2010年07月23日

●『ぼくのエリ 200歳の少女』

100719.jpg
先日、銀座テアトルシネマでトーマス・アルフレッドソン監督『ぼくのエリ 200歳の少女』を観た。主人公はストックホルム郊外に母親と住む、12歳のいじめられっ子オスカー。彼は隣の家に父親と共に引っ越してきた少女エリに初恋を抱くが、時を同じくして彼らの住む町で惨たらしい殺人事件が頻発するように。ある時、オスカーは重大な秘密を知ってしまう。エリは町から町へ移り住みながら人の血を吸って200年間生きながらえてきたヴァンパイアだったのだ……。
 
 
とても残酷で、とても哀しい映画だった。

現在一般化している(ブラム=ストーカーが『ドラキュラ』で作った)ヴァンパイアのイメージは、恐ろしい化け物であると同時にもの哀しさを帯びた存在でもある。宙を舞い人を惑わせる超越的な能力と、冷酷に人を殺す残忍さ。しかしその一方で血以外のものを口にできず、日の光を浴びることもかなわず、容易に死ぬことのできない「生ける屍」でもある。この映画はそうした伝統的なフォーマットを忠実になぞっており、堂々たる正統派吸血鬼映画と言ってよいだろう。

続きを読む "『ぼくのエリ 200歳の少女』"