●『戦ふ兵隊』

シネセゾン渋谷で亀井文夫監督『戦ふ兵隊』を観た。日中戦争中の1939年、武漢攻略作戦に従軍して撮影された伝説のドキュメンタリー映画で、今回は雑誌「Esquire」のイベント「進化する、映画×リアリティ。」の中で特別上映されたもの。1970年代まではフィルムが見つからず「失われた映画」となっていたと耳にし、そんな貴重なものを見逃すわけにはいかんと、休日の午前中から足を運んだ(と思ったら、DVD出てるのか)。
この映画、陸軍の後援で撮影されたにも関わらず上映禁止処分をくらったそうである。そりゃそうだろう、と思う。だって、いきなり冒頭で映るのが、家を焼かれて難民となった中国の人々なんだもの。その後も、疲れ果てた兵隊たちの姿に、貧弱な兵器、乏しい食料と水、果てしなく続く行軍、戦死者の墓標と家族からの手紙、荒廃しきった武漢の街。もしこれをそのまま上映させたとしたら、そりゃ当時の公安当局は怠慢を問われたに違いない。
