになるとブラジルは怖い。


6月16日(日)

 昼間、国立競技場でラグビーW杯アジア地区予選日本×韓国。来年秋のW杯に向けた、僕たちのもう一つのフットボール代表の戦いが始まった。たまには韓国にもスカッと快勝してほしいよなあと思っていたのだが、やはり日本戦となると目の色が違うコリアン相手、そうは甘くない。前半半ばまでに韓国のスピード豊富なBKにカウンターアタックをボコボコボコッと決められてリードを許す。気まずい空気の漂うスタンド、愕然とする選手達。そんなムードを吹き飛ばしたのは、ミラーの突破力だった。強靱な足腰とギャップを的確に読む力を生かしたランニングでDFラインを翻弄、自らのトライに加えてバックスリーの活躍するスペースをも作りだし、ゲームを一方的な展開に導いた。一旦流れにのってしまえばあとはFW第3列と栗原・大畑・小野澤が縦横無尽に走り回り、終わってみれば90−24の大勝。これでもうW杯出場は確定的だろう。とにかく良かったし、僕もソウルまで足を運ばずに済んだ(行くなら行くで良かったんだけど(笑))。

 しっかし、7点差をつけられた時にはどうしようかと思ったぞ。とにかく日本は試合運びにクレバーさが足りないと思った。韓国なんて前半の「第一撃」に賭けていて反則も多いことが分かっているんだから、それに応じた戦いぶりをすべきだったのだ。しかしPGは狙わないわ、相手のカウンターが怖いと分かっているのに自陣からあっさり蹴って相手のバックスにボールを渡してしまうわ、韓国の長所をわざわざ引き出してやったようなものだ。3回も同じような取られ方をしたのは修正能力に欠けているからに他ならないだろう(そう言えば、昨年のウェールズ戦でも勝負所で同じようなキックオフミスが3回続いたのだった)。それに、ヤバい雰囲気になった時間帯、味方に大声で檄や指示を飛ばしている人間がほとんどいないのも気になった。主将の箕内は「プレーで語る」タイプだし、元木はなぜかおとなしいし、大久保も遠慮している感じだし…。村田亙や岩淵がベンチだったせいもあるかもしれないが、リーダー不在では困る。つい「ここに増保がいたら」と思ってしまった。期間限定の混成チームだからこそ、苦しい時に頼るべき存在を意識的に作り出さなければならない。

 ま、それでも、真剣勝負の舞台で90点などという大量得点を取れたのだから、ジャパンもそれなりに力をつけているのは間違いない。FW第3列とバックスリーのスピードは素晴らしく、「外で勝負する」意識で統一されつつあるようなのは喜ばしい。以前はスピード感に欠けているように見えたSH苑田も今日はテンポ良くボールをさばいていたし、苑田+ミラー・村田+岩淵という2つの魅力的なオプションができたのも嬉しいことだ。あとは、リーダーシップ、ゲームの組み立て方の再検討、敵陣でのセットプレーの精度、防御における「詰め」の意識の再導入といった課題を処理していけばもっともっと強くなるだろう。もうこれからは目線をあと1年4ヶ月先において戦っていかなければならない。

 

 W杯の昼の試合は後半からTV観戦(NHK総合)。スウェーデン 1−2(V) セネガル。うーむ、延長に入ってからはスウェーデンが決定的なチャンスを何度も作ったのだが…。とにかく決めなければ何にもならないんだよね、特にゴールデンゴール(Vゴール)方式では。スウェーデンは初戦観戦時に陽気なサポーターに楽しませてもらったので思い入れがあり、日本と対戦してほしかったのだけれども。セネガルはアフリカ勢にしては戦術と個人技のバランスがとれたいいチーム。初出場でベスト8は快挙と言ってもよいのではないだろうか。数日前に「欧州の底力、アフリカ勢の限界」とか書いたのだが、そういう時に限ってこうした結果になってしまうものだ(笑)。

 夜の試合はNHKハイビジョン放送で。スペイン 1−1(PK 3−2) アイルランド。1−0の後半35分にラウールが交代した時には「血迷ったかカマーチョ!」と叫んでしまった。確かにあと10分強守りきればいい状況ではあったのだが、替えのきかない選手というのは確かにいるのだよ。実際ラウール退場以後スペインは防戦一方で、延長になってからは前線のルーケにロングボールを蹴り込むだけの引き分け狙い戦法。「だから言ったのにー!!」………と思っていたら、ラウール負傷していたらしい(そういえば交代直前はチャンスにも歩いていたな)。すまん、カマーチョ(笑)。
 しかし、アイルランドもいいチームだった。最後の最後まであきらめぬ闘志で、またしても土壇場の同点劇。延長前半のチャンスに決められなかったのは痛恨だったが、PK戦でベンチや控えの選手が固く固く肩を組んでキッカー・GKを見守っていたのが印象的だった。マッカーシー監督の振る舞いも立派としか言いようのないもので、ロビー・キーン不在など全く関係がなかった。スタンドを緑に染めた大サポーター(負けた後も、涙を浮かべながらマフラーをかざして選手を激励(泣))も素晴らしく、スペイン贔屓の僕でも「勝たせてやりたい」という気持ちが沸き起こってきた。PK戦はつらい。


6月15日(土)

 午後、NHK総合でW杯決勝トーナメント。ドイツ 1−0 パラグアイ。前半は両チームとも慎重な戦いぶりで、ジャブの応酬のような0−0。ハーフタイム直後ドイツがややラッシュ気味の姿勢を見せたものの、パラグアイはチラベルトを中心に守りを固めてしのぐ。後半も半ばになると試合はすっかり膠着していた。思うに、ここでパラグアイは思い切ってドリブラー(クエバス!)を投入して勝負に出るべきだった。流れからして反転攻勢で1点取ってしまいさえすれば、それでアップセットは完成したはずなのだ。が、しかし。マルディーニ監督の性格もあるのか、パラグアイは2〜3人のアタッカーを除いては自陣に引きこもったまま。ドイツは再び勢いにのり、右から左からクロスを入れ続けて後は守備の隙ができるのを待つのみとなった。結局、43分にノイヴィルが乱れたDFラインの裏に出てゲット。パラグアイにしてみれば非常にもったいない試合だったと思う。

 韓国の観客はこの手の試合がお嫌いなのか、場内では延々ウェーブ(これ、戦っている選手への侮辱になるからやめた方がいいぞ)が続いていた模様。ただし、パラグアイがゴール正面でFK取った時だけは異常な盛り上がりに。チラベルト×カーンというスーパーGKの、文字通りの直接対決。まあ、そんな時に限ってボールは枠をかすめもしないのだが(笑)。

 

 夜は日本テレビで観戦。デンマーク 0−3 イングランド。イングランドは相変わらずそれほど強い感じはしないのだか(もちろんデンマーク相手に3点取るんだから強いっちゃ強いっすよ)、しかしアルゼンチン戦以後すっかり「軌道に乗った」印象は受ける。事が極めてスムーズに進んでいるというか。この試合も、開始早々に相手DF陣のコンビミスからセットプレーで得点。続いてオーウェンが大会初得点、前半終了間際にはベッカムのアシストでへスキーが駄目押し。解説が我らが原博実だったら「いい時間に取りましたね〜!」を3回繰り返すことになっただろう(笑)。後半になるとスコールズと2トップを下げて休ませ、終了間際には例の堅くて固い守備陣形をとって完封勝ち。1回戦としては、まさに理想的な勝ち方と言えよう。次はおそらくブラジル相手か。確かに難敵だが、何とかセットプレーあたりで先制して、あとはブラジルが前に出るところオーウェン・ヘスキーがセンターバックの裏を狙う展開になれば面白い。

デンマークは何回かいい形を作ったのだが、副審がオフサイドの誤審をしたり枠に飛んでいたシュートが味方に当たったり、ツキにも恵まれなかったようだ。かつてのラウドルップやシューマイケルのような強烈な個性が見あたらず、ベンチも積極的に動く様子はなし。悪い流れになった時に体勢を立て直す力に欠けていたのかもしれない。

 ハーフタイム明け、ベッカムが前半の強い雨で寝ていたモヒカン髪をしっかり立たせ直して出てきたのには笑った。15分間ずっと鏡に向かっていたのかも(笑)。

 ちなみに、夜の試合はビデオでスカパーの中継とも見比べてみた。日テレは「あの」船越アナ・武田修宏の、スカパーは倉敷アナ・反町康治のコンビだったのだが、これがもう全然比べ物にもならないというか。偏差値に直せば30くらいは違ったかな。何をトチ狂ったかハーフタイムに長嶋一茂・松岡修造の現地リポートを挟む時点で日テレの放送は屑以下という感じだが、肝心の試合本体も聞いていて辛いレベル。その時のピッチ内の状況・直前のプレーの構造について具体的に伝えられない実況や分析をせず無難なコメントに終始する解説など、真剣に観ている我々にとっては邪魔者でしかない。

 

 夜中、赤坂の「鳥勝」で飲む。「W杯、どこが優勝するか」という話題になり、とりあえず「勝ってほしいのはスペイン、金を賭けるとしたらイタリア」と言っておく。次々と強豪が敗れるこの大会、誰かがどこかで「神の力」を見せてくれるとしたら、それはもはやラウールしかいないのではないだろうか。


6月14日(金)

 朝からTVはどこのチャンネルも日本代表のレプリカユニフォームを着込んだリポーター・キャスターの姿で溢れかえっていたが、今日の試合の放映権を持っているテレビ朝日のはしゃぎっぷりは凄まじく、薄気味の悪ささえ覚えてしまうほどであった。自己啓発セミナーとか、そういう感じ。見ていて引いてしまった僕はノリが悪いんでしょうかね?

 

 で、そんな僕も15時半から仕事場のTVのスイッチをさりげなく入れ、僕たちの日本代表の戦いを見た。日本 2−0 チュニジア。3試合の中で、今日が一番見ていて危なげなかったんじゃないだろうか。前半無得点でやや膠着気味だったのはちと不気味ではあったが、しかしトルシエが早めに動いてくれたのが良かった。後半早々に交代出場した森島が、いかにもモリシらしいゴール前の俊敏さで先制点をゲット。さらに30分にはやはり途中出場の市川が巧みなステップから好クロスを上げ、待ってましたの中田英が押し込んでトドメをさした。選手の長所がよく出、采配もズバリ当たって全くの快勝だった。ドキッとしたのは前半終わり頃の戸田のペナルティエリア内後方タックルくらいだろうか(あれはPKとられても文句は言えない)。

 しかしこの3試合、見ていて驚かされるのは日本の選手達の落ち着きぶりだ。この周囲の異常な興奮状態の中、あれだけ自分を保ちつつ集中して戦うことができるのは素直にすごいと思う。ワールドユースやら五輪やらで大舞台を踏んだ選手が増えているのも大きいのだろうし、トルシエ政権が3年半継続したせいで選手の層も厚く、戦術的理解も深くなり、誰がいつ出てもチームの力はそれほど変わらないという自信・ゆとりもあるのかもしれない。そういう意味ではトルシエのコメント「4年間の努力のたまもの」というのは全くその通りだと思うし、もっと言えば日本サッカーがこの10年以上継続して行ってきた真摯な強化が予選リーグ突破という形で実ったということになるだろう。本当に良かった。

 で、次の相手はトルコ。実力はおそらく互角に近く、このホームの力を持ってすればやや日本優勢か。個人的にはどうせ負けるのなら(決勝進出とか3位とかいう夢はもう少し先になってから見よう)ビッグネーム相手に華々しく散ってほしいと思うのでブラジル相手の方が良かったような気もするのだが、まあ勝ち進みやすい組み合わせになったことは間違いない。もう既にノルマは果たしたのだから恐れるものは何もないはず。トルシエの「本番になると帳尻を合わせて成績を残す」力にも期待してるし(シドニーの時のような変に守りに入った采配だけはやめてくれ)、柳沢あたりがそろそろ爆発してくれることを信じたい。これからは僕たちにとって、1戦1戦が宝石のように貴重な体験となるだろう。できるだけ長くとどまり、できるだけ上位に至ることを願う。そしてほんの少しでも「頂点」を垣間見れる位置に至ってくれるなら、もう何も言うことはないだろう。

 

 帰り道、新宿でもレプリカを着た若い連中がコールをしたり奇声をあげたり。まあ人によって色々な楽しみ方があっていいとは思うのだが、やっぱり変に高揚しすぎるよりもじっと感慨を味わう方が僕の性には合っているようである。


6月13日(木)

 午後、ニュー新橋ビルの地下で焼き鯖定食を食べた後、ゆりかもめで有明へ出て仕事。今日はビックサイトで「国際食品工業展」なるイベントがあったようで、車内はスーツ姿でいっぱいだった。「食品工業」って、フードカッターとかか?その後東京テレポートセンター駅の近くでもう一カ所寄ってからゆりかもめ→JRで錦糸町。駅の裏側に用があったのだが、再開発が進んでやたらきれいになっているのが錦糸町らしからぬというか(笑)。「素材屋」で飲んでから帰る。日付が変わる前に帰宅するのは久しぶり。

 早く帰って、もちろんW杯を観る。イタリア 1−1 メキシコ。「イタリア、お前もか!」という感じの試合展開だったのだが、後半40分の土壇場でデルピエーロがおまっとさんのゲット。ちょっと泥臭くておよそデルピエーロらしくないゴールではあったが、今年のセリエA逆転優勝といい、チャンピオンズリーグ決勝でボルシア・ドルトムントにショッキングな敗戦を喫してから数年間に渡って不運が続く彼もそろそろ風向きが変わってきたのかもしれない。ロスタイム、自陣で延々パスを回して時間を潰しきったのはいかにもイタリアらしい光景であった。

 もう1試合、スカパーの録画でチェック。スペイン 3−2 南アフリカ。控えメンバー中心のスペインはメンディエタを筆頭にアタッカー陣が各々の持ち味を発揮。特に前半は流麗なパス回しで中盤を支配した。が、さすがにDFラインの(さらなる)弱体化は否めず、生き残りをかけた南アがその隙を突いて反撃、点を取り合う面白い展開に。勝負を決めたのはまたしてもラウール。抜け目のない先制点に続き、DFのマークを巧みに外す得意のプレーで決勝点をゲット。得点という最も大事な仕事を果たしつつ、単なる点取り屋をはるかに超える存在感を発揮する。これこそスーパーFWである。ねえ、柳沢君(って、俺は毎日柳沢の事ばかり書いているな)。


6月12日(水)

 夕方、仕事場で横目で(さすがに歓声などあげる訳にはいかない)イングランド×ナイジェリア。イングランドはいくつかの惜しいチャンスを逃し(特に、シェリンガムがふかしたやつ!)、ナイジェリアアタッカーの突進にひやっとする場面も皆無というわけではなかったが、しかしそれでも前がかりになるリスクは犯さず「危なげなく」引き分けに持ち込んだと言ってもよいのではないだろうか。アルゼンチンに勝ったおかげで懐の深さが出てきたというか。R16の相手はデンマークか。めっちゃくちゃ面白そう。

 仕事が終わってからNHK総合のダイジェストを観る。アルゼンチン×スウェーデンは、スウェーデンの思うつぼの展開で引き分け。アルゼンチン、驚愕の早期敗退。決勝の組み合わせ(ないしは優勝争い)をフランス×アルゼンチンと予想した人も多かったと思うのだが。他のグループを見ても楽に勝ち抜いた強豪国は一つもなく、思ったより実力差が接近していることを意識したところで既に時遅し、あれよあれよと沈んでしまったというところではないだろうか。もはや万全のコンディションなしには、グループリーグを勝ち抜くことさえできないのだ。

 パラグアイ×スロベニアは、退場で1人少ないパラグアイが怒濤の攻撃を見せて3−1の逆転勝ち。ぎりぎりの際どいところで南アをうっちゃって決勝トーナメント進出を決めた。パラグアイの攻撃はとにかく勢いのあるものだったが、特に感銘を受けたのはFWクエバスの2点。「俺が撃つ、俺が撃つ、さあ俺が決めるぞ、さあ撃つぞ、どけやゴルァ!おらあああああ!!決まったぜぃ!!!」ってな感じのワイルドなドリブル→フェイントの繰り返しの末にゴールゲット。全ての感覚がシュートに収斂していったような。ああいう「イッちゃった」プレーも極限状態では必要なのだよ。ねえ、柳沢君。


6月11日(火)

 今日も帰宅が12時半を過ぎたので、W杯はNHKのダイジェストで。さすがに決勝トーナメント進出を賭けた3試合目ともなると面白い。

 フランス 0−2 デンマーク。W杯でコンスタントに好成績を残し続けるデンマーク相手に2点差以上の勝利というのは、いくらなんでも荷が重すぎた。というか、今回のフランスは選手のコンディションも審判の判定も采配も対戦の巡り合わせも全てが悪い方向に転がっていったように思え、こういう時には何をやっても無駄ということかもしれない。後半、シュートがまたしてもポストを直撃して外れたときにフランスのアタッカーが思わず笑みさえ浮かべてしまったのはそういうことだろう。明日は明日の風が吹くさ。

 セネガル 3−3 ウルグアイ。言い方は悪いが、グループ2位の座を賭けた2線級同士のノーガードの撃ち合いという、ある意味典型的な予選リーグ最終戦。3点差を追いついたウルグアイの攻撃は見事なもので(この際、守備のヘボさは不問に付すべきだろう)、終了間際の大チャンスを決めていればW杯史上に残る試合にもなったかもしれないが……まあフットボールとはそんなものだ、仕方がない。

 カメルーン 0−2 ドイツ。エトーが稲妻のようなドリブルでDFラメロウを葬り去った(2回目の警告)プレーなんか見ると運動能力だけなら大人と子供ほどの違いがありそうな印象だが、カメルーンはいくら何でも前半の決定機を外しすぎた。ドイツに体勢を立て直す時間を十分に与えてしまったのが敗因だろう。昨日の繰り返しになるが、チームの支援体制・マネジメントといったなおざりにされている部分も含め、アフリカサッカー自体がどことなく壁に突き当たっているような印象も受ける。でも、まあ、中津江村の件でカメルーンにはそれなりに楽しませてもらったから、「ありがとう」とは言っておかねばなるまい。一方のドイツは全くかわいげのないいかにもドイツらしい勝ち方だったようだが、しかしあのセンターバックの弱さ・出場停止の多さでは決勝トーナメント1回戦からさっそく危ないような気がする。
 しかし、「両チーム合わせてイエローカード16枚」ってのは何なんだ(笑)。よく退場2人で済んだものだ。
主審は恩氏だったのか(笑)?

 サウジアラビア 0−3 アイルランド。結局サウジは今大会で1点もとれなかったわけだが、よく考えたらフランスも同様なのだから大したことはないのかもしれない。1点目、キーン(髪の毛のある方)のボレーはむちゃくちゃ格好良かった。「枠に叩き込む」技術。どうしてもロシア戦の柳沢の「DFを外す見事な胸トラップ→バーの上にあぼ〜ん」と比べてしまう。

 日本代表ニュースを見るとどの試合もイエローカードでまっ黄っ黄ーで、エライことになってますな。勝ち残ったとこも次が辛そう。


6月10日(月)

 また1つ、歳をとってしまった。

 夜中、スカパー録画でW杯。スウェーデン 2−1 ナイジェリア。開幕のカメルーン×アイルランドなんかを見ていても思うのだが、2〜3回前のW杯に比べると欧州勢もアフリカ系チームの身体能力に面食らうことが少なくなっているような気がする。さすがにナメてかかることがなくなったということもあるだろうし、アフリカ系選手の欧州リーグ進出が進んだことによる独特のプレーへの慣れもあるのだろう。この試合でもスウェーデンは個人技でボールを支配され続けながらも落ち着いて逆襲をねらい続け、アガホワの呆気にとられるような身体能力(DFを置き去りにしてヘッドを決めた直後、伸身のバック転6連発!)で先制を許した後もそのペースを貫き通した。結果、順調に得点を重ねて逆転勝ち。オコチャのスーパードリブルがゴールに結びついていればまた結果も違ったかもしれないけれども、でもやっぱり現在のアフリカナショナルチームの限界が見えたのかも。


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